ラジオの紹介とテーマ
こんにちは、りびぃです。今回から、りびぃのもの技ラジオということで、このチャンネルをやっていきたいと思います。
このラジオでは、生産設備の現役設計者である私、りびぃが、この状態で仕事をする中で、普段感じていたり考えたりしていること、
また、私自身が面白そうだなと思ったトピックについて、皆さんにお届けする番組となっております。
普段、YouTubeとか、ブログとか、メディアさんの記事とかで、いろいろ情報を発信させているのは、
どちらかというと、設計のコツとか、そういうハウトゥーのところが多いんですけれども、
そうではなくて、自分なりの意見とか、独断と変形みたいなところを、ザックバランにお話ししていけたらいいかなというふうに思っております。
ということで、早速第1回のテーマなんですが、今回は、モデルのトレースから何を学ぶということについて話していきたいと思います。
自分は、この生産設備の設計の仕事を始めて、機械設計としては10年目、電気製造としては1年目になるんですけれども、
そんな中で、そういった仕事をやりながら、設計ではこういうふうにするんだなということを勉強しながら、
いろいろとお仕事を対応させていただいています。
今でも勉強になることはたくさんあって、それを吸収しながら、ご依頼いただいたお客さんのために使いやすい設備、壊れにくい設備、
使用に沿った設備を予算の中で作れるようにということで対応させていただいています。
そういった身につけたノウハウや知識を、もう5、6年ぐらいになるんですけれども、
ブログやYouTubeでも発信したりしているんですけれども、
そういった活動をしている中で、おかげさまでちょこちょこいろんな方から、もっと機械設計について教えてくださいとか、
あとは実際にお金を払いますので、ビデオ通話でマンツーマンで教えてくださいっていう方とかも、
やっぱり何人かいらっしゃって、こんな自分から学びたいって言って声掛けてくれるのはすごい嬉しいなというふうに思ってはいるんですね。
そういったお声掛けいただいた中でも、何人かの方には実際にビデオ通話とかで対応させていただいたりはして、
やっぱりいろいろこうですよ、ここはこうしちゃいけないよとかって言うと、すごい喜んでくださるので、
よかったらぜひ次回もお願いしますとかっていう声もありがたいことにいただけてはいるんですよ。
ただ、たまたま時間が空いたからたまたま教えるっていうのは割とできるんですけど、
それを定期的に必ず何曜日の何時から何時までっていうのですと、ちょっと今の私の状況だと難しくてですね。
他にもいっぱいいろんなことをやりたいし、やらないといけないしっていう中で、なかなか時間が取れないなというふうに思ってます。
ただ一方で、せっかく設計について学びたいって言ってくださった方の意欲を襲うようなこともしたくないなって思ってる中で、
ずっと自分がつき添うみたいな状況じゃなくて、どうやったら設計って学べるんだろうって考えたときに、
いろいろ本を読んだりとかいろいろアプローチあると思うんですけど、
一番とりあえずこれやっとけばいいのかなって思うのは、モデルのトレースかなって個人的に思うんですよ。
トレースっていうのは先人たちが設計したものっていうのを、それを見ながら自分で位置から設計してみるっていう、そういうものですね。
2D CADでもいいですし、3D CADでもいいし、制御屋さんで言えばラダー回路のエディターとかで一個一個ラダー回路組んでみるとかでもいいと思うんですけど、
そのトレースっていうのはなかなかいい方法なのかなっていうのはあります。
ただトレースやってみてって言うと、目的がお手本通りに作ることが目的になっちゃうっていう人多いと思うんですけど、
個人的にそのスタンスでトレースするのはすごいもったいないなっていうふうに思うことがあるんですね。
自分なりにこのモデルとか設計図書のトレースについてどういうふうにやっていけばいいのかとか、その辺をシェアしていこうかなと思います。
トレースのまずいいところについてなんですけれども、まず自分が設計初心者です。
もう全く何も知りませんっていう状態でトレースやってみてってなったときに、
一つ目はその設計に使うツールの使い方がわかるっていうのは、まず最低限大事かなっていうふうには思ってます。
例えば、L字の板金の形があったときに、そのL字の板金ってどのコマンドで作ったらいいのとか、そのコマンドってどこにあるのとか、
そういったところをまずそのソフトの使い方を覚えるところから始めないと何も設計も何も始まらないので、そこはまず大事かなっていうのはあると思います。
で、結構どうなんだろう、メカ設計のモデルって最終的にお客さんに提出したりとか加工屋さんに出すタイミングになるようなものって結構細かいんですよ。
その書き方とか、そのモデルの整理の仕方とか。
例えば、その寸法線と寸法線が交わってはいけないとか、文字の大きさだとか本当だとかはどうしないといけないとか。
あとはそのお客さんによっては、例えば切り穴の通しの指示を入れるときに通しって入れとけばいいのか、
ファイキューとかって書いておけばいいのか、ちゃんと切り通しって書かないといけないのかとか、やっぱりいろいろあったりするんですけど。
お客さんの設計ルールみたいなものになるようにするには、どのコマンドを使ってどう書いたらいいとか。
3D CADで言えば、例えばツリーの整理の仕方とかってお客さんから指定があったりするんですけれども、
それもどういうふうにやればいいのかっていう使い方のところは、学ぶところはいいところかなというふうに思います。
このCADとかについては、自分一人で学ぶのがもうどうしてもできない。
何かちょっとでもわからないことがあったら心折れてしまうっていう人は、ぜひCAD講習とか行ってみたらいいかと思うんですけれども。
ただ、結局は実務の内容とCAD講習の内容って結構差があるので、CAD講習行くにして基礎をやったとしても、
一旦トレースの段階は踏んだほうがいいかなというふうには思います。
トレースのいいところ2つ目が、特に購入品とかがそうなんですけど、
その購入品の使い方がわかるっていうのはありますね。
自分が新入社員だった頃を思い出してみると、一応自分機械工学科の学問出身ではあったんですけど、
大学で設計をやっていたわけではなかったので、設計の背の字もわかんないわけですよね。
とにかく会社入って少しでも早く技術的な仕事ができるようになりたいなってなったときに、教えてほしいって上司に言ったりはしましたけれども、
ただ上司も上司ですね、自分もどうやって教えたらいいのかわかんないっていう人むちゃくちゃ多いんですよ。
学校の先生みたいに、次はこれを学んで、次はこれを学んで、次はこれを学んでって教科書を引いてくれるような人なんていないですし、
どういう案件をまずはやらせたらいいのかなんて、そういうふうに考えてくれる上司もあんまりいないんですよ、正直。
当時自分の場合どうだったかっていうと、どうやって勉強したらいいですかって言ったときに、
上司つってももう60手前ぐらいの上司だったんですけど、見積みのカタログをボンって渡されて、
これでも読んでなさいで終わりだったんですよ。
でも意外とこういう人いると思います。
ちょこちょこ今聞きますね。
なんか上司からカタログ読んでおいてって言われたんですけど、なんかよくわかんないんですよねみたいな。
カタログ、確かに見積みのカタログっていろんな商品が網羅されてるんですけれども、
それって何のためにどんな場面で使えばいいのかって何も書いてないんですよ。
その選定の方法とかなんとかググったら解説してる記事とかにたどり着くこともあるんですけど、
ただ自分が所属している部署で見積みで扱ってる商品をもう端から端まで使い倒しているかっていうと、
そんな部署ないと思うんですよ。
見積みのカタログ、まあまあ分厚いんですけど、その中のよく使うところともうほとんど使わないところとかっていっぱいありますよね。
でその辺がですね、やっぱり見積みのカタログだけ見てても何もわかんないですよね。
なのでその図面をトレースする中で、例えば見積みだとか、
SMCだとか三菱電機とかいろいろあると思うんですけれども、
例えばモーターを取り付けるって言ったってフランジで取り付けるのか、
足みたいなのがあって、足のところにボルトを挿して固定するのかっていろんなタイプがあったりとか、
エアーシリンダーとかもそうだし、
あとはベアリングなんかも最初自分ベアリングなんて回転を受けるものだっていうのはわかるけれども、
それを装置に組み込むってなった時にどうやって組み込めばいいのか全くわからなかったですよ。
でその中でやっぱりトレースっていうのをやってると、
弾付きシャフトのこの弾のところに当てるのねっていうのがわかるじゃないですか。
かつ軸の端からカラーなりなんなりで固定してベアリングが抜けないようにするっていう、
そういう風に組み込めばいいのかっていうのをやっぱりトレースすると覚えていくんですよ。
なるほどねと。
あとはタイミングベルトとかもですね、動力を伝達するものだっていうのはわかりますけれども、
実際にそのタイミングプーリーとかそのタイミングベルトとかを配置しようと思った時にどう配置したらいいのかってわかんないじゃないですか。
でそういうのはやっぱりトレースで学ぶのがなかなか手っ取り早いんじゃないかっていうふうには思いますかね。
2つについては特に初心者の方にはすごいいいかなというふうには思っていて、
例えば上司とかがもう忙しかったりもう出張ですぐいなくなっちゃって、
誰も自分のこと見てくれないみたいな人に凝っても、
ある程度独学でこうすればいいんだっていうのを勉強していけるっていうところかなっていうふうに思います。
ただですねもう少しレベルの高いような設計というか、
自分でその案件をある程度一人で回せるような、
そういうふうに設計ができるようになるためにはこの2つだけではやっぱり物足りないんですね。
でそこを目指していこうと思った時にぜひねやっていただきたいのが、
なぜお手本ではそう設計したのかを考えながらトレースすることですね。
これねめちゃくちゃ難しいし、あとめちゃくちゃ時間かかるんですけど、
設計思考の深化
ただ、ただやってほしい。
初心者が身につけるべきなのって基本的にハウトゥーが多いんですよ。
確かにハウトゥーってベースではあるんですけど、
そのさらに上に行こうとした時にやっぱり、
なぜそうしたの?逆になぜ他の選択肢を捨てたの?っていうのをやっぱり考えて、
じゃあ今回においてはおそらくこれがいいねっていうところをやっぱりやってほしいんですよ。
トレースのモデリングをしている時と実務のモデリングをしている時の決定的に違うところっていうのは、
トレースのものっていうのはノイズがないんですよ。
綺麗に設計が成り立っているっていうのが見えているというか、
数学の問題集を答えを見ながら解いているだけなんですよ。
ただ実際の設計っていうのは、例えば選択肢A、B、Cってあった中でBを選択します。
じゃあなぜBを選択したのかっていうのをそれを何十回何百回って繰り返して、
3Dモデルだの図面だのって出来上がっていくものなんですよね。
なんでこのYの練習って確実に必要なんですよ。
例えばお手本で課題が設計されてました。
それがアルミフレームでしたってなった時に、なぜアルミフレームを使ったのか、
なぜ青函フレームにしなかったのかっていうところとか、
あとはアルミフレームの中でも、例えば60角のアルミフレームを使っているのであれば、
なぜ60角にしたのか、なぜ40角とか50角じゃないのかとか、
そういうところを可能な限り、もしこうなんじゃないか、こうなんじゃないかって仮説を立てながらトレースをやっていってほしいですね。
例えばアルミフレームと青函フレームとってなると、
個人的に思うのがまず扱うボルトのサイズ、どんなものを使うのかなっていうところは一つ意識するところかなって思ってまして、
例えばアルミフレームの溝のところにM10のボルトなんてまず使わないわけですよ。
アルミってご想像のとおり柔らかいですから、
アルミフレームの使い方
M10なんてトルクでゴリッと締めたら多分食い込んじゃうんじゃないですかね。
M10のボルトなんて要使わんので、M10ってなったら青函にして、
タッププレーとか何かつけてそこにM10をねじ込むかなみたいな、そんな感じとか。
あとはアルミフレームが60角とか40角とかいろんなサイズあるけど、
どう使い分けたらいいねんっていうのは見積みのカタログに載ってないわけですよね。
どれ使ったらいいのかっていうところについては、自分としては30角以上を使うのが好きで、
これ何でかっていうとアルミフレームって基本的にフレーム単体で使うことってそんなに多くはなくて、
どちらかというといろんなアクセサリー類と組み合わせながら、
例えば扉設計したりとか扉も観音扉とかスライド扉とかいっぱいありますけども、
そういうのをやったりとか。
あとはアジャストパッドとかキャスターとかそういうのをつけながらっていうのもいろいろな使い方ができるんですけれども、
その辺の周囲のパーツとの互換性が良くなってくるのが30角以上なんですよね。
あとは30だとちょっと合成というかちょっとたわむのが気になるなとかっていうときには、
30の倍数の60角っていうのがあるんですけど、
それが結構互換性がまた良かったりするので扱いやすかったりするんですよね。
一方で30角と40角とを部分的に使い分けるみたいなことをすると、
やることはないんですけれども、
30角と40角のつなぎ目のところだけ別の型番の別のアクセサリーを持ってこないとつなげないとかっていうのがあるので、
実際にアルミフレームを組み立てますってなったときに、
こっちのパーツは30角と40角の互換のやつかな、
それとも30角同士のやつを使うやつかなって、
どっちがどっちじゃねえって分かんなくなるので、
結構その辺のパーツ管理がめんどくさくなっちゃうんですよね。
なのでそういった意味で30とか60とかその辺が使いやすいかなっていうのは自分の中ではあるんですけれども、
そういった観点とかも学びながらなぜこれにしたのかっていうところをやっていけたらいいかなと思います。
スキルアップの方法
自分も今年から電気製業の仕事を始めるようにはなったんですけど、
自分にべったりつそって1から10まで教えてくれる人なんてやっぱりいないわけなんですよね。
そういった中でどうやって自分がスキルアップしていけばいいのかってなると、
やっぱり社内に転がっている図面とかラダー回路とかを見ながらトレースをしながら、
なぜこういうプログラムを書いたのか、なぜこういう図面を書いたのかとか、
あとはこれどこから図面を書いていったら一番効率がいいというか、
よく設計ができるのかっていうことをめちゃめちゃちょうど今考えながらやっている最中なんです。
やっぱりむちゃくちゃ時間かかります。
むちゃくちゃかかります。
ただただお手本通りにやるのに比べると平時で10倍以上の時間かかりますね。
もしかしたら多分こういう理由でここはこうしたんじゃないか。
ここはこうなんじゃないか。
ここはこうなんじゃないかっていうのを何回も何回も多分こうやってやりつつ、
どうしても確信が持てないっていうときに上司とか同僚に聞いたりとか、
あとはサポートセンターに電話したりとかも全然してますけれども、
そういうやり方で今のところやれてますので、
よかったら参考にしてみたらいいかなというふうに思います。
トレースの注意点
最後にトレースの注意点についてお教えしておこうかなというふうに思います。
一つ目がトレースの題材っていうのは必ずしも正解じゃないです。
これは肝に銘じといてください。
トレースって自分の中に基準を作るのがすごい大事かなというふうに思ってます。
そもそも設計としてこれは良いのか悪いのかって判断したかったとしても、
何に対して良くて何に対して悪いの、その基準がないと何も判断できないじゃないですか。
とにかくその基準さえできればそれに対して良いものであればどんどん自分が吸収して採用するし、
悪いのであれば変えていこうと改善をしていくというそこのスタートが切れるわけなんですよね。
なのであくまで基準を作るっていうところのためのトレースっていうのは意識してほしいかなというふうに思います。
二つ目はトレースの題材っていうのは設計の途中経過が切れちゃってるっていう点は注意してください。
設備の設計の特徴ってこれトップダウン設計って言われてるんですけれども、
まずはもう細かいところはとにかく置いといて全体を作ってからお客さんの承認が取れてからその細かいところを作り込んで、
作り込んだ後に個々の部品に図面をばらしていくっていう作業になるんですけれども、
トレースをする側からするともう完成品のやつを最初から作っていくような感じになっちゃうわけじゃないですか。
例えばL字板金の部品があったときに最初からL字板金だって決まらないんですよ。
細かいところを作り込んでいく過程でL字板金って決まっているわけであって、
最初からこの位置に穴を開けるとかって決まんないっていうところは注意してほしいですね。
あとは寸法の引き方とか、あとは図面番号が何番でとか、最終的な完成形ってすごい綺麗に整っているんですけど、
最初からそんな綺麗に整うわけないので、まずはトレースと実務で違うところっていうのは、
実務っていうのはまずは構想設計というざっくり設計があって、その後に詳細設計の細かい作り込み、
例えば面取りがどうのこうのとか寸法線引いてとか、穴を開けてボルトを入れてが次にあるよっていうところは是非押さえておいてください。
ということで15分ぐらいで終わろうかと思ったんですけど、だいぶ長引いちゃいましたね。
こんな感じでまた発信していきたいと思いますので、また次回も是非お付き合いいただければ嬉しいと思っております。
最後にお知らせが2つありまして、1つ目がですね、
支部長&リビーベストセレクション2024っていうイベントを今やっていまして、
これ同じくPodcaster兼Xでもすごい有名な支部長さんとコラボをしてですね、
日刊工業新聞社さん主催で全国の書店さんでですね、
我々がお勧めする技術本ということでご紹介させていただいているイベントになります。
皆さん最寄りの本屋さんに行けばですね、もしかしたら私たちのポップとかそういうコーナーが設けられているかと思いますので、
もし見かけた際はですね、ツイートをしていただければすごい嬉しいと思います。
2つ目はですね、12月の1日に私の本が出版されます。
題名がですね、これで差がつくソリッドワークスモデリング実践テクニックという題名でございまして、
こちらがですね、ソリッドワークスを使った機械設計のモデリングの実践的なテクニックについて、
いろんなテクニックをご紹介しているという本になっております。
脱初心者っていうのをすごい意識してですね、
実務で役立つっていうようにいろいろテクニックをご紹介させていただいた本になっておりますので、
ぜひぜひチェックをしてみていただければ嬉しいです。
こちらの本はですね、普通に本としても出るんですけれども、電子書籍でも購入可能になっておりまして、
Amazonで見る限り予約がスタートしているとのことなので、ぜひぜひチェックしてみていただけたら嬉しいです。
それではまた次回お会いいたしましょう。
リビーでした。バイバイ。