伊藤穰一 x 前田ヒロ、です。
きょうの JOI ITO'S ポッドキャストは、コラボ企画、スタートアップポッドキャストの前田ヒロさんをお迎えしてお届けします。
前田さんはグローバル投資家でベンチャーキャピタリスト。
現在はシンガポールを拠点にしながら、オールスターSaaSファンドというSaaS企業に投資するファンドを運営されています。
実は、JOIさんと前田さんは、2010年代頃からデジタルガレージのオープンネットワークラボというスタートアップの投資と育成のプロジェクトを一緒にやっていたんですって。
きょうは、普段あまりお見せできない投資家JOIさんの側面が垣間見えるかも。
ぜひ、前田ヒロさんのスタートアップポッドキャストと合わせてお楽しみください。
前田さん、こんにちは。
こんにちは。
会ったのは2010年でしたよね。
初めて会ったのは確か2010年頃でしたね。
オープンネットワークラボを作るときに来てもらって、僕は2011年にメディアラボに行ったので、
オープンネットワークラボって最初の言い出しのときはいたんだけども、意外に立ち上げるとき僕いなかったような気がして、
だから勝手に育っちゃった子供っていうイメージなんだけども、ちょうどその頃に出会ったのかな。
そうですね、その後だと思いますね。
その後だよね。
オープンネットワークラボした後だと思います。
でも前田さんのどうやってそこにたどり着いて、その辺の僕もちゃんと実は理解してないのでちょっと教えてもらえますか。
ぜひぜひ。僕はアメリカで大学行っていて、当時コンピュータサイエンス勉強していて、2005年だったんですよね。
ちょうど多分ツイッターが始まって、フェイスブックも2004年ぐらいだったかな、スタートした時期として。
YouTubeもGoogleに買収されるようなタイミングだったんですけど、
ソーシャルネットワークの世界なんかやりたいと思って、ソーシャルネットワーク検索するとJoyceさん出てくるんですよね、ブログで。
ソーシャル2.0なのか、結構Joyceさんがすごく発信されていて。
僕頑張って大学のルームネットと一緒にいろんなソーシャルネットワーク立ち上げたんですよね。
ファッション好きの人たちが集うソーシャルネットワークだったりとか、あとインディーズミュージシャンが集まるソーシャルネットワークだったりとか。
立ち上げたのは良かったんですけど、数万人ぐらいユーザー集まって、それ以上伸びなくて。
当時ソーシャルネットワークってマネタイズの仕方あんま確立されてなかったんで、これはもうダメだと思って閉じて。
本当Joyceさんのブログがきっかけなんですけど、Joyceさんが投資家としてすごく注目されていたの、エンジェル投資家として。
投資の世界面白そうだなと思って就職活動する中で、たまたまテル・サトンに出会って僕のストーリーを語ると、
いや、投資業から始めて、そこからどうすれば良い企業家になれるかっていうのを学んだ方がいいよってアドバイスを受けて、
2009年にテルさんの会社にジョインして、すぐにJoyceさんに繋いでいただいて、オープンネットワークラボの話になったっていうのが、そんな流れだったんですよね。
なるほどね。あの時代って今思うとありえないんだけども、やっぱりコンテンツが少なかったから、
ダイエットコークって英語で検索すると一番目は僕のブログで、ダイエットコークって体に悪いかなみたいなブログで、
たくさんの結構重要なキーワードを検索すると自分が一番最初になってて、そうするとブログ経由の出会いってすごくたくさんあって、
でもビジネスモデルがなかったから結構暇なやつしかブログとか書いてなかったので、本当に今思い出すけど、
あの時代ってブログ経由の出会いがすごく多かったけど、今はほとんどないよね。でもソーシャルメディアが逆に多少はあるけど、
でもあの頃のトレンディングのものと今って全然レベル違うなと思いますけど。
違いますね。あとなんかこう繋がれる人のレベル感って言うとおかしいですけど、全然違いますよね。
なんか当時はその業界でめちゃくちゃ活躍してる方に気軽にDM送って返事返ってきたりとかするんですけど、
最近はないなって感じですね。何百万人フォロワーいるともう全然返事返ってくれないみたいな感じです。
だからやっぱり競争が激しくなったのとメインストリームになったので人数が多くなっちゃったので、やっぱりフィルターが上がっちゃってるんだよね。
だからあの時代のネットワーキングと今のネットワーキング全然違うよね。
いや全然違いますね、本当に返信率が全然低い。
でもそういう意味で言うと2010年ぐらいに入っていったっていうのは結構いいタイミングだったよね。
伸びてはいってはいるけれども結構入れるっていうタイミングだったって感じ?
そうですね、いや本当にいいタイミングでしたね。
なんかそのオープンネットワークの特徴としてはシリコンバレーのジョイさんネットワークをうまく活用して、
リードホルマンだってそういった方々を招いてメンタリングするっていうのが主な特徴だったんですけど、
こうメンター広げるのもね、簡単とは言わなかったけど結構アプローチしやすかったんですよね。
なので新しいスタートアップでちょっと注目が上がってる企業家とか経営者がシリコンバレー現れると、
ソーシャルネットワークで連絡してちょっとメンタリングしてちょっと来てくださいって言うと結構高い確率で来てくれたりとかしてたので、
なんかすごくいいタイミングだったかなと思ってますし、
ある意味そのタイミングじゃないとあの戦略うまくいかなかったんだろうなっていうのは非常に思いましたね。
メンターを活用して、ネットワークを活用したメンタリングプログラムみたいなのは。
そもそも前田さんがどんどんやってみちゃう、アメリカに学校行っちゃう、スタートアップやってみる、
とりあえずなんか知らない人に連絡してみると、その自信ってどっから来てるの?
自信?
それがたぶん一番日本人の苦手なところは、自分からなんか物事進めるっていうのがあるんだけど、
あと恐怖?それはどうしてなの?
自信とか全然ないですね。好奇心の方が先かもしれない。
だいたい僕が誰かに連絡するときって、その人にしか答えがないと思うときなんですよね。
なので、だいたい僕連絡するときに、なぜその人に連絡していて、なぜこの人しか答えを持ってないかって、
ある意味ちょっと罪悪感を持たせるわけじゃないんですけど、
返信してくれなかったら僕は永遠のその答えにたどり着かないよみたいなちょっと雰囲気を漂わせて連絡すると、
結構返信率、当時は高かったっていうのがあって、なので好奇心が先でしたね。
知らないといけないっていう危機感の方が先でしたね。
ある意味恐怖ですね、それは。だからその恐怖をうまく活かしてアプローチしたっていうのはあるかもしれないですね。
僕もやっぱり好奇心があって、その好奇心が見えるように多分表現できてるんだよね。
この人は僕しか知らないことに対してすごい好奇心持ってるっていうと絶対返事するよね。
で、この人はただお金が欲しいとか、この人はただブランドに近づきたいとか、
この人はなんか僕の後ろにいる誰か、リードホフマン会いたいとか、
なんかそういうこうわかりやすい営業モードのものは完全にフィルターなので、
だからそのやっぱり自分しか知らないものに好奇心を感じてくれるっていうのがちゃんと伝わると、
大体の人は答えるよね。で、僕もやっぱり最初のインターネットの頃も、
学校の教科書の書いた教授にメールすると、大体返事くるのは同じだよね。
それはでもね、今もあんまり変わってないと思うんだよね。
ただその好奇心を表現するのが難しくなってて、みんなLMを使ってメール書いてるから、
本物かどうかわかんないけど、でもそれは確かに今でも変わってないし、
あとやっぱりメンターをつけるっていうのもそこだよね。
この人に教えてあげたいっていう気持ちをくすぐる表現力だと思うんだけど、
そういう意味でも、たとえばテル佐藤とすぐ仲良くなって、すぐ人紹介してもらえるなんて、
たぶんそのこの人に教えがいがあるっていうのがみんな感じられるんだろうね。
そうですね、ちょっとあんまりそこは自己認識はしてないんですけど、
でもやっぱ教えていただいたことをめちゃくちゃレバレッジしますね。
その結果もしっかりと教えていただいた方にフィードバックするっていうところも意識はしていますね。
なので、なんか教えて良かった、無駄じゃなかったって思っていただけるようにするっていうのが、もしかするとポイントかもしれないですね。
ジョイさんと前田さんが始めたオープンネットワークラボでは、
企業間もないスタートアップに対し、メンターと言われる講師たちが、
商品やサービスの検証や市場の見極め方、事業計画作成など、徹底指導していくんだそうです。
これまで送り出したスタートアップは150社以上。
ジョイさんと前田さんのお話を聞いていると、
優れた企業化を育成するには圧倒的な好奇心と細やかな気配りが必要なことがわかります。
数字だけではなく、結局は人と人との関わり合いが重要ということなんですね。
逆に今、人に教える学びっていうのをちょっと聞きたいんだけども、
まず何でSaaSなのかっていうのと、なぜそれを一生懸命やるのがリスクだったのかっていうことと、
今はどうなっているかって、そもそもSaaSって何ってところから説明してもらってもいい?
SaaSって何っていうところで言うと、
端的に言うと、クラウドを通じてソフトウェアを配布して、
常に一番アップデートされたバージョンが手に届くと。
しかもマルチデバイスだし、どこからでもアクセスできるという感じですね。
昔のソフトウェアとSaaSの違いで言うと、
昔のソフトウェアはフロッピーディスクとかCD-ROMを一台一台インストールしてアップデートかけて、
アップデートかけようとすると、また一台一台CD-ROMを入れないといけなかったりとか、
なので更新頻度も下がってたんですよね。
やっぱりこのデリバリーモデルがすごく効率よくて、クラウド通じてできるから、
かなり低端化とか、普段届けられないような、
例えば小さいホーム店とかも使えるようなサービスになってたりとかするので、
そこが主な特徴ではありますと。
なぜここに着目したかというと、
やっぱり、僕2015年からここの投資にすごくフォーカスを高めたんですけど、
必然性を非常に感じましたね。
Salesforceも1999年立ち上がって、
当時、多分創業20年近く経過していて、
Salesforceの勢いもすごかったですし、
あと、アロン・レビィのBOXだったりとか、
Twilioだったりとか、
当時、いろんな普段みんな使ってるようなサービス、GitHubとか、
全部結構SaaSのモデルでデリバーされていて、
ありとあらゆる業務がSaaS化されるっていう必然性を非常に海外で感じたっていうのがあって、
これも日本でも来るんじゃないかって非常に思って、
実は2015年に、SaaSだけに投資するぞって宣言したときに、
とある日本のVCに、SaaSなんて儲からないよって言われましたね。
なぜかというと、当時1社しかSaaS企業が上場してなくて、
確かその時、時価総額150何億円だったんですよね。
その会社、今は3000億近くの評価ついてるんですけど、
今ではもう30社以上SaaS企業が日本で上場していて、
証明するものは多分あんまないかもしれないんですけど、
当時はでもね、本当にSaaSにフォーカスしていいんだっけみたいなのは、
疑いはいくつかありましたね、周りから。
なるほどね。で、今でも続けてるの、そのSaaSのフォーカスって。
今でも続けてますね。で、まだまだスタートだと思ってます。
やっぱ日本のソフトウェア市場っていろんな指標あるんですけど、
今5兆円ぐらいあると言われていて、
まだSaaSってそのうちの1兆円ぐらいなんですよね。
で、あとさらにSaaSの市場とか見ていくと、
SaaSの市場って多分12兆円ぐらいあるんですけど、
まだまだ伸びしろがあるっていうのもあるし、
あとアメリカの普及率と比較すると、
まだ4倍ぐらいここから上がる余地があるんですよね。
なるほど。
なので、まだまだ伸びしろだと思ってます。
まだまだやらないといけないことが多いと思ってますって感じですね。
確かに日本遅れてるよね。
日本やっぱりITはアウトソーシングしちゃって、
そのアウトソーサーたちが専用ソフトを作るっていう、
で、円が下がってるっていうのって、
結構これってすごいピンチじゃないかなと思うんだけど、どう見てる?
そうですね。これ多分僕よりジョイさんの方がいい答え出せるかもしれないんですけど。
ピンチだとは思ってはいますと、
一方、なんかこういい兆しじゃないんですけど、
面白い動きはありますね。
例えばね、世界一なのかな、
YouTuberなんかピューピューパイが日本に移住したりとか、
こういろんなインフルエンサーがすごい日本に来ていて、
TikTok通じて日本の素晴らしさを発信したりとかしていて、
最近結構その日本に移住するためのパッケージみたいなのを考えて作って出してる人たちがいたりとかして、
やっぱなんかジャパンがOne of the best country in the worldっていうブランディングにすごくなっていて、
実際本当に来ようとしてる人たちが現れてますし、
僕らの投資先でもやっぱり外国人比率も本当に微増なんですけど増えてはいるんですよね。
移住してここで働くっていう方が増えてるので、
なんかそういう動きはポジティブすごい感じてますし、
これがあと10倍ぐらい加速すると僕はもう少し嬉しいんだけどっていうところはあるんですけど、
加速しないとピンチだなっていうのも本当に感じてますし、
あとはやっぱ日本初のプラットフォームってもう少し頑張って作んないといけないなと思いますね。
やっぱり特にエンタメのデジタルパーチャスっていうのが、
ネットフリックスとかそういったものに取られているので、
ぜひねアメーバとか頑張ってほしいんですけど、
やっぱローカルなコンテンツでローカルで稼いでいけるようなデジタルプラットフォームとか、
クラウドサービスっていうのはどんどんどんどん出てきた方が、
日本の通貨も強くなっていくでしょうねっていう感じがしますよね。
そうだよね。でも確かに日本の文化的な魅力っていうのはみんな感じていて、
それをどうやってバリューに変えるかっていうのがすごい重要な課題なような気がするんだよね。
投資家として日々たくさんの起業家に接する前田さん。
人口減少が著しい日本では、世界に対する競争力を維持するためにも、
起業家を増やすことが重要だと話します。
まだまだ欧米などに比べるとスタートアップの数は少ないのが現状ですが、
それでも事態はちょっとずつ改善しているようなんです。
でもベンチャーは前よりはだいぶやりやすくはなっているよね。
間違いないですね。
本当にね、オープンネットワークラブ始めた頃なんて、
なんか500万、1000万集めるのが本当みんな一生懸命だったんですけど、
今だとなんか売り上げなくても5000万集まっちゃうとか1億集まっちゃうみたいな世界だってて、
僕もちょっとあの自分が投資した平均のバリエーションをちょっと年度別で比較してたんですけど、
2010年になって平均がなんか1億とか1.5億円だったのが、今6億円近くなっているので、
いい意味で企業家にとってチョイスが増えた、資金元の選択肢が増えてるっていうのと、
あと間違いなくレベルとかクオリティは上がってますね。
なので、いちいちなんかプロダクトマーケットフィットとは何なのかだったりとか、
正しい指標は何なのかって説明しなくても、やっぱメディアとかコミュニティの力で、
基礎知識は間違いなく上がっているので底上げされているので、説明しなくていいっていうのは本当にいいですね。
僕らもデジタルガレージ作った頃ってほぼ銀行借り入れで、
バリューエーション上げるっていうのってなんかあり得ない、学面投資じゃんみたいな感じで、
確かね、定くじゃないけど、デジタルガレージが上場するまで個人保証外してくれなくて、
確か10何億あって、10何億なんかない人だから、
頭は10で100回撃たれても死ぬのは1回みたいな感じで、いくらもうそれ以上増えてもしょうがなかったんだけども、
でも本当にそれに比べたら、そういう意味で言うと、
アホみたいなリスク取らなくても会社を作れるっていうのはすごく重要なステップで、国もすごく応援をしようとしていて、
あとはだから今大学見ててもそうだけども、やっぱり親とか子どもの就職先に関して結構保守的なのがまだ足引っ張ってるような気がするので、
やっぱりそういう意味で言うと成功例を作ったり、ちょっと文化的なシフトも必要なんじゃないかなっていう感じがするよね。
そうですね、なんか徐々に変化は感じてますけどね、やっぱりその20代で情状を経験する企業家とかもちょこちょこ現れてますし、
その就職先トップ50社とか見ると、なんかそのベンチャーの名前がちょこちょこ出始めてはいるので、
そういう意味でも動きはあるし、なのでリスクの高い選択肢の一つとしては、どんどん薄まってる感じはしますよね、そういう意味では、スタートアップっていうのは。
なるほど。逆に僕らとして何をしなきゃいけないと思う?日本の成功の確率を上げるために。前田さん的にはどこら辺に集中してる?
前田 まあ一つ、僕の個人的なミッションとしてやってることの一つは、日本の魅力をしっかりと海外に伝えるっていうのは頑張ってますと。
どういう形でそれを実現してるかというと、僕らのファンドって実は8割か9割ぐらい海外なんですね、資本が。なので海外の大学とか海外のファミリーオフィスからお金集めて日本の魅力を伝えて、
お金集めてそれを日本に投資してるっていうのと、あと直接投資も結構していただいてるんですよね。直接僕らのスタートアップにLPさんに投資していただくっていう形で、
日本の魅力を知っていただいてるっていうのが一つありますと。あともう一個は僕ら毎年やってるカンファレンスで海外スピーカー結構多いんですよね。
今年も多分4人ぐらい海外から来る予定なんですけど、これもジョイさんが昔からやってることだと思うんですけど、日本の文化的な魅力を伝えながら一緒に面白いアイディアとかコミュニティに還元する活動をするみたいな体験を設計して、
口コミ効果でどんどんこう日本に行くといいよとか、日本に行くエキスキューズが欲しかったらヒロに連絡した方がいいよみたいな状況を作ろうとしてるって感じです。これまさにジョイさんの戦略の一つだと思うんですけど、そういったことをやってますね今は。
なるほどね。で今投資先のアントプレーナーとか前田さんがメンターとしてこうやるときってどんなスタイルでやってるのとか、自分の経験で役に立つようなストーリーとかってどのあたりなの?