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始まりました、志賀十五の壺。 泣きながら切られます、馬触です。
今回は、名詞抱合というのをテーマに お話ししていこうと思います。
英語で言うと、このnon-incorporation、 単にインコーポレーション、抱合と言われることもあります。
この名詞抱合というのは、非常に興味深い現象なんですが、
日本語にはあまりないんですね。
過去に1回は取り上げたことがあると思います。
番組作りがどのコーナーみたいなエピソードだったと思いますが、
今日はね、歯磨きっていうのを1個例にしてね、 名詞抱合を説明していけたらいいなと思います。
名詞抱合というのは、 名詞が動詞に組み込まれるっていうような現象なんですね。
あるいは名詞と動詞が一つになって、 新しい動詞が作られるような、そういった現象が名詞抱合です。
ですので、出来上がったのは、 動詞っていうことになるんですね。
歯磨きっていうのは、それにちょっと近くって、 歯という名詞と磨くという動詞が組み合わさって、
歯磨きという新しい単語が出来上がってます。
出来上がってますが、この出来上がったのは名詞なんですよね。
歯磨きをするとか、歯磨きが大事だっていう風に、 名詞として使われますので、名詞抱合ではないです。
歯磨きが本当に名詞抱合だとしたら、 歯磨くみたいな言い方になっていれば、
ぴったり名詞抱合と言えるんですけど、
日本語はもうちょっとで名詞抱合みたいなのが たくさんあるんですよね。
歯磨きもそうですけど、さっきもちょっと言った、 番組作りとか、あるいは皿洗いとか、
こういったものは出来上がったのが名詞なので、 厳密には名詞抱合とは言えません。
ですが現象としてはすごく似ているので、 ちょっと歯磨きを例に考えると、
名詞抱合というのは歯磨きとか皿洗いみたいに、
目的語の名詞と多動詞が組み合わさって、
新しい動詞が作られるというパターンが一番多いんですね。
歯を磨くから歯磨きする。
皿を洗うから皿洗いする。
その時に組み込まれる目的語の名詞っていうのは、
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ちょっと専門的な言い方をすると、
特定性が低いとかそういったことが言われます。
ある特定の歯を磨いているとか、ある特定のお皿を洗っているというわけではなくて、
一般的な動作とかね、一般的な活動を表すのに名詞抱合は使われると言われています。
歯磨きするとか皿洗いするっていうのもそうだと思いますね。
歯磨きの歯とか皿洗いの皿っていうのは、
なんか特定の歯とかお皿を指しているわけではないですよね。
こういった名詞抱合がどこで観察されるかというと、
よく例に挙がっているのは、
北米のネイティブアメリカンの言語とかね、
そういう言語の例が挙がってますので、
ちょっと馴染みは薄いかもしれません。
そういった北米のネイティブアメリカンの言語でも、
特定性の低い名詞を動詞と一緒くたにして、
一般的な活動、動作を名詞抱合で表現するというのが観察されるんですね。
この名詞抱合の発展の仕方っていうのは、
結構一方向的というか、順序があると言われていて、
最初の名詞抱合のステップ、最初の段階では、
自動詞が出来上がるという風に言われてます。
歯磨きするとか皿洗いするっていうのが自動詞だっていうことですが、
そこからちょっと段階を踏むと、目的語を取れるようになるんですね。
つまり多動詞の用法ができる。
名詞抱合が多動詞として使われるようになります。
これも日本語風に考えると、あくまで日本語風ですが、
子供を歯磨きするとか、食器を皿洗いするとか、
そういう風に目的語を取れる名詞抱合というのが生まれてくるそうです。
日本語には名詞抱合はあまりないということで、
今歯磨きとか皿洗いっていうのを例に、
擬似的な名詞抱合としてみなしているわけですが、
一応名付けるっていうのが名詞抱合っぽいものだと思います。
名を付けるから名付けるという、これは歴史とした動詞なので、
名詞抱合的であると言えるし、
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さらに子供を名付けるっていう風に目的語を取れるタイプの名詞抱合でもあるんですね。
ただ日本語の名詞抱合っぽい現象はせいぜい名付けるくらいで、
繰り返しですけど、歯磨きとか皿洗いっていうのは出来上がったのが名詞なので、
するを付けて歯磨きする、皿洗いすると言えばより近くはなると思うんですが、
ちゃんとした名詞抱合とは言えないですね。
名詞抱合がさらに発展していくと、
今度は抱合された名詞、組み込まれた名詞が類別字、
英語だとclassifierとか言ったりしますけど、
類別字になると言われています。
これはどういうことかというと、
これは北米の模倣句語と言われる言語である現象で、
魚を買うっていう表現が魚買いするみたいに、
まずこれで名詞抱合になって、
さらに目的語を取れるようになって、
何でもいいですけど、
サンマを魚買いするみたいな言い方ができるようになり、
ここまでがさっきまでの話で、
さらに名詞抱合が発展していくと、
魚買いするの、この魚っていうのが、
目的語にサンマなり、シャケなり、タラなり、
目的語に魚が出たときに動詞に出てくる要素として、
機能するようになるんですね。
こういったものを類別字と言って、
有名なのはスワヒリ語とかバントゥー系のアフリカの言語に多いんですが、
つまりサンマを魚買いする、シャケを魚買いする、
この魚っていうのが目的語のサンマとかシャケっていうのと、
ある意味一致してるっていう風に見なせるんですね。
動詞が主語と一致して形を変える、
あるいは節微字なり節当字がつくとかね、
そういったことはよくあります。
英語のb動詞とかもね、アムとかアーとかイズっていうのは、
主語によって形を変えてるわけですけど、
名詞方法が発展していくと、目的語の名詞の種類によって、
形を変える類別字にだんだんなっていくと言うんですね。
これもなかなか面白いです。
面白いですが、日本語には名詞方法がないために、
なかなかイメージしづらいかもしれません。
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ただ個人的にはこの名詞方法っていうのは、
すごい面白い現象だなと思ってます。
というわけで、今回は名詞方法をテーマにお話ししていきました。
名詞方法が発展していくと、目的語の名詞の種類に合わせてね、
一致する類別字になっていくということでしたが、
類別字については、たぶんスワヒリ語の話をしたことがあるはずなので、
過去にたぶん話したことはあると思うんですけど、
そのうちまた類別字の話もできたらいいなと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はしがじゅうごでした。
またねー!