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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、first。1番目の1を意味するfirstについてです。
連日1を意味するoneについて取り上げてきましたので、その関連で今回は1番目の1を意味するfirstについてですね。
この1,2,3、ただの数。これはですね、奇数詞というふうに呼んでいます。基本の数字の言葉ということですね。
これに対して順序がある数詞ということで、順序の序です。序数詞と言って、これがfirst, second, thirdというこの系列になるわけですよね。
この奇数詞と序数詞の関係というのは、英語では4以上については基本的に規則的でthをつければいいんですね。
つまり4,5,6については4th, 5th, 6thというふうに、5が5thになったりするちょっとした変形はあるんですけれども、
基本的には奇数詞にthをつけることで序数詞ができるという具合になっているんですね。
ところが最も頻度の高い、低い数字である1,2,3に対応する序数詞は、全く似ても似つかない1,2,3とですね、
first, second, thirdという全く別語源の単語が使われているというのがわかると思うんですね。
その中で一番のものが、このfirstなわけですけれども、この語源について考えたいと思います。
これは考えいい人はすでに気づいていたかもしれませんし、気づいていなかったかもしれないんですけれども、
first、これ一番目のという意味ですから、最上級、いわゆる形容詞、副詞の最上級ESTですね。
これが思い浮かぶはずなんですね。
これはEが見えませんが、firstにもちゃんとSTが入っています。
これ実はある単語の最上級なんです。
まさに一番目のということなので、最上級は似つかわしいはずですが、
さて、何の最上級の形なんでしょうか。
現代語にはfirという綴りの単語は存在しませんね。
ですが、近い単語は存在します。
それは何かというと、これは驚くべきforなんですね。
前日の7のためにというforというのもありますし、語源的にはですね、実はいろんな単語が関係していまして、
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foreと書くfor、これ知ってますかね。
前腕、前腕ですね。
これをforarmと言ったり、あとは額のこと、 foreheadと言いますよね。
foreheadと書いて、頭の前の部分という意味なんで、for自体がそもそも前に、前のという意味があるんですね。
他に言うとですね、beforeがもちろんありますね。
これ前ということで、beという接頭字が付いただけですから。
それからforthです。
これ前に、前の方にという意味ですよね。
それから実はfromというのもそうですし、さらに言うとですね、far、遠い、遠方のというfar、これなんかも結局前にということなんですね。
前にというのは時間的に言えばですね、一番直近にという意味になり、いわゆるbeforeの意味ですよね。
これが実はfirstのfillという部分なんですね。
大元はですね、firではなくfurという形で、英語の大元であるゲルマンソ語という言語ではfurという形だったんですが、
これがこのuの部分がですね、furというuの部分が母音変化を起こしてですね、これドイツ語でumlautと呼んでいますが、これによってiの音に分けてfirだったんですね。
この英語ではfirst、つまり一番前に、一番時間的に最も前ということですね。
つまり今の英語にトランスレートするのであれば、earliestという感じですかね、一番最初に、一番前にという意味でfirstが使われていたということですね。
この英語ではfirst、一番前にという意味でした。
これが助数詞にも転用されて、結局順序付けて、一番目、二番目、三番目というときに、一番目のという意味に定着したということです。
この小英語の時期にはですね、earliestに相当する単語として、実はですね、earlyのuの部分の語源なんですけれども、earという単語があったんですね。
これがbeforeぐらいを意味する単語で、実は現代にも古風な表現ですが、ereと書いてairというふうにbeforeの意味で使う単語があります。
このairですね、これにreを付けた形が実はearlyなんです。
このearlyを今最上級にすると普通にearliestとなるわけですが、結局のところfirstとearliestというのは完全に同義語というか類義語みたいな感じだったんですね。
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この時間的に前というのをforというのを使うか、あるいはearlyのaを使うかぐらいの違いで、似たような意味関係ではあったということですね。
このearlyのaの部分ですが、これ小英語ではearだったんですが、これをそのまま最上級にしたearliestという単語もかつてありまして、これは現代にもですね、少し古いんですがearstという単語できちんと残っています。
やっぱりこれ最初にとかですね、あるいは昔のという意味で使われるんですが、あるいはearst while、昔のかつてのというようなearstにwhileを付けた形容詞なんかも残っています。
ドイツ語を勉強している人はですね、一番目のいわゆる英語のfirstに相当するものはこのearstを使いますよね。
こんな感じで類義語のような形で、firstとearstというのがかつて使われていたということです。
さらに言うとですね、このfarの部分、これが前にということだったんですが、この英語とその他の非常に多くのヨーロッパの言語ですね。
例えばラテン語なんかがそうなんですが、ラテン語でもですね、この英語のfarの部分がラテン語ではこのfがpに相当するんですね。
大元は一緒です。引用総語ということでですね、このfirの部分が実はラテン語のpriですね、priという部分にきれいに相当します。
なのでラテン語で一番のというfirstを意味する単語はですね、primusというんです。
これは英語にも入ってきていて、実は例えばprime ministerというときのprimeですよね。
第一番目のということです。筆頭のということです。a prime exampleとか使いますよね。
他にはですね、primacy、主位のことを第一番目の地位のことをprimacyって言います。
それから形容詞でprimary schoolって言いますよね。これ初等教育、第一番目の教育っていうことです。
それからprima donna、オペラの主役の女性歌手のことですね。第一のdonnaってのは女性、ladyのことです。
だからfirst ladyなんですね、prima donnaっていうの。それからprimate、これは霊長類っていうことですが、
これ第一番目のランクの動物の中でも第一番目のランクの動物だということでprimateのように、つまりfirstに相当するprimusですね、
ラテン語のこれに関係する単語っていうのもいっぱい英語の中に入ってきてるっていうことになります。
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この英語ではf、それに対してラテン語ではpという関係ですね。
これは実は非常に有名なグリムの法則と呼ばれる音の対応関係を説明する音の変化の説なんですけれども、
このように考えると、実は英語の中にもfirstという本来の英語に対してラテン語由来のprimusに対応するprimeとかprimaryとかprimateとか、
この辺の単語が究極的に同じ語源、つまり一番前にという意味で共通しているってことがわかります。
この辺りから語彙を増やしていくっていうことができるのではないかと思います。
それではまた。