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2023-10-08 09:00

#3. 動詞を作る接尾辞 -ize の裏話

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-ize の歴史秘話です.

関連して本日配信の YouTube の「井上逸兵・堀田隆一の英語学言語学チャンネル」の最新回もご覧ください.「#169. なぜZはアルファベットの最後に追いやられたのか?ー時代に翻弄された日陰者「Z」の物語」です.https://t.co/niU0MBzMMe

#英語史
#ギリシア語
#フランス語
#アメリカ英語
#イギリス英語
#綴字
#接尾辞
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英語史つぶやきチャンネルということで、英語史研究者の堀田隆一です。
今日はですね、英語で、動詞を作る、なんとか、合図でありますよね。
あの語尾、接尾辞について話したいと思うんですけれどもね。
合図をつけると、もういろんなものがですね、動詞になるんですよ。
Utilize, Mobilize, Specialize, Characterize というふうに便利ですよね。
さらに、ation とつけることで、名詞化できますし、
その ation の後に al をつけると、今度は形容詞化もできるっていうふうに、
じゅじゅつなぎで、接尾辞をつなぐことによってですね、どんどん展開できるという便利な、
まず大元の接尾辞が、なんとか、合図というわけなんですね。
この合図、どこから来たのかということを、今日お話ししたいんですね。
これはですね、大元はギリシア語から来てるんですね。
ギリシア語で、なんとか、以前とすることによって、
これギリシア語内部の動詞形成法ですね。
これがあったわけですよ。
ただ、ギリシア語でもですね、何でも以前をつければいいっていう話ではなくて、
だいたい元になる単語ですね。
これを基体、基本の体と書いて、基体、ベースというふうに言いますが、
基体にはですね、〇〇人とか、〇〇民族という人を表す単語があって、
これに以前というのがついたんですね。
それによって、〇〇人として振る舞うとか、〇〇民族のように振る舞う、
というような形で、人を表す名詞があったんです。
それが基体、ベースになっていて、それに以前がつくっていう形で、
例えばですね、バーベリアンみたいな単語があって、
これを動詞化する。
バーベリアナイズ。
これ今、英単語の形でもちろん言ってますけれども、
ギリシア語にこれ相当するものがあって、
バーベリアン、未開陣として振る舞う。
未開陣のように振る舞う、みたいな言い方ですね。
ティラナイズとかですね、これはタイラント。
暴君、暴君として振る舞う。
つまり暴政を行う、先制君主として君臨するぐらいの意味ですよね。
それからアティサイズ。
アティカ人のように振る舞う。
ヘレナイズ。
ギリシア人のように振る舞う。
こんな例が一般的だったんですよ。
何でもついていいわけではなくて、
割とベースを限っていたっていうことになります。
これが後にラテン語に何とかイザーレという語尾に変形して取り込まれました。
ラテン語ではもう少し範囲が広まって、
主にキリスト教用語とか哲学用語というちょっとハイソなジャンルの語形成に
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よく使われるようになったんですね。
つまりこれは元々のギリシア語の人とか民族に限らなくなって
もう少し範囲が広がったっていうことになります。
例えばバプティザーレ。
これバプタイズってことですね。
それからエヴァンゲリザーレ。
エヴァンジェライズ。
であるとかカテキイザーレ。
カノニザーレ。
のようないわばキリスト教用語、哲学用語、神学用語みたいなものが
ラテン語で生まれてきたわけですね。
さあ、ぐっと時代が下がりまして、
中世ラテン語、そしてフランス語あたりにもこれが入ってきました。
フランス語ではなんとかイゼという形で入ってきまして、
かなり自由につくようになりました。
これを横目に見ていたのが英語です。
フランス語でも自由につくれる語尾になっていたぞというのを横目に見て、
これを借り入れたのが英語っていうことなんです。
したがって英語にこのアイズを取り入れたときには、
もうすでに生産性があると言いますか、
何についてもいいと。
どんな名詞についても広く動詞化できるものと認識した上で、
これをフランス語から借り入れてきたっていうことで、
未だに生産性が高いということになるわけですね。
ところがちょっと厄介なのが、
英語では綴りの問題が生じてしまったんです。
フランス語ではなんとかイゼというのは100%ISE綴られたんですね。
英語もこれを横目に見てフランス語から借りたっていうことなので、
当初はやっぱりISEのように綴っていたんですね。
ですがよく考えたら、
大元はギリシャ語でイゼインというふうにゼータを使っていたんですね。
つまりローマ字でいうところのゼットですよ。
ですのでいわば先祖帰りではないですけれども、
大元のギリシャ語の語源でゼットを使っていたなら、
やはりゼットを筋ではないかと。
語源的には少なくともそれが正しいっていうことですからね。
ということでこのISEで綴るのが正しいんだという考え方が出てきちゃったんですよ。
これは英語においてです。
フランス語ではそれはですね、出なかったと言いますか、
実はあったんですがフランスではアカデミーがですね、
強い力を持っていたので、
いやここは論争どっちにするか論争あるかもしれないけど、
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Sで行こうっていうふうに決めたんです。
ところがイギリスではですね、
そしてアメリカでもそうなんですが、
アカデミーというものはついぞできなかったんです。
綴り字みたいなものを公的権力で決めるというような、
そういうアカデミーという組織が結局できなかったということがあって、
ISEなのかIZEなのか論争というのがですね、ずっと続くことになりました。
結果オーライだったんですが、
ISEに統一しようということで、
この問題は結局解決しました。
ところがイギリスではダラダラとこの論争が続いていて、
大体のところですねISEというふうにこっち側におおよそ触れているんですが、
単語によってはあるいは個々人の好みによっては、
ISEを使うという人もいてですね、
イギリス英語として何か統一したものがバシッとあるわけではないんです。
ISEの方が全体として多いという傾向はあるということは、
これは事実として述べておきたいんですが、
ただですね、単語によってあるいは個人によってISEの方を使う場合もあったりするので、
イギリスでは揺れがあるということです。
アメリカではよかれあしかれとにかくですね、
ISEの方に揃えたのでこの問題は起きていない。
そして参考のためにフランスでもISEの方で統一されている。
これはアカデミーの力によってです。
それぞれ言語文化によって国によってこの辺りの取り扱い方が違うっていうのもまた面白い話ですけれど、
ちょっと英語学習者としてはですね、これやめてほしいなというところはありますよね。
さあ今日はですね、Z絡みの話をしました。
私、同僚の井上一平先生と一緒にYouTubeチャンネルをやっております。
井上一平・ほったりゅう一の英語学・言語学チャンネル。
毎週水曜日と日曜日の午後6時に配信しているんですが、
ちょうど今日10月8日にこちら配信しているんですが、
日曜日の夜6時に配信された回、第169回なんですがZの話をしています。
なぜZはアルファベットの最後に追いやられたのか。
時代に翻弄された日陰者Zの物語と題して12分ほどZについて語っています。
その中でちらっと今日このスタンドFMでお話ししたiZの話も出てきますので、
合わせてご覧になると絶対面白いと思います。
概要欄にリンクを貼っておきますので、そちらからご覧ください。
それではこれで終わりたいと思います。また次回。
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