00:04
お聴きの皆様、おはこんばんちは。現役リフォームプランナーの寸尺かんなです。
今日も関心領域の最終回になります。 前回までがですね、結局このお父さんとお母さん、
お父さんの方はですね、移動が命じられていたんですけれども、奥さんはこれを堅くなに拒否しまして、
妻子を残して、自分だけがドイツの本部の方に行くという形になっている。
そこに至るまでにですね、家庭の状況がですね、一度は訪ねてきていたお母さんが戻ってしまっていたりとかね、
あと夫婦、すごく円満にやっているようなんだけれども、ちょっと何か様子がおかしいシーンもちょっとあったりとかね。
でも何があったかっていうことは示されないけれども、なんとなく察してねというような意味深なシーンが若干あるというところまでお話しさせてもらったんですけれど、
いよいよですね、ここからお父さんがもうドイツの方に行った後、残されたこの家族の様子っていうのは、若干今までほどのどかな感じではなくなってきてるんですよね。
お母さんに帰られたりとかね、あと何だろう、いろいろね、ちょっとこの奥さん奥さんね、
なんかカリカリカリカリしてるんですよね。使用人にやつ当たりしていたりとか、あとですね、この今まであまり空気のように存在感を消していた、この使用人たちの様子もなんとなくちょっと違ってきてるんですよね。
そういうシーンが出てくるんですよ。廊下でなんかちょっと固まっているね、メイドの女の子がいたりとかですね。
あと、夜泣きしてる赤ちゃんの面倒を見させられている子守役の女性がもうずっとね、酒飲みながらね、ちょっともうやや精神的にも限界が近いような様子で、赤ちゃんの一応そばにいるっていうシーンがあったりとかね。
あとちょっと前回お話ししたんですけれども、突然この真っ暗闇の中に人だけがね、ちょっと銀色に浮き彫りになるような独特の撮影の仕方でですね、夜になるとこの使用人の女の子がですね、リンゴを土砂の中に埋めに行ったりとかね、
あと森の中に何か果物とかを取りに行って、取りに行ったその果物をですね、この家とね、立派なこの家族が住んでいる家と、この高い塀の間の線路があるんですよね。
03:05
この線路脇のところに、ちょっとしたこのスコップとかね、あと土砂の山とかがね、積まれていたりとかするんですよね。こういったところに、この銅もフルーツを埋めているシーンも出てくるんですよ。
この時にですね、このフルーツを埋めていると、今度はね、その同じ山の中からね、今度その女の子は何か拾ってくるんですよね。
で、何かカンカンのね、何か昔クッキーでかチョコレートでも入ってたようなね、カンカンがあるんですよね。
で、これをパカッと開けるとね、中に紙が入ってるんですよ。あのメモのね、用紙。で、あっていう感じで、これは全部持ち帰っていくんですよね。
で、まあこれであのこっそりね、主人たちが寝てる間にまた家に戻ってきて、で、他のねメイドたちと、あんた今日は遅かったわねとかね、ちょっとこういう会話があって戻ってくるというシーンがあるんですよ。
で、この映画はあの音が主役だっていうお話をしたんですけれども、
あのね、じわじわとね、後半に行くにつれて、あの匂いのね、匂いも何かおかしいんじゃないかということをね、それこそ匂わせるシーンが出てくるんですね。
この使用人たちが夜、まあこの刺繍とかね、刺繍というかこの手作業のあの作ろいものね、あの衣類の作ろいものをしたりとかしてる時に、なんかね打ってなって、バタンって窓を閉めに行ったりする描写であったりとか、
あと急にまあ帰っちゃったこのお母さん、お母さんというか奥さんの方のお母さんですね。このお母さんもね、あのずっと夜な夜なね、やっぱり音がうるさいし、そしてずっとね、もう24時間この夜でも煙突から黙々と煙が上がっているのをいつも窓から見てたんですよね。
この描写の時もちょっとね鼻をグッとこうね指で抑えるようなシーンが出てきてたんですね。
つまりこの辺りになってくると、あのどうやら臭気、あのすごくね嫌な匂いが立ち込めているんじゃないかなということをね、あのちょっと暗示しているようなシーンが出てくるんですよね。
なので、まああの音もね、だんだんね前半というか中盤ぐらいまでは、ほんと犬の鳴き声とか、あとその鉄道の音とかね、なんかそういう、あとその時々あのなんかこう赤ちゃんの鳴き声とかねしてたのが、だんだんねより想像しくなってきていて、パンパンっていうね、銃声の音であったりとか、
あとやっぱりねなんかこう人がね逃げている音とか喚いている音とかがするんですよね。さっきのこの土砂にね、この果物、リンゴを埋めてるシーンとリンクしてくるんですけれど、
06:04
捕まえろー!みたいなね、なんかこう憲兵みたいなね、あの追っかけていて、で、なんだ何をしてたんだって言ったら、どうやらこの土砂の中からね、このフルーツを探しているところを捕まっているような、あの話し声がしてるんですよね。
で、捕まえろー!とか言ってね、やめるんだー!って言った後ね、バンバン!とかいう銃声が聞こえたりしています。
そして、この使用人たちがね、結局この旦那がね、夫がまあ単身赴任していない間に、なんとなくこの使用人の人たちの動きがね、よりこの映画の中ではですね、
ちょっと浮き上がってくるような作りになっているんですよね。より自由度が増したので、彼らの人に見られてない時の活動とかがちょっと見えてくるというんですかね。
で、結局ですね、先ほどこの土砂の中から拾い上げてきた、カンカンの中から見つけた紙切れね、これをある時、誰もいないところでね、そっと見ているシーンが出てきます。
で、これ見ていると、いろいろこの私たちはね、この収容所の中の第三強盗の中に、今いると、老いも若きも子供もいると、だけど我々はまだ生きているみたいなね、なんかそんなことは書かれていたりとか、
あとこの楽譜がどうも書いてあって、このメモを広げて、このメイドの女の子はね、ピアノでこの曲を弾いたりするシーンが出てきます。
なので、ここのどうやら塀の向こうにいる人たちが、こうやってね、メッセージというか、こういうふうにしてね、伝達しているようなことが行われてたっぽいんですよね。
誰かに拾ってもらうかもしれないと思って、こうやって自分たちの記録というんですかね、手紙というか、メッセージをしたためたものをこうやって、土砂の中に隠していて、塀のこちら側にいる人がそれを拾ってというね、そういうことをどうもしているということが示唆されているんですよね。
一方ですね、この夫側ですね、本部に移動している夫は、立派な建物の中にね、自分のオフィスももらって、ここで仕事してるんですけれど、大きな会議室でみんなでこのミーティングというか、会議しているシーンが出てきます。
これはね、ハンガリー地区の誰々とかね、どこどこ収容所の何々みたいな感じで、各エリアにね、散らばっている幹部の人たちが一同にここに集められて、それぞれの状況を報告する場であったりとか、あと今このリーダーの総統がこういうふうにお考えだと。
09:09
そろそろこのハンガリー作戦で、もうちょっとね、あの殲滅の数を増やしていって、何百万人を移送するので、これを1日何万人ずつ浄化していかなきゃいけないみたいなね、そういう話をしてるんですよね。
で、そこでですね、この主人公であるね、この夫、これはね、ルドルフっていう風に映画の中でね、名前が言われてるんですけれど、この人が自分のこの収容所ではこういう風にしてると。
で、これで、前もお話しした2台の焼却炉で24時間稼働できるようにして、無理なくね、総統が求められている数のね、処置がこのシステムであれば十分にできますというような報告をしてるんですよね。
なので、この軍隊の中でも、このルドルフさんね、主人公の人はかなりみんなから評価されている立場の高い人、上からもとても期待されている所長なんだっていうことがね、わかるんですよね、ここでね。
で、ここを見習って、最終的にはここが、だから全部いろんな処置を手早く効率よくやってくれるだろうという感じで、この会議は進んでるんですよね。で、こんなことで、このルドルフさんはすごく評価されて、地位も上がるということが約束されたんですよね。
この日はですね、この会議の後だと思うんですけれど、盛大なパーティーが行われるんですよね。で、すごく立派なね、天井の高いね、すごい立派な建物の中でね、すごいたくさんの人たちが集まってパーティーしてて、ここのいろんなね、幹部、軍人たちの奥さんもね、みんな交えてですね、みんなね、もちろん軍人たちは軍服を着てて、
奥さんたちは華やかにドレスアップして、立派なパーティーが催されてるんですね。で、シャンパン飲んだりとかね、してて、で、もちろんここにこのお父さんのね、ルドルフもここにいて、期待してるよとかね、よくやったねとかね、言われながらいて、
で、まあ、まあそれで、ひとしきりね、観覧した後、ちょっとね、一人でトントントンと階段登っていって、このね、広い広間みたいなね、ところでみんな集まってるんですけれど、これをね、2階の吹き抜けの、なんかね、さじきみたいになってるところがあって、ここからね、この1階の広間を見下ろせる、ちょっと出っ張ったところがあるんですよね。
で、ここに一人で行って、下を見下ろしてるシーンがあるんですよね。で、ちょっと上、天井も見て、で、あの下に集まってるの、パーティーにね、来ている人たちをずっと見下ろして、ここはね、本当にね、あの、なんていうかね、達成感のあるね、満足げな表情で、あの、よかったっていう顔してるんですよね。
12:16
このルドロフさんはね、自分の計画が採用された、で、まあ、昇格もした、よかったっていう感じなんですけれど、ちょっとね、この建物の中で、この天井とね、下のこの集まってる人たちを見下ろしてるシーンはね、ちょっと意味深なんですよね。
もう、真上からね、カメラがね、このルドロフさんの視点よりも、真上からカメラが、あの、高い位置からね、この、あの、見下ろすような形で、あの、パーティーの人、あの、人たちの、あの、頭上からね、映してるシーンが出てくるんですよね。
なんかね、気持ち悪いんですよね。で、ここでパッとね、この画面と被るようにして、あの、会話がね、あの、このルドロフさんが奥さんと長距離電話で喋ってる、この会話が被さってくるんですね。
つまり、まあ、このパーティーが終わった後、あの、ルドロフさんは、この奥さんに、まあ、この、良い報告をね、するために電話してるわけですよね。
で、ここで、あの、いや、で、パーティーどうだったの?盛大だった?とか、誰さん来てた?とかね、そういう話をしてて、うん。で、まあ、おかげでね、あの、僕のこの作戦がね、あの、あの、無事に、あの、あの、採用されることになったよ、とかね。
で、僕はもうこれで、あの、位が上がったよ、とかね。で、まあ、ところでそのパーティーは、あの、どうなの?とか言ったら、まあ、すごく良くて、で、今この建物のね、あの、見てたんだけど、これがね、ガス室に見えるんだよね、って言ったんですよね。
うん、このパーティー会場がね。で、ちょっとここで何人殺せるかな?っていうことをね、そればっかり考えてたっていうことをね、すごいね、満ち足りた表情で、あの、ほんと無邪気に話してるんですよね。
うん、で、ちょっとね、この建物の中でやろうと思うと、天井が高すぎるから、そんなたくさん殺せないな、とかね、思ってたんだよね、なんて言って、いう話をしてるんですよ。
うん、で、もう奥さんの方はですね、もう夜中にね、この電話を受けてて、はいはい、分かった分かった、また今度じゃあ帰ってからゆっくり聞くわ、みたいな感じでね、電話はもう、あの、それでまっさり切るんですよね。
で、電話を切った後、このルドロフさんは、まあこの自分のね、あの、執務室から出てですね、廊下に出て、で、まあ、あの階段を降りて、あの、まあ帰ろうとしてるんですよね。
そしたらね、突然なんかね、えずいて、ウエッて吐くんですよ。うん、で、なんかね、あ、酔っ払ってんのかな?っていうね、で、まあ、そこからまた、あの、気を取り直してまた降りていこうとすると、また2度目のね、応答シーンがあるんですね。
あの、ウエッて吐いて、で、ここでね、カメラはね、ググググッとちょっとね、廊下の、あの、なんか橋あたりから撮影してるようなアングルになってですね、で、ここで、このルドロフさんはね、廊下のね、えっと、左右をね、パッパッとね、見て、誰もいないね、暗い廊下を見渡してるんですよね。
15:05
で、この際に、私たちね、この映画を見てる観客とも、このルドロフさん、目が合うんですよ。そしたらね、ここでパッとね、あの、シーンが変わって、いきなりね、えっと、なんかね、館内をね、掃除している人たちが映るんですよね。
で、これがどう見てもね、あの、こう、なんていうかな、この焼却炉があるくらいね、天井の低い室内を、あの、あの、掃除してるんですよね、何人もの人がね。で、どうやらこれはもう洋服とかもうガラッと変わって、現代なんですよね、これはね。
で、現代の、あの、場所で、で、どうやらこれは歴史博物館のような場所で、あの、みんながね、この開演前に掃除して、あの、準備してるんですよね、開演準備ね。で、ガラス窓拭いたりとかね。で、展示物の、あの、ところのね、あの、廊下をね、掃除機かけたりしてるシーンになるんですよ。
で、この展示物見てみるとね、この廊下の左右には、ざーっとね、写真が飾ってあるんですね。で、あとこのショーウィンドウの中には、もう渦高くね、わーっとね、あの、山盛りの、あの、鞄とか、あとこの、いろいろね、あの、持ち物ね、あの、衣類とか、あとこの、えっとね、島の、縦島の、あの、根巻きのようなね、衣類がかけてあったりとか、
こういう展示物が飾られているウィンドウ類が映るんですよ。で、ここはもう淡々とでも、ここを掃除している人たちの、あの、風景としてこれが出てくるんですよね。うん。だからこれは、えっと、つまり一瞬だけこのシーンで、現代のアウシュビッツ収容所が映ってるんですよ。
で、このシーンがしばらく続いた後、またパッと、あの、廊下に佇むルドルフさんのシーンに戻ってきて、暗いね、誰もいない廊下に、このルドルフさんがね、一人佇んでいて、あの、ま、こちらを見ているね、あの、観客の私たちと目が合っている状態のシーンに戻ってきて、ここでバンと、どん転するんですよね、映画がね。
で、もう、真っ暗闇になって、もうね、ここでね、ちょっともう思い出すのもゾッとするような、人の悲鳴に聞こえるような音楽、わーっていうね、あの、大勢の人の悲鳴のようなね、あの、ハーモニーが流れて、ここで映画が終わるというね、まあ壮絶な終わり方するんですよね。
ここまでね、お聞きいただいて、皆さんね、あの、ほとんどの方は、これがアウシュビッツ収容所の話であるってことはね、分かって聞いてくださっていたと思うんですけれども、ま、ここの、あの、実際にいた、あの、署長の話をね、ま、ほぼ忠実に描いた、あの、お話を映画化してるんですよね。
18:00
で、これは怖いのはですね、あの、やっぱり本当に普通の、あの、誰でも、あの、私たちとほとんど変わらない人間なんですよ。ほとんどというか全く変わらない。私たちもこの場所、あの、この時代に同じ状況にいれば、同じことをしたと思うんですよね。そこがすごく怖いんですよね。
あの、ま、単にこのルドロフさんはですね、あの、トップのね、上司から求められていることを忠実にやったに過ぎないんですよね。これをちょっとうまくやりすぎて、で、ま、歴史の審判が下るっていうことをね、案に、ま、最後のシーンは示しているわけですよね。自分がとんでもない提案をして、で、これがま、あの、ま、軍に採用されたことによって、ここからね、さらにたくさんのユダヤ人を殺すことを可能にして、
しまったということで、この人はもう歴史に完全に名前を残してしまったんですけれど、この人はね、本当にただの普通の、あの、そこらにいる平凡な人なわけですよね。だからめちゃめちゃ善人でもないですけれど、だからといってすごい悪人でもない。
普通の平凡な人、この奥さんもそうです。あの厚かましいおばさんですけれど、どこにでもいる普通の人なわけですよね。で、こういう人たちがこういうとんでもない歴史の、あの、恐ろしいね、あの、事態に、ま、加担してしまったという話を、ま、こういう形で一切残酷シーンを見せないで、これだけ怖い映画に、あの、していると、うん、いうことがね、すごいなと思ったんですよね。
そしてこれはね、やっぱり、あの、どこででも見れると思います。これは、ま、これ、映画館で上映が終わればですね、あの、配信とかね、あの、どういった形ででも見れるんですけれど、この映画こそね、やっぱり映画館で見る意味があるし、作り手もね、それを完全に意識していると思うんですよね。
まず冒頭の、あの、長々とね、こちらが不安になるぐらい長く続く暗闇、そしてあの恐怖のなんかこう、みんなのね、このうめき声というか叫び声みたいな変な音楽ね。で、この終わりもそうですよね。そして時々出てくるこの、あの、赤い画面とかね、あの、お花をね、ずっとアップで映したりとかっていうね、妙な、あの、シークエンスが時々起こるんですけど、これは全てね、やっぱりこの暗闇の中で、
あの、閉じ込められてガス室で、ガスでね、殺される寸前を味わわされているようなね、追体験をさせられるんですよね。うん、それと、まあこの、アウシュビッツにね、あの、運ばれる時のこの鉄道は、誰も座ることもね、許されないぐらい、もうギュウギュウ詰めのね、だから今東京のね、あの満員電車がありますけど、あの状態で何時間も、えっと、かけてですね、このポーランドのアウシュビッツ収容所まで運ばれています。
ここで気絶して倒れたら、みんなに踏みつぶされて、あの、死んでしまうというぐらい過酷な状態で運び込まれてくるという状況とかね、そういったことも全部ね、この映画館の中にね、閉じ込められて、もう暗闇の中で放置されることによって、なんかね、味合わされるんですよね。
21:11
だからね、本当に残酷なシーンは一つも出てこないんですけれど、これだけね、あの怖い。そしてまあ人間のこの、この加害者側のね、このファミリーの無邪気にね、日常生活を送っている風景、何気なくこの綺麗な川で釣りをしているシーン、ピクニックしているシーン、この奥さんがね、やたらめったらインテリアにこだわってね、綺麗にあの部屋を片付けたりね、失礼したり、庭のね、草木を手入れしている。
これがすべてね、もうこの疑問というかね、この人間の営みのおぞましさみたいなものをね、やっぱりちょっと痛感させられるというか、いたたまれなくなるようなね、そういう一本でしたね。
はい、まだね、ちょっと劇場でしばらくやっていると思うので、見る機会がある方はね、ぜひ劇場でね、この映画を体験してほしいなと思います。
はい、あの長くなりましたけれど、お付き合いいただいてありがとうございました。これで終わります。ごきげんよう。