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2024-10-14 10:05

heldio #86. male と female は別語源!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #類推 #民間語源 #解釈語源 #フランス語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、male と female は別語源、という驚きの話題です。
male って言うと、これ男性、あるいは形容詞で男性の動物では、オスのっていうことですよね。
それに対して female っていうのがですね、これが女性、女性の、メスのということで、
男か女か、男性か女性か、オスかメスかっていう、性にこだわったペアをなす対義語っていうことになりますよね。
これ発音上もですね、綴り字上も、male の方は M-A-L-E で、これでメイルですよね。
そして female の方は F-E を付けて、その後は male と一緒で M-A-L-E。
発音もその部分はですね、male っていうふうに、きっちり韻を踏むわけです。
male と female ということになりますね。
ということは、メイルっていうのがあって、それに F-E という、窃盗人にあたるものを付けると、どういうわけか女性になるのかなと。
この形だけを見るとですね、そういうふうに思うと思うんですが、これが違うんですね。
語源的には全くの無関係ということなんです。
こういうことがですね、よく英単語にあります。
明らかに関係してるでしょと言いたくなるところがですね、語源を探ると全く別っていうことが往々にしてあります。
今回は male と female の語源を探ってみたいと思います。
いずれの単語もですね、大元はラテン語です。
これがフランス語を経由して英語に入ってきました。
14世紀ぐらいですね、英語の歴史としては中英語と呼ばれる時代の、ちょうど真ん中ぐらいなんですけれども、両語ともこの14世紀に入ってきました。
まず男性、male からなんですけれども、これはですね、大元はラテン語の masculine という単語です。
これが名詞であり形容詞である、男性あれ男性のということですね。
masculine という形です。
これがですね、フランス語に発達していく過程ですね、だいたいラテン語の語形というのは短くなります。
途中のシーンが落ちたりして。
マスクルム、スクなんていうシーンがあったんですけれども、これが落ちてですね、m と l の部分だけ残って、最終的には male という形で英語に入ってきたっていうことなんですね。
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マスクルム。
これ、ちなみにラテン語からですね、直接入ってきたものが masculine という、男性らしい男らしいという、マスキュリンですね。
これは別途、ラテン語から直接英語に入ってきたわけなんですけれども、ラテン語、フランス語と途中段階を経て英語に入ってきたものは、だいたい短縮された形で、結局これは male になってしまったっていうことなんですね。
さあ、一方ですね、同じ14世紀なんですけれども、女性の方も入ってきました。
これはですね、ラテン語 feminine という形です。
feminine
先ほどの男性はラテン語の masculine ですね。
そして今度の女性は同じラテン語で feminine ということなんですね。
これ、あまり語源的には繋がりがないんです。
確かにこの feminine の方にもですね、m と l というシーンが現れますが、これはたまたまなんです。
語根的には異なるということなんですね。
この feminine というのがですね、フランス語でやはり多少包まったりしてですね、femelle という形ですね。
これが英語に入って female ですから、14世紀に入ってきた頃にはですね、female で綴られるような female というような発音だったり綴り字だったりするんですね。
male のこの male とはですね、母音からして違っていた femelle という形なので、m と l はたまたま一致してたんですが、語根は本当は違うんですね。
ただ紛らわしいと言えば紛らわしい。
ただ母音も違っていたわけなんで、これ探ってみれば実は異なる語源だということがよくわかるんですね。
こういう形で14世紀にですね、英語にはこの male に相当する単語と female に相当する単語が入ってきました。
フランス語から入ってきたということで、male という発音と femelle なんていう発音で、英語でもですね、当初は発音このようにされていた。
つまり違う単語だなと、違う語源の単語だなというふうに母音からもですね、語形からもわかってたはずなんです。
ところがですね、後に意味的には当然ペアを成しますよね。対照的対義語ということです。
そして m と l というのは確かに共通していますから、母音が違うと言ってもですね、やはりこれ結びつけたくなるのが人情というものです。
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ということでですね、 male と連想づけて、関連づけて、本当は femelle という形だったんですけれども、
少し母音をいじってですね、数字もいじって female のように male と関連づける形に持っていったということなんですね。
やはり関係するはずだと、本当の語源はどうかわからないけれども、意識の上で、理解の上で関係していた方がわかりやすいでしょうというような、ある意味最もな理由によってこれが関連づけられたということなんですね。
つまり本来の語源的な形態を曲げてでも意味的に対象関係にある、つまり関係のある一つのツインとなった単語群なんだというふうに理解したかったということですね。
こうした思いによって発音や通り字が引っ張られて femelle が female というふうに fe の後に male と繋げるという形が出来上がったわけです。
語源としては違うんだけれども、関連づけたいという気持ちの方が勝手に似たような語尾、同じ語尾になったということです。通り字上も発音上も揃いました。
このような民間語源になっていますね。一般的な後からできた語源というのも変なんですが、それに対して本来の語源というのは学者語源、つまり学者が調べたら本当はこういうことなんだよという、
本来の語源とは異なる民間レベルで結びつけられ、関連づけられて、これが語源なんだよと。つまり female の語源は fe たす male なんだよというふうに理解されたというケースですね。
こういうものは実は結構英語の中にあるんですね。本来は違うんだけれども、関連づけられているというようなものです。
さて話は変わるんですけれども、最近ですね、洋服売り場でですね、日本のですね、メンズとウィメンズというカタカナで書いてあるのを見ることがあるんですね。
メンズっていうのはわかりますね。メンズという英語から来ています。女性ものはレディーズなんて言われていましたが、最近はウィメンズということも多くなってきて、英語の発音としては女性の複数形は women ってことなんで、ウィメンズであって、決してウィメンズではないわけですよね。
なのでこれは間違った発音であると、ある種の和製英語、和製的な発音であるというふうに批判的にですね、評価されることはあるかもしれませんが、起こっていることは実はメールフィーメルと一緒なんですね。
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この場合、メンとウィメンのミンっていうのは完全に同語言なわけなんですが、やはり人情としてですね、メンに対してウィメンといったほうがわかりやすいです。つまり男女の違いが。メンなのに女性の時だけウィミンとなっては釣り合いが取れない。
だからメンズといったからにはウィメンズのほうがよっぽどわかりやすいっていうのが、ある意味日本語話者としてはですね、道理なわけです。で、そのように考えたい、そのように理解したいっていうのをまた人情なんですが、これ実は14世紀の以降の英語に起こったこと、つまりメールとフィーメルに起こったこととほとんど同じことなんですよね。ということです。
それではまた。
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