1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #661 中国語のグリムの法則?..
2024-06-18 09:42

#661 中国語のグリムの法則?音読みの不思議 from Radiotalk

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サマリー

日本語の漢字の読み方には、音読みと訓読みがあります。音読みは、中国語の発音に即した読み方として存在しています。また、音読みには複数の読み方があり、その違いは日本語に入ってきた時期によるものです。

日本語の漢字の読み方
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。黒霧島です。
日本語の漢字には複数読み方がありますよね。音読みと訓読みとあって、音読みっていうのが元々の中国語の発音に遡れるというか、
そのままの発音ではないですけど、元の中国語の発音に即したような音で。
訓読みっていうのは、山と言葉を無理やり漢字に当てはめてるっていうかね、そういった読み方ですね。
例えば山っていうのは、あの漢字ですけど、音読みだったら山とか言うわけですよね。
その山っていうのは、中国語の発音符で、山っていうのは元からある山と言葉です。
さらに難しいというかややこしいのは、音読みにも複数読み方があるということですね。
これはね、相当めんどくさいことだと思います。我々母語話者にとってもめんどくさいですけど、
学習者にとってもなかなかキビー&シーみたいなね、とこはあるかなと思います。
例えば木というね漢字あります。この木というのは訓読みなわけですけど、
音読みだったらまず木っていうのと僕っていうのがありえますよね。
木と僕。2つ音読みがあります。
あるいは平という漢字がありますけど、この平っていうのが訓読みなわけですが、これも平等の平であるし、
平和の平であると平と平と2つ音読みがあります。さらに言うと音読みっていうのは別に2つに限らないので、
音読みだけでいくつも読み方があるっていう漢字も当然ございます。
こういうふうに複数音読みがある場合、それぞれの音読みに名前がちゃんとついております。
まあそれらの違いっていうのは、日本語に入ってきた時期の違いなんですよね。
一番古く入ってきた音読みを誤音、そのうちに入ってきたのを漢音、
一番最近というか新しめの音読みを当音と言います。僕はねこの3つが苦手なんですね。
何で苦手かっていうのも含めてお話ししていくと、まず誤音っていうのは時代で言うと中国の陸朝時代、
3世紀から6世紀ぐらいに入ってきた漢字音です。
これがまあ最も古い音読みだと考えられております。
次の漢音というのは6世紀から8世紀にかけて、
隋とか唐の時代ですね。建隋子とか建唐子とかで中国と交流があった時代の音読みです。
最後の唐音っていうのは、これは宗の時代なんですよね。
鎌倉時代に入ってきた音読みで、これのややこしいところが時代がずれてるんですよね。
今言ったように、宗の時代に入ってきた漢字音のことを唐音と呼んでいて、隋とか唐の時代の漢字音のことは漢音と言ってるので、
なんかずれちゃってるからややこしいんですけど、 まあそういったことになっております。
さっきの例で考えると、木っていう漢字だと木っていうのが古い音です。 つまり五音で木っていうのが漢音。
音読みの複数読み方とその違い
で平っていう字だと古い五音が平で、 新しめの漢音というのが平となります。
で鎌倉時代に入ってきた唐音っていうのは結構イレギュラーな漢字のもので、
和尚とかね。 千数とか万寿とか。
なんていうかね、その特定の語彙に限られているようなとこがあります。 というわけで今回は五音と漢音にちょっと絞って考えていこうと思います。
さて、五音と漢音で漢字の音読みがね変わっているということですが、
これは実際に中国大陸部の方で音変化があったということなんですよね。 でそれぞれの時代の音読みを
取り入れたので、 日本語は音読みが複数あるという状況になっております。
時代的にも陸朝時代から随当時代へと 隔たりがあるっていうか変わっているわけですけど、
地理的にも江南地域から江川地域へと文化の中心が移っているんですよね。
まあそういった中国本土の歴史的地理的変化っていうのが、 その名残みたいなものが日本語の音読みに残っているということなんですね。
例えば、まぁちょっと例が変わりますけど強いっていう字がありますよね。 であれは強引みたいに強という音読みと
強力みたいな強という音読みがあります。 でこれは強の方が五音、すなわち古い音で、
強の方が漢音で、まあそれよりは新しい音となっております。 これはどうなっているかというと、
五音と強と比べたときに、日本語風に考えると濁音と清音の対立ですよね。 もうちょっと別の言い方をすると、優清音と無清音の対立です。
すなわち、日本語にこの五音と強という二つの音読みがあるということは、 本来五音という発音だったものが強という発音に変わった、
つまり優清音が無清音になったということなんですね。 優清音が無清音になった、濁音が清音になったと考えていただいても、
ここではいいかなと思います。 で、先ほども挙げたキーの例で考えると、今度は黙と黙の対立なので、
五音の黙から漢音の黙、すなわち美音から優清破裂音への変化というのがあったということなんですね。
ただ、 美音が優清破裂音になっちゃったら、
もともとあった優清破裂音と被っちゃうじゃないかと思われるんですが、 さっき言ったようにもともとあった優清破裂音は無清破裂音になっているので、
つまり五音が強になるみたいにね。 なんていうか、それぞれが組織的に一個ずつずれているので、
体型としては重なり合うことなく維持できているんですね。
で、今お話しした こういった組織的な音変化っていうのは
英語でも起こっていたことなんですね。 まあそれがグリムの法則と言われるもので、
まあこれ関連エピソードがあるからそっちも合わせて聞いていただきたいんですけど、 非常によく似てると言えます。
さっき中国語で濁音が清音になったっていう言い方をしましたけど、 英語にも全く同じ濁音が清音になる、優清音が無清音になるっていう変化があって、
2っていう単語は、 まあもともとラテン語とかだとジュオっていう風にドゥという発音だったんですけど、
英語だとトゥっていう風に無清音、清音になっているんですよね。 で、もともとあった清音、無清破裂音は
3みたいにTHみたいなね、摩擦音に変化しています。 こういう風に組織的に
音の体系がこう一個ずつずれていくっていうのが中国語でも英語でもあって、 中国語の場合はその日本語の音読みというところにね、その歴史的な
名残みたいなものがあるということなんですね。 ぜひ関連エピソードも合わせて聞いていただけたらと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はシガ15でした。 またねー!
09:42

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