文化の違いを考える
いちです。おはようございます。
今回のエピソードでは、地球外哲学者についてお届けします。
このポッドキャストは、僕がメールで毎週お送りしているニュースレター、
STEAMニュースの音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、Steamboat乗組員のご協力でお送りしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2024年8月18日に収録しています。
このエピソードでは、STEAMニュース第187号から、地球外哲学者という話題についてお届けしていきます。
本題に入る前に、文化の違いについて少しお話をしておきたいなと思います。
文化の違いといっても、例えば日本とアメリカ合衆国、日本と中国、海を越えての違いではなく、
もっと近い距離、例えば京都と大阪の違いについてお話をしてみたいと思います。
例えば、東京から見ると、京都と大阪というのは同じ上方になるわけですが、
僕自身は大阪出身で、京都で長くNPO活動をしていたので、両方の文化に触れているのですが、
これは真逆といってもいいほど異なる文化を持っているのではないかと思います。
どっちが良い悪いというわけではないのですが、良い悪いと言うと大阪の方が悪いになるのかもしれないのですが、
とにかく真逆の文化を持っています。
近いのにというよりも、近いからこそということなんじゃないでしょうかね。
特に近くだからこそ意識して違いを際立たせるという側面もあるのかもしれないです。
それにアジアでもヨーロッパでも、例えばフランスとドイツとか、日本と韓国とか、
お互いライバル同士というか、時に悪口を言い合う中ではあるので、
隣国同士というのは違いを強調し合うものかもしれないです。
それの超ローカル版というのが、京都と大阪の関係になるのかもしれません。
学問の世界にも似たような構造があります。
例えば、僕たちが専門にしている計算機科学、コンピュータサイエンスの、
これも大陸というふうに呼んでしまうのははばかられるのですが、
計算機科学というフィールドでも、通信、コミュニケーションというのと、ネットワーク、
これ日本語にすると、網というのですが、ネットワークの方が通りがいいので、ネットワークで通しますね。
通信とネットワーク、これ違う国なんですね。
もちろん遠くから見たら、これはお互い遠隔地に情報やり取りしているから、
同じ分類に見えるんですけれども、実際には通信とネットワークというのは違う国です。
この通信の国とネットワークの国というのが、本当に真逆の文化を持っているんですね。
よく例えられるのが海軍と海賊の違い。
どちらも海に出かけていくんだけれども、通信とネットワークというのは海軍と海賊ぐらい。
どっちがどっちかというと、通信が海軍でネットワークが海賊なんじゃないかなと僕は思うんですが、
そのぐらい違うわけですね。
科学やエンジニアリングの世界にも文化の違いというのが色濃くあるということをお話ししたかったんですが、
地球外生命の探求
なぜこういう文化の違いの話をしているかというと、こちらの書籍を紹介したかったんですよ。
これは最近読んだ書籍で、地球外生命、我々は孤独かという書籍ね。
こちらは二人の科学者によって執筆されています。
一人が生物学者の長沼たけし、そしてもう一人が天文学者の井田茂。
生物学と天文学、まるで文化の違う二つの学問分野を背負った科学者たちが、
冒頭からこの文化の違いを超えて執筆をされているんですけれども、そこが興味深いんですよ。
地球外生命体について天文学者はこう考えるそうです。
地球で生命が生まれたのだから、宇宙にはどこにでも生命が住んでいるはず。
こちらは天文学ファンなら納得のいく考え方だと思います。
ガリレオ・ガリレイが発見したように、地球は月や木星と同格の天体です。
地球だけが特別なわけではありません。
天文学者カール・セイガンが指摘している通り、
僕たち人間を構成している分子の元、こちらは星屑です。
星屑はこの宇宙にあまねく存在しますから、宇宙のどこかで生命が誕生していても不思議ではないと、
多くの天文学者、天文学ファンはこう考えます。
一方、生物学者は天文学者にどこを探したっているわけがないと言います。
天文学者は惑星に海さえあれば、自動的に生命が生まれ進化すると考えがちですが、
そんな甘い話ではないと生物学者は主張するんです。
そして、生命が生まれるための条件を具体的に一つ一つ挙げていきます。
それらは僕がずっと疑問に思っていたことへの答えにもなっていました。
そこで僕の質問とこの書籍による回答をQ&Aのつもりで読み上げていきますね。
質問1、生命が生まれるために液体は必要ですか?
回答1、生命活動のためには細胞のような複雑な構造が必要なため、おそらく液体は必要でしょう。
では2番目の質問に行きます。質問2、その液体は水である必要がありますか?
回答2、水以外の液体として考えられるのは液体メタンや液体エタンなどの油です。
しかし油の中にはタンパク質やDNAなど、僕たちの知る生命の構成要素が溶け込めません。
もちろんタンパク質やDNAが生命のすべてではありませんが、
油が水ほど多様な物質を溶かせないことは、水以外の液体の中で生命が誕生するという可能性を狭めています。
なるほど。そして最後3番目の質問に行ってみたいと思います。質問3、水の海さえあれば生命は生まれましたか?
回答3、陸生生物のことは抜きにしても、海中にミネラルが溶け出すためには陸地と雨が必要です。
水惑星の知的生命体
そして海中のミネラルがなければ、生命は誕生しなかったと考えられます。
3つの質問をまとめてみると、生命が生まれるために液体は必要だろうと、細胞のような複雑な構造を持つためには、
個体だけでもダメだし、機体だけでもダメだし、やはり液体が必要だろうということは、科学者の間でコンセンサスが取れているということですね。
その液体が水である必要があるかというのが2番目の質問でした。
水以外の液体として、単純な水はH2Oですね。酸素と水素からできていますが、より水と同じくらい単純な分子と考えると、
液体メタンですね。CH4、炭素と水素、あるいは液体エタンですね。これも炭素が2個になったバージョンですが、
構成要素が単純なので、比較的いろんな惑星に生じやすいだろうとは考えられているのですが、
このメタンとかエタンというのは、地球上で言えば油に分類される物質ですね。
油というのは、水ほど多様な物質を溶かすことができないので、例えば地球上で言えばタンパク質とかDNAを溶かすことができない。
もちろん生命イコールタンパク質ではないし、生命イコールDNAではないのですが、それに類するものも溶けないのではないかということが書かれています。
水っていろんな意味で奇跡の液体なんですよね。
最後の質問、3番目の質問は、水の海さえあれば生命は生まれましたかということだったのですが、
液体に覆われた惑星というのは、もちろん想像はできるのですが、地球みたいに一部陸地があって、
雨が降るような構造でないと、海の中にミネラルが溶け出さないのではないか、鉱物が溶け出さないのではないかということです。
地球全体が、地球ではない、惑星全体が海で覆われていたとすると、海底からミネラルが溶け出さないのではないか、十分な量が溶け出さないのではないかということです。
もちろん人間というのもミネラル構成要素に必要ですから、例えば骨を作るにはカルシウムが必要ですから、
そういったものは陸地から供給されないといけないんだ。
陸地に雨が降らないと海に溶けないんだというようなことが考察されていました。
こういうふうに言われると、地球のような惑星がないと生命というのはなかなか生まれないんじゃないかということもある程度説得力を持って言われているような気がするわけです。
液体がある惑星というのはもちろんあるとは思うんですが、それが水であり、なおかつ陸地と海と両方を持っていて、雨が降る惑星でないといけないとなると、そんなに高い確率であるわけではないんじゃないかということですね。
最近の観測結果から太陽系以外の惑星、こちらはたくさん見つかっています。
中には液体の水がありそうな惑星もあります。
しかしその惑星が地球と同じように陸地を持つ稼働家はわかっていません。
地球は水の量が絶妙で、地球全体を覆うには少し足りないぐらいの量なんですね。
一方、これまで発見された多くの水の惑星は、惑星全体が水で覆われているだろう、あるいは氷で覆われているだろうというふうに想像されています。
もし惑星全体を覆うほどの水があったとしたら、そしてその水、惑星で知的生命体が生まれたらどんなことを考えているのか。
我々は孤独かという、先ほどご紹介した書籍の著者たちはこんなふうに考えています。
これは完全に惑星全体が水で覆われていて、その惑星で知的生命体が生まれたら、
さっきは陸地がないと生命が生まれないんじゃないかというお話をしていたのですが、
もし陸地がない水の惑星で知的生命体が生まれたらどんなふうになっただろうか。
水中では光が短距離しか進みません。
ということは、つまり水中はほとんど真っ暗なわけですね。
水中の知的生命体が、もし僕たちの目のような機関を持っていたとしても、
星や太陽を見上げることはないでしょう。水中からは見えないのですから。
もし、水惑星の知的生命体が海の上に浮かぶことができたとしたら、
水惑星の知的生命体
星や太陽の存在に気づくかもしれません。
しかし、水惑星が存在するような機位であるならば、
惑星の時点と光点が同期している可能性が高いのです。
つまり太陽はいつも同じ位置に見えているのです。
ということは、水惑星の知的生命体は、天文学、そして自然科学を発達させるチャンスが
あまりないということなんですね。
一方で、視覚をあまり発達させる必要のない水惑星の知的生命体は、
ひょっとしたら音波、そして電波などを駆使して、
個体同士で一種のブロードバンド接続ができるように進化しているかもしれません。
我々は孤独化の著者たちは、そのような可能性を踏まえて、
水惑星の知的生命体たちは、高度な話し合いを通して、
哲学を発展させるのではないかと議論を結んでいます。
地球外生命体と哲学
地球の哲学者に聞いてみたら、ぜひ宇宙の哲学者に会ってみたいというふうに言うんでしょうか。
それとも、そんな者たちはいるわけがないと言うんでしょうか。
ここはぜひ地球の哲学者に聞いてみたいなと思います。
地球外生命体はどのようなものかという問いは、
直ちに生命とは何かという問いに置き換わります。
生物学者、これは本職の生物学者はゾッとするとは思うんですが、
僕たち計算機科学者、コンピューターサイエンティストたちは、
コンピュータービルスだって生命にカウントすることがあるんです。
そのようなあり得たかもしれない生命のことを、
可能な生命、life as it could beというふうに、計算機科学者クリストファー・ラングトンが読んでいます。
これは、ラングトン以外でもlife as it could beは言うかなと思います。
学問はなぜ細分化していくんだろうというふうに、僕はよく疑問に思うんですが、
そこには学者同士の考え方の違い、文化の違いの影響もあるかもしれません。
地球外哲学者たちもひょっとしたら、地球上の哲学者と同じように、
実存主義とか構造主義とかに枝分かれしているかもしれません。
というわけで、このエピソードでは、スティームニュース第187号から地球外哲学者の話題をお届けしました。
メールでお送りしているニュースデータ、スティームニュースは年に2回お休みをいただいてまして、
年50回お送りしているんですが、その1回目のお休み、正確には2回目ですね。
年末休まないので、2月の旧正月と8月のお盆お休みをしているので、
今回は年2回目の、今年2回目のお休みだったんですが、
このポッドキャストを収録している週はお休みをいただいていました。
世間的にはね、お盆休みで僕が勤務する大学も、お盆休み、夏季特別休暇に入っていたんですが、
実はですね、このポッドキャスト収録している2024年夏というのは、
僕たち9月からエジプトの遺跡調査に入るため、準備に充てていました。
というわけでですね、暑い中、あれを買ったり、これを買ったりと走り回っていまして、
結構ね、ふらふら来ています。
行く前にね、中傷で倒れるんじゃないかというぐらいになっていて、日焼けもしちゃっているので、
皆様ね、ぜひまた暑い日々が続きますが、お気をつけいただければなと思います。
エジプト調査の開始に合わせて、9月1日からもう1本ニュースレターを発行しようと思っています。
こちらはですね、短文のニュースレターで毎日発行しようかなと思っています。
もちろん無料でお届けをします。
概要欄の方にリンクを貼っておきますので、よかったらメールアドレスを登録していただけると、
このリアルタイムでエジプト発掘調査がどんなふうに進むのかってね、
新しい現場なので我々もね、どんなふうに進むのかとかも全く分かってないんですが、
それも含めて我々の現場のドキドキも伝わるといいなと思ってお届けしようと思っています。
一応この春に、2024年の3月に現場下見をしていて、予備的な測量調査もしているんですが、
それからカメラ画像から予備的に3Dの形状復元とかもしているんですが、
まだ現地、砂に埋もれていますし、まだゴミとかも落ちていますし、近隣住民が自由に出入りできるような、
遺跡なんですけれどもね、環境になっているので、そういった整備というのをしつつ、
発掘もしつつ、多分測量とそれから3D形状計測というものもやっていこうかなと思っています。
現場はですね、エジプトのアビドスという町の新規のピラミッドというね、
これ多分まだ日本語ではWikipediaとかもない、少しマニアックなピラミッドになるんですが、
非常に古いピラミッドになります。
おそらくその工夫王のおじいさんが建てさせたピラミッドになるんじゃないか。
誰が埋葬されているのか、そもそも誰も埋葬されていないのか、そういったこともね、謎のピラミッドなんですが、
またそういった情報も、現地の雑談なんかも含めてアップデートしていければなと思いますので、どうぞご期待ください。
もちろんSteamニュースの方もご登録いただければ嬉しいです。
音声もできるだけアップデートしようと思っているんですが、ちょっとどうなるかわからないです。
頑張ります。
というわけで、今回も最後まで聞いてくださってありがとうございました。
イチでした。
ご視聴ありがとうございました。