で、これはですね、昨年、亡霊の地という同じく早川諸坊から出てる作品紹介させていただきましたけれども、あのめちゃくちゃ面白くて、今年読んだ本で私ナンバーワンだったなっていう本だったんですけど、
まあそのケビンチェンさんのですね、翻訳がまた出るということですごく嬉しかったんですが、たまたまね、梅屋敷ブックフェスタ、あのヨーヨーシタさんがやってる梅屋敷ブックフェスタで翻訳されたシロウズノリコさんとちょっとお会いして、
ちょっと私がですね、ちょっと亡霊の地がめちゃめちゃ良かったんです、台湾ではっていう話をしたら、本当これたまたまだったんですけど、もうちょっとで私が翻訳したケビンチェンさんの本出ますよっていう話をいただいて、
え、本当ですかってなって、え、もうめちゃくちゃ楽しみにしてます。で、その時は終わったんですけど、その後ね、ちょっとメールいただきまして、あの良ければ検本させてくださいということで、もう願ってもないお話いただきまして、
もうちょっと2つ返事で、お願いしますと答えさせていただいて、で、今回ちょっとあの検本していただいた本をちょっと今回紹介させていただきます。
で、これは早川さんの台湾文学コレクションの3になりまして、ケビンチェンさんはこの前は多分違ったのかな、違うあの2つの2冊が続いていると思うんですけれども、
ケビンチェンさんの夏三部作という作品のこれが最後3部作目らしくて、去年紹介した亡霊の地が夏三部作の1作目となっていて、2作目のですね、翻訳されたいんですよね。
あー、で、2作目がフロリダ変身記という名前になるのかな、そうですね、なんか舞台がフロリダっていう。
こちらがまだ未翻訳だと思われて、で、今1作目と3作目が翻訳されているという形になっています。
で、ちょっとこれ収録しての8月末なんですけど、お届けできるのがちょっと9月の頭になってしまうと思うんですけれども、ちょっとですね、夏過ぎつつあると思うんですけど、これ夏に読んでいただきたいあの本でしたね。
そうです。
まあと言ってもちょっとなんかあの描写的にね、夏の描写が多いだけで、どの季節でも読めると思うんですが、で、亡霊の地もめちゃくちゃ良かったんですけど、二階の良い人もですね、めちゃめちゃ良い作品でしたね。
ちょっとまたすごい作品に出会ってしまったなと思っていて、これはちょっと読後の開放感がかなり良くて、ちょっと自分としてはですね、今このタイミングで読めて良かったなってちょっと思っています。
結構何かに悩んでいる人とか、囚われている人が読むと多分めちゃくちゃ刺さる一冊だと思うので、こうなんかモヤモヤを抱えている人はですね、ぜひ読んでいただきたい一冊ですね。
僕はちなみに二階の良い人は何か今年ベストになるかもってちょっと思いましたね。
なるほど。
いやそれぐらいすごい良かったですね。
うんうんうん。
いやもうキョナルは、亡霊の地からこのケビンチェンさんのこの才能が、なんかすごいもう天才的な作家さんだと思っていてですね、なんかその本当に才能がもうやっぱり二階の良い人でもすごく出ていると思いまして、
まあ何をもって才能とするかですよ。難しい話なんですけど。理屈では説明しづらい、このなんか芸術的なこの描き方というか、そういうのがもう溢れていてですね。
で、亡霊の地より今回の二階の良い人の方がエンタメ色強いので、もしケビンチェンさんの作品を初めて読む人はこっちの方がハマるんじゃないかなとは思いましたね。
確かにね。
読みやすさとか、そういったところとかエンタメ性というところですね。やっぱり一つ一つのエピソード、本当にこの小説の中でたくさんのエピソードがあるんですけど、どれも面白くて夢中で読んでいけました。
それとですね、今回ベルリンと台湾の地方都市が主な舞台なんですけども、この台湾の地方都市というユアンリンというところが結構マジックリアリズム的な要素があってですね、100年の孤独を読まれた人とかそういうのが好きな人。
日本のだと小川さとしさんの地図と拳とかもそうだと思うんですけども、なんかそういうですね、ちょっと現実と想像がミックスされたようなちょっと怪しい世界観とかそういうのが好きな人はですね、もうこれを2階の良い人もかなり好きになるんじゃないかなとは思いましたね。
ああなるほど確かに。これ確かに亡霊の地よりも読みやすいかもしれない。エンタメ色が強いっていう言い方を見えさせたけど、あともう一個あるのは登場人物が多いんですけど、メインどころが少なくて、主に姉と弟の話に修練していくので、亡霊の地ってね、何姉妹?4人ぐらい姉妹がいて。
6姉妹か。
6姉妹か。
6人何人とかそうですよね。
いたよね。で、それぞれに結構濃いエピソードがちゃんとあって、それはそれですごい面白いんですけど、確かにちょっと話としてはちょっと盛りだくさんな感じはするんですけど、今回はね、姉と弟っていう2人のキャラクターに集中していくので、そういう意味では読みやすさもあるかなとちょっと思いましたね。
ああ確かに。そうですね。確かに登場人物が絞られてるっていうのは読みやすいところだと思いますしね。
ただ実際出てくる人物はめちゃめちゃいますね。
めちゃめちゃいますね。
ちょっと著者のケビンチェンさん、チェンスーフォンさんのお話をしたいと思います。彼はですね、1976年台湾の結構田舎ですかね、農家に生まれて求人しての末っ子として生まれています。
彼の作品はですね、結構末っ子党とか出てくるんですけど、この辺りが自身の経験と結びついているのではないかなと思います。
大学で英文系を卒業後、台湾大学技劇研究所で演劇学を学び、俳優としても活躍。2002年短編集で作家デビューして、その後精力的に短編長編エッセイを書いてきました。
2019年に刊行された「亡霊の地」、これは我々が昨年紹介した本ですね。台湾の文学賞などを受賞しています。
亡霊の地から始まる夏産部作の3作目にあるこの2階の良い人も同じく台湾の文学賞を受賞しています。
そして彼自身は2004年からベルリンに在住ということです。もう20年ぐらいベルリンにいらっしゃいますね。
亡霊の地も今回の2階の良い人もベルリンと台湾が出てくる作品になってきますね。
そういうところなのでちょっと具体的に話に入っていきたいと思います。
まずですね、刊元のホームページからちょっと引用したいと思います。
現代の台湾を舞台に時代と共に移りゆく家族の形とセクシュアリティを見つめる物語。
ベルリンの弟の家にやってきた台湾の高校教師。
不慣れない外国に戸惑う日々の合間、彼女は病院を営んだ亡き母の顧客名簿をめくり古い記憶をたどる。
貧しい一家は母の裏の商売のおかげで生き延びたのだが、疎外感を抱き生きてきた女性が出会う一夏の物語となっております。
ざっくり今の台湾とベルリンが舞台になっていて、姉と弟の話だな、
あと亡くなった母っていうのがちょっと絡んでくるんだなってわかると思うんですけれども、
具体的にこの作品いろいろ語りたいところがあるので話していきたいと思います。
今回ですね、結構ネタバレはしない方がいいと思っているので、そこはかなり配慮して話していきます。
なので結構ぼやかす部分が多いかなと思うんですけれども、
ちょっと正直ですね、これは本当に読んでいただきたい一冊で、かなり面白いので、
なんとかこのぼやかしつつ魅力を伝えていきたいなと思っています。
じゃあちょっとそんな感じで、作品の特徴をお話ししたいんですけど、
まずちょっと構想というか構成の話をさせていただきたいと思います。
その点でいうと、これパートが2つに分かれてるんですね。
なんていうか本編パートというか現代パートというか、何と言っていいのか、
姉か弟が支点になって、ちなみにこれ基本的な3人称なので、1人称じゃないんですね。
3人称の話です。
ただ姉がメインの支点になっているなという時と弟がメインになっているという支点の時があります。
基本的にはそのなんていうか本編と言っていいのかなというか、メインとなるパートが一つあって、
もう一つこの姉と弟の母が残した金色のノートがあるんですね。
それにまつわるパートがあります。
なのでそれがちょっと交互に話が展開していく形になります。
この金色のノートって何なんだという感じになると思うんですけど、
これは母の顧客メモのようなものが残されてるんですね。
母は美容院をやっていたんですけれども、その時特別なお客さんというか、
2階にあげて、2階のいい人という形でこの家族を呼んでいたんですけども、
ちょっとある普通の顧客とは違う顧客として扱っていました。
その顧客のメモが番号を付けて、名前は書いてないんですけど、
番号で1番からバーッと書いてあって、
これ多分顧客になった順番だった、単純に順番だと思うんですけど、
1番からメモが残っています。
なのでこの金色のノートのパートのところは割と過去、
この姉も弟も幼い時、母が美容院を営んでいた時のことがメインで語られるんですけれども、
完全な過去パートというわけじゃなくて、
ここはちょっとこの話の面白いところなんですけど、
その顧客に絡めて現在のことが語られたりするので、
完全な過去パートというわけではなかったりします。
話が徐々に見えてくるスタイルの小説が好きな人は結構ハマるんじゃないかなと思います。
ちょっと特徴をさらに進めると、
展開としてはその辺りがすごくうまいんですけど、
かなり緻密だし、
このケビンチェーンさんの才能が生きているところだなと思うんですけれども、
もう一個ですね、この作品で面白いというか重要だなと思うところは、
結構ですね、これ話としては結構重かったりするんですね。
姉はいろいろとらわれているし、
弟も同性愛なんですけど、
同性愛者で、とはいえベルリンで結構認められてはいるのかな。
とはいえ生きづらさを抱えていると思うので、
あとその弟と姉がうまくいかないというか、
久しぶりに、もう何十年ぶりに会った2人がぎこちなくしてしまうというところもあったりして、
結構話としては重くなりがちなんですけど、
でも随所にですね、結構コメディ要素というかユーモアがあったりして、
ちょっとですね、信じられないような展開をたまに見せたりするんですけども、
なんかそれがちょっと面白かったり笑えたりして、
しかもなんかそれをこう受け入れさせてしまうような文章の力があったりして、
かなりこのあたりはですね、ちょっと笑いながらもちょっと読める部分があったりします。
で、ちょっと合わせてここでちょっとお話ししたいのが、
このキャラクターの性格ですね。
結構ぶっ飛んだ人が何人か出てくるんですけど、
特にですね、主人公のこの姉、姉はですね、かなり年齢も結構いっていて、
独身だし、何というかかなり被害妄想というか歪んでしまっている、
悲観的な、人生を悲観的に捉えすぎてしまっていたりするタイプの方で、
かつ、あの実はあの高校教師でやってるんですけど、
生徒にですね、変なあだ名をつけられていじいられている、
かなり歪む要素はかなりある主人公です。
で、これ大元どうしてこんなに歪んでしまったのかみたいなのは、
この作品の中で描かれてはいくんですけれども、
そのあたりも含めてですね、結構この主人公っていうのはかなり歪んでいて、
で、その被害妄想だとか、あとその辺のストレスから結構ですね、
たまにやたら攻撃的になる時もあって、
あの読んでいてやばいだいぶぶっ飛んでいるキャラクターだなっていう印象を持つんですけれども、
私は読んでいて、うわちょっとやばいなって思う瞬間と、
感情移入してしまう瞬間が結構ですね、
ごちゃごちゃごちゃごちゃしてきて、このあたりはすごい引き付けられる主人公でした。
で、弟もですね、ちょっとストーリーでも触れるかもしれないですけど、
結構ベルリンに移って、そもそもめちゃくちゃ頭がいいんですね。
で、大学飛び級で入って卒業して、その後ベルリンに移動して、
大学の教授かなとかもやってるとかしていて、
小説家でもあって、その小説もですね売れていて、
もうかなりいい家に住んでいて、成功者みたいなイメージを前半持つんですけど、
でも彼は彼でやはりいろんなものを抱えている、囚われている部分があって、
姉に対してあまり素直になれないというか、あまりうまく話せなくなっている状況があります。
とはいえ弟はですね、歪んでしまっている感じはないんですけれども、
どうしていいかわからないみたいなものを抱いたりしている感じですね。
で、他にもいろいろキャラクターが出てくるんですけど、
ちょっとそうですね、なんか現地のドイツの方もそうだし、
あと母親ですね。この2人の母親も、
亡霊の地の時もそうだったんだけど、なんかお母さん毎回怖いんですよね。
なんて言っているのかな、なんか口が汚いというか。
亡霊の時のお母さんはマジで怖かったんですけど、
なんか暴力も振るうし、これも暴力振るう時あるんですけど、
亡霊の地ほどではないにしても結構怖くて、台湾のお母さんってこんな感じなの?
みたいなイメージを持ってしまうぐらいちょっと怖かったんですけど、
とはいえいろんな多面的な人で、もちろん優しさを見せる時もあったりするので、
記憶の中のお母さんっていうのも、ちょっといろんな目を持っている形になってますね。
この辺りが怖いレベル感になる時もあれば、なんか通り越して笑えるレベル感になったりする時もあったりして、
結構ユーモアのある小説だなと思いました。
あと最後ですね、ちょっとどうしてもお話ししたいところは、この小説のテーマですね。
今ちょっといろいろお話ししてきた通り、結構家族がメインのテーマになるんじゃないかなって、
ちょっと思われると思うんですけれども、これ結構いろんなテーマが内包されていて、
まず同性愛ですね。これベルリンでもデモの様子とか、台湾でもデモの様子が描かれたりするんですけども、
同性愛についていろんな感覚、意見を持っている人たちが出てきます。
それに対してもちょっと主人公の姉側はいろんな形で揺れる?揺れる?揺れるわけじゃないか。
弟が同性愛者だけれども、そのことに対してどう受け止めていいのかっていうところも多分出てきますね。
ここは直接的には描かれないんですが、結構周囲のことで多分描かれてきますね。
で、あと事故の解放っていうのは結構大きいテーマになっているんじゃないかなと思ってまして、
最後これ読み切った時にはですね、もうここがかなり刺さってきて、自分はかなり心が掴まれました。
話自体は本当にこの辺のテーマがいくつもあるなと思っているんですが、
どれが思いっきりメインになるってわけでもなく、複雑に絡み合いながら話は進んでいきます。
そうなると結構混乱するんじゃないかって思われると思うんですけれども、
ここはですね、かなりスラスラ読むことができる作品です。
で、多分ここをなんていうかまとめ上げている力っていうのは本当にすごくて、
なんていうかなんでこんなにうまく描けるんだろうっていうぐらい、
出し方というか、小出しの出し方、仕方というのがすごくうまくて、
読んでいるとですね、本当に気づいたらすごいところにたどり着いているみたいな感じになると思います。
なので、最後お話ししましたけど、このテーマのところはですね、
本当にこれだけでも読む価値がある作品だと思うので、
ぜひこの複数のテーマがあるけれども、
もうおそらく人によってどこを重視するか変わってくると思うので、
ぜひいろんな人に読んでもらいたいなと思う理由の大きな部分ですね。
大地さんに結構一気に語ってもらいましたけども、
聞いているとすごく面白そうな話に思えてきたんですけども、
実際そうなんですよね、このケビンチェンさんが書いているたくさんのエピソードがあるんですけども、
どこを読んでも面白くて、しかも形式的ではなくて、
意外とその現代と過去がうまいうまいに調和されたような書き方で話が進んでいって、
あと二階のいい人が、16人のエピソードがこの作品の中で紹介されているんですけども、
結構その一人一人の人生も描かれていて、そこも面白いなと思った特徴かなと思いましたね。
そうだよね、この16人って言い方あれだけどちょっと金を持っているタイプの16人だったりするので、
このイワンリンが徐々に発展していくんですよね、街から市になって。
その時にやっぱり何が彼らに富をもたらしたのかみたいのがちょっと見えてきたりするので、
確かにここでイワンリンの状況っていうのもうまく見せることができているよね。
そうですよね、例えば肉屋さんだったら最初は貧しい市場の肉屋さんなのかなという描写だったんですけど、
だんだん都市の発展とともにお金も稼ぐようになって、最終的にはポルシェに乗るようになったとかですね。
この辺の成り上がっていく話とかも面白いしね、そこから結構このイワンリンの都市の姿というか、
そこが見れるのも、そういうのは見れるっていうのもこの小説のもう一つの一面かなと思って、
本当にいろんなものを含んでいる小説ですよね。
ちなみに今ポルシェって言ったけど、この一家が過ごしている間にやたらドイツの高級車がイワンリンに増えるっていう状況も起きてくるので、
どんどんやっぱり貧しかった村が発展していくっていう様がね、ちょっと描かれますね。
あとちょっと今ミエさんが言った形式的ではないところは結構すごく重要だなと思っていて、
これ読んでるとさっき自分はなんか本編パート過去パートみたいなちょっと言い方をちょっとしたけれども、
どっちがどっちかわかんなくなるんだよね。今書かれているのが一瞬過去のことなのか、現在の時世のことなのか、
ちょっとわかんなくなる時もあって、これは多分意図して混乱というか見せてるなと思っていて、
その辺りはやっぱ上手いなって思うとこですね。なのでちょっと是非本当に何度も言いますが読んでいただきたい冊なので、
これからちょっとストーリー紹介するんですが、ここでですねめちゃめちゃ面白いなと思ったらもう全然ストーリーの紹介聞かずに読んでいただいていいと思います。
ストーリーも本当ネタバレはしないようにします。なのでだいぶぼやかしていきますんで、是非その辺りご了承の上で聞いていただければなと思います。
じゃあちょっとストーリー紹介いきますね。台湾の地元で高校の国語教師をやっていた女性、林はですね、ある日その高校に黒服の男たちが来て、お前の弟を探していると脅されます。
彼女には2人の男がいて、上の弟が昔から危険なことをして金を稼いでいたので、あいつのことだなっていうのはすぐに察しがつくんですけれども、
突然ですね、彼女はですね、ベルリンの弟がいるっていう話をします。ベルリン?みたいになって、それはどこなんだよみたいになっちゃったりして、ちょっとごまかして1回逃げますね。
で、彼女はですね、そこで久しぶりにドイツベルリンにいる下の弟に電話して助けを求めます。
それも相まってラストの感動っていうのは結構生まれているなと思っていて、言い方あれだけどこういう物語が人を救うんだろうなってちょっと思ったりするので、ぜひ本当にいろんな人に読んでもらいたいと思っている理由はそこですね。
で、そういう感動もありつつなんだけど、ちょっとラストいくつか急すぎるというか、それでそうなるのみたいなところはちょっとあって、ちょっと都合が良すぎるところもあるんじゃないかっていう瞬間は、箇所はあったにしました私は。
ああ、なるほど。確かにもう最後の方になれば何がどうなってもいいのかなって思えるような、そのくらいの話かなと思うんですけども。僕は、そういえば姉の印象はやっぱり変わりましたね。最初このお姉さんが全ての不幸を押し付けられているような人物みたいなですね、描かれ方をしていて。
だから見た目とかも、弟はすごい美系の、すごいかっこいい美しい少年。一方でお姉さんが、お母さんすごい美人なんですけど、お姉さんがなんかブサイクなままで、お母さんからもなんかブスだって言われたりするっていうですね。
お母さんも弟2人は可愛がるんですけど、お姉さんになると急に態度180度変えて、なんかもうめっちゃお姉さんだけめっちゃ厳しいとかですね。で、それはまあそのお母さんだけじゃなくて周りの大人もそうで、なんか弟とかのことばっかり目がいて、お姉さんみんなから無視されるとかですね。そんなすごいかわいそうなお姉さんなんですけども。
しかもこのお姉さんもやっぱり大人になって性格が曲がっていって、他人を攻撃したりとか、結構なんかそのこの人無関係やんって思いがドイツとか行って、悪くない人になんかめっちゃね、なんか怒鳴ったりとかですね、すごいことするんですけども。
まあでも見方によってはそれはその性格が曲がることである意味たくましく生きていたんだなっていうのがですね、生きる術としてそうなっていったのかなってちょっと思うところもあってですね。なんかその辺はちょっとお姉さんが一概にそのヤバい人物ではあるんですけど、そうなったところの理由っていうかそこはかなり考えさせられましたね。
そうですね。なんかね、お姉さんの急な攻撃性は結構ヤバいよね、なんかね。
そうですよね。
あとお酒もね、今までそんな飲まなかったけど飲んだりしたり、まあマリファナとかもね。
そうですね。
とかもあれだったけど、とかね、あったりして。結構ね、なんか。
そうですね。
まあ強制的に解放されちゃってる部分もあったからね、きっとね。そういうなんか力を使ってね、とかもあったけど。
そう、お姉さんはなんか本当、みなさん言うとおり、なんか不幸を背負いまくってるっていう印象もあったし、途中のやたら攻撃的な状況になるときはちょっとどうしたどうしたみたいな時もあって。
で、最終的にはね、もうなんか自分を認めていくっていうこの流れは本当にすごく良くて、ちょっと本当に感動したとこなんだけどっていうところですね。
で、これは弟にも言えて、弟もちょっといろいろ話せるとこ話せないとこあるけど、ちょっといろいろやっぱりいろいろあって、彼もいろんなものを抱えていて、それをやっぱり引きずって生きていくしかないのかなってところもあるし。
そういうのもちょっと、弟はなかなかメインで描かれるところが少ないんだけれども、垣間見えるところもあるかなっていうところですね。
そうですよね。弟も本当にすごい良くできた弟で、特に子供時代の思い出で、お姉さんとすごい仲が良くて、お母さんがお客さんの髪の毛を切ってたりするとき、子供たちは外に出ていくこともあってですね。
で、よく弟とお姉さん一緒に映画館で映画見てたっていう、そんなエピソードがたびたび入っていて、なんかそういう子供時代のこの2人の中の良さを見ると、なんだかんだ2人は仲良いのかなと思っていたら、そこもなんか全然単純な話ではなくて、
そこではなんかすごいやっぱり、終盤になると実はこんなことがあったとかですね。そういうのがあって、この弟もなんか本当にすごいお金も持ってるんで、成功者っていうその側面の印象が結構前半強かったんですけど、本当に弟のこの状況というか生き方というか、そこもかなりもう読んでいると、お姉さん同様ですけど考えさせられるところがかなりあってですね。
お姉さんは性格が曲がることで生きていたっていう感じで、弟はそこに対して逆にお姉さんより不器用だったかもしれないとかですね。そんなことはちょっと思いましたね。
なんかこれもあれですね、ちょっとなんか読んでる人同士じゃないと、話が分かりづらいところかなと思うんですけど。
ちょっと申し訳ないけど、ぜひ読んでいただきたいと思うので、ちょっとこの程度にしておきたいと思います。で、ちょっと他印象残ったところをお話しいきましょうか。
本編とはまた違う、こういう人たちの人生の話とかすごいね、僕好きでしたし。
あと、なんか印象的だったのは、なんかその都市として、この台湾のユアンリンとこのベルリンが結構真逆な姿をしているっていうところが面白いと思いましたね。
ユアンリンは田舎の地方都市っていう感じなんですけども、良くも悪くも人間関係が濃くて、で、なんか他者と異なる特徴。
例えば、若いのにハゲてるとか太ってるとか、綺麗すぎるとかブサイクだとかっていう、そういう何か他者と違う特徴があると、もうそれが町の中で噂されて、なんか悪口の対象になってしまったりするっていうですね。
そういう生きづらいようなちょっと社会ではあると。で、その代わり関心はすごい強いんですよね。
街に住んでるあの人が何かちょっとでもあると、もうみんなそれに気づいて、どうしたどうしたっていうですね。古き良きみたいな感じの。
で、一方でベルリンはもう真逆で、自由で太っててハゲてても全然誰からも何も言われないですし、なんかすごい個性的な格好をしててもOKだし。
で、一方でね、そういう自由があっていられるんですけど、周りからは無関心。何かねちょっと抱えてるところがあっても、そこに関心を持ってくれる人ってなかなかベルリンではいないと。
まあそれはもうそれぞれの都市にそれぞれの良さ悪さはどっちもどっちの部分ってあると思うんですけども。
この辺のなんか視覚ができてしまうこの2つの都市の在り方っていうのもね、かなり特徴的で面白かったですね。
そうですね。確かにここは面白いですね。ベルリンだとね、うちの何とか帯、何だっけ、車線の間にある場所で、なんか裸になって日焼けしてても多分何にも言われないんだろうけど。
そうですよね。っていうなんか自由さはあるけどね。
なんか釣りしてる人が裸で釣りしてるとか。
あー確かにあったね。
そう、ありましたね。で、お姉さんがそれスマホで写真撮ろうとしたらね、ポーズして返してくれるっていう。
あとはあれですよね、作品の中で結構映画が出てきますよね。
弟とお姉さんと映画を2人で見に行ってたっていうのもあるんですけど、結構ね、なんかその具体的に、
ソフィーの選択という映画とこの作品の中のあるシーンとかが何というか重ねられるように描かれていたりとか、あとはニューシネマパラダイスもそうですね。
この最後にね、お姉さんと弟が子供の時最後に見た映画がニューシネマパラダイスで、そこでまたちょっと再会しようかという約束を交わして別れるんですけども、
そのニューシネマパラダイスがまたね、ちょっと印象的に現代に戻ってきたりとかもなりするっていう。
なかなかこの映画の使い方はすごいエモーショナルというか、なんかね、なんか読んでると結構感情に来るところはありましたね。
めちゃめちゃニューシネマパラダイス見返したくなったし、ソフィーの選択も、これアウスフィッシュの話だから結構重い話で、見たことないのでちょっと見たいなって思ったりもしましたね。
で、結構映画は本当、映画館の話も結構出てくるんですけど、弟と姉が母からちょっと家に居づらい時は映画館に行ったりとか、
そもそも映画館に行くのが好きだったりするんで行ったりするんですけど、2人がね、よくこの映画館で過ごしていたっていうのが描かれていくんで、
そこで結構具体的な作品が割と出てくるので、映画好きな人はもしかしたらちょっとビビッとくるところも多いんじゃないかと思いますね。
出てくる料理とか、いろいろありますもんね。料理が、台湾の料理が美味しそうだとか。
そうだね。
いろいろあるんですよね。
料理で言うともう即席麺?即席なんだっけ?
それもね、印象的ですよね。即席麺、お姉さんがそればっかり食べてるんですよね。
台湾麺か。
台湾麺、即席麺か。即席麺っていう、台湾の多分、これ何だろう、インスタントヌードルみたいな感じなのかな。
なんかそんなイメージですよね。
まあ、栄養もやばくて、化学調味料とかがたくさん入っていて、人工的なものだと思うんですけど、これがたくさん入ってるものなんで、健康には全く良くないけどみたいなこと出てくるけど、もうめちゃくちゃ食べてるよね、みんなね、小説の中で。
そうそう、お姉さんがね、キャリーケースに即席麺を大量に詰め込んでドイツに来るっていう。僕はバーワンっていう、肉まんとはちょっと違うんですけども。
肉まんのイメージだった。
みたいな、ちょっとそういう餡が入った美味しそうなものがあって、それも食べたくなりましたね。
亡霊の地の時もね、台湾そうめんめっちゃ食いたくなったけど、今回は台湾即席麺が。
じゃあちょっと色々今日話してきましたが、いつも通り最後、どんな人に読んでもらいたいかとかも含めて話していきたいんですが、
今回ですね、最初からずっと言ってる通り、とにかく読んでもらいたい一冊なので、とはいえね、400ページある結構重い作品で大変だと思うんですけど、
でもこれは本当、読んだらですね、絶対帰ってくるものあると思うので、ぜひ読んでいただきたいなと思います。
特に最初から言ってるんですけど、結構モヤモヤしてる人とか、結構解放される感覚絶対味わえると思うので、ぜひですね、読んでいただきたいなと思います。
やっぱこの、なんでしょう、囚われていたものがあって、でも自分がちょっと場所を変えて、今回でベルリンに行って、色んなことをまた経験して、そして話して、
自分が囚われたものから解放されていくっていう感覚は、本当こんな風に本で味わえるんだったら本当にそれこそ、すごく手軽って言っちゃったらあれだけど、
いいなと思うので、本を読んでこんな風に解放感を味わえるっていうだけで、すごい作品だなと思うので、ぜひ気になったら読んでいただきたいなと思います。
そうですよね。そういえば今回、お姉さんと弟って名前が出てこなかったんですよね。
一応最初リン先生出てくるんだけどね。
でもなんかお母さんだけかな、確かメイリーっていう名前が出てきたので、姉とか弟とかっていう表記で結構そこがわかりやすくてですね。
確かに。
なんかその海外の小説読んでるとやっぱり人物名がなかなか入ってこないとかってあると思うんです。
亡霊の地は結構人物名多くて苦労したんですけど、今回はあんまそこのつまずきは感じなかったんですね。
なんで、もしかすると海外文学苦手意識がある人も意外と読めるかもしれないと、読みやすいかもしれないちょっと思いましたね。
確かに。
で、かなりこのユアンリンとベルリンっていうなんて言うんですかね、思いっきり外国っていう感じの都市がそれぞれ描かれていて、
なかなかそうですね、その2つの都市のその空気感っていうんですかね、社会を感じれることってないと思うんですけども、
それをもう存分に味わえて、しかも話が全部本当にもうどのページも面白いと思うので、
そういう意味ではもう小説好きな人で、ちょっと興味持たれた方はせっかくなんで、読んでいただけたらなと思いますね。
そうですね。
ぜひぜひというところで、じゃあちょっと2回の良い人の話はこの程度にして、次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、ボフミルフラヴァルの提発式をご紹介します。
チェコの作家ですね。
お楽しみに。
番組の最後になりますが、メルマン会員募集しております。
こちら無料版、有料版でございまして、無料版は毎回のエピソードで長すぎた部分をカットして音源して配布しています。
もっと我々のエピソードが聞きたい人のためになっています。
またこの無料版の中にですね、最近は海外文学ニュースとして注目の新作紹介しているので、ぜひ気になった方は登録してみてください。
有料版はサポーター特典というような形になっていて、我々応援したい人がちょっと一定数いるので、ちょっと設けております。
月額500円で、松村をちょっと応援することができるので、もし応援したい人がいたらご登録お願いします。
こちら書籍代等に当てておりますので、ご協力いただけると嬉しいです。
番組の完成やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました、読み返ししましたがございましたら、ハッシュタグ空飛び猫たちをつけて教えていただけると嬉しいです。
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ではまた来週。
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