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スピーカー 2
俳優高倉健は言った。 人間が人間のことを思う。これ以上に美しいものはない。
スピーカー 1
始まりました。大人の近代史、よろしくお願いします。 よろしくお願いします。おが太郎が言うと、やっぱりこうね、渋さが出るよね。
いやいや、これ高倉健が言った方がいいでしょう。 高倉健の渋さはあるじゃん。でもさ、おが太郎って現代版高倉健みたいな感じの渋さがあるわけじゃん。
スピーカー 2
怒られるわ。どこも似てない。不器用な面は似てるのかもしれない。
いやいや、不器用っつっても不器用じゃないでしょ、実際は。 まあね、実際高倉健不器用じゃないと思うけど。
そうだと思うよ、俺は。 じゃあ、ということで今回長まろが私たち人間にどんな美しいものを見せてくれるのか楽しみです。
スピーカー 1
今日はね、ちょっとその美しいものを見せてくれるかっていうところで言うと7割ぐらい当たってるかもしれない。
おー、きた。 今日はリクエストなんだけれども、そっとさんからのリクエストです。
はいはい。 ちょっとコメント抜粋で読んじゃいますが、レモンの貝と最近ラショウモンの貝を聞いたので文学作品から
小川美名さんと野原をリクエストします。 小川美名さんの代表作は他にあるようですが、野原は小学生の国語の教科書に載っていてとても好きな作品なんです。
野原だけにお二人がどんな香りと棘を出されるか楽しみにしています。っていただきました。
スピーカー 2
おー、すごいキャッチフレーズ。それ言った方がよかったんじゃない、俺。
スピーカー 1
いやいや、あの、それは迷ったんだけど、なんか小川太郎じゃないから違うなと思ったんだよね。
でもこのコメント上手いじゃん。野原だけにどんな香りと棘を出されるかって。
スピーカー 2
あ、呪術会社のこれ。
スピーカー 1
え、そんなの?あ、そっちなの?
スピーカー 2
え、そっちじゃない?今パッと思ったんだけど俺。
スピーカー 1
いやだって別に、だったら香りも棘も棘も違くない?
いやわかんない。
いや俺は違うと思ってるけど、まあそうだったら長丸がちょっとアホだったというところで。
スピーカー 2
いやそうだったらすごいわ。
スピーカー 1
というわけで、えっと今日はその小川美名の野原についてやりたいんだけれども。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
えっとまず小川美名についてっていうところで、まあここはちょっと簡単になっちゃうんだけれども。
まず小川美名って知ってる?
スピーカー 2
知らない、俺。何も知らないな、これ。
スピーカー 1
多分ね、小川美名って聞いてね、あー知ってるっていう人の方がもしかしたら少ないかもしれない。
なんか作品をこう聞いて、あ、この話聞いたことあるなっていう人は多分いると思うんだけれども。
そう、まあとりあえずちょっと簡単に紹介すると、1882年にこの方生まれている方で、
まあいわゆる小説家であって、自動文学作家であるんだよね。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
まあ自動文学作家っていうところで、すごい数多くの作品を残していて、
日本のアンデルセンみたいな呼びと呼ばれ方もするんだよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、代表作でいうと、まあ今回取り上げる野原っていうのと、
あと、赤いロウソクと人魚っていうのが、まあすごい一番有名なんじゃないのかな。
多分こっちの話もすごい有名なんで、まあお得人じゃ取り上げないかもしれないけれども、
あの、ちょっと興味あったらぜひ読んでみてくださいっていうところで、
まあ知ってる人は多いと思う、実際そっちは。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、この人ね、なんか俺もちょっとちゃんと今日、今回調べてきたんだけれども、
まあなんだろうね、どちらかというと、なんか社会主義思想に多分関心があったような人なんだと思うんだよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
だから、あの作品にもそういうところがちょっとこう出ているんじゃないのかなっていう側面は正直感じた。
ただバレバレの社会主義者だったかっていうと、別にそういうのを表立ってやっていたっていう感じの人ではないんで、
ちょっとそこは一応、ただ永丸がそう思ったっていうだけのところだっていうところで一応思っといていただければいいんだけれども。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
なんかね、一般的に言われているのは、その当時社会主義者っていうのはさ、弾圧されてたじゃん。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
だから、その弾圧から逃れるために、例えば小説とかそういうものの作品だとさ、結構色濃く出ちゃうじゃん。
なんか自分の思想をこう書こうとすると。
うん。
そう、だから童話作家として、こう逃げたみたいな、まあ逃げたっていう言い方は良くないけどさ、そっち側に行ったみたいな。
でも、あのやっぱり自分の思想とかさ、考えっていうのはさ、そういう作品に必ず影響されるじゃん。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
そう、全く自分が思ってないようなことを書ける人っていう方が逆にすごいと思ってて。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だから、まあ少なくともそういう、あのものがこう要所要所にはちょっと出ているんじゃないのかな、みたいなのはちょっと俺は思ったっていうところで。
で、なんで社会主義思想にちょっと傾倒しているんじゃないかって思ったかっていうと、結構ね、この方、ロシア文学に精通してて。
で、当時のロシア文学っていうのは、もうめちゃめちゃそういう社会主義思想とかにこう染まっているものも多いわけよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
だから、なんか拝見自体も、なんかそっち側なんじゃないのかなっていうような、一応、なあぐらいでちょっと留めておいてもらえればなと思います。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で、一応この方は、もうすごい野原出した頃からすごい有名な、有名なっていうか、もう普通に一定に評価を得られてた人で、だから例えば宮沢賢治とかみたいに、死後有名になったとかそういう人ではないわけよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
一応、1946年に日本児童文学者協会の初代会長に今ね、なってるような人。だから児童文学って言ったら、やっぱすごい有名人っていう感じの人だったわけ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で、1961年に79歳で、まあ亡くなるんだけれども、まあこんな感じでちょっと小川美名については、今回はここぐらいまでで、とさせていただいて、次は野原についてに入りたいんだけれども。
スピーカー 1
で、早速野原の方に入っていきたいんだけれども、俺これすごい迷ったんだけど、今日は全文朗読したいと思います。
スピーカー 2
おお、あ、そんなに、割と短いんだ。
スピーカー 1
まあ小学生の教科書に乗るレベルなんで、たぶん5分ぐらいお付き合いください。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
じゃあ早速読みます。
野原小川美名。大きな国とそれより少しは小さな国とが隣り合っていました。
遠ざこの二つの国の間には何事も起こらず平和でありました。ここは都から遠い国境であります。
そこには両方の国からただ一人ずつの兵隊が派遣されて、国境を定めた赤旗を守っていました。
大きな国の兵士は老人でありました。そして小さな国の兵士は青年でありました。
二人は赤旗の立っている右と左に盤をしていました。至って寂しい山でありました。
そして稀にしかその辺を旅する人影は見られなかったのです。
はじめ互いに顔を知り合わない間は、二人は敵か味方かというような感じがして、ろくろくものも言いませんでしたけれど、いつしか二人は仲良しになっていました。
二人は他に話をする相手もなく退屈であったからであります。
そして春の日は長く、うららかに頭の上に照り輝いているからでありました。
ちょうど国境のところには誰が飢えたということもなく、一株の野原が茂っていました。
その花には朝早くから蜜蜂が飛んできて集まっていました。
その心良い羽音がまだ二人の眠っているうちから夢心地に耳に聞こえました。
どれ、もう起きようか。あんなに蜜蜂が来ている。と二人は申し合わせたように起きました。
そして外へ出ると、果たして太陽は木の梢の上に元気よく輝いていました。
二人は岩間から湧き出る清水で口をすすぎ、顔を洗いに参りますと顔を合わせました。
やあ、おはよう。いい天気でございますな。本当にいい天気です。天気がいいと気持ちが清々します。
二人はそこでこんな立ち話をしました。互いに頭を挙げて辺りの景色を眺めました。
毎日見ている景色でも新しい感じを見るたびに心に与えるものです。
青年は最初将棋の歩み方を知りませんでした。 けれど老人についてそれを教わりましてから、この頃はのどかな昼頃には
二人は毎日向かい合って将棋をさしていました。 初めのうちは老人の方がずっと強くて駒を落としてさしていましたが、
姉妹には当たり前にさして老人が任されることもありました。 この青年も老人も至っていい人々でありました。
二人とも正直で親切でありました。 二人は一生懸命で将棋盤の上で争っても心は打ち解けていました。
やあ、これは俺の負けかいな。こう逃げ続けでは苦しくて敵わない。 本当の戦争だったらどんなだか知れん。と老人は言って大きな口を開けて笑いました。
青年はまた勝ちみがあるので嬉しそうな顔つきをして一生懸命に目を輝かしながら相手の王様を追っていました。
小鳥は梢の上で面白そうに歌っていました。 白い薔薇の花からは良い香りを送ってきました。
冬はやはりその国にもあったのです。 寒くなると老人は南の方を恋しがりました。
その方にはせがれや孫が住んでいました。 早く暇をもらって帰りたいものだ。と老人は言いました。
あなたがお帰りになれば知らぬ人が代わりに来るでしょう。 やはり親切な優しい人ならいいが、敵、味方というような考えを持った人だと困ります。
どうかもうしばらくいてください。 そのうちには春が来ます。と青年は言いました。
やがて冬が去ってまた春となりました。 ちょうどその頃この二つの国は何かの利益問題から戦争を始めました。
そうしますとこれまで毎日仲睦しく暮らしていた二人は敵、味方の間柄になったのです。
それがいかにも不思議なことに思われました。 さあお前さんと私は今日から敵同士になったのだ。
私はこんなに老いぼれていても少佐だから。 私の首を持って行けばあなたは出世ができる。
だから殺してください。と老人は言いました。 これを聞くと青年は呆れた顔をして何を言われますか。
どうして私とあなたが敵同士でしょう。 私の敵は他になければなりません。
戦争はずっと北の方で開かれています。 私はそこへ行って戦います。と青年は言い残して去ってしまいました。
国境にはただ一人老人だけが残されました。 青年のいなくなった日から老人は呆然として日を送りました。
野原の花が咲いて三八は日が上がると暮れる頃まで群がっています。 今戦争はずっと遠くでしているのでたとえ耳を澄ましても空を眺めても
鉄砲の音も聞こえなければ黒い煙の影すら見られなかったのであります。 老人はその日から青年の身の上を案じていました。
日はこうして経ちました。ある日のことそこを旅人が通りました。 老人は戦争についてどうなったかと尋ねました。
すると旅人は小さな国が負けてその国の兵士は皆殺しになって戦争は終わったということを告げました。
老人はそんなら青年も死んだのではないかと思いました。 そんなことを気にかけながら石碑の礎に腰をかけて俯いていますと
いつしか知らずとウトウトと居眠りしました。 彼方から大勢の人の来る気配がしました。見ると一列の軍隊でありました。
そして馬に乗ってそれを指揮するのは彼の青年でありました。 その軍隊は極めて静粛で声一つ立てません。
やがて老人の前を通るときに青年は黙礼をして薔薇の花を嗅いだのでありました。 老人は何か物を言おうとすると目が覚めました。
それは全く夢であったのです。 それから一月ばかりしますとの薔薇が枯れてしまいました。
その年の秋、老人は南の方へ暇をもらって帰りました。 っていう作品です。
結構な量だったね。意外と。 まあ5分ぐらいだった。ちょっとわかんない。
スピーカー 1
そう。で、そんなこんなで、今度は国同士が戦争になっちゃうんだよ。そこで老人は、私は追い惚れてても少佐っていう階級があるから、手柄になるよと。だから私を殺して首を持ってけって青年に言うんだよ。
そしたら青年は何言ってんのみたいな感じで、私は、私とあなたは敵じゃないよって、私の敵は他にいるんだっつって戦場に行っちゃうんだよね。
で、国境にはもう老人一人だけポツンって残されて、別に野原がさ、ずっと咲いててさ、蜜蜂が来るっていう、その条件は何も変わらないんだけれども、変わったのは要は青年がいなくなった。戦争に行ってしまった。老人だけは残されたっていう状況なんだよね。
で、たまたま旅人が通りかかって、で、戦争どうなりましたかって聞いたら、小さい国、要は青年側の国が負けて兵士は皆殺しになりましたっていうことを聞くんだよね。
で、青年が死んだって思って、がっかりきて、石碑に腰掛けてたら寝ちゃって、で、その夢で青年が多くの兵を連れて、最後にその老人に挨拶に来るみたいな、そんな感じ。
で、それで夢から覚めて野原が枯れたのを見届けて、老人は故郷っていうか、故郷に帰るんだよねっていうお話なんだよ。
スピーカー 2
そうそう。で、この作品の特徴として一番たぶん挙げられるものっていうのが、これ、固有名詞っていうものがないんだよ。いわゆる。
たとえばさ、老人とか青年。なんか小方老とか長間老とかっていう名前がないじゃん。
スピーカー 1
あとはさ、大きな国、小さな国みたいな感じでさ、小方老ほらなんか真っ先に朝鮮半島がなんか思い浮かんだみたいな感じで言ってくれたけどさ、
要はどこの国でも想定し得るじゃん、それって。だから、たとえばアメリカと日本とかさ、ロシアと中国みたいな感じで言うとさ、なんか、
そう、こう、完全に思い浮かべちゃうじゃん。その国境がどうでとかさ、国境は接していないんだとかさ、いろいろなんか思い浮かべちゃうけれども、そうではなくて架空のA国B国みたいな感じにする。
で、あと、老人青年みたいな感じで、これも架空のAさんBさんみたいなことにすることによって、聞く人見る人によっていろいろと置き換えることができるんだよね。
自分自身に置き換えたりとか、ああ、こういう条件なのかなみたいな感じで。
スピーカー 2
ああ、はいはい。
スピーカー 1
そう、だから人それぞれでその感情の移入の仕方も多分変わってくるんだよ。
スピーカー 2
うんうん。
スピーカー 1
全然遠い国の話のように思ってる人は多分さ、そんなにさ、この老人と青年、ああなんかかわいそうだなあぐらいな感じにしか多分思わないだろうし。
でもさ、自分の身近に起きた出来事のような感じに感情移入するとさ、多分すごくもっと深みを与えてくれるというか。
だからどう捉えるかっていうのを結構、その筆者はこの読者にこう委ねているんじゃないのかなっていうのがまず1個特徴なんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、あとは、あれこれ戦争が題材じゃん、結果的には。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だけど、老人は残されたでしょ。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 1
そう、で、残されて、で、ただ野原は別に咲いてるし、蜜蜂も来るし、何も変わってないんだよ、その老人が残されたっていうだけで青年はいなくなったけど。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
どういうことかっていうと、戦争状態のはずなのに、その今老人がいるところは平和なんだよ。
スピーカー 2
ああ、はい。
スピーカー 1
そう、遠くの出来事として戦争が描かれている。
スピーカー 2
うんうん。
スピーカー 1
そう、作品にこう中で、なんか戦争でなんか、わかんない、兵士がどうのこうのとかっていう話はないじゃん。
まあ、兵士が最終的に小さな国の兵士が皆殺しになったっていう結果はわかるけど、戦争のこう経緯がどうとかさ、なんかね、鉄砲が出てきてとかそういう話はないわけじゃん。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そういうところもすごい特徴があって、やっぱりこれも戦争っていうものをちょっと一歩こう退いて見られるっていうところと、やっぱりどこか自分とは無関係なことのようにこう捉えるっていうこともできるんだよね。
スピーカー 2
ああ、はいはい。
スピーカー 1
そう、だからこれも見る人、読む人によって多分ここの考えっていうのはすごい変わってくると思うんだよ。
スピーカー 2
そうだね、まさに日本がね、今は平和だからさ、そういう対外の戦争に対してそういう見方になりがちな面があるよね。
スピーカー 1
うん、本当そうだと思う。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、あと最後にその戦争をしているのは、まあやっぱ人なんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
国と国の戦争って言うけどさ、別にさ、山と山が戦争するわけじゃないわけよ。
スピーカー 2
ああ、はい。
スピーカー 1
自然は何一つ変わらないんだっていうところも強調して書かれてるんだよ。
別にさ、戦争したことによってさ、まあそこが戦場の真っ只中だったらさ、多分野原もさ、まあ燃えちゃったりとかってあったのかもしれないけど、そこは全く戦場じゃなかったわけじゃん。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
でもあの国境だよね、国境に、イメージとしては国境線があってさ、そこに石碑が立ってて、その石碑に野原が咲いてるから、野原はあの国境を跨いでるんだよ、きっと。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だからさ、まさにその戦争してる国同士の境だけど、要は争いのないところには何もないよっていうようなところもこう、何だろう、明示してるというか。
スピーカー 2
ああ、はい。
スピーカー 1
そう、で風景っていうのは何も変わらないんだよっていうところも、なんかこれを聞いてどう思うかっていうのも多分読者に委ねてるんだと思うんだけれども。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そんなところも特徴かなっていうところで、で、最後の部分に入るんだけれども、老人と青年のそれぞれの行動についてっていうところが多分ポイントになると思うんだけれども、まあ仲良かった人が急に敵国の兵士同士になるよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ただ、この話の中では敵国の兵士とはいえ、お互いに殺し合いをするようなことはなかったよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、老人は自分の首を持ってけとは言ったけれども、青年に危害を加えようとは一切しなかったわけじゃん。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で、青年は青年で老人の首はもちろん取らないし、ただ私は戦場にはいきますつって戦場に行っちゃったよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そう、この2人の行動っていうのはさ、なんか感情移入どっちにするかにもよるとは思うんだけれども、すごく難しいところだなって思ってて、青年はさ、戦場には向かったわけでしょ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だから、国のために戦わなきゃいけないっていう使命感はあったわけだよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
でも目の前にいる敵は殺せなかったんだよ。
まあ、もちろんこれは老人が、老人と仲良かったからなんだよ。仲良かったんだけど、じゃあ使命感よりもそういう自分の市場を優先させたっていうところはまずあるよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
っていう見方もこうあるんだよ。だからさ、その時の時代背景からすると、これが良いことなのか悪いことなのかっていうと、なんかそういうところも考えていくと、
多分あまり良いことじゃないと思うんだよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
当時の時代から考えると。ただ、こういう作品が出るっていうのは、やっぱり小川美名自体がそういうところに疑問を投げかけているっていう気はするんだよね。
スピーカー 2
あー、はい。
スピーカー 1
今の価値観で考えたら別に青年にさ、感情移入っていうかさ、まあそうだよねってなるじゃん。
俺の感覚でもさ、なんか尾形郎と俺がさ、こうなんだ、同じ立場でさ、こう国分かれててさ、尾形郎が敵になりましたって言ったって、いやまず俺尾形郎は殺さねえなって感じになって、多分青年と同じ行動を取ると思うんだよ。あの戦わなきゃいけないってなったら。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
どっか行って別のところで戦おうって、せめて違う人を、みたいな感じになると思うんだよ。
それってでも今の価値観っていうか今の考えじゃん。当時だったら多分こういうのってないんじゃないのかなと思うんだよね。
もっと国に対する忠誠心とか使命感っていうものが強かった時代だから。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 1
うん。で、あとはやっぱりこの青年の行動に対してもそうなんだ、に付け加えると、老人は殺さないけど、他の第三者だったら殺していいのかっていうところもあるよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
結局戦場に行ったじゃん、この青年は。だから、友人は殺せないけど、友人じゃない人間だったら殺すんだっていう感じで言ってるわけでしょ。もう極論だけど。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
じゃあそれは今の倫理観で言ったらどうかっていうと、やっぱりここもちょっと、うんって思うじゃん、やっぱり。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だから、そういうところも多分尾上明っていうのは、いろいろ疑問符を投げかけてるんだよね。
そもそも戦争っていうものはこういうもんなんだよっていう現実をもちろん掲示しながら、いろいろその青年の行動に対して、本当全然描写はなかったじゃん、朗読したけど。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
でも、このちょっとした行動にもいろいろと考える余地を与えてるっていうところなんだよね。
スピーカー 2
あー、はい。
スピーカー 1
そう、逃げるっていう選択肢も多分あったじゃん。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
まあ、逃げられるとかそういうのはちょっと一旦置いといてたけど、ただ逃げなかったんだよ、青年は。
ちなみに老人もそうなんだよ。老人だって別に逃げりゃよかったじゃん。そんな首差し出さないで。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
でも、あえて青年に首を差し出しに行ったでしょ。
これもさ、今の価値観で考えるとちょっと謎めいた行動にはなっちゃうんだけれども、国を捨てるっていう考えはないわけよ、この二人にそもそもだけど。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 1
で、老人はかといってじゃあ目の前にいる青年っていう敵を倒すなんてことは全然考えられなかったから、じゃあせめてもう自分が死んで青年の手柄とした方がなんかいいんじゃないかっていうんで多分差し出してると思うんだよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
じゃなくてさ、俺なら南に帰ろうって言ってさ、多分逃げるんだよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
もう今この老人の立場だったらね。多分青年に何も言わずに逃げると思うんだよ。まあ、なんならさ、やっぱ戦争状態だから青年が絶対に自分を殺さないっていう保証もないわけよ。
信用できるかできないかっていうのはちょっともうこの作品の中の描写しかないから、人間関係っていうところを考えた時に本当に青年を信用していたのか信用していなかったかっていうところまでは読み取れないじゃん。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ただ、まあ結果的に首を差し出しても青年は殺さなかった。やっぱ青年は老人をすごく信頼してたし、老人も青年は信頼していたっていうところが最終的にはわかるんだけど。
スピーカー 2
うんうん。
スピーカー 1
そんな感じで結構この老人と青年の行動っていうところでも今言った感じでいろんな意見あると思うんだよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ただやっぱ小川美名自体こう明確にこうだとは言わず結構読み手に任せているっていうような作品なんだよね。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
まあそんな感じで今日あの小川美名の野原についてやりましたが、まあちょっと締め込めはせっかくなんで小片郎に締めてもらいたいと思うんでよろしくお願いします。
スピーカー 2
いやーなんかやっぱその解説がわかりやすくて、ああそういう見方っていうのをちょっとやっぱ気づかされる手も多かったなと思って。
スピーカー 1
いや見方はね、あの人それぞれだからこれは俺があくまでもそう思ったっていうか俺の感想もちょっと入ってるから、誰かそういう評論家がこう言ってますよってことじゃないんで一応そこはちょっと注意してください。
あの全然長丸全然違うよっていう人多分多いと思うんで、それはそれで意見としてくれればいいかなと思います。
スピーカー 2
いやわかりやすいそれでも、あと長丸も言ってたそのお互いその戦争の前から知り合いだった、知り合いというか割と交流があったっていうところで、それで戦争が起こるとやっぱりお互いが結構そのリアルに知ってる仲同士って殺すっていうことにはいかなずに、
だけど国のためって言ってその抽象的などこかの相手を殺しに行くっていうことはできちゃうっていうところがやっぱハッとしたし、なんかこれは少なからずやっぱ今もそういうことってあるなと思ってその戦争をしている国同士で言うと、
なんかよりその相手が具体的じゃなくて抽象化された時に人ってすごい恐ろしいことをしちゃうっていう、なんかうまく言えないんだけどこれが戦争の恐ろしさでもあるなと思ったんだよね。
スピーカー 1
おーすごい良いこと言ったね。そうなんだよ。具体的なさAさんBさんは殺せなくてもさ、抽象的なさ何々国の人間とかだったらできちゃうっていうのが人間なんだよねやっぱり。
スピーカー 2
そうそう、しかも今なんてもうドローンとかさ機械がなんかやってその操縦席にね安全なとこで操縦してるっていうパターンもあるわけじゃん。そうするともっと恐ろしいことがなってくるよねっていうのも感じたね。
スピーカー 1
そうなんだよ結局自分の手でまあすごいわかりやすいのが剣を持ってさ人を刺すっていうのはさ結構メンタルにもやられる、もちろんやったことないからわかるわけないんだけどさメンタル的にも結構しんどいらしいんだよ。
うん。でもそれが銃を持ったことによってちょっと距離が離れるじゃん。はいはい。少し楽になったっていうような話もあるぐらいなんだよ。
あー。ちょっと遠くなるから。でこれがさ今度爆弾になったらさなおさらじゃん。1回でさ何十人何百人って倒せるけれどもやっぱり自分がそれをそのボタンを押しているっていう自覚があんまりなかったりするんだよね。
はいはい。だから原爆投下とかもそうじゃん。結局さ自分の投下によって何十万人という人間が亡くなっているけれどもなんだろうやっぱできちゃうじゃん。
てかその結果もわかっていただろうけどできちゃってるじゃん。うんうん。そうだんだんだんだんだんやっぱさその人の死っていうのが遠くなっているのがやっぱりこう現代の戦争なのかなとは思うよね。小片郎言った通りだけど。
スピーカー 2
あーはいはい。ということで今回のテーマは野原でした。もしよかったら、まあ媒体によってなんですけども評価ボタンを押すところがあるのでよかったら評価の星をたくさん押してくれたら嬉しいなって思ってます。