1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-02-22 08:54

#419 『声調』はこうして生まれる! from Radiotalk

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参考文献
Michaud, Alexis, and Bonny Sands. "Tonogenesis." Oxford Research Encyclopedia of Linguistics. 27 Aug. 2020; Accessed 19 Feb. 2022. https://oxfordre.com/linguistics/view/10.1093/acrefore/9780199384655.001.0001/acrefore-9780199384655-e-748.
Kingston, John. 2011. Tonogenesis. Companion to Phonology. 4. 2304-2333.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました。志賀十五の壺。おはようございます。ルマンド男子です。
お便りをいただいているので、そちらをお読みしたいと思います。
こちら、アレンデールミン&エンカントさんからいただきました。
こんにちは。初めてお便りをします。
いきなりですが、志賀さんはどのくらい中国語をご存知でしょうか?
中国語を学ぶと不思議に思うことがあります。
新代以前の中国語は、ピン音や中音符号などの便利な発音記号を持たなかったと思うのですが、
人々はどのように発音を学んでいたと思いますか?
あるいはご存知でしたらお答えいただけると幸いです。
もう一つ、より言語学的なことだと思うのですが、
中国語やタイ語などは昔は成長を持っていなかったのに、後になって持つようになったと考えます。
これが事実とすると、言語学者はどのようにしてそれを突き止めるのでしょうか?とても気になります。
素晴らしい配信ありがとうございます。
雪だるまの絵文字ということで、アレンデールミンさんどうもありがとうございます。
この後半の質問は非常に面白くて、
おっしゃる通り、成長言語の東アジアから東南アジアにかけての様々な言語で見られる成長というのは、
後から発生したものと考えられているんですね。
そちらはちょっと後回しにするとして、
昔は確かにピンとかはなかったと思います。
人々はどのように発音を学んだという、
この人々っていうのが誰を突くのかによるんですけど、母語話者っていうことですかね。
母語話者にとっては母語は母語なので、
ピンとか発音記号とかなくても成長っていうのは平気で言語として獲得していたと思います。
というかむしろピンとか文字っていうのがあるっていうことの方が稀というか、
世界の言語を見回すと中国語以外にも成長を持っている言語ってたくさんあるんですね。
そういった言語の中には無文字言語っていって書き言葉を持たない言語もたくさんあるんですね。
そういう人たちも母語であったら別に成長だろうがなんだろうが獲得しています。
日本語で考えてみるとよくわかって、
日本語には成長ではないですけど、アクセントと言われるシステムがあります。
例えば橋と橋っていうのがあって、橋っていうのは低い高いっていう音のパターンになってるんですね。
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これは川にかかってるブリッジの橋と端っこっていう意味の橋っていう意味があって、
橋っていう風に高低になると食事の時に使うあれっていう意味になりますよね。
さらに助詞をつけた時にブリッジの方だと橋がっていう風に低高低というパターンになって、
端っこだと橋がっていう風に低高高っていうパターンになるんですね。
こういうことは母語話者は知りません。
多分皆さん今聞いて初めて知ったっていう方もいると思います。
日本語はピンインみたいにこういうアクセントの工程っていうのを書き表す手段を持ってませんけど、
母語話者はアクセントを巧みに使い分けて橋なのか橋なのかあるいは雨なのか雨なのかっていうのを区別できてますよね。
こういうことを考えるとピンインがあるかどうかとか発音記号があるかどうかっていうのは母語の習得とは何の関係もないと思います。
ただ第2言語としてというか外国語として学ぶ際には何かしら工夫は必要だと思うんですけど、少なくとも母語に関してはそういったことが言えるかなと思います。
2つ目のご質問の成長の発生については、さっきも言ったようにもともと成長がなかったところに成長ができたんですね。
成長っていうものをご存知でない方のために今更ですけど軽く言っとくと、中国語だと4つ成長があると言われてて、
1世がma、2世がma、3世がma、4世がmaっていうふうにこう上がったり下がったりするようなね、そういったシステムのことを成長と言います。
こういう成長の区別はもともと詩音の区別だったという説があるんですね。
もともと詩音で区別していたのに、その詩音同士の区別がなくなってしまったり、あるいは詩音そのものが脱落してしまったりすると、その単語の区別を保つために成長が生まれたという説なんですね。
このことがよくわかっているのはベトナム語で、ベトナム語は中国語より多い6つ、6個の成長を持っているんですね。
現代ベトナム語はそうなんですけど、このベトナム語の6個の成長は3つ3つの2つのタイプに分けることができて、
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それぞれもともとは無声音と有声音の区別であったと、日本語でいう声音と濁音の区別だったと考えられているんですね。
その無声音と有声音の区別がなくなってしまった結果、成長が生まれたと言われています。
音声学的に有声音、つまり濁音ですね。ダディドゥデドーとかガギグゲゴーみたいな発音の方が、それに続く母音が低く発音される傾向にあるんですね。
そうなると、もともと死音で区別していたところが、さっきも言ったようにその区別がなくなって、その有声音が後ろの母音に与えていった特徴だけが残る結果となって、それが成長につながっているということなんですね。
なんでそんなことがわかるかというと、ベトナム語に見られる古代中国語からの釈養からそういったことがわかるそうです。
ベトナム語以外でも、こういう死音の区別がなくなって成長が発生したっていう例はたくさんあるみたいです。
まあ簡単にまとめるとですね、成長っていうのは母音の音の区別なわけですけど、それはもともと死音が区別していたものなんですね。
その区別がなくなってしまった結果、ある意味その代償として成長が生まれたということです。
これってなかなか言語の面白いところだと思うんですよね。
何か区別がなくなってしまうと、それを長尻合わせるようにね、別のところで区別を保つというのは、なんというかよくできてるなと思います。
もし日本語の声音と濁音の区別がなくなったら、成長みたいにね、何かしらで区別を保とうとするんだと思います。
というわけで、今回のトークは成長の発生のお話で、もっと大きな視点で言えば言語の長尻合わせみたいなお話でした。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。よろしかったら番組フォローお願いいたします。
それではまた次回のトークでお会いいたしましょう。お相手はシガ15でした。
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