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2023-04-03 35:58

第113回 完成度が高く奇想天外なSF短編集「いずれすべては海の中に」サラ・ピンスカー 著

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【今回の紹介本】 ■『いずれすべては海の中に』サラ・ピンスカー著 市田泉訳 竹書房

"最新の義手が道路と繋がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末(「イッカク」)、並行世界のサラ・ピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件をサラ・ピンスカーのひとりが解決するSFミステリ(「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)など。

奇想の海に呑まれ、たゆたい、息を継ぎ、泳ぎ続ける。その果てに待つものは――。

静かな筆致で描かれる、不思議で愛おしいフィリップ・K・ディック賞を受賞した異色短篇集。

是非お聴きください。

【番組内で紹介したトピック】 ■『いずれすべては海の中に』サラ・ピンスカー著 市田泉訳 竹書房 https://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6038501


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読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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文学ラジオ 空飛び猫たち
奇抜な設定と人間見あふれるストーリーが静かな筆地で描かれる 不思議で愛おしい異色の短編集
サラ・ピンスカーのいずれすべては海の中にを紹介します どうも皆さんこんにちは文学ラジオ空飛び猫たちです
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。
お相手は私調子が好きな岡山大地と羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。 文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのはサラ・ピンスカーさんのいずれすべては海の中にになります。一大墨産薬で竹書房文庫から2022年に出版された本になります。
とんでもない名作短編が来ましたね。 ちょっと驚きましたね。まさかこんなに良かったとはっていう。
こんな素晴らしい作品が。 いや個人的にはもう多分今年読んだ中でもトップ5に入る気がしてます。
いやもうこれはすごいなってちょっと思ってます。 サラ・ピンスカーさん自体は名前は知ったんですけど、読んでなかったんで、ちょっとこれ読んどけばよかったなって本当に思いました。
これは本当すごいので、なんだろうな。 いや本当なんか誰にでも勧められる作品集が来たな。ちょっと久しぶりに思いましたね。
なので今回のエピソードはですね、なるべく短めにしてですね、いろんな人に聞いてもらって、この作品を知ってもらって、そして読んでくれというような配信にしたいなと思ってますので、
ぜひなんとか最後まで読んでもらいたい、最後までこの配信聞いてほしいなと思っております。 そうですよね。
僕もやっぱりこれはあのすごいなんか幅広くお勧めしやすい本だなと思いましたし、なんか飽きない作家だなと思いましたね。
短編集なんですけど設定がですね、結構独創的な設定が多かったり、あと文章がすごいテンポよく書かれていて、なんかすごい読みやすさがあってですね。
今回なんでこれを取り上げることになったかというと、今年の日本翻訳大賞の二次選考の作品ですね。
15作品あるんですけど、その中の一つだったんですね。で何かね、この15作品の中から良いものがないかなと、ちょっと大地さんと調べている時にこのサラピンスカーじゃないかと、
ピンときて、そうそしたら実際すごく良かった。文章もですね、すごいちょっと引きがあって、やっぱ翻訳もねこれはかなり工夫されてるんだろうなっていうのは、なんか読んでいると感じましたね。
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そうですね、そうか。なんか俺、すっかりこの、なぜこの作品を選んだかみたいな前提を忘れたわ、今言われるまで。そうだよね、日本翻訳大賞の中から候補の中からちょっと選ぼうみたいになったけど、ちょっと作品が良すぎてさ、もうなんかその辺りのことぶっ飛んでたわ俺。
そっか、そうでしたね。でもこれはでも、やっぱりわかりますね、あとは表紙がすごい鮮やかで、このイラストもすごい良くてですね、これはぜひちょっと表紙を実際見てもらえたらわかると思うんですけども、
なんかね、ちょっとこの手元に置いておきたいようなね、なんかすごくオシャレな本で、そういう意味で読む前から期待感もありましたし、あとちょっと注目していたのは、早川書房がSFガイドブックのSFが読みたい2023年版っていうのを出していてですね、これの海外部門の第2位だったんですね。
なるほど。
これが結構ラインナップがすごくてですね、去年出た本ですかね、1位はプロジェクトヘルメアリーで、2位が今回のいずれすべては海の中にいて、3位がリュージキンさんの縁で、4位が異常ですね、アノマリーという本で、5位が血を分けた子供という、オクタビア・イーバトラーというですね、
フィジー・ヒカルスさん役の本で、なんと、これで1位から4位をですね、今回のいずれすべては海の中に紹介することで、制覇したというですね。
なるほど、いいですね。しかも5位の血を分けた子供はあれじゃないですか、1回やろうとした瞬間あったじゃないですか。
そうなんですよ。
去年。これか、あれか、その他が黄金ならばで迷ったんだよね。確かね、この時に、フィジー・ヒカルスさん役に出ていたんで。
血を分けた子供、面白そうだな。
そうですね。こう見るとね、6位以降もあるんですけども、こう見ると5位の血を分けた子供もちょっと、読みたくはなってきますけど。
なんか文学ラジオならぬSFラジオに成りつつありますね。
そうですね。SF意外と網羅していたんだなっていうのをね、ちょっとね、これ改めて思いましたね。
ではここからですね、またちょっと作品に戻って、まず著者について説明をしたいなと思います。
サラーピンスカーさんはアメリカのニューヨークですね、出身で、最初はですね、2012年にデビューをしていて、
これまで新しい時代の歌という作品を含めてネビュラ賞3回、本書でフィリップ・K・ディック賞を受賞していて、
すごくSFの作家としての実績は十分で、またもう一つの顔としてシンガーソングライダーとしても活動していて、
インディーズでアルバム4枚リリースしているというですね、そういう方になります。
この曲聴きたいですよね。ちょっと後で調べてみよう。
そうですね。YouTubeでミュージシャンとしての姿の動画もアップされてるんですけども、なんか聴くと普通に良い曲歌ってましたね。
あ、そうなんだ。聴いたんだ。
そうですね。ちょっとだけ聴きました。
06:00
シンガーソングライターってことは結構弾き語りみたいな感じ?
そうですね。
ああ、やっぱりそうか。いいねいいね。
若干ちょっとね、カントリーチックな部分もあったりというか、
やっぱりミュージシャンとしても本当にもうプロやなって思いましたね。
ちょっと俺も聴いてみよう。
特徴としては、SF作家としてやっぱりすごいたくさん賞を取ってるんですよね。
ネブラ賞とかヒューゴー賞とか、そういうのを取っていたり。
それで私名前は知ってましたね。
ああ、そうか。
名前たくさん見る。
よく見る名前ではあったんです。
あったんで、いつか読みたいと思ってたけど、
本当に読んだらこんな良い作家だとはっていうのが、ちょっとね、びっくりしましたね。
あと、今回初めてこの作家さん知ったんですけども、
去年ですね、翻訳された「新しい時代への歌」という本もあって、
それもすごい気になりましたね。
これは、ライブが禁じられた世界っていうですね。
それで熱狂を求める人々がいて、
ミュージシャンが音楽を活動していくっていうね、そういう話ですかね。
なんかすごい、コロナ前に書かれた作品なんですけど、すごいね、コロナ禍と通じるものがあるっていう。
確かに。
予言的な本だっていうね、評価されていて。
なるほど。めっちゃ気になる。
なんかこの人、感情を書くの上手いから。
めっちゃ気になる。
それもちょっといつか読みたいな。
そうですよね。これはね、すごい注目作だと思います。
先週はね、キムチオヨプさんで感情を描くのが上手いSF作家の紹介したんですけど、
今回も結構近いんですよね。
そうですね。
SF作家なんですけど、すごいね、人の感情、人間とはっていうのを書くのがすごい上手い作家さんで。
キムチオヨプさんの良さとサラピンスカーさんの良さは、もしかしたらそこを共通しているかもしれないけど、
でも表現の仕方とかが結構違うと思うんで、
その辺り、私はちょっと今日話したいなと思っているポイントですね。
じゃあ作品紹介、やりましょうか。
ここから作品紹介を具体的に移っていきたいと思います。
まずあらすじの方をお伝えします。
最新の技術がドールと繋がった男の話。
人差しに伸びる二車線のハイウェイ。
世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽。
風は彷徨う。
クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末。
平行世界のサラピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件を、
サラピンスカーの一人が解決するSFミステリー。
そしてN-1人しかいなくなったなど。
奇想の海に飲まれ、頼りたい息を継ぎ、泳ぎ続ける。
その果てに待つ者は、静かなヒッチで描かれる不思議で愛おしいフィリップ・K・リック賞を受賞した異色短編集というのがあらすじですね。
これ結構、静かなヒッチっていうところがですね、めちゃめちゃサラピンスカーさんのスタイルを表してますね。
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そうですね。設定はね結構奇抜なんですけど、作品そんな派手ではないんですよね。
そこがいいよね。
じゃあそのあたりも含めて具体的にいろいろ話していきますか。
そうですね。ではですね、短編集としての全体の魅力の部分ですね。
ちょっとここを話していきたいなと思います。
まず一つ目がですね、今回全部で13個の作品が収録されているんですけども、結構設定がいろいろなものがあって、そういう多彩な設定で飽きがないというのがですね、
まず一つ魅力かなと思っています。
中にはですね、突拍子もないアイディアが出てきたりするんですけど、それがちゃんと小説になっているというところもですね、良さで。
設定の部分かもしれないですけど、世界観とかもね、様々で現代と同じような社会を描いていることもあれば、作品によってはですね、未来で人類が宇宙に行っているとかですね、そういうのがあったりします。
でちょっとですね、この設定という部分で例えばですけど、建築家の野心を持っている若い男が、仕事そっちのけで子供のためにツリーハウス作りに熱中してしまう話とかですね、
あとクジラを運転して旅をするとかですね、あと中戦の中で消されてしまった地球の歴史を教える教師の話とかですね、なかなかなんだそれはってね、重いような、なんかそういう話があると。
あとちょっとね、変わったところでは、クジラ運転するという話も変わってたんですけど、もう一つですね、事故で右手を失った男の義手がコロラド州の道路とつながっているという話ですね。
男はコロラドには行ったことないんですけど、今いるところはもう全然違う離れたところにいるんですけど、なぜかですね、この右手がコロラドの道路とつながっている。
自分はコロラドにいるというですね、なんかそういうふうな感覚に陥ってしまうというですね、お話でちょっとかなり不思議な話なんですけども、そういった小説もあってね、楽しめるというのが良さかなと思いますね。
そうですね、この作品一冊でいろんなタイプのSFが味わえる、非常に豊かな作品集になっているんですけれども、
この設定が、例えば宇宙の話もあれば、なんか結構幻想的なセイレーンが出てきたりする話とかあったりして、ここのバリエーションがもう本当とんでもないなっていうところもありつつ、
もう分かりやすく設定面白いよねみたいな話もある一方で、読み込んでいくと、なんかこの設定すごい良いなみたいな光ってくる作品もあって、
たぶんね、このサラピンスカーさんの、たぶん、最もこう言い表して、サラピンスカーさんで、たぶん私が今回一番伝えたいのは、小説を書くのがね、この人上手すぎるってこと。
今設定の見せ方、その設定から生まれる人々の感情みたいなところとか、丁寧に、本当静かに描いていて、それが確実に響いてくる作品ばかりなんで、良いなって思いましたね。
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これ本当設定だけで読めちゃうなっていうやつが、そしてN-1人しかいなくなったっていう最後に入ってる作品なんですけど、これ多元宇宙から著者であるサラピンスカーたちがですね、集まってくるっていう、
何十人とですね、サラピンスカーが集まってサラコンをするんですね。で、その中で殺人事件が起きちゃうんですよ。
あるサラピンスカーが殺されるっていう事件が起きて、それをあるサラピンスカーが解決するっていうもうわけわかんない状況になってくるんですけど、もうこれ設定聞いただけで面白いとしか言いようがないじゃないですか。
こういうのが混じってるからね、もうめちゃくちゃすごい作品だったなって思いますね。
そういうかなりね、遊んでますよね、ほんと。
遊んでるね、これもうほんと面白かったからね。
そうですね。基本的にやっぱりね、どの話もすごい、やっぱり読むとサラピンスカーさんらしいなと、らしいというか、そう感じるところがあってですね。
なんかそれは、これも魅力だと思うんですけども、結構登場人物の内面描写をしっかりしているっていうのがあってですね。
突拍子もないアイディアとかあるんですけども、でも出てくる登場人物がですね、悩んでいる人が多くてですね。
そういったこの頭の中ですかね、それはしっかり描かれているっていうのは特徴的だなと思っています。
なんで結構ですね、話の持ってき方によっては壮大な話にできてしまうものもあるかもしれないんですけど、
そこをあえてですね、人物にフォーカスを当てて、そういう人物の苦悩とか葛藤とかっていうのがストーリーになっていくというですね、
具体的な話になっていく傾向にあるなと思いましたね。なんで壮大な話でね、抽象的になるとかですね、そういうのは逆に起きづらいのかなというのを感じましたね。
そうですね。これもちょっと例えばなんですけど、宇宙戦の中で地球の歴史を教えている教師の話とかも結構面白いのが、教師はそういう歴史大事だと思って教えようとするんですけど、
子供たちがですね、そんなのには意味ないって思ってですね、結構反発してくると。なんかそういうふうな子供たちを用意しているっていうのはすごく面白くて。
教師もね、どうしようかなと自問自答したりしていくんですけども、あそこでね、ある結論に至るんですけど、そこのプロセスがすごく良かったり。
確かにこの揺らぎは良かったよね。この教師の中で揺らいで、それが行動にもね、ちょっと反映されちゃってっていうところは、本当小説作るの上手いなっていうところは作るんだけど、ここは上手かったなって思いますね。
で、あとですね、さっきの右手が義手がですね、コロラドの道路と繋がっていると。そういうふうに思うに至った男性の話でも、その男性はやっぱり感覚としては、
故郷と遠く離れたコロラド、両方に自分は所属していたいって願うようになるんですけど、でもその考えって全然まともじゃないじゃないかというのもですね、
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分かっていて、そこでね、男性葛藤するんですけど、そういうのもしっかり書かれているっていうのがまたいいなと思いましたね。
だから設定だけでね、もう面白いなーで書けそうなものなんですけどね。だからその先の、その男性の、やっぱりその感覚というかね、やっぱその悩みをちゃんと書いているというところを読んでて、面白いところでしたね。
ですよね。先週紹介したキムチオヨプさんの作風にも感情をフォーカスするっていう良さはあったなと思ってるんですけれども、それと同じではあると思うんですが、やっぱりここで差分があるなと思ってまして、サラピンスカーさんはですね、なんかエモいという感じもあるんですけど、でもなんかエモさだけじゃなくて、
冷静に詰め上げていくような、あの本当静かな筆地っていうのが、あのすごいよく表してるなと思うんですけれども、冷静に詰め上げていって、で、あのある時感情の発露というのが見えてくる、あの表現されるというような形になっていて、
ここの言葉のチョイスと差し込み方がめちゃめちゃ上手いなって思いましたね。で、えっともうこれは本当1本目から感じていて、1本目があのさっき三枝さんが言ってたコロド州の道路と右手が繋がってしまう男なんですけれども、ここ、まあこれは一筋伸びる二車線のハイウェイっていう作品なんですけど、これもですね、あの喪失感の話がパッと出てくるんですけど、もうそこの差し込み方にですね、だいぶ自分はやられてしまって、
もう1本目読んだ時からヤバい作家なんて本当に思ったんで、あの本当ここは上手いとこですよね。
そうですね、結構ね、なんかその人物描写がやっぱりね、なんかすごい、読んでるとやっぱその人物のね、やっぱ感情にね、ちょっと自分も乗っかってしまうというのがなんかね、あるんですよね。
で、あとですね、この作品全体として言える良さとして、これは文体ですね、あのテンポの良さが非常にあると。
ああ、うん、ある。
これもしかすると他の作家さんとはですね、ちょっと違うサラフィンスカーさんの個性なのかなと思うところでもあって、基本的に文章短いんですよね。
もうね、もうすぐね、パッパッパってね、文が書かれていて、なんかね、長々書かれているっていうところはなかなかないかなと思ってます。
なので、どんどん読んでいけて、リズム感が良くて、非常に読みやすいと。
これもなんかセンスが良くないとできないことかなとは思っているんですけども、なんか真似しようと思ってもなかなかできないのかなと思っていて、
この辺やっぱりね、なんかミュージシャンだけあって、なんかこういうセンスの良さというか、そういうのを持っているのかもしれないなと思いますね。
で、そこから言えることとして、小説に苦手意識ある人とか、SFが苦手な人とかですね、
もしかするとサラピンスカーさんなら読めるっていう人の中にはいるんじゃないかなと、ちょっと思ったりしますね。
あるね、それは。あと確かにこれ非常に読みやすくて、小説が苦手な人でも読めるなと思っていて、
で、なんかその辺がもふまえて小説書くのが上手いなって私感じる部分なんですけど、
最近やっぱりちょっと前にオートフィクション作品をよく紹介していて、ポーランドのボクサーとか雨に打たれてか、
あの辺りってちょっと読みにくさみたいなのがどうしてもどこかにあったような気がしていて。
18:03
そうですね。
この辺がちょっとどううまく言えない部分ではあるんですけど、正直おそらく最近そういうものを読んできていたから、
このサラピンスカーさんめっちゃ読みやすいと感じたっていうのはあるかなとは思うんですけども、
なんで非常に読みやすいのは間違いないです。
で、ただあの三枝さん言う通りリズム感も良くて載ってけるんだけれども、これ13本入ってるからか結構読むのに時間かかりましたね。
ページ数もまあ450ページぐらいあったのかな?まあ450ページあるかないかぐらいなんですけど、
結構ですね多分文字も小さいかもしれなくて、ちょっと読むのには面白いんだけど思ったよりも時間かかるよっていうのはちょっと言っておきたいかなとは思いました。
もうちょっと私サクサク言ってるんだけど、時間かからずいけるかなと思ったけど、思ったより時間かかったなって印象ですね。
まあでも本読むのって本で時間かけて。
そうだね。
この辺は些細な問題なんだけど、言い方変えると一冊で結構いい時間使って楽しめるよっていうところでもありますしね。
ではですね、ここからストーリーの紹介していきたいと思います。
今回ですね収録されている中で2編ですね、紹介したいと思います。
一つは氷台作の「いずれすべては海の中で」で、もう一つが「深淵を後に歓喜して」という2つの作品ですね。
ではまず最初に僕の方から、「いずれすべては海の中で」のですね、ちょっとストーリーの話をしていきたいと思います。
これがですね、世界が未来の話なんですけど、何らかの厄災が起きて、富裕層は豪華客船で生活をしているんですけど、
船に乗れない人々は陸地での生活を余儀なくされているというようなですね、そういった世界設定がある中でロックスターであるギャビーという女性ですね、
豪華客船で演奏して生活をしていたんですけど、酔っ払ったある夜に不意にライフボードに乗って、その豪華客船から離れて漂流してしまうということをしてしまいます。
ギャビーは海岸でベイという女性に助けられます。ベイは町から離れて一人孤立した生活を送っていて、ゴミ漁りをして生活をしていました。
このベイがギャビーを助けたものの寒さをしのぐ燃料もそこにはなくて、食料もほとんどなくて、二人で食べていくには厳しい状況でした。
ベイはギャビーを突き放すように結構冷たく接していて、ギャビーもベイに冷たく言われたりして、自分はここに行っちゃいけないんだなと感じるようになって、眠っていられたベイが町に向かって逃亡します。
その時、ギャビーは元々ミュージシャンなので、ベイが持っていたギター、古いギターをベイが持っていたので、それを盗んで逃げて行きます。
ただ、ベイもそれに気づいて、ギャビーを追いかけて追いつくんですけども、そこでギャビーが盗んだギターはベイの妻のものだと言います。
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ベイも女性なんですけども、あの奥さんがいたという設定ですね。
そこでベイとギャビーが話をするというか、ベイがギャビーに語るんですけど、なんで町から孤立したところで一人で生活しているのかという、その本当のところを語るという、そんなお話ですね。
結構ですね、この話はやっぱり考えさせられることが多くて、特に最後の方まで読むとですね、このミュージシャンのギャビーは豪華客船で祈っていた時はセレブ相手に演奏をしていたんですけど、それよりですね、生活が苦しくても一緒にいたいと思えるような人がいる中で音楽をする方が豊かに思えるんじゃないかというですね。
この辺のギャビーのこの気持ちの持ちようというかですね、なんかあり方というか、なんかそういうのがですね、読むと感じられてですね、なんか読んでるとベイもギャビーも生きていくのが大変なんで、ちょっとね、なかなか救いのない話なのかなと思うところがあったんですけど、ただ後々これもねじっくりやっぱりこのギャビーのちょっと気持ちを考えると、実はこれって豪華客船を降りることで豊かさを手にした人の話なんじゃないかなという。
ああそうだよね。
なんかそういうのはね、ちょっと思いましたね。
まあ今のあらすじだけだと多分見えてこないけど、このギャビーとベイの交流っていうのが結構描かれていて、ベイが結構、ギャビーを拾ったけれども、そんなに親切にするわけでもなく、役に立つなら置いてやってもいいよぐらいな感じで接してて、
で、もちろんギャビーはそれがここで生きていけないかもしれない、ベイの元で生きていけないかもしれないと思ったから逃げ出したり、まあ前の生活に戻ろうとするわけだけれども、その過程で二人が心をさらけ出すというか、というのが少しずつ描かれていって、二人の関係が出来上がっていくっていうのがこの短い作品の中で描かれるからすごい良いなって思ったのと、
あとやっぱりこの船の人たちはね、船の人たちと陸の生活での対比があって、船の人たちはこの最悪が起きちゃった陸っていうのはもう終わった世界だっていう感覚でいるんだけど、でも陸は陸でね、交配はしちゃってるけど、なんか暴力がめちゃめちゃ横行してるとかそういうわけじゃなくて、この陸の人たちは、まあちょっとあんまりこのベイ以外の人物出てこないんだけど、新しい実情を作ろうとして生活に対応しようとしているっていうのが見えて、
なんかやっぱこの断絶みたいなのがすごい描かれている作品だなって本当に思った作品ですね。
そうですよね。なんかこの厄災が起きた時も、陸では結構協力し合って生き延びようとしていたっていうね、そういう話がね、あったりもしましたし、あとやっぱ面白いのが豪華客船の中の様子がですね、結構このセレブ批判をしていてですね、
それってなんか今の時代はね、風信にもなってるなってね、めっちゃ思ってるです。それがどういうことかというとですね、ギャビーがやっぱりこの豪華客船でいろんなセレブたちを見ていてですね、その中にはですね、社交デビューするお嬢さんとかもいたりするんですけど、で、やたらそのみんな注目されたがっていると。
24:20
パーティー開いたりとかですね、で、そのパーティー開くとやっぱ体壊したりするんで、で、その後花々しく回復したりして、またですね、パーティーしたりとかですね、っていう様子をですね、なんか自分主役のドキュメンタリーを、そういうのをプロデュースして、なんかその船のエンタメのシステムにアップロードして、で、お互い観客になってですね、なんか交代でセレブたちが交代で自分たちのドラマを鑑賞しているっていうですね、あのこのすごい皮肉なことを言っててですね、
なんかこれはでも、あの今のセレブな人たちがですね、まあ結構メディアというかSNSとかで自分をプロデュースした動画とかですね、ドキュメンタリーとかアップしたりしているかと思うんですけど、結構思い切りそれに対してね、なんか風刺として言ってるなっていう、めっちゃね、それちょっとね、笑えるような部分もありましたね。
面白かったね。
そうですよね。あともう一個あれですね、ギャビーがこの船の中にいたとき、あのすごい金持ちな人がいて、でその人たちがね、タイタニックごっこをしているとかですね、なんか禁止されてるのにみんなやってるとかね、そういうところもちょっとね、笑えるところで面白かったですね。
やっぱりこの、あのあれだね、この、いずれすべては海の中にはやっぱり、あのラストのね、一文がすごい良かったりするんで、あのこのサラピンスカーさんの作品結構ラストの一文良い作品が多いんですけど、まあこれも例外なく本当にすごくいいんで、その辺りも楽しめると思います。
じゃあ次行きますか。
行きましょうか。
じゃあ次もう一本ですね、ちょっとご紹介したいのは、深淵を後に喚起してという短編になります。
で、こちらはですね、まあSF要素あるんだけど、なんかちょっとこのかなり間接的に使われてる感じがするんで、まあその辺りも深淵ちょっと話しますね。
えっと、建築家のジョージと妻のミリーの夫婦の話です。
で、92歳のジョージは脳梗塞で倒れ、意識もおろうとした中、ミリーが駆けつけると、無意識のうちに彼は手を動かし始めていた。
ミリーはそれがある設計図のスケッチだと気づく。
で、ミリーはジョージとの出会いを回想する。
昔ミリーが大学生の時にジョージと出会っていた。
映画のワンシーンのような出会い方をして、ミリーは相手が若くて野心に溢れた建築家だと知ることだった。
ミリーとジョージは結婚して子供が生まれる。
ジョージはミリーと出会った頃は軍に所属していて、退役した後はですね、民間の設計事務所に勤めていた。
ジョージは出資して経営者になり、家族の夢の家を建てるという夢が彼にもありました。
ジョージはですね、子供が生まれてから家の庭にツリーハウスを作るようになっていました。
子供たちのリクエストに応えて、ジョージはツリーハウスを増築していく、そんな生活を送っていました。
で、そんな家族は幸せに過ごしていたんですが、1951年の秋に状況が一変します。
27:02
ジョージの元に軍からニューメキシコに来てほしいと依頼の手紙が来ます。
ミリーは行く必要がないと言ったが、ジョージは自分が設計した建物が建てるかもしれないと言って、軍の誘いに応じます。
ジョージはすぐ帰ってくると思っていたが、帰ってきたのは1ヶ月後だった。
その時ジョージは疲れ切っていて、かなりピリピリしていて、
家に帰ってくると子供にも短期に当たったりしながら、ツリーハウスに行って一人で泣き出すという状況でした。
その時ジョージは軍に命令されて作った施設のことをミリーに語ります。
詳しい話はしないが、ある施設を作ったということを語ります。
それ以来ジョージは仕事への情熱が消えて、
ただ、ツリーハウスを作っている時だけ、昔のような情熱の面影が見受けられることがありました。
ジョージは施設へ来なく定例を迎えました。
ミリーはジョージとの思い出や、ジョージに起きた出来事を回想して、
ジョージが今病院にある中、加工している設計図は何なのか、それを探り当てようとします。
そしてミリーはジョージにとって、なぜ情熱が消えてしまったのか、そのことを疑問に思っていたので、そのことについて分かり合おうとしていきます。
という話なんですが、これだけ聞くと全くSF要素がない話なんですけど、
ちょっとSF要素があったりする面白い話ですね。
タイトルの意味はですね、役者跡書によるとホムレスのオデュースセイヤーという作品にある、
ようやく故郷にたどり着いた時に妻と再会した喜びをかみしめる場面でのセリフが、
この深淵を後にして歓喜して、ということらしいですね。
という内容になっております。
ぶっちゃけこれめちゃめちゃ読んで名作だと思いました。
このミリーの感情の動きと、ジョージが遠いところに行ってしまったみたいな感覚が途中あったけれども、
それに追いつこうとする最後、そこが結構描かれていて、結構泣ける作品でしたね。
そうなんですよね。僕もこの作品やっぱ一番好きで。
いいよね。
やっぱり何がいいっていうのが、このジョージとミリーの夫婦の若い頃の描き方がすごい上手いなと思って、
このジョージという建築家がとにかくすごく優しくて良い人で、特に若い頃はもちろん出生欲とか野心を持ってたんですけど、
ただ人として持っているこの優しさというか、そこもすごい現れていて、
こういう本当に幸福なこの夫婦の様子を描いているのが、その一つがツリーハウスですね。
子供が生まれてからこのジョージが子供たちのためにツリーハウスを作ってあげるんですけど、
そこの様子とかもすごい楽しそうに描かれていて、途中でその文章の中ですごい上手い文章が、
ジョージがですね、ツリーハウスを作るためにちょっと息子に杭を打ってもらったのを見てですね、
上手な大工さんだ。この仕上がりを見ろよと。
これはジョージがミリーに言うところかな。
それをですね、ミリーの視点で、一瞬を瓶詰めにして取っておけるものなら、
30:01
ミリーはこうした瞬間を選んだかもしれないというですね、
このジョージとね、子供たちがツリーハウスを一緒に作ろうとしているね。
その描写を一瞬切り取れるならここかなっていうですね、そんな文章があったりですね。
あとはこのツリーハウスがですね、なかなか楽しそうで、
なんか思った以上に手が凝っていて、
ジョージが何年もかけて海賊船の鋼板みたいなとか、
長靴下のピッピー風の浴灯とか、スイスのロビンソン風の増築部分とかですね、
ちょっと今頭の中でイメージはできないんですけども、
このね、ツリーハウスがどういう姿、形の建物なのかっていうのもすごい気になるんですけども、
まあまあでもすごいこのね、夫婦の若い頃の特に描写は僕は好きでしたね。
この出会いのシーンとかね、恋に落ちていく流れとかね、すごい良いよね。
そうですよね。
そこだけ読んでも多分なんかグッとくる人は多いと思いますし、
あとツリーハウスはやっぱこの物語のキーにもなってくるから非常に重要で、
やっぱりジョージが最後まで退出にしたかったものの象徴なんだろうなとかちょっと思ったりして、
そこもかなりいいなと思いますね。
そういうですね、読んでると前半やっぱすごい個人的にはもう楽しい作品で、
でやっぱり後半ですね、ジョージが軍にですね、ちょっと誘われて1ヶ月家を開けて、
そこから帰ってきてからちょっと人が変わったようになってしまってですね。
ジョージがもう仕事のなんかね、情熱がなくなってしまって、
あのもう仕事なんてもう定時で帰れるのが大事で、
そんな残業とかね、そんなするほどではないとかね、
とかなんかその大きな建物を作るよりかはもう身近な家を作ったりとかですね、
まあそういうふうになっていくんですけども、
まあそこでミリーがですね、ジョージに対して多分最初の方はね、
ちょっと残念な気持ちを持っていたと思うんですね。
ミリーとしてはやっぱり20代の野心に溢れていたジョージが好きだったと思いますし、
でも軍から帰ってきた後のジョージは本当にもうね、
なんか仕事全然やろうとしない人になってて。
っていうところを踏まえての、読んでいっての終盤の方ですね、
あのこのミリーがですね、年老いたジョージを受け入れるに至る文章っていう、
そういう描写があるんですけども、やっぱそこがすごい良くて、
読んでてすごい感動しましたね。
うん、うん、わかる。
そこの中にはね、20代の頃の姿を基準に人を評価するのはフェアな態度なのだろうかというのをですね、
そういう問いかけもあったりするんですけども、
やっぱりこのね、ジョージがなんでね、そうなっていったのかっていう、
まあ全ては語られてはいないんですけども、
でもジョージなりにやろうとしたことがあって、
そことかね、わかるとね、これなかなかね、ちょっと泣けそうになりますね。
うん、うん、うん、うん、本当だよね。
ジョージは多分、おそらく何か苦悩した末に何か決断をしたっぽいことは、
あの、あの本当読んでも明かされないんだけど、そこがわかるシーンがあって、
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で、やっぱり家族は変わっていってしまうもの。
子供たちもいるし、子どもたちも大きくなって出て行っちゃうし、
まあジョージはジョージで変わっていくしっていうところで、
なんかそういうものを、どうしようもない流れみたいなのも多分描かれつつも、
まあこう時間によって育まれたものを感じることができる作品だったので、
これは結構感動作だったなと思いますね。
で、えっとちょっとこの後、メルマガの音源行きになっちゃうけど、
ちょっと他の作品をちょっと話したいなと思います。
気になる人は、ちょっとメルマガ登録して聞いてくださいっていうところですかね。
じゃあ最後、感想とどんな人に読んでもらいたいか話して終わりたいと思います。
じゃあ私の方から、
えっとマジで本当にですね、一番最初の作品からこんなめっちゃ良い作品来るんだと思って読み始めたら、
次も良くて、その次も良くてというですね、本当にハズレなしの作品集だったと思ってます。
こんなに小説作るのが上手い人がいるなんて、やっぱ世界はすごいなと改めて思った一冊だったので、
本当多くの人に読んでもらいたい一冊になったなと思います。
マジでこの配信で気になったらですね、手に取って何だろう、間違いはないと思うので、
ぜひぜひ皆さん読んでいただけたらなと思います。
僕はやっぱり読むとどれも良い作品で、短編なんですけど、最後にビシッと終わるような終わり方ではなくて、
作品に思いを馳せていくことで、じんわり登場人物の気持ちがわかってくるような終わり方をしているですね。
そんな作品が多い印象でした。
これで言えることとして、やっぱり読みやすさというのもあるんで、
SF好きな人もSF苦手な人も関係なく楽しめる作品集かなと思っています。
本当に幅広くオススメです。
では次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、アニー・エルノの嫉妬事件をお届けします。
昨年、2022年か、ノーベル文学賞を受賞されたアニー・エルノさんの作品ですね。
お楽しみに。
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番組の完成はリクエスト。
またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
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ではまた来週。
ありがとうございました。
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