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英語史つぶやきチャンネル。英語史研究者の堀田隆一です。
ここのところ、hel活単語リレーというものが、にわかに流行ってきております。
非常に少数のスタイフ、パーソナリティの間でですね、流行ってきております。
これはですね、一種の英単語のしりとりというもので、しりとりといっても日本語のようにですね、厳密に後ろの文字を取って、
ではなく、連想ゲーム風に単語をつないで、その単語について英語史の観点から、あるいは語源学の観点から何らかのうんちくを述べていくという、それだけの遊びなんですけれどもね。
すでに枝分かれしたりしてですね、いろいろ複雑なことになっているのかもしれませんが、私がですね、最新にチェックしたところによりますと、
文字言語産こと、固い文字産がですね、lordという単語でバトンを渡されたということなんですね。
lord、主、主人という意味ですよね。これについて語源的解説もされた上でですね、最後にこのlordで締めくくられたというふうに、私はですね、受け取りました。
そこでですね、どなたが答えてもいいわけなんですが、私がこのlordからですね、何か連想する単語に引き継いで、次に展開するということでですね、ちょっといろいろ考えてみたんですね。
いくつか候補あるんですが、今回はですね、swordでいきたいと思います。つまり、ミニマルペア最小次いでlordという単語の最初のL音ですね。
語頭の詞音をLからSに変えたときに、これswordとなるんですね。ただし、これは発音、音の差し替えの問題です。
綴り字で考えるとlord、主人はlordと比較的ストレートなんですが、今回扱うsword、剣、刀、あのswordですよね。これは英単語としてはなぜかswordなんです。
発音から考えますと、もっとストレートに、綴り字はsordで良さそうなものなのに、これがですね、wが入っちゃってるんですよ。s-w-o-r-d、こう書いてswordではなくswordというふうに読むわけですよね。
このちょっとおかしなところをつっつくと面白いかなということで、接続としてはlordからswordへ、発音上のミニマルペアということでつなげてみました。
ただ今回はですね、どちらかというと、綴り字の問題やその背後には発音の変化もありますので、やはり重要な問題なんですけれども、これもともとはwが綴り字にあるってことはですね、発音にもあったっていうことなんですよ。
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実際、1000年前の小英語ではsweordというふうにwの音がしっかりと聞かれたんですね。sweordです。1000年前、小英語の最も有名な序字詩、英雄詩といえばベオウルフ、英雄団ですよね。
この英雄が出てくるわけですから、当然ですね、剣が出てくるわけですよ、ソードが。たくさん現れるんですが、その時のスペリングも発音もしっかりとwの音をちゃんと持っていたんですね。sweordということで、やっぱりwは読まれていたんですよ。
ところがですね、中英語期になりましてswordというふうに、後ろの母音が変わったんですね。小英語ではsweordだったのが、小英語から中英語に至る際にswordというふうに、つまりwの後がoで表される母音になったんです。
そうしますと、wっていうのはですね、簡単に言えばuというuで表されるuの母音が死音的に使われるようになったのがwなんですね。同じように平行的にiで示されるiっていう母音が死音的に使われるとyで表記されるようになるんですよ。つまりwはですね、基本的にはuなんです。
そのwの後ろにuであるとか、あるいはそれに限りなく近い母音であるo、これが続くとですね、干渉しあっちゃうんですね。つまりwもuだし、その次に来る母音もuとかoというふうに、uに近い音だと干渉しあって、同じ音として融合しちゃうんですね。
で、融合してしまうっていうことはどういうことかっていうと、2音の近い音が隣り合っている場合は1音目が消えるっていうことになるんです。つまりwの音が消えるっていうことが起こるんですね。
swordというのが中英語の発音だったんですが、今述べたようにwっていう音とその次に続くoという母音が限りなく近いということでお互いに干渉しあって、結局wが消えるという形で結論に至るんですね。
つまりswordからsoldというふうにwが消えていくということが起こったんです。これが軒並み起こったんですね。特にsの後に続くwoではこれが軒並み発音上起こりました。つまりwが発音上消えるってことですよ。
ただスペリング上、綴り辞上はもともとのswoというものをしっかりと残してしまって、現代に至るっていうことなんですよね。
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似た例としては、sではないんですがtoですね。tで始まってtwoと書いて、これtwoと発音されていたんですが、先ほど述べたのと同じ理由でwが消えます。そしてtoとなって最終的にtwoとなったんですね。
つまりtwoと綴りながらwの音は一切出ないっていうのは、toもsoldも全く同じっていうことになりますね。ということでかなり変な綴りと発音の関係を示す単語ということでlordからswordへと繋ぎました。
決してswordなどと読まないでくださいね。それはちょうどtoのことをtwoと言ってるのと同じぐらい変なことなんですよね。
さあswordからどなたか繋いでいただければ嬉しいです。