1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #440 借用語に規則はあるのか..
2022-05-07 10:14

#440 借用語に規則はあるのか? from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。
空を飛びます。海潮6度数です。
お便りいただいてますんで、そちら、お答えしていこうと思います。
こちら、マクタブさんからいただきました。
前日、インド人と話していたら、グラスのことをギラス。
自転車をサイキルと言っていました。
どちらも日本語なら、ウダ音になるところ、イダ音になっています。
そこで一つ質問があります。
他の言語の単語に、発音の都合上で母音を入れるとき、どの母音にするか、ルールや傾向はあるのでしょうか。
もっと一般化すれば、借用語の発音はどうやって決まるのでしょうか。
ちなみに、ギラスとサイキルと書きましたが、最後はシンで終わっていました。
ということは、ギラスとかサイキルみたいな発音ということですね。
マクタブさん、どうもお便りありがとうございます。
なんか舌が回ってないな。
というわけで、今回は借用ということをテーマにしていこうと思います。
日本語の中だけだと、外来語という言い方をするんですけど、
言語学一般だと、借用語という言い方をして、英語でもボローイングとかローンワードとかね、そういう言い方をします。
マクタブさんのおっしゃっているように、発音の都合上で母音をうんうんというのは、
日本語を考えると非常にわかりやすいですよね。
日本語っていうのは、専門的には開音節言語といって、
基本的にシンと母音のペアで、シンでその音節が終わることがないんですよね。
なので、英語をはじめとする借用語には、無理やりにでも母音をつけなきゃいけません。
日本語の場合は、無断になることが確かに多いですね。
例えばブックとかね、本っていうブックっていうのは、ブークっていうシンで終わってるわけですけど、本来的には。
日本語の発音の都合上、母音をつけないとね、いけないということで、日本語の場合は無断音になることが多いですが、
まあでもね、日本語でも異断音になることは時々あって、数は少ないと思うんですけど、
例えばストライクっていう単語がありますよね。
これは無断で終わってますけど、ストライキっていう風に言うこともあるので、
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どちらも元の単語はストライクっていう単語で、
これもやっぱりクっていうシンで終わってるわけですけど、
日本語では別個の単語になってて、それぞれ無断と異断という別個の音になっています。
ただ数の上で言えば、日本語の場合は圧倒的に無断で取ることっていうかね、
無断に置き換えることの方が多いんじゃないかと思います。
こういう風に、釈用語にその言語の発音の都合上、何か母音をつけなきゃいけない場合、
つまり日本語の場合だと音節がシーンで終わることができないとか、
マクタブーさんのお話になったインド人の方だと、音節自体はシーンで終わることができるみたいですけど、
シーン連続を許さないのでギラスとかザイキューみたいな言い方になっていると、
いずれにせよ母音をつけなきゃいけない場合、どういった母音が選ばれるかというと、
おそらくセマ母音が選ばれると思います。
実際今見ているイとかウっていう母音がセマ母音なんですね。
これはあまり口を開かない母音ということができて、母音の中でも、母音は母音なんですけど、母音の中でもあまり母音っぽくないというか、
シーンにちょっと連続しているような母音ということができると思います。
セマ母音の反対はヒロ母音って言って、アーっていう母音が日本語だとヒロ母音になっています。
でこのアーっていう母音と比べるとイとかウっていう母音はかなりシーンと連続していて、
特にハン母音とか接近音って言われるYとかWで書くようなシーンとかなり連続してるんですよね。
イとかウっていうようなシーンとも母音とも取れるような音です。
でこれがさらに口の狭めが狭くなるとヒとかクっていうような、
専門的には口交外摩擦音とか軟交外摩擦音っていう摩擦音に近づいていきます。
まあこういうふうに考えると、イとかウっていうセマ母音っていうのはシーンにかなり連続していて、
そういった意味で母音の中でもあまり母音らしくないということができると思います。
そもそも母音っていうのは口の中あるいはどっかしらで肺からの気流の邪魔をしない音っていうふうに定義されるんですね。
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シーンっていうのは何か邪魔をします。破裂音だったらパーみたいに一回唇を閉じたりね。
あるいは摩擦音っていうのも邪魔をしてますよね。スっていうふうに狭めることによって摩擦という音を出しています。
そういうものがないっていうのが母音なんですけど、さっき言ったようにイとかウっていうセマ母音はかなり半母音とか摩擦音に連続しているという点で、
シーンに近いので、まあそういったものが釈用の際には音として当てられると考えていいんじゃないかなと思います。
日本語の中だけで見るとイとかウっていう母音はよく脱落するんですよね。
デスとかマスっていうような場合、このスっていう発音はウっていう母音がつかないんじゃないかなと思います。
これは共通語、いわゆる共通語の話ですけど、こういう語末で母音の無声化と言われる現象が起こって母音が聞こえなくなったりとか、
記者とかね、こういった単語でもイっていう母音が無声化したりします。
そういった意味でもイとかウっていう母音はある意味で目立たない母音っていうふうに言うことができるかもしれません。
ではなぜマクタブさんのお話になったインドの方はイっていう母音を当てて、日本語だとウっていう母音が当てられてるかっていうことなんですけど、
おそらく世界的に見たらイっていう母音が当てられることの方が多いと思います。
日本語みたいにウっていう音を当てる方が稀じゃないかなと思います。
というのが日本語の中だとウっていう母音は目立たない母音なんですけど、
世界の言語を見回したときに日本語のウと他の言語のウっていうのは結構質が違って、
日本語のウっていうのは唇を無理やり丸めないんですよね。
これもいわゆる共通語の話ですけど、ウっていうふうに唇はリラックスした状態で発音されるんですが、
世界のあらゆる言語でウっていう母音があるとしたら、それは唇を丸めるウっていうような発音なんですよね。
なのでウっていう母音はある意味で目立つ母音なので、そういった母音はあまり釈用に当てられないんじゃないかなと思います。
ただこのウっていうのが目立たないっていうのはあくまで現代日本語の共通語の話で、
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昔の日本語は必ずしもそうじゃなかったんじゃないかなと思います。
例えば現代日本語でクリスチャンっていうのはクリスっていうウっていう母音を当ててますよね。
ただこれがもっと時代を遡ればキリシタンっていう言い方をしてました。
つまりイっていう母音が当てられていたんですね。
なので当時の日本語では目立たない母音はイっていう母音で、
それが他の言語と同じように釈用に当てられていたということです。
話をまとめるとこういう釈用に当てられる母音っていうのはイとかウっていう狭母音が多くて、
日本語の場合はウっていうのはあまり目立つ母音ではないので、
こっちが使われているとそういったお話でございました。
というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回お会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。
またねー。
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