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2024-03-28 05:34

プラットフォーム化する出版ビジネス、というお話

2 Comments

海外理系ジャーナルから楽譜の販売まで、海外のプラットフォーム化しつつある出版ビジネスの話を紹介しています。今は3/27のロスタイムです。

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こんにちは。昨日は音楽業界についての話をしました。今日はまたちょっと趣向を変えまして、今度は出版業界についての話をしてみようかと思います。
出版業界と言いましても、日本ではなく海外の話なんですけれども、それも普通の本ではなく、理系ジャーナルの世界について話したいと思います。
なぜこの話をしたいかと言いますと、妹が一応外資系の理系ジャーナルの出版社で勤めておりまして、
一応その会社は世界最大の医療科学ジャーナル出版社ということになっているんですけれども、調べたらこの会社がすぐ分かってしまいそうですが、
そのジャーナルの仕組みというのが、我々の知っている出版の世界とはだいぶ違うので、これはかなり面白いなと思って紹介しようかと思います。
まず海外の理系ジャーナル、何が面白いかというと、載せるのは論文なんですけれど、この論文をジャーナルに載せる、だいたいもうジャーナルはオンライン化されているんですけれど、
載せるのに、なんと掲載する論文の著者がお金を払うというビジネスシステムになっているんですね。
この掲載するというのにお金にもランクがありまして、それはどういうふうなランク付けかといいますと、
まずはジャーナルに登録したお金を払って購読している人が読める記事、またそれとは別にジャーナルを購読していなくても誰でもアクセスできる、オープンアクセスと呼んでいるらしいんですけれど、
そういう記事。それをどれくらい何ヶ月公開するかみたいな、そういう感じでお金の差がつけられているらしいんですね。
読む方としてもお金を出して購読したりする分のお金もあるので、出版社の方としては、著者と読者と両方からお金を取るということが当たり前になってしまっているんですね。
なんでこんなことが可能かといいますと、理系ジャーナルというのは基本的に論文を掲載するわけですけど、論文というのは他の人に見られて参照されて、それをもとにまた別の論文が書き上がる。
参照される数で論文の価値が決まるみたいな、そういうところがあるからなんですね。
この掲載社からお金を取るというシステムがあるというのを妹から聞いたときにまず思ったのが、せっかくお金を出して掲載してもらうならば、
もうこれ広い人に読んでもらいたいということで、もう言語が英語を中心になるんじゃないかと思ったんですね。
聞いてみると確かに英語の論文がほとんどだそうです。
ちなみに日本人だとまだ日本語の論文とかも掲載することがあって、中には紙でまだ会報出しているジャーナルとかもあるそうなんですが、やはり基本英語中心になってきてしまっているということがあるんですね。
あともう一つ思ったのが、過去のジャーナル、デジタル化する前のジャーナルとかもそのままデータ化してPDFなり何なりテキスト認識なりさせて、それを掲載するということもどんどん起こっているんじゃないかと思って聞いてみたら、やっぱりそういうものもいろいろ出ているみたいなんですね。
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そうするともうこのジャーナルと呼んでいるものは、我々が考えているのは雑誌だとか会報だとか、そういうものを超えてもう一つのプラットフォームみたいになってしまっているんですね。
実はここでちょっと音楽の話に戻るんですけれど、こういう仕組み、実は音楽業界でもちょっと起こっていて、今クラシック系の作曲家が曲を書いたとして、それを演奏してもらいたいとしても、
伝手がなかったらなかなか演奏してくれなかったりとか、あるいはどこか演奏してくれる人を探すよりはバッと公開してみんなの目に触れるところに置くのがいい、そんなふうに考えることもあるんじゃないかと思っていたら、
オーストリアのUniversalという会社が、Scodeという新しいウェブベースのツールを始めまして、これで何ができるかというと、お金を払うと作曲家が自分の楽譜を掲載することができる、そういうプラットフォームを作ったんですね。
これが出た当初、知り合いの作曲家がブーブー言っていたんですけれど、こんなのお金を取るのか、むしろこっちがお金を欲しいのに、みたいなことを言っていたんですけれど、結局どうも登録したみたいなんですよね。
ちなみにそこの会社はわりと老舗の会社で、ウィーンにある会社なんですけれども、20世紀頭ぐらいにマーラーだとかバルトークだとかシェーンベルクとかの楽譜を出していた会社です。
また、2023年の12月には、Muse Scoreという楽譜を作るソフトを出しているミューズグループというところが、そこもプラットフォームがありまして、Ultimate Guitarというギターのコード譜を掲載しているプラットフォームがあるんですけれども、
そこを作っているミューズスコア.comというグループが、一応世界最大の楽譜出版社グループであるアメリカのHal Leonardという会社を買収したというニュースがあったんですね。
そのミューズスコアというものを出しているミューズグループは、他にもAudacityというアプリケーション、録音アプリケーションを出していたりとかして、アプリケーションとプラットフォームの境目がだいぶ曖昧になってきて、そこからまたさらにコンテンツも加わってきて、その境目がだいぶ曖昧になってきているのが今の現状なのかなというふうにちょっと考えていたりします。
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コメント

めちゃくちゃ面白いです! 以前、医療業界のまさに論文を取り扱う仕事をしていまして、これいつのデータだ?ってくらい古いのもたくさん見てました。 ギリギリ読めるくらいに擦り切れてるPDFもたったりして、紙の段階で何回も複製されたんだろうな〜なんて感じて仕事しておりました。 膨大な論文、実は掲載者もお金を払うシステムだったとは…驚きです。

細谷滝音

コメントありがとうございます!論文を扱うお仕事されてたんですね。結構レア職では? 過去の論文に関してはお金がどうなっているかは不明なのですが(執筆者が亡くなっていることもありそうで)、傘下企業に大学出版会などを含むイギリスの流通グループがあるので、そこから掲載許諾をもらったりしていそうです。

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