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2024-10-08 09:44

heldio #80. 人名 Rose は薔薇ではなくて馬?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #音位転換 #古英語
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サマリー

ポッドキャストでは、女性名「ローズ」の語源を探求する中で、古英語と現代英語の歴史が紹介されています。特に、ローズが「馬」を意味する「フロス」に由来する可能性や、英単語「ウォーグラス」への語源のつながりが語られています。

ローズの名の由来探求
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、人名 Rose は薔薇ではなくて馬、という話題ですね。
英語の人名というのは、それ自体が非常に古英語から現代にかけての歴史を持っていて、これで一つ単独のジャンルとして語ることができるくらい、非常に広くて奥の深い分野なんですね。
その中から一つ、今日は話題を提供したいと思うんですけれども、
Rose。女の人の名前ですよね。女性の名前でRoseというのがあって、当然これは薔薇というイメージと結びつけられて、大文字RでOSEということでRoseというふうに捉えていると思うんですね。
実際ですね、そのような捉え方の方が一般的でそうじゃない捉え方なんてあるのかと考えるわけですが、
特にこのRoseという女性名は、19世紀ぐらいから流行りだした、比較的若い新しい人気のある名前ということなんですね。
19世紀には一般の名詞ですね、この場合は植物名ということになりますが、他に例えばDaisyなんかもそうですが、
花の種類をそのまま女性名としてつけるというのも流行った時代でしたので、Roseというのは人気が出てきたのはこのくらいから。
ただしですね、名前として昔からなかったわけではないですね。
実は古くからあってですね、その場合にはどこまでこの薔薇との連想があったのか、どの段階まであって、それ以前はそうじゃなかったのかというような少し疑問があくんですね。
というのはですね、この人名なり語がですね、いわゆるラテン語で薔薇を表すロサに由来するのではなくて、本来のゲルマン語の馬を表すフロスに遡るのではないかという説があるからなんですね。
もともとゲルマン語でですね、馬を表す単語なんですが、これがフロスのような形だったんですね。
小英語の形で言えばHROS、フロスという形だったんです。
このフロス、フロスといって馬を表していたんですが、皆さんも勘で気づいたと思うんですけれども、このHROSのROの部分がひっくり返ってしまったんですね。
つづり事情もそうですが、実際音の話をしています。
そしてホルスになって、今のホルスということなんですね。
HROSがもともとだった、この馬を意味するフロスが後にひっくり返ってしまったのでホルスになって、そして今のホルスということ。
つまりこのHROSのこの形は、確かにHがあと少し余分に加わっているとはいえですね。
ラテン語から後に入ってきたロサ、このバラとそっくり、非常に近いということで、この辺の混乱があったんではないかと。
つまり名前の形状の由来は、実はバラよりも先にフロスという形でロースだったんではないかと。
ただですね、一旦ラテン語からバラの意味でのロサというのが入ってきますと、これは綺麗でし、女性的ということで女性名に結びつけられるようになったんではないかと。
古英語の変遷
大元の形状は、実は起源はこのクロスという馬の方にあるという可能性があるわけですね。
今となってはHORというふうに、ORの順番なんですが、もともとは違うROという順番だったというところがポイントになりますね。
さあ、このようなRと前後に位置する母音ですね。Oとは限りないですが、母音です。
R母音という組み合わせがひっくり返って母音Rとなったり、あるいはその逆ということもあるんですが、よくひっくり返るんですね。
ラ行音というのは、いわば路列が回らなくなるというか、よくひっくり返ることが多いですね。前後のポイント。
他にもですね、小英語のフロースがホルスになったんだという例を挙げましたが、他にもですね、例えば今の英語でですね、草を意味するグランス。
グランスというのはGRASSということですが、このRAもですね、もともとはひっくり返っていてARだったんです。
小英語ではGRASSというふうに言っていたんですね。
他にはこれ前にもこのラジオで取り上げたこともあるんですが、3と30とかTHなんていう時のTHの後ですね。
これ3の場合はREEですから、R母音という順番になってますが、
3とか30、13という時のこの3の部分はTHIRという母音シーン、母音Rという順番になってますね。
これなんかもうひっくり返ってしまった結果ということです。
このホルスも小英語のフロスというR母音がひっくり返ってしまった形ということなんですが、
ひっくり返る前の元の形がこの人名のROSEとかROSAというところに形としてはつながっているんじゃないかということなんですね。
もう一つ、この小英語のフロスというR母音の順番ですね。
母音Rの今のホルスではなくて、あくまで元のR母音という形が残っている。
もう一つの例をですね、挙げてみたいと思うんですね。
厳密に言うと語源的に不詳なところもあるので、本当に残っているのかわからないんですが、非常に面白い話題として、
精打ち、怪獣ですね。精打ちを表す英単語、皆さんご存知でしょうか。
これWALRUSって言うんですね。
WALRUSという発音でWALRUSっていうことです。
WALRUSっていうことですね。
WALRUSという単語なんですが、
これはですね、17世紀にドイツ語から入ってきた単語なんですね。
大元はどうも北欧語。
いずれにせよ、この英語にせよ、オランダ語、北欧語にせよ、全部同じゲルマンの仲間ですので、
大きく遡ると、大体同じような語源になっていくだろうと想像される。
これが前提でですね、オランダ語を通じて入ってきた。
これは2語から実はなっていまして、WALの部分、WALで示される部分が、これがホエイルであると、鯨。
そしてRUSの部分、RUSで表される部分ですね。
これがまさに馬ではないかっていうことなんですね。
小英語のクロスに対応するわけです。Rボインになってますよね。RUSですから。
つまり鯨の馬とか馬のような鯨ということで、西打ちのイメージと合いますよね。
こういうことなんじゃないか。
直接小英語に由来する単語ではなくて、オランダ語を経由しているというのがまたミソなわけなんですが、
小英語では西打ちのことは別の言い方をしたのかというと、実はしていてですね。
これがなんとホルスホエールって言ってたんですね。
すでにひっくり返った状態のホルスっていうのは使われていますが、ホルスにホエールは当然ホエイルっていうことで、
順番こそ違いますけどね。
ウェイルホルスなのかホースウェイルなのかっていうことで、
ゲルマン語の中でも順番がどうも違ったという状況はあるんですけれども、
重ね合わせるイメージは一緒。結局、鯨、馬ということで西打ちなんだろうということですね。
語源の興味深さ
このオランダ語から入ってきたウォーグラスですが、この語源説が正しいんであれば、後半要素、第二要素のRUSの部分は、
ゲルマン語の元の本来の馬を表す単語におけるシントボインの順番、
つまりRたすボインというのがきっちり残っている例であるということになりますね。
現代の英語の馬を表すホルスはORっていうふうにボインRですから、ひっくり返った状態で、
現代に伝わってきているということです。
人名、特に女性名、ローズとかローザというところから始まってですね、
なぜかフロースに飛んでですね、最後はウォーグラス、西打ちにまで話が飛んでしまいましたが、
あとすべて語源的には関係があると考えて良さそうです。
語源というのは非常に面白いものですね。
それではまた。
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