浮気のことを考えるようになると、それしか考えられなくなり、妻が浮気をしているとだんだん確信していくようになります。
あえて急な主張を入れて息子に見張るように頼んだんですけども、ロバージが危機に迫るような空気感で息子に頼み事をしてしまったというのもあって、ちょっと嫌われてしまって、ロバージが妻と息子から見張らされたように感じてしまいます。
ロバージは自分の人生がワールズエンドに来たことによって順調だと思っていたのに、それが損なわれているということに気づく、そんな小説になります。
ありがとうございます。これまず、ワールズエンドっていうのが、地名っていうのが面白いですよね。
こんな名前、どっか実際にあるんですよね。
ある。実際にある。ロンドンの。そこが何かの通りに終わりになっているのかな。その名前とこの作品のリンク感が。
いや、そうですよね。これは確かに。
この作品今ちょっとあらすじにもあったんですけど、なんかこのロバージっていう主人公の視点で描かれるんですけど、最初の1ページとかめちゃめちゃ俺成功してるぜみたいな。
そうなんですよね。もともとアメリカにいたんですけど、もう一か八かで引っ越してきて、仕事で成功を収めた。
で、なんか妻もなんかイキイキしだしてるしみたいな感じで、これがちょっと伏線でもあるんだと思うんですけど、してるし、なんかすごいいいじゃんみたいな、自分みたいな感じで始まるんですけど、
なんかもう陽気に息子と二人でたこあげの遊びに行ったら、そこで息子からちょいちょいいろんな話が出てきて。
そうですね。なんか息子が普段使わないような言葉遣いを使ったりとか、なんかやけにたこあげに詳しかったりとかして、気づくんですよね。
あれ、こいつここ初めてじゃないぞみたいなとか、もう何回もここに来てたこあげやってるぞとか、なんか知らないっていうか、そのお母さんの友達っていう単語が出てきて、もうそこからもう疑いのスイッチが入り出すと止まらなくなる感じですね。
そうですね。息子がおじさんって言うんですけど、そのおじさんって誰だってなるんですよ。
でもどうしてお父さんはあのおじさんのこと好きじゃないのって聞かれて、いや、おじさんのことよく知らないんだよって答えてる。
まあその感じであるんですけど、これ結局そのロバージー、浮気を疑うけど、これキャッシーが実際浮気してるかどうかは分からないですよね。
そうですね。そこまでは明かされてないですよね。
それをなんか疑う状況が続いてくっていうか、まあ実際これ短い話なんですけど、30ページくらいか。
その間のたぶん半分くらいから浮気を疑いだして行動していくけどつかめないままで、結局その行動が息子との関係をギスギスさせちゃったりとか、
なんか自分が思ってたようにうまくいってないっていう、なんかすごく絶好調だと思ったけど全然うまくいってないじゃん。
俺の人生みたいになっていく感じが。なんかすごく辛い。
あんまりロバージー視点で描かれてるから、これもしかして、まあ自分私読んでて思ったのはこのロバージーの結構自分勝手さみたいなところが妻と息子をこう、なんていうか、距離を置かせしまったんじゃないかなとか。
それはちょっと思っていて、ワールドエンドの街で、なんかその自分たちってただ幸せに家族3人で孤立して生きてきただけだと。
ロバージーはそれで満足してたけども、なんか奥さんとか息子は知り合いのいないこの状況っていうのがね、果たしてどう思ってたんだろうっていうのがありますしね。
そうですね。このワールドエンドに行くっていう決断をしたのはロバージーですもんね。そのね、妻とこの気持ちがついてきてなかったんじゃないかなみたいな。
そうですね。なんか一番最初の一行目と最後の一行が、ほんとすごいなんかジェットコースターみたいな感じですよね。
幸福な男からの、まあ最後に自分たち3人はすっかり損なわれ失われてしまったのだっていうので終わってるんですけど、そこまでの過程っていうかこの落ちてく感じがすごい。
で、表現がいろいろうまいですね。話の出し方とか。
そうですよね。ほんとグイグイ読ませてくれますよね。
面白いです。すごい悲しい話なんだけど。
そうなんですよね。だってやっぱすごいセリフとかもね、めっちゃいいんですよね。
個人的にはこの妻のキャッシーのセリフが、ほんとこれはもう映画みたいな。
ああ、なるほど。
まあこの息子のリチャードっていう、映画のキャラっていそうな感じなんですけど、2人のセリフがすごいいいんですよね。
ロバージーをなんていうのかな、もうあっさりと突き放すような言葉使い。
距離感があるのがすごい。
そうなんですよね。
この本当に結構辛かったのは、お土産は持って帰ってくるじゃないですか、出張から帰った後。
リチャードはそれを、なんかあんまりどうでもよく思ってる感じが、喜ばない感じがちょっと辛いですよね。
いや、そうですよね。少なくともこのロバージーシテンって書いてる小説では、
この奥さんと息子が何ひとつ期待に応えてくれないっていう、この奥さんのセリフすべてがもう冷めてるんですよね。
だからこれ、なんかその浮気してるしてないじゃないですよね。もう完全に心が冷めちゃってますもんね。
私はなんかしてないんじゃないかなって思ってます。たぶん。そのおじさんがなんだかわかんないけど。
僕は読んでて印象的だったのが、このロバージーが奥さんの浮気を疑うんですけど、
男の影が見えた時に、やっぱり自分の持ってるコンプレックスっていうのが出てくるんですね。
もともとアメリカで生活が大変だから、なんとか生きるためにロンドンに引っ越してきたっていうのがあるんですけど、
そこでやっぱりロバージーってコンプレックスを持っていた人なんだなっていうのが思い出されて、
その奥さんが脇相手かもしれない男を想像するんですけど、それは自分にないものですよね。
中年のミドルクラスの人で、裕福な男性で、しかもイギリス人であるだろうと。
ネクタイもしっかりしているんだろうと。そこを想像するっていうところがすごい切なかったですね。
これもあれですもんね。情報としてはネクタイを締めてるっていうだけしかないのに、中年かどうかもわかんないし。
裕福かどうかもわかんないですけど。
そっからの妄想がすごい。想像が止まらない感じが追い詰められてる感がすごい。
そうですよね、本当に。結構ロバージーが思い込みがちょっと激しいっていうか、自分勝手っていうところがやっぱりあったのかなっていうのがね。
たぶんこのロバージーに限らずなんですけど、結局たぶん慣れない環境とかに行くとこうなっちゃいますよね、人って。
視野が狭くなるっていうか、あまり周りのことが見えなくて、余裕がなくなるから、悪い方に考えだしたら止まらなくなる感じっていうのはちょっと。
それによって幸せになれることもあれば、その幸せが実はそうではなかの変化っていうのがやっぱり起こりやすいのかなと思いましたよね。
じゃあ次に緑したたる島という、これ一番最後に入っている短編のお話をしたいんですが、ちょっと私の方からあらすじを簡単にお伝えしたいと思います。
これプエルトリコに逃げてきた男女の話です。
2人はまだ若くて、燃え上がった声が終わった後に妊娠が発覚してしまった2人になってます。
なので周囲からいろんな目で見られるかもしれないと思って、両親からも何も言われないプエルトリコに2人で逃げてきました。
これもともとアメリカかな?アメリカの2人ですか。
なんていうか、そこにはもう2人の愛はなくて、ただそこに妊娠っていう事実がある。
それに関して戸惑っている2人です。
国社のプエルトリコにうんざりしながらも、徐々にその環境に慣れていきます。
時間が経ち、女性の方のお腹はどんどん大きくなっていき、そして2人の資金はなくなり、得円もいけなくなっていきます。
生活のために、リバルっていう男なんですけど、リバルはホテルのレストランに勤務するようになる。
彼にはちょっとサッカーになりたいっていう夢があったんですけど、今回のことで諦めつつあります。
女のポーラも学べたいことがあったんですが、諦めなければならない状況に追い込まれていきます。
結婚もしないで、2人はただ現実から目を逸らし続ける、という話になっています。
めっちゃ名作だと思います。
ですよね。よかった。これちょっと三枝さんに気に入ってもらえるかどうかちょっと不安ではありました。
最初選んだとき。
これね、収録作品8作の中で一番最後にあって、この緑滴る島だけ結構長い、中編みたいなね。
100ページぐらいあるんですよね。
そうです。100ページ近くあるのかな。
他はね、短いのだと12、3ページぐらいから、30ページか40ページぐらいなんですけどね。これだけ長いんですよね。
やっぱりこれは引き込まれましたね。
単純に話として面白いっていうのが、やっぱりポルセロらしいというのか、だんだん絶望していくような話になってくる。
ホテルでの給料ですね。
金は食べていくには十分だったが、自由飲みになるには不十分だった。
かつて貧乏の巨峰が彼を追い詰めたよりも、もっと完全に給料が彼を追い詰めていたっていう文章があって。
仕事をするしかないけれど、その仕事がもらえる給料で自由になれるわけではなくて、生活するのにいっぱいいっぱいだから。
さらにそれがこの二人を追い詰めていくっていうのが、時間だけ経っていくっていうのがすごいリアルだなと思って。
そのせいで仕事以外のことができなくなる。
ちょっとわからないですけどね、これは頑張れば物を書けたのかもしれないけど、
でも物を書くのをしなくなっているリヴァルっていうのはやたらリアルだなって思いましたね。
リヴァルも多分、作家になりたいって思ってた時って、
リヴァルのレストランに就職すると稼がないといけないっていう。
レストランの仕事を優先してしまったっていうところが。
でもすごいリアルって分かりますよね。
自分がこうやりたいことあるんだけど、目の前のことをやってたら時間経っちゃったりとか。
本当にそれを成し遂げたいなら、わずかな時間とかどうにか捻出してそれに捧げると思うんですよ。
でも実際なかなかそれってできなかったりするっていうのはすごくリアルだなって思いました。
感情としても。
みえさんなんか印象に残ったとこあります?
そうですね。ちょっと話の本筋とは違うんですけども、
どういう土地なのかっていう説明をされていて、
その中で始まって、比較的すぐのところで、
リヴァルとポーラがたどり着いたプエルトリコで、
そこにはいろんな人たちが住んでるんですけど、道でもいろんな人たちが物を売ったりしていて、
その中でやたらありえないぐらい怒鳴ってる老女がいて、
その人は何やってるかっていうと、ただ宝くじを売ってるだけなんですけど、
その話とかもすごい面白くて、
プエルトリコ感をすごい感じますよね。
そうそう、すごい感じるんです。
でもその怒鳴る必要っていうのが実はあったと。
それは商売がたき、ほんと小さい人が、
ちょっとこれ障害者の方やと思うんですけど、
っていうのが同じく宝くじを売っていて、
人はみんな障害のある人から買ってしまうと。
なんか原価付じゃないけど、そっちから買った方が当たるんじゃないかみたいな。
そうそうそう。
老女は宝くじ売るにはアピールしないといけないので、
ありえないぐらい怒鳴っている。
これ多分ですけど、ポルセロって結構いろんな旅をしてた人なんで、
たぶん実際見た風景なんじゃないかなって私は思いました。
いや、おそらくそうでしょうね。
実際こういうのって想像じゃ描けないですもんね。
そうですね。
この老女いたんだろうなって思いますね。
本当そうですし、実際その商売がたきでたぶんいたんだろうなっていう。
ちょっとこれ本題から外れちゃうんですけど、
ポルセロの文章を読んでると強烈にイメージできる箇所ってないですか?