00:06
昼と夜の境、黄昏時、大間が時に現れる不思議な生き物、不思議な現象、妖怪古伝。
この番組は、毎回一つの妖怪を取り上げ、語ってまいります。さて、今日の妖怪は、
ベトベトさん。足音がするのみで、人に危害を加えることはないとされるが、足音を不気味に感じるときは、道の片側に寄って、
ベトベトさん、お先にどうぞ、などと唱えれば、ついてきた人間から離れるという。
妖怪漫画家、水木しげる氏は、この妖怪と思われるものと遭遇したことがあると語っている。
水木の地元、JR西日本の、夜名護空港駅の愛称が、ベトベトさん駅である。
ベトベトさんは、本来、音だけで姿が見えない存在だが、水木しげるの漫画、ゲゲゲの鬼太郎、
ノンノンバートオレ、などにも登場する。ベトベトさんは、丸い頭に足が生えた格好で、
微笑んだような愛嬌のある口が大きく開いている。
図像化された姿は、伝承をもとに水木が創造したものだが、水木は漫画のキャラクターとしてだけではなく、
正式に妖怪画集でも図像化・開設しており、水木自身の少年時代のベトベトさん体験では、
怖くて後ろを振り返れなかったことや、妖怪のことをいろいろ教えてくれたノンノンバーから聞かされた
出会った時の対処法も各漫画等に記載されている。
愛らしさを感じるものが多く、人気がある妖怪の一つであり、
鳥取県境港市の水木しげるロードには、同様のデザインのブロンズ像があり、
可愛いと声をかける女性もおり、観光客がお参りに来た気分で口にお賽銭を入れることも多いという。
夜、街はずれのヤブの中に大男が立っていた。
くそ、今日の博打に全部つぎ込んだのに負けちまったせいでもう一銭も残ってねえや。
03:00
親方や兄貴達から借りた金も到底返せねえ。
こうなったら追いはぎでもして元手ぐらい稼いでやる。
大男はヤビの中にひそみ、誰かがくとおりかかるのを待った。
いやあ、すっかり遅くなってしまった。
番頭さんに、街はずれの松屋さんの家にできた着物を届け、代金をいただいてこいと言われたんだけれど、
松屋さん年のせいか話が長い。
しかも同じ話をシャッフル&リピートしてくる。
それだけならまだしも、
私はうちの茄子が豊富でな、この茄子漬け食べていけ、とお茶受けにたくさん出される。
気を悪くしてはいけないと頑張って食べると、そんなに好きならまだまだあるぞ、と出そうとする。
すいません、本当は茄子漬け得意じゃないんです、と言うと、
そうかすまん、早く言ってくれよ、私も察しはいい方なんだから。
じゃあ、マブナスでどうだ、とニコニコ大盛りで出してくる。
ありがとうございます、って食べたけど、そもそも僕は茄子が苦手なんだよ。
そんなこんなで遅くなってしまった。急いで帰ろう。
小僧さんがあぜ道をしばらく歩いていくと、後ろから何かがついてくる。
怖がりな小僧さん、勇気を振り絞って振り返ると、猫。
小僧さん、お土産にもらった魚のひものを一匹、ポーンと投げると猫は消えていった。
僕猫アレルギーなんだよ。
また少し歩いていくと、小僧さんの後ろから何かがついてくる。
しかも今度は動物のような気配ではないし、何か弾むような足跡だ。
今度は小僧さん、怖くて振り向くことができない。
な、なんだろう、とても人や犬猫じゃないぞ、どうしたらいいんだよ。
助けてー。
こちらは大男。
おお、やっと人が来た。しかもどうやら、どこかのご福店の小僧らしい。
これならちょっと脅せば、有金全部いただけそうだ。
まったく、何なんだよ。
あ、もしかしてこれが、昔おじいさんに聞いたことのある、妖怪ベトベトさんなのか。
どうすればいいんだったっけかな。
06:02
確か、思い出したぞ。
よし、小僧は目の前だ。大声でビビらせてやる。
ベトベトさん、お先にどうぞ。
小僧は横によけた。そこに大男が大きな声で飛び出してきた。
何とも間抜けな音とともに、大男は吹き飛ばされ、小川に頭から落っこちた。
小僧さん、何が起こったのかわからなかったが、とりあえず怖さはなくなったので、早足で無事お店に戻った。
大男の方といえば、風の噂では、心を入れ替え、あの晩の体験をもとに大きな体を活かして、相撲界に転身し、立派な石鳥になったとか、ならなかったとか。
今日の妖怪話はいかがでしたでしょうか。聞いたことのある妖怪にも、意外な一面が垣間見えたのではないでしょうか。
もしこのポッドキャストを気に入っていただけたなら、ぜひフォローしてください。
妖怪古伝、また来週の土曜日の黄昏時にお待ちしております。