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ホモ・ルーデンス 第1回 前書き・序説
我々人間は理性を信仰していたある世紀が、
とかく思い込みがちだったほど理性的であるとは到底言えないことが明らかになったとき、
我々の種族である人類の名称として、ホモ・サピエンスと並べて、
作る人、すなわちホモ・ファベルという呼び名が持ち出された。
しかしこれは前者よりさらに不適切なものであった。
物を作る動物も少なくないからである。
作りについて言えることは、また遊ぶということについても同じであって、
実に多くの遊ぶ動物がいる。
それにもかかわらず、私はホモ・ルーデンス、すなわち遊ぶ人という言葉も、
物を作る機能と全く同じような、ある本質的機能を示した言葉であり、
ホモ・ファベルと並んで、一つの一を占めるに値するものであると考える。
ここまでの部分で、ホモ・ルーデンスという冒頭部分ですが、
このホモというのはですね、ヒューマンの元になっているラテン語で、人間という意味なんですね。
サピエンスというのは理性的という意味で、
理性的な人間という意味でホモ・サピエンスが使われています。
同様にファベルというのがラテン語で作るということ、
そしてルーデンスというのが遊ぶということで、人間をどう定義するかというテーマなんですね。
この本では、著者のホイ・ジンガーが、人間を遊ぶ人、ホモ・ルーデンスというふうに定義付けて、
それについて考察を進めていくという形になっています。