00:00
2020年入試問題傾向分析ということで、実際に取材された2020年の入試問題を小川先生が分析をして、
ちょっと例を取りながら、それぞれの学校でどういった傾向があったり、また来年以降、その学校を受ける場合にどういう対策をしていったらよいのかというのを解説していこうと思います。
まず第一回目ですけれども、今回は日本最高校の私学といっても過言ではない兵庫県の灘中学の問題について解説したいなと思います。
そうですね。2020年この入試、関西もそうですし、首都圏においても結構大きなトレンドというのが見えてきた節目の地になりました。
これは全国の流れなんですけれども、一つには算数について極端な難問というのはあまり出なくなってきた。
ただ知識を持っていればこなせるようなパターン処理型の単純な問題というのも減りつつあって、
説問を適切に読んで、考えを組み立てて回答していく、頭を使いながら解いていく問題ということが重視されている入試トレンドにあるんですね。
国語についても用語がやたらと難しい論説文など、以前は首都圏の学校を中心によく出ていたんですけれども、
今年は県庁にですね、小学生なりにこれまで勉強した子であればある程度読み解けるような文章の中身と量を出しながらも、
記述問題をしっかりと聞くことによって、内容を自分なりに理解して自分の使える言葉で相手に伝わるよう表現できる、そういう力を身につけているかどうか。
内容を組み合わせ、考えて説明する力が育っているかという王道の国語と言っていいと思いますが、そういう出題がなされるようになってきた。
これはまず全体の大きな流れですね。
そうしたときに今年のNADAは、まず象徴的なのは1日目の算数が驚くほど簡単である。
NADA受験生にとってはですね。
ただ他校を受ける子からすると難しいんですよ。
NADAというのは関西に飛び抜けてべっかくなので、それ用の勉強はいるんだけども、
社会的に何問中の何問ばかりを大量にやるといった一昔前の勉強イメージではなくなってきて、
解けるべき学習を小5、小6と2年間積み上げてきた子、そしてNADA中の過去問の勉強をやってきた子であれば、かなり高得点が取りやすい。
そういう出題になっていました。
その結果ですね、算数にやや苦手意識がある子でも合格ラインに乗れる。
03:01
冷静に当日取り組めば。
というのが算数でまず発生したんですね。
次に国語が象徴的だったんですけども、物語、論説、そして詩といずれも例年通りの構成で、
内容としても文章内容を順に段落の組み立てに従って理解して、
説問に問われたままに回答していく記述で答えていくという力は本当に正直に聞かれている。
特殊な知識は特にいらない出題だったんですけども、
そのテーマがですね、
まず大文一の物語が、父親が学歴進行者で、家庭内で精神的DVのような関わりをして奥さんを強いてあげる。
子供についてもテストの成績でなじる、叱る、暴君のようですね。嫌われている。
息子はもうそういう父親に対して気持ちが冷めている。中学受験生なんです。
母親はそういった父親への感情を理解して、僕の味方だと思っていたのが途中で、
最近の学校のお友達の話。女の子のお友達がいるよと。
そのお友達が生活保護を受けている。経済格差ですね。
その話を聞いた時に母親が、そんなことつけるのをやめてくれと言い出したと。
息子は衝撃を受ける。学歴差別をする父親をダメな奴だと見限っていたけども、
味方だと理解できていると思っていた母も、結局は経済格差ということで、
自分が優位な立場にいて、そうじゃない人を下に見る。
そんな心の持ち主だということで、親に絶望するんですね。
で、終わる話。まずいきなりですね。
もう中学受験の現場で読まされると。数列の皮肉ですね。
大学合格の実績とか点数とかだけを地道上げてきた受験家庭がいたとして、
この問題を触れた時に非常に棘が刺さる。
そうですね。
大物理ではAIなどが進んでいて、情報は検索すればいいと考えるこの現代の世相において、
でも人間の本当の価値というのは、そういったコンピューターで判断できない部分。
何かをすごいと思えたり驚けたりする、そういう感性の部分にこそあって、
そういった人間の感性、コンピューターで表現しきれない独自の領域を最も感じさせてくれるのが読書の価値なんだと。
本には人間の中身が詰まっているからということで、
読書の持つ価値、人間が人間であることによる意味というものを考えさせる文章なんですね。
で、3番の詩で、子供当時の親の思い出から始まって、自分がもう親になって、
その父親母親は片屋なくなり、片屋施設に入っているというような時間が流れ、
06:02
そしてそれが戻ってくることはないんだけども、でも途切れるものではないといった、
この人生というものを感じさせる詩を出している。
全体を通して僕はこの奈良集はですね、得点取れる子に入ってほしいのではなくて、
これからこの奈良での6年間を経て、大学、そして社会へと出ていく子供たちに、
人間性というものがこれからの時代に必要なんですよ。
数学がいくらできても、知識がいくら大きくても、
人の価値が分かり、人との関わりを持てる人、
差別的な意識であったりではなくて、人間力といったもの、
人とつながれる温かさというものが大事にできる子供たちであってほしいし、
そういった思いを持って、時間というのは戻ってこないからこそ、
今をつなげて生きていってほしいということを、大文1・2・3のつながりで見事に説明されている。
確かにそうですね。
受験しながら子供たちに考えてほしかったんだろうし、
奈良中ですから、全国いろんな塾が分析して話題にもなりますが、
これから受験していく過程に、受験勉強を通してお子さんの何を育てようとしているのか、
をよく考えてみてくれませんか、ということをおっしゃっているように、僕には感じてならないんです。
だからこそ、説問が特殊な知識もいらないし、極端にスピードもいらないし、
ただ書かれてある内容を正確に読み取って、かつ自分自身で内容をまとめるような力、
これは大人とどれだけ対話してきたかによって伸ばせる力なんですけれども、
または記述練習を重ねて、大人の目で添削を受けて、
こういう組み立てで書き込みがより伝わるんだよということを語りかけてきてもらった。
そういった子が対応できる入試になっている。素直なんだけども高度な入試。
そういった出題をされているから、じゃあどんな学習をこれからやっていけばいいでしょうか。
一つはですね、塾のメニューがちょっと古くなっている。
そのテキスト内容というのが、今年のNADAの入試が求めているところとちょっとずれているんです。古いんですよ、考え方が。
だから今の入試問題、過去問をちゃんと研究するというのは大事だし、
数をこなして目先の毎週のテストで点を取ることよりも、
一つ一つの内容、意味を理解して。
で、なぜこう言えるのかな、国語であれば。
し、算数であれば、なぜここに築けるんだろう。どうすればいいんだろう。
ちょっと自分で考えてみて。で、解き進めてみて。
で、答え合わせもしくは解説を受けるときに、ああ、そういうことかと。
納得をして。で、もう一度自分なりに確認をしてみる。
量を大量に求めることよりも、一つ一つ意味、内容を理解し、疑問を持ちながら考えて。
09:04
で、人に説明していけるようなね、そういった力を伸ばしてあげることが重要になりますね。
かなり大人な小学生を求めてるじゃないですけれども。
そうですね。大人な小学生であれば一人でやっていけるし、別に大人になれとは言ってないので、
ちゃんとお子さんと大人が会話してくださいよと。
本人の考えを聞いてあげた上で、こういう考えもあるよというコミュニケーション、交流をとってくださいよと。
そうですね。
問題解放パターンをたくさん覚えて、当てはめたら解けるみたいな。
そんなマシーンのような受験、勉強というのはもうやめてくださいね。
AIみたいなのではなくてということですね。
そんなのいりませんよ。
いろいろとデコボコと才能がそれぞれにあっていいから、本人が面白いとか興味を持って問題に取り組めるような、そういう育て方を家庭も塾もしてくださいね。
そういうメッセージを理解していただければいいと思います。
ということですかね。
はい。
わかりました。
まだそういう知識だけではなくて、自分でそこを踏まえた上で考えていくということって、やっぱり大人との会話だったり、ニュースを見てそれをちゃんと会話して、
これってどういうことだ、どういうふうに思うとかっていう声かけとかっていうのが結構大事になってきそうですね。
そうですね。
なので今日のこの音声を聞きながら、まずはご夫婦とかご家族とかで話し合ってみたい。
うちだとそれぞれどんなことをあの子としゃべろうかねっていうのを話せばいいと思うし、
お子さんの周りにいる学校の先生であるとか塾の先生、習い事の先生、いろいろ大人いると思うんですよ。
その大人はそれぞれに個性があると思うんです。
そうですね。
その一人一人の価値、子供の周りにいてくれる大人の人たちの意味というのも考えてみると、
改めてあの人から聞いていることってこの子にとって大きな意味を持っているだろうなと。
幼稚園の時のあの時の先生の言葉ってこの子の中で生きているよね。
そんなことも見えてくると思うんですね。
そんな家族の会話、せっかくこのラジオを聞いていただければこの機会にしていただければなと思います。
分かりました。ありがとうございます。
ありがとうございます。
では次回はですね、こちら女子私学の最高峰っていうんですね。
応員中学を取り上げたいと思います。