1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-09-10 10:00

#476 例えツッコミの言語学 from Radiotalk

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お笑いのエピソード
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主要参考文献
『レトリック感覚』 (佐藤信夫、講談社学術文庫)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
この番組は言語学の番組ということで、
過去に言語学とお笑いっていうのを絡めた話っていうのも何度かやってるんですよね。
で、今回もそういった類のものとなっております。
題して、例えツッコミの言語学っていうことで、
はい、やっていこうと思います。
まあ、例えツッコミっていうのはね、その名の通り何かに例えてツッコんでるわけですよね。
で、ただのツッコミ、なんでやねんとかね、なんでだよとか、こういったものより、
まあ、もう一つ入り組んでるというか、お笑いの種類が一個加わってるっていう感じですよね。
普通のツッコミだと、まあ、なんでだよ、これでひと笑いあるところに、
そこになんとかみたいだなとか、なんとかかよって、
何か例えを入れることで、その類似性というかね、その比喩の面白さっていうのがまた一個加わっていると、
まあ、そういったことですよね。
で、この例えツッコミに使われる手法として、大きく直由と引由というものがあると思います。
今言ったように、何々みたいだなとかね、
そういうふうに何々みたいだとか何々のようだ、こういうものが入っているものを直由というふうに言うんですね。
一応国語でも習うものじゃないかなと思います。
一方、何々みたいだとか何々のようだみたいなのがなくて、
単に何々かよっていうその単語だけを使うものを引由というふうに言うんですね。
で、直由引由それぞれカタカナでシミリとかメタファーということがあります。
例えば、めちゃくちゃ難しい、難しいっていうのは実現不可能な話に対して、
そんな無理だわっていうのがただのツッコミですけど、
新しい大陸見つけるぐらい難しいわとか言うと、これは直由ということになります。
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ぐらいっていうのを使っているということですね。
あるいは言ってることを全然やらないような、そういった状況に何でやらないんだって突っ込むのがただのツッコミですけど、
政治家かっていうふうに突っ込むと、これは引由、メタファーということになります。
この直由と引由、どちらにせよ、何か状況とか、何でもいいんですけど、
Xというものがあって、それに類似したYというものがあって、
そのYっていうのを用いて突っ込むのが例えツッコミっていうことですよね。
別に改めて言うまでもないかもしれませんが、数式的に表すとそういうことになります。
直由の方はYみたいだなっていう言い方になって、引由、メタファーの方だとYかというふうになります。
さっきの例だと、実現不可能っていうことを新大陸の発見に結びつけて、
言ってることをやらないっていうのを政治家に結びつけてっていうふうに、類似性があるわけですよね。
こういった比喩表現はそういう類似性に基づいているっていうのが原則として考えられるんですが、
こういう比喩表現の研究の第一人者の佐藤信夫っていう先生は、これを逆転させて、
比喩表現によって類似性が成立するっていうふうな言い方をしてるんですよね。
特に直由についてそういう言い方をしてるんですけど、僕は引由の方も同じことが言えるんじゃないかなと思います。
まあ程度の差はあると思うんですけど、その例えつっこみをすることで、その2つの類似性に初めて気づかされるとか、
あるいはずっと心の中でね、なんとなく思ってたものが初めてしっくりくるみたいなことがあると思うんですよね。
そういった意味では類似性を例えつっこみで表しているというよりは、佐藤先生の言うように、
例えつっこみによって類似性っていうのがある意味顕在化するっていうかね、
生み出されてるっていうような、そういう生産的な、創造的な営みみたいにね、かっこよく言うことができるかもしれません。
何々みたいだ、何々のようなっていうのを使う直由にしろ、そういうのを全く使わない引由にしろ、
こういった比喩表現っていうのは、当然例えつっこみだけに用いられる手法ではないですよね。
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文学作品であるとか、もっと日常的な表現で使ったりとかされるものです。
たまたま例えつっこみっていう形では笑いにつながってるわけですけど、
別に笑いにつながらなくてもね、そういう比喩表現っていうのは、
人間の表現において欠かせないものとなっているんじゃないかなと思います。
いずれにせよ例えつっこみっていうのは、何かと何か、XとYの類似性に気づかされて、
それに笑いが起こるような仕組みであるっていうことですね。
言語学では、言語学に限らず、もっと文学とかでもそうかもしれませんけど、
この比喩表現に直由と引由に加えて、間由と定由っていうものもあるんですね。
間由はメトニミ、定由はしねくどきっていう風にカタカナで言われることもあります。
間由の方は、何か隣接したものに例えるもので、
よく例に挙げられるのは赤ずきんちゃんですね。
あの女の子がかぶってる、隣接しているものを指して、女の子本体を指しているみたいなものです。
このメトニミっていうのは日常生活でめちゃくちゃ使っていて、
例えば新聞を読むとか言いますけど、本当は新聞の文字を読んでるとかね、
あるいは黒板を消すっていうのも、本当は黒板の文字を消しているわけですけど、
それぞれ土台となってるっていうかな、隣接している新聞と黒板っていうのを用いて表してますよね。
一方しねくどき、定由っていうのは、
全体概念で部分を表したり、部分概念で全体を表したりするようなものです。
ちょっと分かりづらいんですけど、
例えばお花見って言った場合、この花っていうのは桜しか指しません。
つまり、全体概念で部分を指しているということです。
逆もあって、お茶するって言った場合、このお茶っていうのは飲み物だったら別に何でもいいんですよね。
場合によっては軽食を含むこともあるかもしれません。
っていう風に、お茶っていう部分概念で飲み物という、あるいは飲食全体かもしれませんけど、
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全体というか上位概念を指しているということです。
こういう風に直由、因由、関由、定由っていう風に比喩表現はいろいろあるんですけど、
そういったものはお笑いのたとえつっこみとかね、あるいは文学とかに限定されたものではなくて、
我々の言語活動、日常生活にとって欠かせないもの、ありふれたものと言えるかもしれません。
というわけで今回は、一応比喩表現のお話っていうことでしたね。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はしがじゅうごでした。
またねー。
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