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2023-12-21 11:50

【朗読】 #23 欲しい未来へ寄付を贈ろう

週も後半。ちょっと疲れたなあ、そんなときこそひとやすみ。喫茶クロスロードでは毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。/今月のテーマは「おくりもの」。今日は寄付にまつわるエッセイ「欲しい未来へ寄付を贈ろう」/ 書き手:あいりーん/語り:虹

00:06
スピーカー 1
カランコローン、いらっしゃいませ。喫茶クロスロードへようこそ。
いよいよ週も後半。ちょっと疲れたな。今週もなんだかバタバタしていたな。そんな気持ちが膨らんでくるころではないでしょうか。
そんなときこそ、ひと休み。ここでのんびりしていきませんか?
スピーカー 2
喫茶クロスロードでは、毎週木曜日、月ごとのテーマに沿ったエッセイ朗読をお届けしています。
今月のテーマは、【贈り物】
スピーカー 1
今日は、寄付にまつわるアイリーンのエッセイを、私、にじがお届けします。
それでは、どうぞ。
欲しい未来へ寄付を贈ろう
スピーカー 2
アイリーン、支援するよろこびをありがとう。とある寄付者から届いた手紙を、私は何度も読み返した。
支援するよろこび?寄付をいただくことに対して申し訳なさや情けなさを感じていた私は、正直、とても驚いた。
スピーカー 1
でも、確かに、支援するよろこびはある。
私もそれを感じていたからこそ、ここまで活動してこられたのだろう。
東日本大震災が起きた2011年3月11日、私は東京にいた。
これからは社会貢献を仕事にしたいと、新卒で入った会社を前年に退職し、青年海外協力隊を志して勉強を始めた頃だった。
スピーカー 2
震災と原発事故、その後に起きた計画停電により、すべての予定やイベントはキャンセルになり、私は自宅でひたすらテレビを見ていた。
スピーカー 1
人ってこんなに簡単に死んでいいんだっけ?
スピーカー 2
CMの度に増えていく死者、行方不明者数のテロップを見ながら、そんなことを思った。
現地には今も寒さに打ちひしがれている人たちもいると思うと、ヒーターをつける気にもなれず、寒い部屋で布団をかぶって、一日中テレビとSNSを眺めていた。
03:00
スピーカー 1
たまたま自衛隊や消防士や医療関係の友人がいて、仲間の派遣を見送った、とか、いつ自分が派遣されることになっても大丈夫なように準備をしておこう、などと発信していた。
スピーカー 2
直接命を救うことのできるスキルを持つ彼らの、なんと尊いことか。
対して自分は、人の命を救うようなスキルどころか、運転免許すら持っていない自分を呪った。無力感に打ちのめされながら、自分に誓った。
何のスキルも持たない私でも、被災地の役に立てる日が来たら、必ずボランティアに行こう。そして、その日は意外と早くやって来た。
2011年4月23日、私は大勢のボランティアたちと共にバスで宮城県石巻市に着いた。
スピーカー 1
あの日見た日和山からの光景を、私は生涯忘れないだろう。
スピーカー 2
満開の桜、静かな海、そして眼下に広がる見渡す限りのがれき、テレビでたくさん見てきたはずの景色なのに、自分の目で直接見るのは全然違っていた。
誰にも気づかれないように、静かに涙した。
スピーカー 1
活動は一週間の予定だった。
ボランティアは自己完結。水も食料も持参し、テントを張って寝袋で寝る。
もちろんお風呂にも入れないし、トイレは仮設トイレだ。
スピーカー 2
四月の東北は予想以上に寒く、朝四時半に寒さで目が覚めると、頭の中は寒い寒い寒いでいっぱいになれない泥かきで全身筋肉痛になり、テントの中で起き上がるのも困難だった。
スピーカー 1
ボランティアとしての生活も活動も決して楽ではなかったが、
目の前に私でもやれることがある。誰かの何かの役に立てていると思うと心の中は楽だった。
スピーカー 2
まだやれることがある。ここで帰るわけにいかない。
活動の延長を決めた。
スピーカー 1
避難所・町・浜・工場・仮設住宅
06:06
スピーカー 1
刻々と変化する状況とニーズに合わせて様々な場所で活動し、気づけば6年がたっていた。
スピーカー 2
私は1年間のボランティアの後、災害支援団体の職員を経て、震災から丸ごみ年の節目に任意団体を設立した。
最後の一人か仮設住宅を出るまでを目標に、孤立しやすい仮設住宅で見守り・訪問・慶長活動を行う団体だ。
活動の中で最も苦労したのがファウンドレイジング、いわゆる資金調達だった。
スピーカー 1
どんな活動をするにもお金がかかる。
事務所の家賃、高熱費、携帯代、Wi-Fi代、活動に使うレンタカー代にガソリン代、それにスタッフの人件費。
それらの費用を賄うため、私は毎年胃の痛い思いをしながら助成金の申請書を書き、寄付を募った。
スピーカー 2
特に団体設立初年度はクラウドファンディングを立ち上げたので、多くの知人・友人たちが寄付をしてくれた。
スピーカー 1
どんなにいい活動をしていると思っていても、お金をくださいとは言いづらいもの。
スピーカー 2
寄付をしてくれた人たちに対しても、私はずっと申し訳ない、情けないという気持ちが拭えなかった。
スピーカー 1
そんな時に届いたのが、冒頭の支援する喜びをありがとうという手紙だった。
支援する喜び、思っても見なかった言葉に鳥肌が立った。
と同時に、寄付者は志を同じくする仲間であることを実感した。
申し訳ないなんて思っている暇はない。
スピーカー 2
胸を張って寄付をいただき、その分活動と感謝でお返ししようと思った。
スピーカー 1
あれからまた数年がたち、私は母になった。
スピーカー 2
今、横浜に郷を通して、年に4回から5回石巻に通っている。
スピーカー 1
仮設住宅はなくなったが、代わりに復興公営住宅の訪問を続けている。
スピーカー 2
子供を思って思うのは、どんな未来を子供たちに残せるのか、ということ。
スピーカー 1
私たちが生きる社会には様々な課題が山積している。
09:01
スピーカー 2
気候変動、災害、孤立、貧困、高齢化、人権。
スピーカー 1
私が石巻で見てきただけでも、多様な課題がある。
こんな課題だらけの未来を子供たちに手渡すのか。
とはいえ、私が人生をかけてもできることには限界がある。
そんな時、誰もができる社会貢献の一つとして寄附があるのではないかと思う。
自分は直接活動できないが、思いをお金に乗せて託す。
それが寄附だ。
12月は欲しい未来へ寄附を贈ろう。
スピーカー 2
外言葉の寄附月刊。
スピーカー 1
もっと楽しい未来。
もっと優しい未来。
もっと平和な未来。
もっと多様性が認められる未来。
一年の終わりに未来を思い、
欲しい未来を叶えてくれる様々な取り組みに思いを託す。
支援する喜びを感じながら、私は今年も寄附をする。
いかがでしたか?
さて、名残惜しいですが閉店のお時間です。
今後も喫茶クロスロードは、あなたがほっこりした時間を過ごせるよう、
毎週月曜日と木曜日、夜21時よりゆるゆる営業していきます。
それでは本日はお越しいただきありがとうございました。
またお待ちしております。
11:50

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