JOI ITO's ポッドキャストは、夏休み特別企画。
JOI さんが飛行機に乗り、島根県出雲市を訪れます。
何やら、出雲出身のある有名人が、地元を案内してくださるんだとか。
一体、どなたなんでしょうか。
JOI ITO's ポッドキャスト
株式会社コテンの深井龍之介と言います。
コテンという、ちょっと変わった事業をやっている会社を作ってまして、
世界史のデータベース、日本史も含めた全世界の歴史のデータベースを作るっていうプロジェクトをずっとやっている会社なんですけれども、
それをやる傍ら、ポッドキャストを僕たちも、もう5年間ぐらいかな、やってまして。
ずっと1位ですよね。
JOI そうですね。アップルポッドキャストランキングとかだと、たびたび1位なんですけれども、
歴史の話をひたすらやるというのをやっていると。
その歴史の話が、だいたい1シーズンあたり12話ぐらいでやってて、
1話あたりが40分から1時間ぐらいあるんで、
すごい膨大な量の話っていうのを、1つの歴史に対してやっていくっていうスタイルでやってます。
そう、今月のお相手は、コテンラジオの深井龍之介さん。
ポッドキャストをお聞きの皆さんなら、知らない人はほぼいないはず。
実は、深井さんは島根県出雲市の出身。
この収録の直前に出雲大社も案内してくださったんですって。
歴史を愛し、歴史を知りすぎてしまった歴史ギークに、出雲大社を案内してもらうなんて、うらやましい。
まずは、その様子を少し覗いてみましょう。
一回、いろんな方を案内するんで、せっかくなんでっていうことで、
チームの中で、結構ガッと調べて、出雲の歴史と。
でもちょっと、いろいろでしたね。
いろんな説が入り乱れていて、ありすぎて、全員想像で言ってるから、
なんとも、どれがどうとは言えないような歴史。
一番むちゃくちゃなやつだと、メソポタミアから来たとか、
南インドのドラビダ系だとかですね、いろいろありましたね。
可能性ゼロではない、全然交流あるんで実際、ゼロではないんですけど。
中村 全然繋がってる説がある。
そこにウサギがいる。
中村 なんでもありなんですけど、どれがどうかはわからない。
なんていうか、弥生時代とか古墳時代に、
やっぱりここには古典の文明みたいなのが多分文化圏が、
一文化圏が存在していて、
それはおそらくなんですけど、
シンジ号の周辺だと海も山もあって湖もあるんで、
米も作りやすいし、海の幸もとれて山の幸もとれるから、
結構文明が形成されやすいところだったと思うんですけど、
そこでできた文明圏みたいなものが、
おそらく日本海側のもう少し北の諏訪とかそこら辺と
交易をしながら、もしくは同じ一つの国だった可能性もあると言われてるんですけど、
交易をしながら発展していったのが、
何らかの理由でやっぱり大和頂点に負ける。
逆に言うとでも60年は持つ。
これでもう70年持たせてます。
早吹きとかだと全然もう60年持たないんですけど、
日の木の川だと60年くらいは持つ。
そうですよね。
あれが神様が泊まるホテルです。
宿泊所ですね。
一応厳密には日本全国の神様じゃなくて、
国津神っていうカテゴリーの人だけが集められてるらしくて。
そう、ちっちゃいですよね。
どういう概念でこんなちっちゃくて全国の神様が入るってなってるの?
一応神館もあっちにある。
こういうやしろが一つ一つ神社になり得るやしろが
めちゃくちゃ大量に集結して出雲大社になってるんですよ。
本殿以外にも一つ一つに神様がおられるという話です。
これとかも。
これはスサノオの子供、こっちは。
そうなんですね。
食べ物の神様。
この後ろのあの山がもともとの神功大社です。
こっち?
この山。
この山?
はい。
もの里山の形した山。
大した高さでもないし、
なんでこれなんだろうって僕思うんですけど、これらしいですね。
日本昔話に出てきそうな。
これ多分縄文時代の神功大社とかなんですよね、このレベルは。
縄文かあるいは弥生時代に渡ってきた、
トライ系の人たちが祀っててる可能性があるんじゃないかな。
ここら辺からだと本殿がよく見えます。
これは写真撮っていいの?外から。
いいらしいです。
みんな撮ってます。
古事記に出てくる稲葉の浜っていう海岸がすぐそこにあります。
神様そこからいらっしゃるんで、
さっき来る途中の橋から飛んで帰るらしい。
なんで帰る時だけ飛べるのかちょっと僕もわかんない。
息も飛べばいいのかなって思う。
設定が。設定が。
そしてここからは、
コテンラジオの深井隆之介さんとジョイさんのトークをお聞きください。
こんにちは。
こんにちは。
今日僕も二、三十年ぶりに出雲に来たんですけども。
はい、ようこそ。
ありがとうございます。
ここはもう出身の。
そうですね、僕が出身の。
出雲市の中にあるですね、大社町っていう、
出雲大社の近くにある出雲伝承館の中の出雲屋敷っていう場所です。
普通こんな風に使えない場所なんで、
今日は僕もびっくりしてるというか特別な。
ありがとうございます。
本当にすごい素晴らしいとこで。
景色が庭があって。
最初出会った時、MUFGの林さんに紹介してもらって、
Zoomで林さんと一緒に話をしたんですけども、
MUFGの林さんに紹介してもらって、
Zoomで林さんと一緒になんか盛り上がって、
林さんだったのかな、とにかく出雲に行きなさい。
出雲に行きなさいって何度も言われて、
初めてリアル出会うっていうのがここなんですけどね。
でもこの出雲の特徴って何ですか。
出雲の特徴はですね、
僕から見ると何個もありますけど、
まずその出雲って結構歴史が古い場所だというふうに思ってるんですけど、
その歴史が中世でもなく近世でもなく古代、
日本の本当になんていうか古代中の古代なんで古墳時代以前なんで、
何をやってたかよくわかんない神話の時代みたいなところとすごい強いリンクのある土地。
その土地って結構僕少ないんじゃないかなと思ってて日本で。
弥生時代とか古墳時代に思いを馳せられる場所っていうのはすごい特徴の一つかなと。
でもすごいラッキーだよね。
若い時あんまり歴史に興味がなくて、今はもう専門家になったんだけど。
専門家っていうかそうですね、勉強してる。
っていう、それって出雲から来たのはあんまり関係ないのかな。
あんまり関係ない、なんかどちらかというと歴史というよりは考古学っぽいところなんで、
ここは文献全く残ってないからほとんど。
なんでたまたまだったかなとは思うんですけど、
もう一つの特徴としては、なんか悪口みたいに聞こえるかもしれないけど、
あんまり市場経済が僕から見てちゃんと浸透してないなと思ってて、
すべてお金で解決できますとかあんま誰も思ってないし、
めちゃくちゃ金持ちになってやろうとか思ってる人もあんまりいないし、
競争して自分が1位になって勝ってやろうみたいな感覚もないなと思ってて、
それはここで生まれ育って結構僕は濃厚にその感覚を受け継いでるんじゃないかなと思ってるんですよね。
それって日本全体もやっぱり特徴的だと思うんですよね。
そうですよね、アメリカとかに比べたら日本全体もそうですよね。
そこちょっと掘り下げたいんですけども、その前に多分みんな知ってると思うけれども、
うちのリスナーに少し自己紹介したらいいですか。
そうですね、株式会社コテンの深井龍之介と言います。
コテンっていうちょっと変わった事業やってる会社を作ってまして、
世界史のデータベース、日本史も含めた全世界の歴史のデータベースを作るっていうプロジェクトをずっとやってる会社なんですけれども、
それをやる傍ら、ポッドキャストを僕たちももう5年間ぐらいかなやってまして、
もうずっと1位ですよね。
そうですね、アップルポッドキャストランキングとかだとたびたび1位なんですけれども、
歴史の話をひたすらやるというのをやっていると。
その歴史の話がだいたい1シーズンあたり12話ぐらいでやってて、
1話あたりが40分から1時間ぐらいあるんで、
すごい膨大な量の話っていうのを一つの歴史に対してやっていくっていうスタイルでやってます。
Amazonなんか見てても1位の本は歴史の本じゃないよね。
1位のポッドキャストが歴史のポッドキャストの理由は何だと思います?
これはね、僕はすごい日本に特徴的なことだと思ってるんですけれども、
たぶん僕たちが出てくる前あんまり教養系のポッドキャストそんなたくさんなかったんですけど、
自分で言うのもなんだけど、たぶん我々の登場によってある程度影響を受けた人たちが、
教養系ポッドキャストっていうジャンルを築いて、
その教養系のポッドキャストは、流れで何か例えば運転してます、
ウォーキングしてますみたいな人が、だけど勉強したいみたいな人たち。
その人たちが聞くコンテンツとして、
一つのジャンルになったみたいな。
アメリカでもサイエンスの本って一般に売るのって、
意外に最近でブロックマンとか何人かのエージェントがプッシュして、
みんな絶対やらないよとか言って、それでなって、
たぶんテッドとかはその後からやっぱりちょっと知的なものをみんな一般化するっていうのは、
アメリカでたぶん90年代とかかな。
だからそういうのをアンロックしてるっていう感じなのかな。
でもサイエンスというよりも歴史を固定とか。
そうですね。人文学っていう僕たちが呼んでる領域で、
人文知とか人文学って言ってる領域なんで、
ソーシャルサイエンスとその人文知ですよね。
もう一つは、やっぱり日本にインテリ向けのメディアがないんだと思うんですよね。
なるほどね。
すべてがどんどん短くなっていって、
YouTubeの動画もTikTokとかも典型的だと思うんだけど、
とにかく短く消費されるためのメディア。
ニュースでも、僕とかでも大したインテリでもないんですけど、
あんまり満足できる情報とか提供してくれない。
もっと深く知りたいし、もっと難しくていいと思ってるけど、
全部簡単にしようとする。
みたいなことをあえてやらないっていうスタイルを実は貫いてまして、
結構難しい話を普通にする。
これがたぶん日本にほぼなかったんじゃないかなと思ってるんですよね。
それはYouTubeとか本とかじゃなくて、
ポッドキャストでやってる理由はなんですか?
広告収入じゃない、まず。
広告収入にしてしまうと短くして、
で、嘘でもいいからセンセーショナルなことを言い、
みたいな力学が働いてしまうんだけれども、
僕たちそれがすごく嫌だったんで、
ポッドキャストを選んだのはたまたまだったんですけど、
ポッドキャストにした後も広告収入で儲けるっていうスタイルは絶対に取らないようにしようということで、
広告収入使ってないんですよね、今も。
なるほどね。
ポッドキャストによって1話が1時間とかでも、
我々が気にならないというか、
再生回数も究極どうでもいいという。
何年やってるんですか?
5年ぐらいです。
結構インパクトありますよね、
そんだけの人たちでね、
それこそ決定権とか立案権持ってる人たちがそれで影響を受けて。
そうですね、そこも特徴的で、
一応日本のポッドキャストの全体像からいくと、
10代、20代のリスナーが一番割合が多いらしいんですけど、
アンケート取ったら、我々のリスナーは30、40代が一番多いんですね。
平均の年収帯が日本の平均年収の1.5倍ぐらいなんですよ、リスナーが。
管理職割合とかもすごく多くて、
なので決済権持ってる人たちが効いてます、実際。
コテンラジオは毎回決められたテーマについて、
深井さんが何冊も本を読み、
そこから理解した学びを、
深井さんの言葉で分かりやすく説明していくというのがスタイルです。
今まで暗記だけで覚えていた歴史上の出来事を、
現代語でストーリーとして語ってくれるので、
スッと頭に入ってくるんですよね。
今回の出雲旅行でも、
深井さんは大量の本を鞄に詰めて持ち歩いていたそうですよ。
ちなみに何歳ですか?
私が今年で39歳です。
ゴール、自分と会社のゴールって何ですか?ミッションっていうのは何ですか?
ミッションはですね、ビジョンって僕たちが呼んでるのが、
人文知と社会の架け橋になるっていうのを、
ミッションビジョンみたいなセリの仕方はしてないんだけど、
そういう目標を掲げて、
人文知っていうのはそもそも、
例えば歴史とか哲学みたいな、
本来であれば何のためにやってるかよく分かんないような学問群があって、
美学とか、明確にこの役に立ちますよね、
みたいなことをあんまり言えないような領域の学問があるんですが、
そういう領域だからこそ一つ特徴があるなと思ってるのが、
我々がもともと世の中を見るときに、
人それぞれ世界観を持ってると思うんですけれども、
その世界観によって社会とか自分をどう見るかっていうのが、
司られてるなと思ってるんですけど、
人文知とか人文学っていう領域はまさにこの世界観の形成を司っているというか、
影響を強く与えている領域だなと思ってるんですね、
自分が自分のことをどう思うか、
人間というものを何として認識するかとか、
他者のことをどう思うかとか、
どこまでを仲間だと認識しているかとかですね、
なんか世界をどういうふうに見ているか、
人によっては世界は地獄だって思っている人もいるし、
天国だって思っている人もいるわけだから、
認識の問題だと思ってるんですけど、
そこの認識をまさに司る領域であると、
この認識を司る領域っていうのが、
今僕はすごく重要になってきている時代だなっていうふうに思ってるんですね、
時代の変遷がすごく今スピードが速くなっちゃってて、
良くも悪くも、コロコロ時代がどんどん変わっていくと、
激動だった時代っていうのは、
昔も激動だった本能寺の編だって激動だし、
フランス革命だって激動なんだけど、
今も激動ですと、
ただ大きい違いがあるのは、
スピードが速いんですよね、今の方が圧倒的に、
中世とかで多分150年ぐらいかけてやってた社会変化を、
15年ぐらいで10倍ぐらいのスピードでやってる、
そういう時代で、一人の人間が生きてる間に、
コロコロコロコロ常識が変わるっていう時代において、
僕たちがどういう世界観をアップデートしていくのかっていうのは、
すごく重要になってきているし、
特にこの50年間ぐらいビジネスパーソンの力っていうのはすごく強くなってきていて、
50年ぐらい前はやっぱり政治家とか官僚がすごく強かったんですけど、
すごい政治的発言もするじゃないですか、今、ビジネスパーソンの、
特にアメリカの経営者とかって、
で、SNSを通じて強い影響力とか持ち始めている、
お金もすごく持ってるし、
っていう彼ら、このビジネスパーソンっていう層の人たちが、
この自分たちの世界観をアップデートするための人文地に、
実はほぼアクセスしなくてもエリートになれるっていう時代が長く続いちゃってるんですよね、
なんで価値観が固定化されちゃったりだとか、
いろんな問題が起きてるなと思ってて、
それを本人たちが今自覚し始めている、
なんかこの価値観で大丈夫だっけって、
自分でやばいなって思い始めてるっていう時代背景があるんじゃないかなと思ってて、
この時代背景になったなって思ってから、
前振り長かったんですけど、
最初の質問に戻ると、何をやろうとしてるかっていうと、
主にビジネスパーソンの人たちと、
この人文地っていうのをちゃんと接続できたらすごくいいなと思ってるんですね、
もっとアクセスをしてもらう、彼らに、
僕も自分のことをビジネスパーソンだと思ってるんだけど、
この層の人たちにアクセスができるようにする、
ただ自分たちってアクセスコストが異常に高いんですよね、
何百冊とか本読まないとわかんないこととかもたくさんあって、
これがやっぱりちょっと、何ていうか、
万人にこれを強いるって非現実的だと思ってるので、
これデータベースとして、もう少し地として整理して、
検索可能にした方がいいと思ってるんです。
そのデータベースに自分がメインにアクセスするんではなくて、
一般の人たちにアクセスするようなインターフェースを考えてるの?
そうですね、最終的には一般の人たちがアクセスしてほしいんですけど、
結構社会の中には一般の人がアクセスしたいという欲求を持つまで、
結構ステップがまだあると思っているので、
今は結構そのエグゼクティブ向けとかインテリ向けに、
まずは彼らの会社の中であるとか、
僕たちが直接その人文書を使って経営判断をしてもらうとか、
個人のキャリアの非常に重要な決断を、
人文書を使ってクリティカルシンキングしてもらう、
ただそれ今人力でやってるんで、
いずれはそれを人力ではなく、ある程度機械化された、
知能情報体系として提供できるようにするために、
データベースを今開発もしている、みたいなことをやっている会社。
最近もちろんAI使ってるよね、生成AIで、
僕いつも思うんだけど、自分が全く知らない分野だとすごく頭よく聞こえるけども、
知ってる分野はデタラメに聞こえちゃうじゃないですか。
だから僕なんかは哲学者じゃないので、哲学の論文とか哲学のことを読むと、
意外に結構答えてて、哲学って結構文章が多いから、
意外にデータ持ってるんじゃないかなと勝手に思ってるんだけども、
どうなんですか、人文知の知識とか感覚って今の生成AIどんな感じ?
僕たちも結構多用していて、社内でも多用してるし、
サービス自体にも組み込もうとしているところなんですけれども、
一つはまず歴史に限って言うと、アルゴリズム的に生成AIが、
いわゆる僕たちの社会で正しいとされている歴史をちゃんと出すってちょっと難しいんですよね。
そのアルゴリズム的にっぽいことを言うっていう話になっちゃうんで、
学者からとか学会から一旦これが正しいとされてますっていうことを別のデータとして持っておいて、
チェック機構みたいなのを働かせないとできないというアルゴリズムになってるから、
結構共存関係にあって、逆に我々のデータベースってインターフェイス側がすごい難しくて、
使うためにものすごいリテラシーが必要だったりだとか、
例えば何を検索クエリーとして投げると自分の欲しい情報が返ってくるかとかっていうのは、
結構難しいやつだなと思って、そこどうしようかなと思ってたところに生成AIが出てきてくれたんで、
インターフェイス側、ユーザーと近いところは生成AIに任せて、
その回答の中身をチェックするとか、それをレベルに分けるみたいなとか、
カテゴリーに分けるみたいなところを担保するところに、僕たちが今体系的に整理しているデータベースを使うと、
ものすごくうまくいくなというふうに思ってるって感じです。