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というわけで、antipop.fm第5回目は、今日はですね、マガヌマ・ミエさんの書かれた
黒川希少の電気、メディア・モンスター、誰が黒川希少を殺したのか、という本を紹介したいと思います。
ところで、冒頭のは何だったのか、という疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思いますが、それについては応援を話していきましょう。
黒川希少さんといえば、2007年の東京都知事選に唐突に立候補したかと思いきや、当然のように落選して半年後には亡くなってしまった、
何やら有名な建築家というイメージを持っている方も多いかと思われます。
この本ではそのあたりの経緯も詳しく書かれるのですが、そのことについては今回は触れません。
今となっては、建築家が社会的なスターになるなんてことはほとんど考えられないことですが、
黒川希少というのは、高度経済成長期の日本において、まさにポップアイコンとしてその言動が広く取り出された存在でした。
1960年に短毛建造研究室出身の建築家たちを中心に始まったメタボリズムというのは、
日本初の世界に影響を与えた大きなインパクトをもたらした建築運動でした。
大鷹雅人、牧文彦、菊竹清典、淡月義、江久安、賢治、川沿い昇るといった早々たる先輩たちの中で、
1934年生まれて当時若干26歳の黒川は、若手建築家として早くから頭角を現していきます。
メタボリズムという建築運動やその参加者、あるいは参加しなかった周辺の建築家たち、
例えば磯崎新田さんなどについてもあれこれ話したいことはあるんですけれども、長くなるので今回は話しません。
差し当たっては、Mコールハウスのプロジェクトジャパンという素晴らしい本があるので、ぜひご覧いただきたいなとだけ言っておきましょう。
そのメタボリズムの首謀者である渡田隆、この人は渡田明さんのおじさんなんですけれども、
彼の伝記もすごく面白いので、ぜひ紹介したいんですけれども、
ともあれ彼はですね、まず名前だ、有名になりなさい、次に設計の腕だよとよく言っていたといいます。
黒川もその影響を受けてからですね、これからの建築家は知名度なんですよ、みたいなことを言っていて、
その通りに見る見るまでにスターダムにのし上がっていきます。
建築ジャーナリズムはもちろんですね、平凡パンチとか女性自身などにもインタビューが掲載されて、
女子大生が痺れる建築界の鉄腕アトムなどと見出しをつけられるほどですね、
時間なる建築家としての枠を超えて、いわばポップスターとしての扱いを受けていたのでした。
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彼といえばですね、ポルシェやリンカンコンチネンタルなどの会社を次々と乗り回してですね、
後に結婚する女優の和香彩子さんと付き合っていた時などは、
アストンマーチンが彼女のマンションの駐車場にしばしば泊めてあったことから、
この車に乗っているのは黒川希少に違いないといって、
週刊誌に香彩がバレるというような、そんなある種象徴的な存在だったわけですね。
ところでですね、冒頭の変な声は何だったのかというと、
黒川がですね、1969年に古草周辺で活動していて、
小野陽子の元旦那でもあった前衛音楽家の市柳敏さんと組んで発表した
カプセル宣言のモノマネです。
当時最先端のコンピューターによる合成音声を使って、
アバンギャルドなマニフェストを読み上げた、そういう作品ですね。
マスコミ的な話題になるポップスターでありつつも、
最先端の前衛ともコラボする、いわば思想界の長寿。
それもまた今ではありえない存在なのかなというふうに思います。
ちなみにそのカプセル宣言というのはどういうものかといいますとですね、
第何章って感じで、条文みたいな感じで箇条書きされていくわけなんですけれども、
第一章はこんな感じです。
カプセルとは、細胞がアーキテクチャーである。
人間と機械と空間が体術関係を超えて新しい有機体を作る。
人工内蔵を取り付けた人間が、機械でもなく人間でもない新しい術を作るように。
カプセルは人間と装置を超える。
建築はこれからますます装置化の道をたどるであろう。
この精巧な装置は道具としての装置ではなく、生命型に組み込まれる部分であり、
それ自身が目的的存在である。
何を言っているかよくわかりませんね。
YouTubeに上がっているので、ぜひ全体を通して聞いてみてほしいなと思います。
かなりアバンギャルドな感じで、とてもかっこいいですね。
そんな感じで、そんな思想に裏付けられて作られたのが黒川希少の一番有名な作品。
彼といえばという感じの作品ですけれども、銀座8丁目にある中銀カプセルタワービルですね。
これは取り替え可能なカプセルを入れ替えることで、
都市の親近対象、つまりメタボリズムを実現するというような、
まさにメタボリズム運動を象徴するような建築だったのですけれども、
当初のそういった思想に反して、結局現在2015年に至るまで入れ替えが行われることはなくて、
今では老朽化に伴って取り壊しが検討されたりもしているようです。
でもまずそこは黒川作品らしい、ある意味メタボリズムということなのかもしれないですけれども、
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今ではAirbnbですごい人気になったりして、1泊9000円とかで貸し出されているそうなんですけれども、
それで新しい活用法が見出されて、またその建物自体の保存をしましょうという運動もあったりして、
実はまだまだ寿命は尽きないのかもしれないというようなところです。
そんな黒川なので結構嫉妬も多かったようですね。
背の低い黒川はインタビュアーに、
背が低いということは背の高い人間よりそれだけ細胞が少ないんだと思いますが、どう思いですか?
と書いて、今ではあり得ないような質問をされたんですよね。
それに対して黒川も怒るんですけど、その怒り方がやっぱりちょっと変わっていて、
こう答えたんですね。
細胞が少ないだって?それではいかにも僕が単細胞みたいじゃありませんか。
細胞が少ないんじゃありません。水分が少ないんです。
その切り返しに何の意味があるのかさっぱりわからない。
でも黒川希少の魅力が詰まった象徴的なやりとりだなと思っているところです。
まさにメディアモンスター。
そうですね。アンチポ君が今まさに駆け上がった先にある称号ですよね。
そんなわけでアンチポ君メディアモンスター化計画の礎としてのアンチポFM第5回目は、
メディアモンスター誰が黒川希少を殺したのかの紹介でした。