1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #701 上代日本語 Old Japanese..
2024-11-05 11:32

#701 上代日本語 Old Japanese from Radiotalk

主要参考文献
大野晋 (1978)『日本語の文法を考える』東京: 岩波書店.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

上代日本語は、奈良時代以前の日本語の特徴や音韻の構造を探求しています。特に、万葉仮名から分かる母音の数や、エダンの音の起源に関する説が紹介され、言語学的な議論が展開されています。

上代日本語の概要
日本語の歴史は、一体どのくらい遡れるものなんでしょうか。
おそらく定説となっているのは、上代日本語という段階で、奈良時代、ないし古墳時代の日本語です。
この辺りの日本語には文字資料があります。 万葉仮名と言われるものですね。
仮名ができる一個前の段階です。 漢字を仮名として使っていました。
それより前の弥生時代とか、さらに前の縄文時代の日本語っていうのは、文字資料がないので、
ガチッと定説となっているようなものはないと思います。 BGMです。
始まりまして、志賀十五の壺。 虹の都、光の港、金山の天地です。
最近、縄文語と弥生語についてのエピソードを配信しました。 縄文時代から日本語というのは話されていて、
その特徴っていうのは、日本の列島の端っこの方に残っていると。
そういう方言集計論的な考え方で確かめられるとかね。
あるいは弥生語と言われる日本語は、寅人の影響でアクセントができたりとか、
複数の縄文語が混ざり合って母音の数が増えたとか、 そういったお話をsharp698、699でやったんですよね。
たださっきも言ったように、縄文時代や弥生時代の日本語というのは、 定説というのはないんですよね。
そもそも縄文時代から日本語が話されていたのかどうかというのも、 本当はよくわかりません。
何せなら文字資料がないからということですけど。
ですので、sharp698や699でお話ししたのは小泉珠津先生の説なので、 広く一般に受け入れられているわけではありません。
それに対して今日お話しする常代日本語、 古代日本語と言ってもいいかもしれませんが、
この常代日本語というのはかなり定説になっていて、 一番遡れる日本語の昔の状態というかね、そういうことになっています。
繰り返しですけど、この常代日本語というのは文字資料がありますので、 それが万葉仮名で書かれているんですね。
平安時代に入れば平仮名なり、カタカナなり、 仮名というのが出てくるわけですけど、
母音の特徴
万葉仮名というのは漢字をそのまま日本語の音に当てはめて、 要はよろしく的な感じでね。
夜の梅雨、死ぬ苦しむ的な感じで日本語の音を表していたんですよね。
その万葉仮名からわかる日本語の特徴というのがいくつかあります。
一つは、常代日本語、つまり奈良時代以前の日本語は、 今の日本語よりも母音の数が多かったと考えられています。
例えば、現代日本語では火っていうのは fire っていう意味と sun っていうね、太陽の意味があって、
これらは同じイという母音が使われているわけですが、 常代日本語では別の発音だったと考えられています。
つまりイダンに二つあったということです。 同じようなことが、
エダンとオダンにも言えて、 例えば子っていうのが、子供の子と子祖はどの子、
子児子の子というのが別個の発音だということがわかっています。
このことはまさに万葉仮名によって確かめられて、
例えば子供の子という発音、音に使われる文字は絶対子育の子には使われないし、
逆に子育の子に使われる万葉仮名は子供の子には使われないっていうはっきりした区別があるんですよね。
そういったことがイダンとエダンとオダンで確かめられます。
これらのイダンエダンオダンの区別、2種類の区別のことを伝統的に甲類オツ類と言っています。
ですので、現代日本語と同じアイウエオの5母音に加えてイエオがもう1種類ずつあったので、
日本語の母音はかつて8個あったという見方が割とありますが、
これもいろいろ説があって、確かにイダンエダンオダンは2種類あったけれども、
それは単にイオンに過ぎないという説。 同じ音なんだけど、周りの環境によって音色が違っただけなんじゃないかっていうね。
簡単に言うとそういった説もありますし、 8母音じゃなくて6母音だったんじゃないかという説もあります。
そんな中で僕が結構面白いなと思ったのは、大野進という先生の説で、
この大野進先生は日本語とタミル語が同系統だ、系統が一緒だっていう説を唱えたということで、
もしかしたら一般に結構知られているかもしれないし、それで評判を落としているようなところもあると思うんですけど、
ただこの 上代日本語の母音については結構面白い説だなぁと僕は思っていて、
議論とお便り
これは過去のエピソードでも多分話したことがあって、 昔の日本語には
エダンの音はなかったっていう説なんですね。 繰り返しになりますが、上代の日本語、奈良時代以前の日本語にはエダンの音はないどころか2つあったんですよ
ね、甲類と乙類と。 その甲類と乙類、2種類のエダンがあったということ自体は大野先生は否定していませんが、
その2つのエダンが母音の連続によって生じたっていうのが大野先生の説です。 具体的に言うと甲類のエダンが
イーアーという母音の連続に由来して、 乙類のエダンは逆にアーイーという母音の連続に由来していると言うんですね。
でこれはあり得るなぁと思うのは、 現代日本語でも特にアーイーという母音の連続がエになるっていうのはあって、
高いが高えとか、やばいがやべえとか、いくらでもあると思うんですけど、このアーイー、
そのひっくり返ったイーアーがエになるっていうのはあり得るかなって気がするんですよね。 さらに上代の日本語を見ると
エダンっていうのは割と単語の後ろの方に集中しています。 甲類にしろ乙類にしろエダンで始まる単語っていうのは逆に少ないんですね。
ということは、 単語の後ろの方で要素同士が連続して
アーイーとかイーアーという母音の連続が起こり、 さらにそれらがエダンの音になったっていうふうに考えられるんですね。
エダンについてはそういう母音連続から生じたという説がありますが、 この辺もね議論があるんですよね。
まあどういう由来だったにせよ、あるいはどんな発音だったにせよ、 上代日本語には
現代日本語にはない母音があったということは確かです。 そんなことはね、こないだ取り上げた小泉智先生も認めていて、
で、さらにそれが弥生時代にまで遡れるというお話でした。
番組宛にギフトやお便りいただいております。 ありがとうございます。
ギフトは遠藤美孝さんから2回いただいてますね。ありがとうございます。 そしてマレーグマさんからも2回いただきました。ありがとうございます。
さらにタダノキウエさんからもギフトいただきました。 こないだね収録700回記念っていうこともあって、
ギフトをたくさんいただきました。ありがとうございます。 そしてお便りも何通かいただいております。
きなささんから、これも2通分いただいてますね。ありがとうございます。 毎回楽しませていただいております。ありがとうございます。こちらこそどうもありがとうございます。
今日は近所のサイエンスカフェで、考古学の博士のお話を聞いてきたのですが、 最初に人文社会科学には考古学や言語学などが含まれという説明があり、
あ、滋賀先生のようなと頷きながら聞いていたことをご報告しますというお便りと、 そして700回おめでとうございます。いつも興味深いお話ありがとうございますという
きなささんからのお便りでございます。ありがとうございます。 言語学はね、人文社会科学というかね、一般的には文系と考えられていますけど、そもそも
文系や理系の区別って、 果たして必要なのだろうかとかね、そういったこともちょっと考えちゃいますよね。
ありがとうございます。 そしてお便りもう一通、サロンドテルーム
7863っていいですかね、からお便りいただきました。ありがとうございます。ギフトと一緒にいただいております。
言葉を紐解く時間は大好きなので、また聞かせていただきますということで、ありがとうございます。 特にね、普段使っている日本語は
普段使っているだけに気づかない 特徴とか
あるいは謎みたいなものがね、ございますから、 ぜひぜひ今後とも聞いていただけたらと思います。
というわけで今回のエピソードはここまでということで、また次回のエピソードでお会いいたしましょう。 お便り、ギフトどうもありがとうございました。
お相手はシガ15でした。 またねー
11:32

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