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2020-08-31 29:26

第12回「ワールズ・エンド(世界の果て)」ポール・セロー著 ~異国の地、居心地の悪い場所~

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【今回の紹介本】 

■『ワールズ・エンド(世界の果て)』ポール・セロー著 村上春樹訳 中央公論新社

 今回第12回目でご紹介するのはポール・セロー著、村上春樹訳『ワールズ・エンド(世界の果て)』です。

 中央公論新社 村上春樹 翻訳ライブラリーから出ています。

 【番組内で紹介したトピック】

 ■『ワールズ・エンド(世界の果て)』ポール・セロー著 村上春樹訳 中央公論新社 

https://honto.jp/netstore/pd-book_02931449.html

 ■『鉄道大バザール』ポール・セルー著 阿川弘之訳 講談社文芸文庫※ポール・セローはボール・セルーとも訳されます。 https://www.amazon.co.jp/dp/4062901684 

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【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

00:04
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。お相手は、私小説が好きの可愛いのダイチと、
水上めぐるカフェのミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。お互いの紹介に関しては、第0回で話しているので、そちらをお聞きください。では早速ですが、今回紹介する本をお伝えしたいと思います。
ポール・セローが書いたワールズエンド、世界の果てになります。中央航路新社から出版されていて、翻訳は村上春樹さんがされています。
私の方から筋をお伝えしたいと思います。雨のロンドン、国書のプエルトリコ、世界のどん詰まりで戸惑う人々の悲劇と喜劇、アメリカ文学界の遺材ポール・セローの奇妙で痛快、尋常ならざるエネルギーに満ちた短編集、村上春樹ライブラリーのために開訳となっております。
ちょっと発足をすると、これは2007年に村上春樹さんが翻訳ライブラリーで登場したんですけど、もっと前に実は訳されていて、それを久しぶりに開訳したような形になっています。
解説を読むと村上春樹さんの初期の翻訳らしくて。 そうですね、80年代に翻訳されてましたので。
おそらくなんですけど、あんまり売れなかったんじゃないかなっていう。これ現状私あんまり読んだって人いなかった。もちろんポール・セローのワールドエンド読みましたかっていろんな人に聞いてるわけではないので、三枝さん読んでなかったし、存在自体はどうでしたか?
ポール・セローの名前は聞いたことがあったんですけど、読むのは本当今回初めてで、この周りでも聞いたことないですね。
私これ1回いつ買ったんだろう?2007年に買ったのかどうかちょっと記憶が定かじゃない。新刊で出てた瞬間ぐらいに買ったのかちょっと定かではないんですけど、結構タイトル良くてちょっと面白そうだなと思って買ったのは覚えてます。
で、私実はこれ1回交換買いで出しちゃったんですよね。で、ちょっと後悔して買い直したっていう経緯が。これ読書メーターの登録数が330ぐらいだったんですよ。さっきちょっと調べたら。
で、レイモンドカバーの大聖堂とかは1000超えてるんで、この数字だけちょっと判断しにくいんですけど、あんまりやっぱり知名度とか読んでる人多くないのかなっていう印象。
なのでちょっと今日話す漢字からもしちょっと興味を持って読んでくれたら、すごい面白い書き方なんで、読んでもらえたらありがたいと思ってます。
確かにちょっとSNSで調べるとあんまり話題になってないんですけども、面白さで言うとこれはちょっと紹介したいなぁと。
そうですよね。
しかもこのポールセローがほとんど旅行作家として知られているみたいで、なんかアメリカの沢木幸太郎的なみたいなんですよね。
03:12
鉄道大バザールっていう、ローカルの鉄道で世界を旅するっていう本の話で。めっちゃ面白そうです。
この鉄道大バザールも読みたいんですけど、もう絶版なのかわからないですけど、新漢字もなさそうな感じですね。
そうですよね。出て欲しいんですけどね。
古本屋で見つけたら絶対買おうって感じ。
僕ちょっと思ったんですけど、本当沢木幸太郎さんの深夜特急とか好きな人は、多分このポールセローのワールズエンド、今回紹介する小説も好きになれるんじゃないかなって思ったりしましたね。
私沢木幸太郎読んでないんで、読みたいんですけど、すごい読みたいんですけど、みんないいって言うから読みたいんですけど。
で、これ9作入っているんですけど、その中から2本だけ選んでお話したいな、ちょっと全部話すと時間が結構いっちゃうので。
で、もともとこれ原書は15本あったみたいなんですよ。
その中から村上晴樹さんが日本の方々に紹介しやすいものを9本選んで翻訳したのが、このワールズエンドの短編集になっているんですけど、さらにそこから私はちょっと今日2作選んで話したいと思います。
で、選ぶのは表題作で一番最初に入っているワールズエンド世界の果てっていうのと、一番最後の緑滴る島っていう、これプエルトリコの舞台の話があるんですが、そちらをちょっとご紹介したいと思います。
ちょっと最初に一応全体の感じをちょっとお伝えしたいなと思ってまして、全体としてはですね、これはなんというか、基本的にこの9作品どれも異国の地で慣れない環境に中に放り込まれてしまったりとか、行くことになってしまった人々が、
その中で馴染めないままでいたりとか、追い詰められてしまったりとかして、なんというかあまり良い目に合わない人たちに焦点が当てられた小説です。
周り知らない人に囲まれたりとか、慣れない環境の中での居心地の悪さとか疎外観というものが主題になっている小説で、その感じをすごくリアルに描いているので、そこがものすごく面白い短編集になっています。
じゃあちょっとワールズエンドを行きたいと思うので。
そうですね。では、ワールズエンド、世界の果て、これ表題にもなっている短編なんですけども、まずそのあらすじを簡単に紹介したいなと思います。
あらすじはアメリカからイギリス、ロンドンのワールズエンドという場所に執行してきた日課の話になります。
主人公の夫、ロバージは自分の人生が順調にいっていると思っていたが、6歳の息子と二人でたこあげに遊びに行った際、おじさん、お母さんの友達という言葉を聞いて、妻のキャッシーの浮気を疑うようになります。
06:00
浮気のことを考えるようになると、それしか考えられなくなり、妻が浮気をしているとだんだん確信していくようになります。
あえて急な主張を入れて息子に見張るように頼んだんですけども、ロバージが危機に迫るような空気感で息子に頼み事をしてしまったというのもあって、ちょっと嫌われてしまって、ロバージが妻と息子から見張らされたように感じてしまいます。
ロバージは自分の人生がワールズエンドに来たことによって順調だと思っていたのに、それが損なわれているということに気づく、そんな小説になります。
ありがとうございます。これまず、ワールズエンドっていうのが、地名っていうのが面白いですよね。
こんな名前、どっか実際にあるんですよね。
ある。実際にある。ロンドンの。そこが何かの通りに終わりになっているのかな。その名前とこの作品のリンク感が。
いや、そうですよね。これは確かに。
この作品今ちょっとあらすじにもあったんですけど、なんかこのロバージっていう主人公の視点で描かれるんですけど、最初の1ページとかめちゃめちゃ俺成功してるぜみたいな。
そうなんですよね。もともとアメリカにいたんですけど、もう一か八かで引っ越してきて、仕事で成功を収めた。
で、なんか妻もなんかイキイキしだしてるしみたいな感じで、これがちょっと伏線でもあるんだと思うんですけど、してるし、なんかすごいいいじゃんみたいな、自分みたいな感じで始まるんですけど、
なんかもう陽気に息子と二人でたこあげの遊びに行ったら、そこで息子からちょいちょいいろんな話が出てきて。
そうですね。なんか息子が普段使わないような言葉遣いを使ったりとか、なんかやけにたこあげに詳しかったりとかして、気づくんですよね。
あれ、こいつここ初めてじゃないぞみたいなとか、もう何回もここに来てたこあげやってるぞとか、なんか知らないっていうか、そのお母さんの友達っていう単語が出てきて、もうそこからもう疑いのスイッチが入り出すと止まらなくなる感じですね。
そうですね。息子がおじさんって言うんですけど、そのおじさんって誰だってなるんですよ。
でもどうしてお父さんはあのおじさんのこと好きじゃないのって聞かれて、いや、おじさんのことよく知らないんだよって答えてる。
まあその感じであるんですけど、これ結局そのロバージー、浮気を疑うけど、これキャッシーが実際浮気してるかどうかは分からないですよね。
そうですね。そこまでは明かされてないですよね。
それをなんか疑う状況が続いてくっていうか、まあ実際これ短い話なんですけど、30ページくらいか。
その間のたぶん半分くらいから浮気を疑いだして行動していくけどつかめないままで、結局その行動が息子との関係をギスギスさせちゃったりとか、
なんか自分が思ってたようにうまくいってないっていう、なんかすごく絶好調だと思ったけど全然うまくいってないじゃん。
俺の人生みたいになっていく感じが。なんかすごく辛い。
あんまりロバージー視点で描かれてるから、これもしかして、まあ自分私読んでて思ったのはこのロバージーの結構自分勝手さみたいなところが妻と息子をこう、なんていうか、距離を置かせしまったんじゃないかなとか。
09:06
それはちょっと思っていて、ワールドエンドの街で、なんかその自分たちってただ幸せに家族3人で孤立して生きてきただけだと。
ロバージーはそれで満足してたけども、なんか奥さんとか息子は知り合いのいないこの状況っていうのがね、果たしてどう思ってたんだろうっていうのがありますしね。
そうですね。このワールドエンドに行くっていう決断をしたのはロバージーですもんね。そのね、妻とこの気持ちがついてきてなかったんじゃないかなみたいな。
そうですね。なんか一番最初の一行目と最後の一行が、ほんとすごいなんかジェットコースターみたいな感じですよね。
幸福な男からの、まあ最後に自分たち3人はすっかり損なわれ失われてしまったのだっていうので終わってるんですけど、そこまでの過程っていうかこの落ちてく感じがすごい。
で、表現がいろいろうまいですね。話の出し方とか。
そうですよね。ほんとグイグイ読ませてくれますよね。
面白いです。すごい悲しい話なんだけど。
そうなんですよね。だってやっぱすごいセリフとかもね、めっちゃいいんですよね。
個人的にはこの妻のキャッシーのセリフが、ほんとこれはもう映画みたいな。
ああ、なるほど。
まあこの息子のリチャードっていう、映画のキャラっていそうな感じなんですけど、2人のセリフがすごいいいんですよね。
ロバージーをなんていうのかな、もうあっさりと突き放すような言葉使い。
距離感があるのがすごい。
そうなんですよね。
この本当に結構辛かったのは、お土産は持って帰ってくるじゃないですか、出張から帰った後。
リチャードはそれを、なんかあんまりどうでもよく思ってる感じが、喜ばない感じがちょっと辛いですよね。
いや、そうですよね。少なくともこのロバージーシテンって書いてる小説では、
この奥さんと息子が何ひとつ期待に応えてくれないっていう、この奥さんのセリフすべてがもう冷めてるんですよね。
だからこれ、なんかその浮気してるしてないじゃないですよね。もう完全に心が冷めちゃってますもんね。
私はなんかしてないんじゃないかなって思ってます。たぶん。そのおじさんがなんだかわかんないけど。
僕は読んでて印象的だったのが、このロバージーが奥さんの浮気を疑うんですけど、
男の影が見えた時に、やっぱり自分の持ってるコンプレックスっていうのが出てくるんですね。
もともとアメリカで生活が大変だから、なんとか生きるためにロンドンに引っ越してきたっていうのがあるんですけど、
そこでやっぱりロバージーってコンプレックスを持っていた人なんだなっていうのが思い出されて、
その奥さんが脇相手かもしれない男を想像するんですけど、それは自分にないものですよね。
中年のミドルクラスの人で、裕福な男性で、しかもイギリス人であるだろうと。
ネクタイもしっかりしているんだろうと。そこを想像するっていうところがすごい切なかったですね。
12:06
これもあれですもんね。情報としてはネクタイを締めてるっていうだけしかないのに、中年かどうかもわかんないし。
裕福かどうかもわかんないですけど。
そっからの妄想がすごい。想像が止まらない感じが追い詰められてる感がすごい。
そうですよね、本当に。結構ロバージーが思い込みがちょっと激しいっていうか、自分勝手っていうところがやっぱりあったのかなっていうのがね。
たぶんこのロバージーに限らずなんですけど、結局たぶん慣れない環境とかに行くとこうなっちゃいますよね、人って。
視野が狭くなるっていうか、あまり周りのことが見えなくて、余裕がなくなるから、悪い方に考えだしたら止まらなくなる感じっていうのはちょっと。
それによって幸せになれることもあれば、その幸せが実はそうではなかの変化っていうのがやっぱり起こりやすいのかなと思いましたよね。
じゃあ次に緑したたる島という、これ一番最後に入っている短編のお話をしたいんですが、ちょっと私の方からあらすじを簡単にお伝えしたいと思います。
これプエルトリコに逃げてきた男女の話です。
2人はまだ若くて、燃え上がった声が終わった後に妊娠が発覚してしまった2人になってます。
なので周囲からいろんな目で見られるかもしれないと思って、両親からも何も言われないプエルトリコに2人で逃げてきました。
これもともとアメリカかな?アメリカの2人ですか。
なんていうか、そこにはもう2人の愛はなくて、ただそこに妊娠っていう事実がある。
それに関して戸惑っている2人です。
国社のプエルトリコにうんざりしながらも、徐々にその環境に慣れていきます。
時間が経ち、女性の方のお腹はどんどん大きくなっていき、そして2人の資金はなくなり、得円もいけなくなっていきます。
生活のために、リバルっていう男なんですけど、リバルはホテルのレストランに勤務するようになる。
彼にはちょっとサッカーになりたいっていう夢があったんですけど、今回のことで諦めつつあります。
女のポーラも学べたいことがあったんですが、諦めなければならない状況に追い込まれていきます。
結婚もしないで、2人はただ現実から目を逸らし続ける、という話になっています。
めっちゃ名作だと思います。
ですよね。よかった。これちょっと三枝さんに気に入ってもらえるかどうかちょっと不安ではありました。
最初選んだとき。
これね、収録作品8作の中で一番最後にあって、この緑滴る島だけ結構長い、中編みたいなね。
100ページぐらいあるんですよね。
そうです。100ページ近くあるのかな。
他はね、短いのだと12、3ページぐらいから、30ページか40ページぐらいなんですけどね。これだけ長いんですよね。
やっぱりこれは引き込まれましたね。
単純に話として面白いっていうのが、やっぱりポルセロらしいというのか、だんだん絶望していくような話になってくる。
15:02
なんかもうどん詰まっていく話ですよね。
そうですよね。
あんま先のことを想像すると絶望しかないというか。
幸せにならないこの2人の感じがすごい見えちゃう話で。
そうですよね。なんか状況が悪いからプエルトリコに逃げてきたっていうね。
完全に現実逃避ですよね、プエルトリコ。
そうですよね。
そのプエルトリコの描写もすごい良くて、良くてっていうかリアルで異国の時間が。
虫のとこびっくりしませんでした?そんな感じですか?
そうです。結構虫苦手な人はちょっと嫌だろうなと思いました。
いきなり結構ゴキブリでしたっけ?最初の方。
家にゴキブリが結構出るんですよね。
徐々にそれに慣れちゃったりとかする感じとかもすごい。
その辺も2人のどん詰まっていく感じとクロスしてて。
しかもめっちゃ暑いんですよね、プエルトリコって国庁で。
匂いもきついだろうし、街もちょっと汚いのかなという。
でしょうね、これは絶対。
本当に居心地の良い場所っていうのが家にもないし、街にもないし、どこにもない。
その2人がどんどんこの中で孤立っていうか、それを求めてきたと思うんですけど。
誰からも何も言われたくないと思ってきたけど。
こういう状況になると結構辛いんだろうなっていうのは。
余計厳しい現実にたどり着いてしまったっていう。
妊娠のこととか、整体しない感じが逃げ続けてる。
主人公、基本ちょっとリバルの視点が多いのかな。
ポーラのから見た話ってのもあるんですけど、基本リバルが主体になって話は進んでいくんですけど。
リバルっていうのは19歳で、まだ結婚なんて考えられないしっていうところで。
もうここまで来たら結婚するのかなとか、ちょっと考えると思うんですけど。
そこを全く考えない。
ポーラもそうなのかな。
ポーラも妊娠さえしなければ自分の夢をみたいなところがあるから、ちょっとそこで逃げ続けてる。
リバルはこのサッカーになりたいっていう夢があって。
この妊娠さえしなければ絶対なれるみたいな。
19歳なんで多分そう思ってるんですけど。
多分おそらくなんですけど、リバルそんな大した人間じゃないんですよね。
そうですね。なんか一回ね、新聞社に。
ベルトリコの新聞社にね。
編集者の人に原稿を渡しに行ったんですけど。
一応読んでもらったんですけど、何も反応なかったんですよね。
もうそれで預かって終わっちゃったっていうか。
もちろんそれが新聞に載ることはなく。
本当はなんか物を書きたいと思ってるけど。
このホテルのレストランにいて、とりあえず生活のために働きだすんですけど。
そこですごい私、すごいリアルだなって思ったのは、
18:00
ホテルでの給料ですね。
金は食べていくには十分だったが、自由飲みになるには不十分だった。
かつて貧乏の巨峰が彼を追い詰めたよりも、もっと完全に給料が彼を追い詰めていたっていう文章があって。
仕事をするしかないけれど、その仕事がもらえる給料で自由になれるわけではなくて、生活するのにいっぱいいっぱいだから。
さらにそれがこの二人を追い詰めていくっていうのが、時間だけ経っていくっていうのがすごいリアルだなと思って。
そのせいで仕事以外のことができなくなる。
ちょっとわからないですけどね、これは頑張れば物を書けたのかもしれないけど、
でも物を書くのをしなくなっているリヴァルっていうのはやたらリアルだなって思いましたね。
リヴァルも多分、作家になりたいって思ってた時って、
リヴァルのレストランに就職すると稼がないといけないっていう。
レストランの仕事を優先してしまったっていうところが。
でもすごいリアルって分かりますよね。
自分がこうやりたいことあるんだけど、目の前のことをやってたら時間経っちゃったりとか。
本当にそれを成し遂げたいなら、わずかな時間とかどうにか捻出してそれに捧げると思うんですよ。
でも実際なかなかそれってできなかったりするっていうのはすごくリアルだなって思いました。
感情としても。
みえさんなんか印象に残ったとこあります?
そうですね。ちょっと話の本筋とは違うんですけども、
どういう土地なのかっていう説明をされていて、
その中で始まって、比較的すぐのところで、
リヴァルとポーラがたどり着いたプエルトリコで、
そこにはいろんな人たちが住んでるんですけど、道でもいろんな人たちが物を売ったりしていて、
その中でやたらありえないぐらい怒鳴ってる老女がいて、
その人は何やってるかっていうと、ただ宝くじを売ってるだけなんですけど、
その話とかもすごい面白くて、
プエルトリコ感をすごい感じますよね。
そうそう、すごい感じるんです。
でもその怒鳴る必要っていうのが実はあったと。
それは商売がたき、ほんと小さい人が、
ちょっとこれ障害者の方やと思うんですけど、
っていうのが同じく宝くじを売っていて、
人はみんな障害のある人から買ってしまうと。
なんか原価付じゃないけど、そっちから買った方が当たるんじゃないかみたいな。
そうそうそう。
老女は宝くじ売るにはアピールしないといけないので、
ありえないぐらい怒鳴っている。
これ多分ですけど、ポルセロって結構いろんな旅をしてた人なんで、
たぶん実際見た風景なんじゃないかなって私は思いました。
いや、おそらくそうでしょうね。
実際こういうのって想像じゃ描けないですもんね。
そうですね。
この老女いたんだろうなって思いますね。
本当そうですし、実際その商売がたきでたぶんいたんだろうなっていう。
ちょっとこれ本題から外れちゃうんですけど、
ポルセロの文章を読んでると強烈にイメージできる箇所ってないですか?
21:00
そうですね。結構リアルにイメージできちゃうんですよね。
なんかもうその映像がバッて入ってくるような。
たぶんそれポルセロが実際に見たことを取り込んでるんだと思うんですよね。
そうですね、たぶん。
読ませる力がすごいっていうか。
たぶんこの緑してたる島だと統計のシーンが私そうだと思ってるんですよ。
後半なんですけど、鳥が戦う文化っていうか統計っていうのがプレイルートリコだって、
まあ賭け事なんですけど、どっちの鳥が勝つのか戦わせて賭けをするんですけど、
結構盛り上がっててこれが。
片方がボコボコにされて負けるじゃないですか、これ。
その感じとかすごいリアルだった。
そうですね、結構グロテスクですよね。
グロテスクですよね。
面白いところっていうと、ホテルでユバルが働くんですけども、
ホテルで就職するところから実際働いて、
最後はホテルのレストラン自体ちょっとこの先大丈夫だろうかと思わせる場面になるんですけど、
その一連の話が結構面白いんですよね。
わかる。
最初の就職のところも、なんかケリーっていうおじいさんが一緒にいて、
この適当なおじいさん何なんだと思ったら、
そのおじいさん結構大口を叩くというか、
自分はすごいぞって言ってて、
でも実際に意外と本当にすごかったというか、
あっさりと就職を決めちゃう。
ユバルも無事にレストランで就職が決まるんですけど、
そのハッタリを言ってると思うんですけど、
そのハッタリが通ってしまう感じというか、
面白かったですよね。
確かに、ケリーね。
ドアマンのプロ。
ドアマンのプロ。
あ、技能的ドアマンでねってケリーがそういうところがあって、
技能的ドアマンってなんだよとか思いながら。
でもなんか、この本読んでると結構それが評価されてるんですよね。
ちょっと面白いですよね。
面白いですよね。
そんなところですかね、なかなか。
そうですね。
闇鳥したたる島、ちょっとうまく話せたかどうかあれなんですけど、
個人的にはめちゃめちゃ面白い小説だなと思ったんで。
そうですね。
あんまり深いことを考えるよりかは、
単純にこの面白い話を読むだけでもいいと思いますね。
確かに。
感じるとこ多いけど、でもちゃんと運んでくれるように書いてるから、
読んでればいろいろ考えなくても、
てか考えてしまうところもあるんですけど。
もうちょっと話すと、
ディバルというかこの二人がお金がなくなっていく感じとか、
その時々でディバルとかポーラの夢がどんどん絞んでいく感じが、
最初何にもなられると思ってたのに、
いやどんどんどんどん絞っていくこの19歳のディバルが、
すごく感情がリアルで。
で、ちょっと他の短編7本あるんですけど、
24:00
いろんな、
ワールズエンドとか、
緑したたる島みたいに、
割と異国の地でどんどん思い通りに行かなくなったりとか、
嫌な気持ちを味わう話が多かったりするんですけど、
結構ユーモアな作品もあって、
文短遊泳術というワールズエンドの次に入っている2本目は、
口だけとか、
嘘800じゃないか、
大物作家と仲良くなっていく話だったりとかして、
これ結構コメディチックですごく面白いです。
あとは結構でも、
あれかな、
悲しい、
ちょっとお笑いもありつつ悲しい話が多いかな。
ですけどどれも細かくパンチが効いてて、
すごい記憶に残りますよね。
それが魅力的というかね。
だから私もこれもまた読みたくなっちゃったんだろうなと思いました。
誰かの手に渡ってしまった後、
後悔したんだよな。
もう一回読みたいだろうなと思って。
こういう本は手放しちゃいけないですね。
本当ですよね、確かに。
ということをちょっと勉強しました。
じゃあちょっとどんな人に読んでもらいたいかとか、
相互的な感想をちょっと話して終わりにしたいと思います。
ちょっといろいろ話せて伝わったとは思ってるんですけど、
結構自分は好きな作品なんですよ。
なんで好きかっていうと、
居心地の悪さみたいなのとか、
この疎外観とかをすごくリアルに描ける、
このポールセローっていうのはすごいなって思うし、
多分彼自身がいろんな国を旅してきて感じたことが凝縮されてるとは思うんですけども、
自分そんなにいろんな国を旅してるわけじゃないですけど、
リンクする部分があって、
別に旅とか異国に行かなくても、
なんか居心地の悪い場所っていうのは結構あると思うんですよ。
それがまあなんだろう、
世の中のこの瞬間とかだったりとか、
なんか初めて入ったのみ屋とか、
いろんな瞬間とかで、
なんかちょっと居心地悪いなとか、
なんか落ち着かないなみたいな感じって、
生活の中で感じることってあると思うんですね。
そういう風にリンクしていくところが多くて、
自分はすごく好きでした。
話自体もやっぱり面白いので、
なんていうか、
ハッピーエンドじゃないんですよ、ほとんど。
やっぱりそういうところがリアルだし、
自分の何かを確実に刺激してくるなって思ってるので、
好きです。
どんな人に読んでもらいたいかなって思った時に、
何か一定数、
ハッピーエンドな終わり方を求める人はいると思うんですけど、
そういう人には間違いなく、
ちょっとあまり向いてないなと思ってます。
逆にやっぱりこの、
自分が何かどこか居心地の悪さを感じたりとか、
瞬間がある人とか、
そういうのを言葉にできないけど、
何となく嫌なんだよなとか思ってる人には、
向いてるんじゃないかなと思います。
読んでて、
あ、この感じわかるってなると思います。
そういう、
自分じゃなかなか言葉にできないけど、
この小説が代弁してくれると思うので、
そういうことを感じる人にはおすすめですね。
三枝さんどうですか?
私はこんな感じです。
そうですね、
このワールドエンドすごい面白くて、
27:00
なんだろう、
不思議な魅力がある小説だなと思ったんですね。
読みやすいし、
面白いっていうのもあって、
でもハッピーな話ではないと。
人間とか社会の不都合な部分を書いてると思うんですけど、
それなのにやけに爽やかなんですね。
確かに。
この爽やかな感じが、
そうなんですよ。
これはちょっと珍しいなと。
確かに。
あんまり暗くはならないっていうか、
絶望はするんですけど、
でもね、
そんな世界、
絶望してしまうような世界なんですけど、
魅力というか、
面白さを感じることができたので、
単純に面白いし、
個性のある小説だなと思いました。
この本を読んでいる人に読んでほしいかなっていうと、
心に残る小説を読みたい人っていうのは、
確かに心に残るのかなと。
幸せな話ではないんですけど、
今回紹介したワールドエンドとか、
緑したたる島にしても、
すごい人間らしさというのはあって、
良くも悪くも。
なんで、すごい愛着っていうのが持てるんじゃないかと。
その印象に残る感じっていうのが、
あっさり読める小説なんですけど、
でもすぐには忘れることができない。
そんな自分の中には、
心に残る小説なのかなと。
確かに。
ありがとうございます。
じゃあ、
次回予告をちょっとさせてもらって、
今日は終わりにしたいと思います。
次回は休憩会を行きたいと思います。
一応3回に1回のペースってことなんですが、
ちょっと休憩会、
実はこの後収録するんですけど、
東京と京都の話をしたいなと思ってます。
お互いちょっと東京と京都なので、
私が京都の話を聞いて、
みなさんが東京の話を聞くみたいな感じになります。
そうですね。
番組の感想やリクエスト、
またこのラジオを聞いて紹介されている本を読みました、
みたいなことがあったり、
読み返しましたなどあったら、
ぜひですね、
ハッシュタグ空飛び猫たちをつけて、
教えていただけると嬉しいです。
やっぱりこれ自分たちのラジオを聞いて、
読みましたみたいなのがあると、
すごい嬉しいなって最近ちょっと思っているので、
ぜひ教えていただけると助かります。
ツイッターやインスタのDMやリプライなどで、
お待ちしておりますので、
よろしくお願いします。
メールアドレスも番組情報欄に載せております。
積極的に拡大共有してあげると大変助かります。
では、ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
29:26

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