これは雑誌の流れと同じですね。
6作家いるので全部詳しく触れると、
時間がどんだけあっても足りないので、
結構さらさらいきたいと思っているんですけれども、
なるべくここが面白かったとか、
こういうところが良かったみたいなのは伝えていきたいと思っております。
一番最初の作家なんですけれども、
レイテル・クシュナーさんの大きな赤いスーツケースを持った女の子という作品で、
これは柴田本幸さんが役しました。
ちょっとあらすじを簡単に説明させていただきますと、
これ一応コロナが発生した直後くらいの設定の話ですね。
コロナでうつうつとした時にたまたま集まっていた作家たち、
毎晩一人一人楽しい話を語ろうという、
これ多分アメリカだと思うんですけど、
まだアメリカまでコロナが来てないって感じなんですけど、
その時になんかちょっと世の中悪くなりそうだからさ、
暗い話をしてもさ、みたいな感じで楽しい話をみんなで話そうよみたいな、
聞かせてくれよみたいな流れで、
作家が一人一人話を語っていくという内容になっています。
で、今晩はノルウェー作家の番です。
ノルウェーの作家が来てて、奥さんと一緒に。
そのノルウェーの作家は英語がうまくないのか、
その作家の話を妻が訳してそこに集っている方に聞かせ始めます。
で、これ楽しい話をしようって話だったのに、
それは楽しい話ではなかったんですね。
で、その話の内容はある男が空港で偶然出会った女性、美女が忘れられず、
数年後探しに行って結婚はするが、
そして男が自分の国に連れて行くんですけれども、
その後連れてきたにも関わらず幻滅し、
その妻を置いていくというか、旅行に行っている間に自分が去る話です。
でもですね、これはノルウェー作家にとっては楽しい話というかいい話だったんです。
っていうのは、そのノルウェー作家がその置いていかれた妻と結婚して、
別れてくれたおかげで結婚することができたという話で、
その妻っていうのが今彼の話を訳していた女性になりますという、
ちょっと構造が複雑な話なんですけども、なってます。
そしてちょっとこれ、自分が、私がこれあらすじを書いたんで、
ちょっとわかりにくいところがあったかもしれないですけど、
まあざっくり言うとそんな感じの話ですね。
結構ね、あらすじ聞くと複雑なので、
どういう話かって、なんかわかりづらいかと思うんですけども、
読むと最後にあ、なるほどってなって結構面白かったですよね。
何が面白いかっていうと、結局これ小説内小説じゃないですけど、
作家が語る話があるんですけど、それを妻ってフィルターを通しているんで、
結局これ、作家がその話をしているのか、妻がその話をしているのか全くわからないし、
その語られている内容も本当なのかどうなのかみたいな、
わからないっていうのがすごく面白くて、
結局この話は、何が本当なの?みたいなのがぐるぐるぐるぐるなるっていう面白さがある話ですね。
福月などがこの小説内小説の主人公がヨハンっていう男なんですけども、
ヨハンのキャラクターもすごい面白くて、
なんかすごい、なんていうかだらしなくて、夢見がちなところがあって、
一目惚れした女性が忘れられなくて、そういう理想っていうのを追っていくんですけども、
でもその目論みが外れていくというところで、
短編で、短い中でこのヨハンっていう人となりがすごい描かれていて、
ちょっと笑えるような、好きになりますね。
でも逆に私これかなり嫌な話だと思ってて、
結局このヨハン、だらしなくとか、ちょっとあんまりちゃんとしないみたいな感じで描かれてるけど、
でもそれを語ってるのって、どっちかわかんないけど、
もうこの別れた妻かもしれないし、
ヨハンが別れてくれたおかげで結婚することができたこのノルウェーの作家かもしれないじゃないですか。
ってことはこの昔の男?もしくは妻の元旦那?
っていうか面白おかしく描いてるこの人、どっちなんだかわかんない。
もしかしたら二人なのかもしれないですけど、この構図って結構やらしいなって思いましたね。
ゾッとするって、ゾッとまでいかないんだけど、なんかもやっとする感じだなって。
いい意味ですけどね。小説読んでて楽しいなっていう意味ですけど。
でも実際にこういう人たちと出会ったら、自分は結構もやもやすると思います。
思いましたね。
実際出会ってこんなの出会ってしまったら、それこそ本当にこれ現実なのか非現実なのかってちょっと疑ってしまいますよね。
小説らしくて良い話、いい話というか小説らしい話だったなと思ってますね。
岸本さんも後書きで描いてて、どこまで本当かわからなくて、
全部創作、ノルウェー人作家の作り話の可能性もあるし、
本当に曖昧な感じが残されている小説です。
そこも良さかなと思いました。
次に紹介するのが、ルイス・ノーダンのオール女子フットボールチームという作品です。
これは岸本さつこさんが訳しています。
あらすじは年に2度だけ女装する父を持つ高校2年生の男の子の話になります。
主人公の学校で資金集めが必要になって、
そこで女子だけでフットボールチームを組んで、
2組に分かれて試合をしようという企画が出るんですけども、
試合で入場料を取って資金をまた加えようと、
そういう女子だけのフットボールチームを作るというのが生まれて、
そしたらその主人公の男の子がフットボールチームにメロメロになって、
女子フットボールチームが大好きになってしまってというお話なんですけども、
そこからさらに主人公の男の子がチアリーダーになったら面白いんじゃないかという話が周辺で出て、
以前にラジオで紹介したポール・セローの
World's Endという作品の中に、
緑滴る島という短編があって、
その緑滴る島にすごい近い雰囲気なのかなと思いました。
確かに、そうですね。
あの暗さありますね。
そうですね。
あれも望まない結婚というのかな。
まあ、妊娠かな。
全体的に、若いけど人生が閉じていくような悲しさみたいなのが、
哀愁みたいなのがあるんですけど、
でもその中で、個人的にはこの最後、
旦那さんの船乗りが4通手紙を送ってきたきっかけに、
温信が届いちゃうんですよ。
まあ、おそらく死んだんだろうと思うんですね。
何か。
ちょっとネタバレっぽくなっちゃうけど、
最後、ある朝起きたら、
アホ踊りがいるんですよね、家に。
窓のガラス割ってて。
これは、もう解釈するとしたら、
旦那さんの魂が入ったアホ踊りが戻ってきたんだっていうことしかないと思うんですけど、
でもそれを、彼女が信じてるのか信じないのかっていうのが、
読み手に委ねられた解釈の幅だと思ってて、
そこを短いながら味わえるのが本当に面白かったなって思ってます。
僕は本当に最後の終わり方とかすごい好きで、
まあでもね、どこまでがこれも本当の話なのかっていう、
最初のクシュナーの伝説的にそう思った女の子と同じく、
結構この女性も、何かいろんな錯覚みたいなものを見るようになっていたんで、
どこまでが本当でどこまでが幻想なのかっていうのはね、
これも本当にいろんな読み方ができるなってところですよね。
そうですね。
この二人の作家に関して、柴田さんと岸本さんがお話しされてるんですけど、
アンクインはですね、柴田さんが今回ちょっと紹介したいなと思った理由はですね、
柴田さんと岸本さんってお二人とも日本翻訳大賞の先行委員っていうか、
昨年、私たちもラジオで紹介しましたけど、
デブラ・ホーゲルのアカシアは花作を翻訳大賞で選んだんですけど、
アンクインも女性作家で、デブラ・ホーゲルも女性作家で、
その生前というか活動されてる時にあまり評価されてなくて、
最近になって誰かが発見して評価されていくっていう流れがあって、
やっぱりその昔の時代の人の作品ってやっぱり今と違うよなみたいなのをちょっと柴田さんが言って、
これ面白いなと思ったんですけど、
広角しかないみたいな、なんか希薄みたいなのを感じるっていう話をしてて、
何が書いてあるかよりも、こう書かなければいけないんだという希薄で選んだと言ってもいいですって、
ちょっと柴田さん言ってるんですけど、
足の悪い人にはそれぞれの書き方があるわですね。
なんかこう、本当100%全く理解できないんですけど、
この書き方でしか多分描けなかったんだろうなみたいなのは確かに感じるものはあって、
そういう作家って今もいるとは思うんですけど、
確かにちょっと希薄っていう意味では、確かにちょっと減ってるんじゃないかなと。
もうちょっと柴田さんの言葉まんま読みますね。
現代は書き手が自分を100%シリアスに捉えることが何となく禁じられていて、
どこかでなんちゃってっていう自分つこみがないとダメみたいなところがある。
私、自分を相対化してますから、みたいなことを動機が利きな形でできるかで勝負しないといけないような空気がある。
だからこのアンクインのように、そういうことをしないでもよかった時代、
真剣勝負が当然だろうという中で書いていた時代の空気には、
時々触れた方がいいんじゃないかなと思っていますと言ってるんですけど、
なんかこれすごく納得感が自分もあって、
なんかちょっとね、現代いろんな見られるポイントが多くなってきてるのかわからないですけど、
確かになんちゃって感あるときあるなと思ってて、
ちょっとそれはあるので、確かにこういう時代の真剣勝負感っていうのは、
今あんまりないから触れてみるとすごく揺さぶられるものがあるなと思いましたね。
この話で面白い、柴田さんがその変わった書き方をしている、
なんか世間になかなか受け入れられないすごい女性作家って、
まだいるんじゃないかっていう話をしていて、
一人一ジャンル、文学の世界でも誰ともつながってないけど、
でもその人一人で確固とした作品を確立しているような作家って、
孤独な感じはするけど、でもいますよねって話、岸本さんと。
そういう中で、やっぱりこういうアンクインのような作家って、
本当に翻訳されてなかったけどもいるんだなっていうのを思って、
世界中を探したらもっとそういう人ってやっぱりいるんだろうなっていうのは。
日本にもいるでしょうし。
岸本さんが描くしたこのデイジー・ジョンソンなんですけども、
まずその岸本さんが今回描く作品で多いのが、
現実8割、幻想2割ぐらいの作品が多くてですね。
どこか幻想もちょっと混じっているような、
そういうのにはすごい当てはまっている作品で、
あとこのアホ鳥の滅神っていうのは、
描いてある業館にぬめっとした地形が漂っているっていうのが、
ちょっとどんよりした感じというんですかね。
あと変な話なんですけど、が多いんですけど、
でもなんかぬめっとした感じがあるというか、
そういうのを描く傾向の作家みたいで、
その中でも今回のアホ鳥っていうのが結構イメージが、
結構アホ鳥って大きいみたいで、
それでそこの場面がパッて見えて多分訳されたのかなと。
なんかこの場面を訳したいみたいな気持ちが結構強いみたいですね。
さっきのオール女子フットボールチームも、
主人公がこのチアリーダーに目覚める瞬間とかが好きだって、
岸本さん言ってたんですけど。
あとこのアホ鳥の滅神、