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2024-12-21 10:00

heldio #154. 形容詞語尾 -ive のナゾ

#英語史 #英語学習 #英語教育 #形容詞 #接尾辞 #フランス語
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サマリー

今回のエピソードでは、形容詞の語尾「-ive」について深く掘り下げており、その起源や英語への影響を考察しています。特に、フランス語の女性形が英語にどのように取り込まれ、発音の変化によって形が定着したのかが重要なテーマとなっています。

形容詞語尾-iveの起源
おはようございます。英語の歴史を研究しています。 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった 英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、 新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、 形容詞語尾-ive のナゾ
というものです。
i-v-e と続いて、なんとか-ive という形容詞、あるいはそこから転じて名詞になったもの。
英単語にはたくさんありますね。 例えば、ランダムですが、
effective, positive, active, extensive, attractive, relative, massive, negative, alternative, conservative
と非常に多くあります。
この-ive という形容詞語尾、 これは一体何なのか、どこから来たのか
という疑問が湧くわけなんですが、これはフランス語から来てるんですね。 さらに遡ればラテン語です。
ラテン語の形容詞を作る語尾、 i-v-s という語尾ですね。 これがフランス語に入り、そして英語に伝わったというのが-ive なわけですね。
したがって、この設備時は釈用語要素ということになります。 中英語期以降にフランス語、それから近代英語期以降にラテン語が大量に英語に入ってきまして、
そのフランス語やラテン語がそもそも i-v-e この-ive や、あるいはそれに近い語尾を持っていたということで、英語にも大量の-ive 語というものが流入してきているわけなんですけれども、
英語における音の変化
ここで何が謎なのかというと、これ実は前にフランス語を学習している学生から受けた質問がありまして、こういうことなんですね。
実はフランス語では-ive というのはあるんですが、実は形容詞の女性形に典型的な形なんですね。
それに対して男性形は i-f と書いて if というふうに、つまり濁らないですね、最後のシーンが。
それに対して女性形の場合は-iv と濁る。
同じ一つの形容詞でも、フランス語の場合、文法性というものが生きていまして、
この形容詞が就職する名詞が男性名詞か女性名詞かによって、この形容詞自体の語尾がちょっと変わるわけです。
男性名詞の場合は-if となり、女性名詞に続く場合は-iv となるということなんですね。
面白いことに、こうしたフランス語の単語、形容詞が英語に入ってくるときに、
なんで女性形のこの-iv と-v、濁る方ですね、こちらが英語に採用されて、そして現代にまで伝わってくるのかという、その学生の質問はそういうことだったんです。
なんで-if ではなくて-iv の形で入ってきて、英語に定着することになったのかという、そういうやや素朴というよりは、
フランス語を勉強してなければわからないような、問うことのないような問いなんですね。ある意味では上級の疑問と言って良いかもしれません。
さあ、このような疑問に答えるのは、英語士が得意とするところです。
この質問してきた学生の問いを改めて考えてみましょう。
なぜフランス語の女性形である-if が英語に取り込まれて、英語ではそれが定着したのかというような、そういう質問だったんですが、実は最初からですね、この質問、前提が少し違うんです。
なぜかというと、英語に入ってきた時点ですね、中英語大きいが一番多いんですが、フランス語のこの-if とか-iv というこの形容詞語尾を持つ単語、形容詞が英語に入ってきた当初はですね、実は-if というふうに予想通りと言いますかね、デフォルトの男性形のまま入ってきたものも非常に多いんです。
ですから先に挙げたですね、今-ive で続いて-iv と発音するいくつか形容詞を挙げましたが、これらすべてですね、中英語の時期には実は-if と濁らない形も普通にあったんです。
つまり、エフェクティフ、ポジティフ、アクティフ、エクテンシーフ、アトラクティフ、レラティフ、マッシーフ、ネガティフ、オルタナティフ、コンサーバティフのようにですね。
むしろ-if の方が多かったようなんですね。ですが同時に現在につながる-iv、いわゆる女性形の-iv というのもあったことは事実なんですね。つまり両方通用していたと。もちろんフランス語において両方通用してたわけですね。
ただそれは文法的に性が男性か女性かという使い分けで併用されていたということなんですが、英語に入ってきますと女性名詞男性名詞なんて区別は既になくなっていますので、英語にはありましたが中英語ではもうなくなっています。
ですので両方-if と-iv 両方あったからといってですね、それは文法的な性に則って使い分けているという意味での併用ではなくて単に両方の形がどっちでも ok ということで使われていたと。そういう状況があったんですね。
では両方英語では使われていた-if、-iv ですね。どちらかというと当初は-if というフランス語の男性形に基づく-if の形の方が優勢だったわけなんですけれども、徐々に逆に-iv の方が優勢に変わっていくんですね。
これは何でかというとですね、フランス語の形容詞の女性形が勢いを得て英語に影響を与えたということでは実はなくてですね、これは英語側の純粋に英語側の問題なんです。
どういうことかと言いますと、発音の問題なんですね。当初これらの-iv 形容詞がフランス語から入ってきた時には、英語に入ってもフランス語ばりに一番後ろの-iv の部分にアクセントがあるというような発音だったんですね。
つまり、今だと effective, positive, active となりますが、入ってきた当時はフランス語ばりにむしろ後ろにアクセントを置いて effective, positive, active とか、あるいは-v と濁るバージョンもあったわけで、effective, positive, active なんて言ってたんですね。
ところが本来は英語は前に前にアクセントを置きたいっていうタイプの言語です。ゲルマン語は全部そうなんですが、これですね、釈用語としてこういった形容詞が借りられて、しばらく時間が経つと英語化するんですね、この発音が。つまり前にアクセントが来るんです。
こうして effective, positive, active っていう今に連なる形が出てくるんですが、この際に語尾はアクセントを逆に失うことになりますね。そして失うとどうなるかというと、実はですね、語尾なんかでアクセントが弱まると、本来無声音であるのが普通であるところが有声音になる、有声化するってことなんですね。
形容詞の定着と影響
つまり、fというのが普通だったところが、後ろにアクセントがなくなってしまったために、vという風に有声音に化けるってことなんですね。アクセントが弱まると、実は、声音なんかが有声化するっていうのは実は広く英語に起こっていてですね。
例えば、v動詞のisなんかも、isとz、濁るわけですが、これはもともとisと書いているわけで、isなんですよね。で、hasなんかもそうです。それから、warsなんかもそうですね。これそのまま、is、has、warsという風に、sと濁っていなかった。無声音だったんですが、こうした語っていうのは、いわゆる文法的な語でですね、省略されることも多くて、つまりアクセントが弱い単語なんです。
アクセントが弱まると、このシーンっていうのは、むしろ有声化するっていうことで、is、wars、hasという風になります。
ということで、もともとはeffective、positive、activeという風に、fと無声音、アクセントがあるために無声音だったものが、そのアクセントの位置が後ろから前に寄ってくるので、英語においてはeffective、positive、activeという風に、vに分けたっていうことです。
ということで、今回の疑問なんですけれども、質問をしてくれた学生は、なぜフランス語の女性形形容詞が、つまりeveという形がそのまま英語に入ってきて定着したんですか、ということでしたが、事実はそういうわけではない。
フランス語の男性形形容詞、女性形形容詞、両方とも入ってきていたと。どちらかというと男性形のeffective、positiveのように、ifの形が有声だった。ところが後にアクセントが前に移ったために、fの部分も有声化したというわけなんですね。それではまた。
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