1. 雑踏
  2. 「若い読者のための短編小説案..
2024-11-06 35:56

「若い読者のための短編小説案内/村上春樹」を読む③「静物/庄野潤三」

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今回は「静物/庄野潤三」の回です。


https://twitter.com/booksandsoon #zattoh #村上春樹 #読書 #本 #日本文学

サマリー

このエピソードでは、村上春樹の「若い読者のための短編小説案内」を基に、庄野潤三の短編「静物」が議論されている。家族をテーマにした本作の独特な構成や、作品内での意味深いイメージの扱いについて詳しく掘り下げられている。また、物語の緊張感や不穏な家庭の雰囲気が深く探求され、作者の意図や詩的な要素が議論されている。作品に隠れたテーマやキャラクターの感情も探求され、村上春樹の文学スタイルとその解釈についても議論が展開され、特に自殺未遂に関する内容が重視されている。若い読者が日本文学をより深く理解するための手助けとなる内容が探求されている。

作品の概要とテーマ
スピーカー 2
静物の本。はい、静物の本に行きましょう。行きましょうか。今、「若い読者のための短編小説案内」っていう、
村上春樹のプリンストン大学の講義のまとめた本があって、それに出てくるというか、解説されている小説を読んでから、村上春樹の解説を読むっていうのをやってます。
講義を擬似体験するような感じで。今回は、庄野潤三の静物、静物画の静物ですね、がテーマになってるんで、それを読んできました。
庄野潤三、この人も全部同じですよね。第三の新人世代、戦後第三の新人世代の人で、そんな僕は知らないですけど。
スピーカー 1
初めてですか、庄野潤三。初めてですね。私は。短編が多いんですか。どうなんでしょうね。
私は昔、静物とプールサイド小系だけ読みましたね。でもね、もうすっごい昔なんで、全然覚えてなかったです。
スピーカー 2
静物、ほんまこれ、まだ今までと小説全然違う感じだって、結構びっくりしたんですけど、2、3ページの話が何個も続くみたいな。
そうですね、これは全部で。18かな。
スピーカー 1
18か。18までありますね。家族の話ですけど、まあいろんなシーンが式列をちょっとバラバラで、断片が重なって一つの作品になってますね。珍しいと思います、私も。
スピーカー 2
ていうかこう、何でしょうね。家族の話っていうのはわかるし、出てくる人もちょっと途中で変わったりとかするけど、この2、3ページの一コマみたいな、
長谷さん的な、一コマみたいなやつが順番にというか延々と続くだけで、これは何なんと思いながら読んでましたけど。
スピーカー 1
なんかあの意味深な回と、日常回みたいのがあるんで。
スピーカー 2
なんかこれほんま意味あるのかみたいな回も結構あるし、意味深っていうとね、なんかはっきり言わないですよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
その含みだけで終わってしまうんですよね。
スピーカー 1
全部なんかちょっと、そういう意味深回は不穏なイメージだけポンって与えられて、でまた次別の話が始まって、それがなんてことない日常回だったっていうのが結構ありますね。
スピーカー 2
一応だから、それあれですね、1コメでつかみとして入れてますね、その意味深な言葉を。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
不穏な伏線って向こうに書いてますよ。
スピーカー 1
あの日の朝みたいな。
作品の読み方と感想
スピーカー 2
それそれそれ、なんやねんそれって。
なんか一発目それをしかも素通りしていくんでね、何にも説明なく。
どっかであの日の朝の話すんやろうなって思うし、実際出てくるんですけど、通り過ぎてしまいそうな感じで出てくるんですよね、あの日の朝のことを。
ちゃんと読んでると。
スピーカー 1
そう、だから1回読んだだけだとわからないし。
スピーカー 2
いやほんまこれなんなんって思いましたもんね。
スピーカー 1
そうですね。
私はね、その2回目なんで、なんとなく雰囲気を知りながら、昔読んだとはいえ知りながら読んでたんで、結構ここ注意して読まなきゃみたいなのはわかりながら読んでたんですけど、
河野さんはもう最初めから何これって感じでずっと読んでたんでしょうね。
スピーカー 2
だからその1、1つ目のやつで医者が出てくるんでしたっけ?
スピーカー 1
いや1つ目は釣り堀に行くだけで、
スピーカー 2
2か。2で医者と男が話してるっていう回で、あの日の朝ってやって次に医者が出てきて、妻が喋らないんですよね、妻が一応出てくるけど2にも。
だから僕はてっきりこう、妻が亡くなるんかなみたいな風に思ってたんですよ。だからそういう感じでずっと読み進めてましたね。
スピーカー 1
じゃあちょっと奥さんに何かしらのことが起こるんじゃないかって。
スピーカー 2
いやこの僕の2の妻は死んでると思ったんですよ、ほんまに。でどっかで妻が亡くなるとこが出てくるのかなと思ったら、
スピーカー 1
割と最後まで読んでも素通りしてしまって、あのはっきり書いてないから、だからあれと思って終わりましたね。
確かに医者が一度やると何度もやるようになるっていう、これもね不穏ですしね。
スピーカー 2
そうなんですよね。
スピーカー 1
私ね、市で釣り堀に行くじゃないですか、家族構成は父親母親、長女、次男、三男っていう構成ですよね。
スピーカー 2
まあ長男、次男。
スピーカー 1
長男、次男。で釣り堀に行くのってこの長女の女の子って言ってるかどうかって分かりづらくなかったですか。
なんかね、230ページの後ろから2行目で釣り堀の入場料払うところがあるじゃないですか。
スピーカー 2
はいはいはい。
スピーカー 1
で、大人一人子供一人って言うから、子供一人とお父さんで行ってるはずなんですけど、
最初はもともと長男の2番目の男の子が行きたいって言ってるじゃないですか。
だからその男の子とお父さんの2人で行ってるっていうのはこのセリフからは分かりますよね。
スピーカー 2
まあこの2人が、はい。
スピーカー 1
でも女の子もその場にいるんですよ。
スピーカー 2
いますね。
スピーカー 1
だから私、子供料金で2人入ってんのか、なんか女の子がもしかしてこれ幽霊みたいなの持っちゃったんですよ。
スピーカー 2
あー。
スピーカー 1
だって子供一人料金で子供2人も入らなくないですか。
スピーカー 2
あれ、僕は竿の数で取ったんですけどね、普通に。
スピーカー 1
あ、そういうことか。
スピーカー 2
うん。つい竿を2本もらったって書いてるから。
あ、そっか。そっかそっか。そういうことか。
で、その竿。
スピーカー 1
子供一人、あー。そういうことか。
スピーカー 2
子供用の竿と虎用の竿っていう。
スピーカー 1
あー。私ね、ちょっとこれめっちゃ話飛びますけど、最近なんかジャンププラスやってるマトっていうやつ知ってます?
スピーカー 2
あー。ちょっとだけの中身じゃないですけど、なんかキリストみたいなやつ。
スピーカー 1
なんかエイリアン出てくる。
はい。
主人公キリストみたいなビジュアルが。
それでなんか、主人公の娘がいるけど、お父さんと喋ってるけど、実は死んでたみたいな設定があって、私最近はそれ読んですごい頭に残ってたんですよ。
はいはい。
だから、あれこれ女の子、これ死んでんじゃないかってずっと思ってて。
あー。
それで引っかかってましたけど、確かに。確かに次の行為。
それだけですか?
そう。次の行為って釣竿2本って書いてますね。
で、その不穏な話だっていうのを知ってたから、あれこれもしかして女の子があれだったっけってなんか変な思い込みで、すっごい思い込み強く読んでました。
スピーカー 2
え、でもそうなかったですよね。
え?
女の子が死んでるみたいな。
スピーカー 1
あ、なかったですよ。
なかったけど、女の子だったっけなと思って、すごい飛躍して読んでたけど、確かに釣竿2本か。
スピーカー 2
っていうことかなと僕は思いましたよ。この大人1人、お子ども1人っていうのは。
スピーカー 1
そういうことか。
え、でも大人1人、子ども1人って、なんか私釣竿、釣り掘りわかんないですけど、お父さん。
スピーカー 2
なんか入るのにお金がいるわけじゃないと思って。
そうか。
釣り掘り入るのは何か竿にお金がいるのかなって思ったんですけどね。
スピーカー 1
なるほどな、そうか、釣り掘りは。あ、でも、まあそういうことですよね。そうしないとおかしいな話ですもんね。
スピーカー 2
いや僕普通にそこは何かそういうふうに勝手に思ってましたけどね。
スピーカー 1
なんかすっごい私、ちゃんとメモして読んでやろうと思ってたんで、怪しんでましたけど、まあ確かにそうですね。
せっかくここはそのまま続きましょう。
スピーカー 2
あ、はい。そっか、そこは僕は特にわからんかったというか。
スピーカー 1
そんなに疑問にならなかったんですね。
スピーカー 2
なんかわからんことはいっぱいあったけど。
スピーカー 1
怪しいと思った。
スピーカー 2
いやでも怪しいこといっぱいあるんですよね。南米のすーじーちゃんの話とかどうでもいいじゃないですか。
スピーカー 1
そうですね、南米。
スピーカー 2
これなんでこれ出てきたんやろとかね。
スピーカー 1
まあそうですね、日常、日常を書いてメモします。
スピーカー 2
まあでもこれも死者の世界から帰ってきたとかそういう話なの?
スピーカー 1
まあそうそう、意味深ではあるんですよ。
スピーカー 2
全部そうなんですよね。なんか何かあるんかなって思わせられるんですけど。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
でもそれが何にどうなんかっていうのがわからなくて。
スピーカー 1
金魚の金魚鉢を置くとか。
スピーカー 2
そうですね、部屋のね、子供部屋の描写とかも。
それだけなの?
ああみたいなね。
めっちゃ短いし。
スピーカー 1
どっちかっていうとそういうなんてことない章の方が多かったんじゃないですかね。
スピーカー 2
うん、なんかそれが意味ありげやからちょっとわからないまま読んでいくっていう感じでしたね。
これ何を言おうとしてんやろとか。
スピーカー 1
大まかな感想ですけど、このいろんなシーンがパッパッパッと18章並んで一つ作品になっているので、
結構私好みというかいいなと思ったんですけど、どう思います?
スピーカー 2
これだから僕はアゴタイプリストフと一緒やなと思いますよ。
スピーカー 1
ああ、そっか、そうですね、本当だ。私もそれ思わなかったけど、そうですね。
本当ですね、私こういうの好きなのかな、じゃあ。
短いのをパッパッパッと。
スピーカー 2
読みやすいとは思いますし、あれはちょっと長編やったから、
その一個一個にそんな絡めとるような意味はないと思いましたけど、時系列で進んでいってたし。
スピーカー 1
なんか良かったな。5章、245ページから始まる5章っていうのが、寝床で妻のことを考えるっていう章なんですけど、
これもあんなことがあったみたいなことを書いてるんですよね。
これはかなり意味深な章でしたね。
あんなことがあってから一緒に寝ている。
別々の部屋で寝ていて、あんなことがあった後ではもう、もう一度元のように2人は同じ寝床で寝るようになった。
スピーカー 2
僕はメモって書いてますもん。あんなことがあった後ではあって。
それはほんま、なんか分かりやすく書かれてるけど、
これを多分、もう一回全部読んだら、全部なんか意味あるんかなと思ってしまいましたね。
繋がってるんじゃないかと。
スピーカー 1
なんかそういうふうに読めば、いろんなことが繋がっていくんだろうなと思って読んだ。
私、これ2回読んだんですけど、そういうふうに読んだりもしましたけど、
あんまりそういうことを考えずに、パッパッパッとそういういろんなシーンを思い描きながら、
あまり丹念に読まないっていうのでも結構面白く読めたんで、
どっちの読み方でも楽しめるなって思いましたね。
スピーカー 2
これ普通にこれだけ読んでたら、分かんないですからね。僕は分からなかったですけど。
その話はまた後で。
スピーカー 1
でもなんか問題抱えながらも、いい家族の描写のようにも見えるし、
オケラのこと書いてる話があるんですよ。13章。
それとかすごい、なんかいいシーンだなと思って読みましたよ。
スピーカー 2
ちょっと残酷なんすね。
スピーカー 1
子供がオケラ拾ってきてみたいな。
物語の印象と描写
スピーカー 2
そうですね。スケッチですもんね。ほんまに。生物っていうタイトルとの通り。
イノシシの話しするとかね。
スピーカー 1
そうそう。オケラの章の282ページの一番、13章の最後の一文が一番好きだったな。
生徒が一人もいない学校の運動場では、砂場のオケラも火山のオケラも黙ってトンネルを掘っている時刻だっていう。
これもすごい私好きですね、この一文は。描写が好き。
スピーカー 2
夜遅いっていう。
スピーカー 1
なんかこの遅い時間にオケラが黙々と掘っているのが絵に浮かんでくる。
そういうのも良かったな。
この話が一番印象的だったってあります?
スピーカー 2
えー。何でしょうね。印象的だった。
でもそんなに浮き沈みがある感じでもないし、短いか長いかぐらいのはあったけど、
いやでも僕はやっぱりこのメインになってる話が一番ちょっとやっぱり怖いというか、あの14ですけど。
スピーカー 1
14、あーはいはい。
スピーカー 2
恐ろしいじゃないですか、この回は読んでて。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
何が起こってんじゃろっていう感じだったんで。
スピーカー 1
ここをね、村上春樹も。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
ここをすごい重点的にやってますね。
スピーカー 2
これが僕はメモも一番多いし、怖かったですよね。
なんか下の子がまだいない回とかも結構あるんですよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
過去の、前の家の話とかね。
スピーカー 1
そうですね。前の家の話もありました。
スピーカー 2
全体的にやっぱりちょっとね、緊張感がある感じはありましたね。
スピーカー 1
そうですね。緊張感ありましたね。
スピーカー 2
その家庭の和やかな雰囲気もありつつ、子供に対しての接し方とかちょっとこう、恐ろ恐ろみたいなところがいっぱい。
家族の不穏な雰囲気
スピーカー 2
映画の見せ方とか。
ちょっと怖いんですよね。
鎮盗屋になんか言われるとか。
スピーカー 1
なんか300ページで、これまだ前の家に住んでた時の話なんですけど、300ページの3行目で下の部屋では2番目の赤ん坊が小さい布団の中で眠っていた。
で、上の女の子は外へ遊びに行ってっていう話があるじゃないですか。
2番目の赤ん坊っていうのがずっと小説に出てきている男の子、釣りぼりに行きたがっている男の子なのか、なんか別の子がいたのかなみたいな。
なんかそんなにちょっと怪しみもあって、もしかして別に2番目の子はいたけど早くに亡くなっちゃった子がいたのかみたいな。
なんかちょっとそういうことも考えたりしましたね。奥さんがちょっと不穏じゃないですか、全体的に。
だからなんか赤ちゃんに何かあったのかなーみたいな。そんなのも考えました。
スピーカー 2
どっちとも言えないですけどね、この話だけでは。
スピーカー 1
なんかやっぱり説明がない分、いろいろ自分の中で想像しちゃったりしましたね。
女の子と弟4歳差だよなーとか、いろいろ考えて。
スピーカー 2
このすすり泣きの結局何かわからなくなってたよね。
スピーカー 1
妻があの時泣くわけはなかった。実際に泣いてもなかったけど。本当かーみたいな思いますしね。
スピーカー 2
これ怖い話なんでね。なんかこの順番とかもね、謎なんですよね。
スピーカー 1
そうですね。
ミノムシの話で終わるのとか。
そうですね。
スピーカー 2
何かあんのかなって思って急に終わるから。
スピーカー 1
なんかね、こういうのってどれぐらい意識的にこれが最後だと絶対いいみたいなのがあるのかわかんないですよね。
17章と18章別に入れ替えてもいけそうな気もするし。
スピーカー 2
ちょっと順番に並べ替えてほしいな、当時。
スピーカー 1
でも全然いけそうな研究はあるでしょうね。
スピーカー 2
あるでしょうね。やってると思います。これとこれとこれの順番やと。
金魚の話とかのアベコベに出てくるんで、こんなんって普通そんな時系列バラバラで順番に書けます。調節とか。
いっぺんだから時系列順に書いた後に並べ替えたのかなとかね。そうでないと書くめっちゃ大変じゃないですか。
思い出して書くって感じなのか。
スピーカー 1
そうですね。いくつか書いた後にこれちょっと追加で書いてみるかみたいので、どんどんどんどん足していくって感じじゃないですかね。
それこそ最初はスケッチみたいにこういう家族の話書いてみるかみたいので書いていって。
スピーカー 2
場面ごと独立して考えてるといけるか。
スピーカー 1
ただやっぱり頭からこれを書いたとは思えない。
スピーカー 2
この順番で。
スピーカー 1
この順番でこれやっていこうっていうよりかは書きながら考えて作ったって考えた方が自然ですね。
スピーカー 2
あまりにも順番バラバラなの。その割にその時その時の時間がはっきりしてるから、この時のことっていうのが。
スピーカー 1
タイトルのこの生物っていうのも意味深ですし。
スピーカー 2
これは手法なのかなと思いましたけど、書き方のことなのかなと思いました。
そのまま書くみたいな。物語っぽくはないんでやっぱり。
起こってることをそのまま言えば。日記って言われてもね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
全然違和感ない。
村上隼の解説の方では。
はい。
これちょっとさっきの磯岡翔太郎のやつとかぶるというか、詩小説的っていう言葉が出てきますね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
ここでその詩小説的っていうのはどういうことかみたいな話もちょっとあったんで。
詩小説の入れ物を持ってきて当てはめるみたいな。そんなの書いてあったかも。
スピーカー 1
そうですね。なんかどん柄はあっちから引っ張ってきたが中身はこっちで勝手に入れ替えていって。
どん柄っていうのがちょっと私は。
スピーカー 2
入れ物のことかなと思ったんですけど。
詩小説的な構造っていうのはやっぱりちゃんと文学的な枠組みとして共通認識であるんですね。
スピーカー 1
なんでしょうね。事実を元にした創作っていうのが詩小説やから。
スピーカー 2
そういうのって結構グラデーションで全くゼロっていうものもないし。
ファンタジーとかになってくるとそもそも。
スピーカー 1
そういうジャンルがある小説とかSFとかも丸々創作やし。
でもこういう今回の作品みたいに特に平凡な過程を平凡なタッチで描いていると
小説家の生活をそのまま書いたような詩小説的なものとして受け止められるけど
意識的には全然詩小説ではないんじゃないか。
これは安岡翔太郎の話、すいません、私125ページのあたり読んでたけど。
スピーカー 2
超の純像はどこまでが現実でどこからがフィクションかの境目がないっていう話をしてる。
それが分からないっていうことをひたすら言ってますね。
詩小説っていうジャンル自体が作者自身が主人公やったりとかして
スピーカー 1
自分の実体験をもとに書いたあくまでフィクションっていうスタイルじゃないですか。
スピーカー 2
安岡翔太郎に関しては自分の実体験をもとに物語を書いてるけど
明らかに物語的な技巧のもとで描かれてるセリフだったりとか話の展開だったりとか
あとキャラクターの思ってることとかそういうのがちゃんと技巧的に見て取れるけど
諸の純像の生物に関してはそのまま書いてるのか
それとも作って書いてる部分があるのかどうかっていうのが全然分からへんみたいな
そういうことかなと思ったんです。
スピーカー 1
生物読んでたらそう思いますね。
スピーカー 2
そうそう。なんかほんま日記みたいに見えるんで、日記は基本事実じゃないですか。
スピーカー 1
ガラスの靴とは全然ね、やっぱり違いますよね。
明らかに生物の方が生感があるというか。
スピーカー 2
生活感そのままっていう家庭の風景そのままって感じですよね。
だからそこにある作者の意図みたいなのがすごい読み取りにくいっていうことなんでしょうね。
スピーカー 1
でもまあ元々そういうタイプでというわけでもなくて
作品の評価と詩小説的要素
スピーカー 1
プールサイド生計とかがいろいろあったけど
生物に行っちゃったみたいな書いてるから
変化があったけどそれの変化にどこまで色的だったのかとか
こういうのが分からない。
結構そのあたりからすごい作家の気持ちにすごい寄り添ってというか
村上春樹の著者としての姿勢というか
こういう風に考えていってやったんじゃないかなみたいなのを書いてますね。
僕も作家の端っことしてよく分かるとかなんとなく分かるって書いてますね。
安岡翔太郎の時もそうでしたけど
作品論に入る前の作家の気持ちとか
作家がこういう方針立ててやっていったんじゃないかみたいな
村上春樹の想像というか作者としての気持ちみたいなのを
自分で推察していくところは面白いですよね。
スピーカー 2
そうですね。これはでもほんま過去作読んでると分からないですけどね。
時系列というか変遷を踏まえて
そうなんだろうっていう想像をしてるって感じですね。
作品の移り変わり作風であったりとか。
でも映画の批評されるときとかも割と監督が
どんな順番でどういう作品作ってきたかみたいな
これまでがあってこの作品があるみたいな批評のされ方が多いんで
どうしてもそうなっちゃうんですよね。
だから反対ではちょっと測れないというか
そういうやり方になるんでしょうね。
特に小説のその傾向が変わっていくと
こういうこと思ってたよなみたいな感じが見えてくるんでしょうね。
書いてる側としては。
スピーカー 1
でも反対にその作品を独立したもので
それだけで論じるとまた違った感想が出てくるのかなと思うと
そういうふうなのも読みたいですけど
本当に生物だけで論した場合はどうなるのかっていうのは。
スピーカー 2
でもそうなってくるとやっぱり
作品の出来っていう感じの見方になるんでしょうね。
スピーカー 1
たぶん書く側も読む側も
作者のこれまでの変化とか
そういうのを踏まえて書いた方が書きやすいし
読む側も面白いと思うんですよね。
スピーカー 2
だからまあそういう。
そうですね。読み物にならないかもしれないですね。
ちょっとの感想で終わってしまうというか
技巧的な話とか
あとどっちにしても作者のプロフィールとか
過去作とかっていうのに対照化しなくても
たぶん今同時代の作品の中での位置づけとか
そういうことになってくるかなと思うんですけどね。
こういう表現がなかったとか
今でも新しく感じるとかっていうのは
やっぱり時代性とかすごいあると思うんで
対照が変わるというか
参照するものの
3体で評価するっていうのも結構難しい。
難しいですよね。
結局何かの中でのこの作品っていう感じになってくるかなと思います。
作品の特徴とテーマ
スピーカー 1
そうですね。何かしら比較しないと
その作品の特徴って分かりづらいし。
スピーカー 2
そうです。自分が受けた印象っていうだけでも
やっぱり自分が今まで読んできたものとか
どうしても思うとこあると思うんで。
じゃあ謎の部分に入ってみますか。
スピーカー 1
いきましょう。
131ページから
生徒さんがまたね。
スピーカー 2
始まるんですよね。
なんか勘の鋭い生徒が。
スピーカー 1
これちょっと読みましょうか。
スピーカー 2
131ページで生徒Pっていうのは質問するんですよね。
主人公の奥さんはこれは自殺未遂をしたのですね。
私はそのように見ました。
でも彼女はどうして中折れ帽子と犬のぬいぐるみを買ったのでしょうか。
不思議な組み合わせだと私は思うのですが。
これが14の話です。
僕はこの生物だけ読んだ時に奥さん死んだと思ったんで。
自殺未遂やったんかっていうのはわからなかったですね。
スピーカー 1
でもかなりいい線いってるじゃないですか。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
読みというか。
スピーカー 2
2でねちょっと眠ったままの妻がいたんで。
でもこの14って
なんか違う着物を着てるからそれしか書いてないですよね。
スピーカー 1
そうそう普段と違う書いてますね。
スピーカー 2
だからそれで自殺未遂っていうのは読めなかったです。
スピーカー 1
妙なものを着ているって書いてます。
私はね、私特にその昔最初に読んだ時は全然そんなこと思ってなくて。
なんかあったなと思ってたんですけど、まさか自殺未遂とは思ってなくて。
スピーカー 2
はい、そうですよね。
スピーカー 1
なんなら不穏な話もありながらも結構日常回で割とほのぼの写真もあったし。
楽しく読んでたんですけど。
そんな感じなんと思ってびっくりしたのを覚えてますね。
この解説の時ですか。もっと前に知ってたんですか。
もっと前に昔大学生の時に読んで読んだ後どんな感じの話だったかなっていうか
ネットでちょっと感想みたいなの調べたら自殺未遂だったっていうのが出てきて
スピーカー 2
そんな話やったんやってびっくりしましたねその時は。
だから実際この14でも一切出てこないですよねその話が。
妙な服を着ているっていうのもようわからないし、妙なものを着ている、着て寝ているっていうのは。
そこしかないですよね、だってその違和感が。
まあ起きひんっていうのはありますけど。
スピーカー 1
この14の時系列的には14の後にこの2の湯担保の話、お医者さんのとこに繋がるんですよね。
そうやと思います。
でもなんか湯担保で自殺ってなんかおかしくないですか。
なんか事故みたいな話なのかなと思ったんですけど、低温やけどみたいな話ですよねこれ。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
確かになんか湯担保訳でしたっけ、いくつかの箇所に入れてて。
自殺の仕方としてそういうのがあるんかと思って。
スピーカー 2
それ書いてないなと思ったんですよね、わからなかったんで僕は全然。
でこの妙な服っていう、妙なものを着て寝ているっていうのが色のことなのか、湯担保が膨れてることなのかな。
スピーカー 1
ああそうかそうか。
スピーカー 2
どういうことなのかっていうのも僕はわからなかったし、とにかく書いてないですよね、その辺は。
スピーカー 1
確かにこれで膨らんでたら妙な服ってそういうふうに繋がりますね、今コーンさんに言われるまで思わなかったですけど。
でもなんか結構この村上春樹の話の中では結構その自殺未遂だったっていうのはもう。
当たり前かな。
大前提のように今書かれてた。
みんな知ってると思うけどみたいな感じで語られるんで。
一つの文学的規制事実になっているって書いてますね。
スピーカー 2
文学的とかどうかは別として事実やと思うんですけど、たぶん実際事件があったってことなんでしょうけど。
スピーカー 1
作品をずっと追って読んできた読者はそれをすでに知っている。
スピーカー 2
他の作品でも触れられてるっていう感じですかね。
スピーカー 1
で、ここからひたすらこの中尾レボーについて。
これなんか本当に市民が足りないみたいな感じで、途中ここだけで終わっちゃいますもんね。
スピーカー 2
そうですね、ほぼこの話で終わりますね。
中尾レボーは何やったんかみたいな。
欲しいって言ったことないのに。
これを買ってきた妻の気持ちがわからへんみたいな。
スピーカー 1
そうですね、すごいです。そこからすごい推測するじゃないですか。
スピーカー 2
これすごい飛躍やなと思ったんですけどね。
スピーカー 1
これすごい想像力ですよね。
スピーカー 2
万年筆でも良かったんじゃないかみたいな話やけど、でも中尾レボーの描写がすごい質感があってみたいな。
スピーカー 1
しつこく防止にこだわるようで申し訳ないんですが。
父親が別にその中尾レボー好きとかそういうことなかったのに、中尾レボーを買ってくることから妻はどういう性格かみたいなことをすごい推理するんですよね。
それは面白かったな。
スピーカー 2
高いのになんでこんなん買ってきたんやろみたいなのも言ってるし、だからそんなに裕福ではなかった家庭やったけど、多分奥さんはそういうのに無頓着なんじゃないかとか。
スピーカー 1
お嬢さん育ちではないかとかね。
他人が何を求めているかよりは自分が何を他人に与えたいかということをまず第一に念頭に浮かべるタイプではないかってありますね。
スピーカー 2
相手が欲しいんじゃなくて自分が被って欲しいみたいな。
それをだから自殺未遂の日に渡してるっていうのはよくわからんっていう。
子供は子供がこれを好きやったんか、ぬいぐるみが好きやったんか。
それとも子供に対してもこれを与えてあげるのが自分の一方的な愛情やと思って渡したんか。
つながるとこはあると思うんですけど、押し付けですよね。
でもそれをわざとやってんのか、無意識にやってんのかわからへんじゃん。
キャラクターの感情解析
スピーカー 2
あてつけでやってんのか。
すごいですね、これ。
こんだけ言っといてその暴笑さとなくしてしまう。
スピーカー 1
そうなんですよね。私もこれ村上春樹に言われて。
自殺未遂をしたっていう前提で話を読んでいくと、確かに奇妙なんですよね。
帽子なくしてもそんなに困ってないというか、ああ、なくしたみたいな感じで。
スピーカー 2
なんか人が多かったから探しに行かへんかったみたいな。
スピーカー 1
そもそもそんな帽子を日常的に被るっていうのも変ですしね。
って書いてますけど。
スピーカー 2
なんて言ってたかな。ちょっと変なんですよね、その辺の。
スピーカー 1
そこはすごく変だけど、多分これ編集者だったらいろいろ気づくだろうおかしな部分だけど、
そこ特に流しちゃったっていうので、この辺かなり小説家としてわかる気がするみたいな。
そんな感じでしたね。
スピーカー 2
わからないことが多いっていうのがめっちゃ書いてある。
スピーカー 1
この形が出てきたらこれに行くしかないでしょう。
スピーカー 2
すごいこの辺の解説というか、めっちゃ難しいんですよね。
この結果的に自分の中の小説的ベクトルまで取っ払ってしまってるんじゃないかと。
スピーカー 1
140ページですけど。
スピーカー 2
僕が本当に言いたいのはそういうことです。
これは解体と言ってもいい。その解体はそのものには意味あるし、志してもらう。それは確かです。
スピーカー 1
すっごい村上春樹わかるんじゃないですか。
作者としてこの辺の。
スピーカー 2
これはわからないですよね。
スピーカー 1
私たちにはちょっと。
その後でそういう一緒に寝るようになったっていうところで142ページの頭ですけど、
村上春樹は僕はそれは主人公夫の一種のステートメント決意表明なものだろうと思うのですって書いてて、
たぶん父親は一家の大国柱としてやっていくんだっていう決意表明だって書いてるんですけど、
父親像の描写があったページがあったじゃないですか。
つりぼりのところで。
そこを読むと結構そんなに決意表明したようなお父さんには見えないというか、
あんまりお出かけにも連れていかないし、計画立てずにわりとのんびり休日過ごしているような父親だなと思ってたんで、
その印象と村上春樹の決意表明という言葉に結構ギャップを感じましたね。
スピーカー 2
何なんでしょうね。妻に対してってことですかね。子供に対してっていう。
スピーカー 1
自分はこれからこの女とこの女を含んだ家庭を守っていくのだと決意する。
決意しても別に休みの日におんびりすることぐらいあるとは思うんですけど、
私最初読んだ時のイメージがちょっとことは違ったなって気になりましたね。
スピーカー 2
そうですね。仕事ばっかりで家を開けっぱなしとかそういうことにならないとかって言ったのかな。
スピーカー 1
別に出かけなくてもんびり家族と一緒にいるっていう時間を大切にするっていうタイプなのかもしれないし。
でも一緒に寝る寝ないの話しかメインなのかなって思うんですけど、難しいっすね。
スピーカー 2
結構難しいけどね。呼び方の変化で役割が変わってるとか。
スピーカー 1
ここは気づかなかったです。言われるまで。145ページですよね。
父親母親みたいな書き方が事件が起きた直後の時点では男になっている。
でまた父親転換が行われている。
スピーカー 2
いややっぱり順番通りに習ってほしい。
実、わかりやすすぎるんでしょうね。多分それをやると。
でもなんか研究というか、読み解きをする時は絶対必要ですからね。
順番通りに考え直すっていうのは。
スピーカー 1
なんかあれでしたね、中折れ帽子からの話が膨らんでいったので、
あまりこの生物っていう18章が短いシーンがパッパッパッと並べて一つの作品できているみたいな、
その辺の構造の面白さとか、そういう話はそんなにバレてなかったのかな。
最初の方に自覚的だったかみたいなところで。
スピーカー 2
そうですね、そんな話は特になかったですけど、
単純にこの文体がすごいみたいなことは書いてますけど。
スピーカー 1
どの辺でしたっけ、文体。あっさり書かれてるってこと。
そうですね、スーパークールな文章の書き方っていうか。
この小説はもうちょっとボリュームして往復してもいい、もっと読みたかったですね。
スピーカー 2
元の方ですか。
スピーカー 1
いや、あの、中井春樹の解説。
スピーカー 2
まあやってるんでしょうね、実際は。
合い切らへんかったという。
スピーカー 1
暇があったら全部一つ一つ当たっていきたいという気持ちもあります。
どれだけ突き詰めてもたどしつかずは結局のところ同じような結論ではあるまい。
スピーカー 2
結構面白い。
そうですね、なんか文体の解説とかも面白いですね。
若い読者への案内
スピーカー 2
放りっぱなし手法とか言ってました。
この説明をしなさすぎる。
スピーカー 1
最後の方にあの、長女の年代、生まれた年代が自分とほとんど同じだみたいな書いてて、
ちょっと最後、なるほどなーって思いましたね。
自分の、そういう自分の同じ年の当時人物が出てくるっていうのを考えてみると、読み方の雰囲気変わるかもしれないなと思いました。
スピーカー 2
実際にそうなんですね、たぶん。小説もそうですし。
スピーカー 1
なんか、賞の巡蔵の家が今も残ってるんですよね。
うんうんうん。
なんか夏葉者の人が割と賞の巡蔵好きで。
本が出てるんで。
なんかそんな本が出てたとか。
スピーカー 2
全部そうなんですけど。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
もうちょっと読んでもいいかなって思いますね、やっぱりこうやって話を聞くと。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
人の話というか解説を聞くと。今まで全然知らんかったし、読んでこなかったけど。
スピーカー 1
私ももう一度プールサイド賞券を含めて読みたいな。
そうなってくると、ほんま膨大なんでね。
スピーカー 2
今は4人でできてるんですね。
みんな読んでるんやって、予想。
スピーカー 1
じゃあ今のうち、今の中だと誰が一番読みたいですか?
スピーカー 2
いや僕はでも結構、もう誰ってないですね。
スピーカー 1
そうですか。
スピーカー 2
なんか一人一人やっぱ気になるんで。買ったけど読んでないですけど、まだ全然。他の本も。
スピーカー 1
ほんまにいっぱい読んでるなっていうのを毎回思いますね。
そうですね。
スピーカー 2
全然日本文学もいっぱい読んでますよね。
スピーカー 1
この辺全部、ほんまに一人一人の作家、全部読んでる勢いじゃないですか。
スピーカー 2
そうですよね。
そうでないと語れないことがいっぱいあるんで。
そう思うとこの若い読者のための短編小説案内には、めっちゃハードル高いですよね。
これを読むまでに読まなきゃもう多すぎ。
スピーカー 1
読んだ上で理解するのも、この1回読んだだけではまずわからんし。
まあそうですよね。でもピンとくる作家はこれを読んだ後にもう一度ここに書かれてるものを読んで、
スピーカー 2
でもう一度取り上げて読んでっていう、これだけ読んで終わらないって感じですかね。
これだけではちょっと無理。
スピーカー 1
これだけでは無理やし、タイトル上がってる1個だけ読んでもあんまわかんないですよね。
スピーカー 2
でも言い口にはなるかな。
スピーカー 1
そうですよ、入り口ですよこれは。
スピーカー 2
前向きに言うとすごい広がっていくんで、楽しみ方というか。
スピーカー 1
こういうのいろいろあると面白いですね。
スピーカー 2
そうですね、普通はその評論になってくるんで、
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
1作とかそうなってくると割と結構狭く深くみたいな評論は多いですけど、
スピーカー 1
この中を順番にどんどん上げていくみたいな。
ちょうどいいのかな、これぐらいの。
スピーカー 2
だいぶ箇所ってるでしょうしね。
スピーカー 1
そうですね。
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