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英語史つぶやきチャンネルということで、堀田隆一です。今日はですね、軽めの語源の話題なんですけれども、
invoice 制度、始まりましたね。この10月から始まりまして、フリーランスであるとか、副業などをしている方はですね、なかなか頭が痛いんではないかと思います。
私も、いろいろな形で副業って言いますかね、講演をしたりであるとか、そんな形で、invoice が関わってくるような収入があったりするわけなんですが、これがですね、免税業者、それから課税事業者って言うんですか、
この辺り、どっちになるかということで、消費税の払い方が変わってくるっていうことですよね。あるいは払わないで済むであるとか、このinvoice 制度、これ分かりにくいんですよね。
これ、的確請求書っていう風に日本語では訳されていますね。invoice ですね。そもそもこれは何なのかと言いますと、
売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段ということですね。そして、このために一定の事項が記載された請求書や納品書、その他これらに類するもの、書類がinvoice と呼ばれるっていうことなわけですね。
で、大変分かりにくい制度でですね、混乱を呼んで問題になっているわけなんですが、そもそもこの分かりにくさでですね、invoice という単語自体、英語のね、invoice から来てるんですけども、送り状ということですね。この単語自体がちょっとした勘違いから生まれた単語だっていうことがあるんですね。
そもそも単語自体がもう分かりにくい、勘違いの産物ということなわけですけれども、この語源を今日は探ってみたいと思うんですね。
invoice って言いますと、明らかにですよ、これ誰が見てもin たす voice つまり声の中にという意味はよく分かりませんが、in たす voice というふうに区切られるというふうに普通思うと思うんですね。
これ見ればそうですよね。で発音も invoice ですから。しかし、語源的にはですね、in は確かにこの中にっていうね、あの前置の in と同じ接頭字なんですけれども、voice はこれ声じゃないんですよ。語源的には声の voice と関係ないんですね。
たまたま今発音も綴り字も声の voice と一致してしまっていますが、これは勘違いによる一致で、本当は voice とは関係ないっていうことなんですよ。
これじゃあ何なのかと言いますと、invoice のすですね、ce というふうに綴っていますが、実はこれは本来は複数形の s なんですよ。
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つまり invoice っていう単語があったことを想定して、それに複数形の s をつけると。名詞の複数形としての s をつけて invoice になったものが、これがですね、全体として一単語なんだと、つまり五感だというふうに勘違いされて、
s は本当は複数形の s なのに五感の一部、五感末を形成する s なんだというふうに勘違いされたために、こんなことになってしまっているんですね。本来は invoice これが元にあっただろうと考えられるわけです。
さあ、じゃあこの invoice として、void っていう部分は何なのかと言いますと、これはフランス語から入ってきた単語、五感ということでですね、フランス語では en voie というふうに言います。
en っていうのが in に相当する、前置のフランス語版と考えていいです。そして voie というのが、これがいわば五感なわけですね。
これ道って意味なんですよ。英語でいう way にあたります。つまり言ってみれば in way とか in the way と言っているようなものなんですね。
道にってことです。そこから道に送り出す、旅路に送り出すということで、送る、送り出すというような動詞がありまして、
これフランス語ではですね、今でも en voie という、普通に送るという、英語でいう send に相当する日常語として使われてるんですね。
en voie です。これ動詞形です。名詞形は en voie ということになりますが、これはやはり派遣、送ることという名詞なんですね。
先ほどの動詞形 en voie このフランス語での過去分詞形ですね。発音は同じですが en voie という形が、つまり送られた、送られたもの、送られた人ということで、特使とか行使ですね。派遣されるものです。
この意味で、17世紀に英語に入ってきた、これが en voie っていう単語ですね。少し発音がフランス語から英語化したおかげでですね、en voie なんていう発音になってますが、これは派遣されたもの、派遣団とかですね、あるいは特使、行使ですね、という意味になるわけなんですが、
これと並行して en voie と並行して en voie と、またこれ別の形で英語化したものがですね、別の単語として入ってきたと。これが送り状、やっぱり送られるものですよね。今度は人ではないけれども、送られるものっていうことです。
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現在でも、いわゆる invoice、送り状のことはフランス語では lettre d'envoi、letter of envoy っていう言い方をするわけで、送り状ですよね。これが英語では envoy っていう、これ単独で送り状を意味するようになったということです。
そして先ほど述べたように、envoi っていうのが本来の形なんだけれども、これが複数あったら当然 invoice っていうふうに s がつくわけですよ。ところが、この複数形を一つの塊、つまり新しい単語の単数形と読み間違えちゃったわけですね。
なので invoice っていうのが見出しの形、単数形になって、これが複数ある場合は invoicees というふうになってしまう。ですから invoicees っていう今の複数形は、いわば二重複数、語源的に言うと二重複数ということなんですが、この勘違いした形が結局定着しちゃったわけですよね。なので今では invoice。
そして voice と聞くからにはですね、やはり s ではなくて ce すでに声という単語がありますので、つづり字をそれに合わせる形でですね、ce とお尻がつづっているわけなんですが、こうした勘違いの結果、あたかも声と関係しそうな見栄えのですね、単語になってしまったということなんです。
わかりにくいですね。
このように、本来は複数形の s なんだけれども、語幹末の s であるっていうふうに勘違いされて、結局それが語幹の一部として取り込まれてしまったという勘違い、これはですね、他にも例があります。
例えばですね、 bodice っていう単語が英語にあります。
b o d i c e と書きますね。これ、いわばコルセットです。
コルセット、着るものですね。身につけるものっていうことで、これはもともとは a pair of bodies。
いついのボディって言ってるに過ぎないですね。
ボディっていうのはまさに体のことです。そして着るものは2つの部分左右を組み合わせるので、いついのっていう言い方しますよね。
a pair of pants とか a pair of trousers みたいな言い方ですね。これなんですよ。
a pair of bodies っていう、ボディーズ、複数形なんですが、これが一人歩きしちゃったっていうことですね。
今や、この s がですね、複数形の s ではなくて、あのコルセットというもの、これの互換なんだ、互換の一部なんだっていうことで、
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bodice、これも c e というふうに書かれるようになってですね、あたかも複数形でないかのように見えるようになってますが、これも一種の勘違いっていうことですね。
もう一つ、truth、truth ってありますね。これは求戦、戦いをやめるっていう求戦なんですが、これは true と関係するんですよ。真実のっていうことです。
求戦条約っていうのは、もう戦わないっていうことを誓うわけですよ。真実のものとして誓うということなんで、いわばこれが名詞化したものを複数形にした、これ両サイドが違うわけですからね。
2つ真実があるっていうような見方をすればいいわけで、これなんですよ。truth のこの s も本来は複数形の s だったわけなんですが、そうと解釈されなくなって、あたかももう互換の一部なんだっていうことで、
ということで CE に綴り直されて今に至るっていうことですね。このように、invoice、bodice、truth、この3つの例を挙げましたけれども、本来は複数形の s だったものが互換末の、互換の一部としての s と勘違いされたという、こういうのを異分析って言うんですね。
異なる分析、本来の意図とは違うところで携帯分析しちゃったっていうことでですね、異分析とか英語では meta-analysis、アナリシスしてしまったという事例を紹介しました。invoice という単語も制度もよくわかんないですね。