1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-05-28 09:24

#313 イライラしちゃう?「させていただきます」 from Radiotalk

関連トーク
させていただきますシンドローム
https://radiotalk.jp/talk/367506

敬語一方向仮説
https://radiotalk.jp/talk/442571

参考文献
『ポライトネス入門』(滝浦真人、研究社)
『概説 社会言語学』(岩田祐子ほか、ひつじ書房)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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こんにちは、志賀十五です。 今日も志賀十五の壺をやっていこうと思います。
えーっとですね、まずはお便りいただいてますんで、 そちら読み上げようと思います。
こちら大当たりさんからいただきました。 ギフトと一緒にいただきました。ありがとうございます。
志賀さんご無沙汰しております。 おそらくすでに志賀さんの配信でも取り上げられたことと思いますが、
近年流行りの「させていただきます」というしつこめの敬語表現、やはり自分も気になります。
そもそも、日本語ってどうしてこんなに丁寧すぎる表現が発生してしまうのだろうと考えるに、
私たち日本人は正しいか間違っているかはさておき、 丁寧な物言いをすることで安心するという精神文化のようなものが
DNAに組み込まれているのではないかなと。 会話をしていて気の受けない間柄でない限り、この言い方で失礼はないかなという不安が常にあるんじゃないかなと。
こんなネガティブな精神ベースが日本語の 敬語の複雑さに反映しているのだろうかと。
もっと誰に対してもフランクに話したいというのは私個人的感想でございます。
長文失礼ということで大渡さんどうもありがとうございます。
させていただきますね。お察しの通りですね。これについては トークを過去に2本ぐらい撮っていると思うので、ぜひそちらを聞いていただけたらと思います。
僕の考えではですね、させていただくっていうのは 謙譲語ですよね。
なのでまあ自分をへり下るような表現で 謙譲語っていうのがそもそもそういうものですけど、そういった意味合いで
使われるものだったのが 最近使われているさせていただくっていうのは
謙譲語というよりはむしろ丁寧語として機能しているのではないかということですね。
っていうのを関連トークで話しております。 つまり自分をひり下るような謙譲語から
聞き手に対して敬意を払うような丁寧語にさせていただくっていうのが その機能が変わっていってるんじゃないかということですね。
すなわちですますみたいな 日本語の丁寧語って言うとこういったものが代表的なものですよね。
ですますと同じような感覚でさせていただきますっていうのを使っているのではないかと思います。
まあこういうふうに考えるとあんまり腹も立ちませんね。 単純に聞き手に敬意を払っているだけで、その自分がへり下るとかそういうの関係なく
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ですますと同じ感覚で使っているということですね。 なんでこういうことを思いついたかというとですね、
実際そういう使われ方がしているっていうのもあるんですけど、 現代語のますっていうものですね。でこれは完全に丁寧語として
現代我々は使っているわけですけど、このますっていうのも 起源をたどればマイラスっていうこれ謙譲語だったんですよね。
なので日本語の大きな流れとして 謙譲語から丁寧語になるっていうそういう変化の流れが多分あるんだと思うんですよね。
謙譲語っていうその発話の中での敬語から 丁寧語っていうその発話をしている生の場面っていうかなぁ
繰り返しになりますけど聞き手に対する敬意を表すようにさせていただくはなっているん じゃないかなと思います。
ちょっと今のはうまく話せたか自信がないのでぜひ関連トークを聞いてください。 させていただく上に限らずなんでこう日本語はやたらめったら敬語を使うのかっていうのは
まあ当然社会とは関係あるんでしょうけど まあ社会とかあるいは民族性とかね
まあどのくらい結びつけていいかはちょっとね僕は自信がないですね あくまで言語は言語社会は社会民族は民族相互に関わり合っているかもしれませんけど
まあそれが原因と結果っていう関係なのかどうかは あまり僕は積極的に言わない方がいいんじゃないかと思います
で大当たりさんは dna に組み込まれているみたいな書き方をなさってますけど
まあそれはないでしょうね まあこれはあくまで大げさの表現ということで言ってらっしゃると思うんですけど
例えば両親とも日本人だけど海外で育った場合敬語を十分に習得できない みたいな
事例は数多くあると思うんですよねっていうのが そういう両親が日本人で海外に住んでいる場合は
家庭内の言語として日本語を使うのでそういった場面で敬語を使う必要はないからですね で外では
まあその土地の英語なりなんなり日本語以外の言語を話しているので もし dna に組み込まれているんだったらそういった子供がやたら減り下った
英語を使うようになるとかねまあそういうことになると思うんですけど まあそうはならないんじゃないかなと思いますね
なので遺伝子レベルというよりは社会的なね 要因の方が強く働いていると思います
当然敬語っていうのは日本語に限ったものではなくてあらゆる言語に見られるもの なんですよね
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なので言語学でもこういうふうに なんというかな
いかに他者に配慮して話すかみたいなことは研究されています こういうのを扱うのは主に社会言語学なんですね
そのような研究分野をポライトネスっていう言い方をします まあカタカナでポライトネスって言いますね
でこの分野はかなり専門用語が多くて でしかもその専門用語っていうのが普通カタカナで言われるので
ややわかりづらいんですが ざっくり言うとですね
ポライトネスっていうのは 会話というか談話においてお互いのフェイス
これが専門用語なんですけどフェイスを侵害しないように 配慮することを言いますこのフェイスっていうのは顔面とかそういう意味ではなくて
欲求みたいな感じですね このフェイスっていうものに2つあるっていうふうに考えられていて
一つはポジティブフェイス ポジティブがあるのでもう一つはネガティブフェイスというもので
こういうふうに言われると全然ピンとこないと思うんですけど ポジティブフェイスの方は他者から認められたいとか
好意を持たれたいみたいな欲求ですね ネガティブフェイスの方はむしろ
他者から独立していたいとか離れていたいとか自分の領域を守りたいといったような 欲求のことです
人間だったら誰でも持っているようなものですね 他者から認められたいみたいな願望と
自分の領域はしっかり守っておきたいという願望ですね こういったことに配慮して我々は発話行為をしているっていうふうに考えられています
このポライトネスの理論の第一人者というか主流となっているのは ブラウンとレビンソンという2人の研究者によるものなんですよね
これは言語学の教科書とか読んでいるとよく出てくるんですが このブラウンとレビンソンの研究によればですね
今言ったように 人間誰しも持っているポジティブフェイスとネガティブフェイスに配慮しながら
いろんな発話行為をしているということです このブラウンとレビンソンの研究というか理論を日本語に当てはめた場合
日本語の敬語というのはネガティブフェイスに配慮したものと言えそうです つまり相手の独立していたいというか
領域を侵されたくないそういった欲求に配慮しながら敬語っていうのを使っているという わけですね
まあ言語によってはポジティブフェイス認められたいとか使われたいとかね そういったことに配慮して発話行為を行うっていうようなね
そっちに比重を置いているような言語もあるかもしれませんが 日本語の場合はどちらかというと
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その相手との距離を取るっていうようなね そういった手段として敬語を用いていると言えそうです
というわけでやや抽象的な話になってしまいましたが 今日のトークは日本語の敬語についてのお話でした
ではまた次回のトークでお会いしましょう ごきげんよう
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