授業スタイルの変化
TanaRadio第4回始めたいと思います。
このTanaRadioですね、目的が私のモヤモヤを聞いてもらいたいという、そういう目的で始めたということは前にお話したと思います。
なかなかそのモヤモヤの話に行っていないんですけれども、そろそろそういう話に入っていきたいなというふうに思っていまして、
今回はですね、それに関連する話をしたいんですけれども、今回のテーマはですね、
「ほぼ満足のいく授業にたどりついたけれど⋯」と、こういうことでちょっとお話してみたい。
今私は教員歴30年以上なんですけれども、やっとこの年になって、今私還暦で60歳なんですが、やっとこの年になって、
自分がやりたいと思っていた授業にかなり近づいてきた、そういう実感を得ているんですね。
なかなかこれは実現しなくて苦労したり悩んだりしてきました。
けれどもこの2020年から始まったコロナ禍の中で、それがだんだんと実現していったということで、
本当にコロナ禍というのは大きなものだなというふうに私は思うんですけれども。
どんな授業をやっているのかということについてちょっと今日はお話したいんですね。
私が今やっている授業というのは、ハイフレックス・オンデマンド混合のブレンド型授業とでも言うようなものなんですね。
2020年の完全オンラインの時代は、ハイフレックスではなくてオンラインライブ、オンライン授業だったわけですけれども、
対面授業が始まりましたので、対面で授業をやってそれをZoomで配信するというハイフレックス方式に変えていますが、
基本的にやり方は当初の頃と変えずにやっています。
この授業形式が私がやりたかったことにとてもマッチしていまして、
もう普通の対面授業には戻れないなということで、今でもやり方は変えずにやっているということなんです。
私はどんな授業をやりたいと思っていたかと言いますと、私は授業で科学史について教えているんですけれども、
科学史について私は学生に伝えたいこと、語りたいことがたくさんあります。
私が面白いと思っている話もいろいろありまして、そういうのを話したいなという気があります。
ですから講義はきちっとやりたいと思うんですね。
けれども他方で一方的に講義を聞いてもらうという授業は良くないというふうに思っていまして、
私から何か新しい知識を得た後、何か考えてみる。
自分で考えるだけではなくて、他の受講者と議論してみる。
そういったこともしてもらいたいなというふうに思っていました。
最初の頃は講義をするだけで、考えたり議論したりするというのは授業外で自主的にやってもらいたいなと思っていたわけですけれども、
そういうことはほぼないわけでして、単に私の話を聞いて終わってしまうということがほとんどだっただろうと思います。
ですので何とかこれを授業の中でできないかというふうに考えるようになりました。
コロナ禍の少し前、数年前からですね、授業の中にディスカッションを取り入れるようにしたんですね。
授業時間を前半と後半に分けて、前半30分か40分くらい講義をして、残りの4,50分くらいこれをディスカッションの時間に当てるということをやってみました。
やろうと思っていることが多少実現できたんですけどね。
ですが不十分なところがたくさんありました。
言ってみれば、講義とディスカッションを一コマの中でやると、どちらも時間不足になって、どちらも中途半端になってしまうということがあるようです。
それまで一コマかけて講義していたことを半分の時間で講義するわけですから、当然学生の理解もおろそかになってしまいます。
ディスカッションの重要性
それを基にして議論するといっても、議論の中身もなかなか濃くならない。
私が求める水準まで議論が深まらないということがありまして、どちらも中途半端になってしまったという感じがして、これでは良くないなと思いながらコロナに入っていったわけです。
コロナ禍では最初は完全オンラインでしたから、Zoomでそれまで講義で話していたことを話しても良かったんですけれども、
私の講義をただずっと画面越しに聞いているというのは、とてもじゃないけれども苦痛だろうというふうに思ったんですね。
そこでたまたま、私自分がやっている講義を録画していまして、すべて録画していまして、その録画のビデオをすぐに使える状態になっていました。
そこで講義に関してはその録画を見てもらうという形にしたんですね。
私の授業はよくテレビ番組のビデオを見てもらうことがあるんですが、かつては著作権的にそれはインターネットで配信することはできなかったんですけれども、
急遽コロナということで法律が変わり、それが可能になりましたので、全く問題なくかつて録画しておいたものをそのままオンデマンドで見てもらうことができるようになりました。
それからディスカッションですが、ディスカッション最初は教室で机を移動させてグループ討論させていたんですけれども、それができなくなったということで、
オンラインですとZoomのブレイクアウトルームというのもあるんですが、これでは多分うまくいかないだろうということは予想されました。
そこでブログを使って文章で議論させるということを考えました。
当初は大学が用意しているWebClassというLMSの中にある掲示板機能を使ってやったんですけれども、
これは非常に使い勝手が悪いということで、結局自分で解説したブログにみんなが意見を書くという形に変えまして、
これがなかなかうまくいったので、今日まで続けているということになります。
このハイフレックスというのは教室でも授業をやるんですが、教室でやる授業というのは普通の授業、普通の講義ではないんですね。
そこで私は教えたいことの内容を講義することはせず、講義はすべてビデオで見てもらうことにしています。
教室でやるのは前の週に提出してもらった課題の共有というふうに言っているんですけれども、
LearnWiz Oneというオンラインサービスがありまして、それを使って学生が先週提出した課題をお互いに読み合うということをまずさせて、
その中からいいねというのをつけることができるんですが、いいねがたくさんついたものをいくつか私が読み上げながらコメントするという形で、
まず20分ぐらいかけて先週の課題について振り返りを行います。
そのあと残りの10分か20分ぐらいを今週の学習内容、講義ビデオにあるわけですけれども、
その導入としてどんなことを学ぶのか、課題はどんなものなのか、そういったことを説明し、
だいたい40分ぐらいで終わりまして、残りの40分は個人学習の時間というふうに言いまして、
講義ビデオを見てもらったり、あるいは自分の好きな時間に講義ビデオを見たいという人は教室から出て行っていいよというふうに言って、
だいたい人数は半分以下に減るんですけれどもね、そんな感じで授業を進めているという感じです。
また3回に1回ほどですね、2回の講義の後に1回ディスカッションの週というのを設けて、
先ほど言ったディスカッション、クラスブログでのディスカッションを行うということもやっているんです。
このやり方がとても良くて、何がいいかというと、まず講義をきっちり聞いてもらいます。
対面の講義の時よりも明らかに学生の理解度が上がっているということは、提出してもらっている課題などを読んでもわかるんですね。
それからディスカッションもグループ討論でやっていた頃のディスカッションとは比べ物にならないくらいに質の高いディスカッションができるようになっています。
新たな挑戦とモヤモヤ
ですので、私が前からやりたいなというふうに思っていたような授業というのは、ほぼ今実現できているのではないかなというふうに思っているんですね。
ですけれども、そういうところまで来ますと、大体私はもう何というか、満足できなくなってくるんですね。
満足できる授業ができるようになると満足できなくなる。つまり飽きてくるんですね。
もっと違う授業がしたいなというふうに思うようになって、今私が抱えているモヤモヤというのはその辺から来ているのかなと思うんですけれども。
ではどんなところが不満なのかということについてはまた次回以降お話ししていきたいと思います。
では今日はここまでで、また聞いてください。