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こんにちは、合唱指揮者のKota Yanagishimaです。
Podcast第3回、今回は前回に引き続きですね、 オンラインコーラスについて
10分でお話をしていこうかなと思います。 オンラインコーラスって言ってもいろいろあるよねって話を前回したんですけど、
前回そこで取り上げたのは、いわゆるオンライン練習のことですね。
ビデオチャット、ZoomとかSkypeとかLINEツアーとかを利用して、その場にオンライン上で同時に集まって様々な練習をするっていうのはオンライン練習というようなことだと思うんですけど、
今回はリモート合唱、バーチャルクワイヤー、あるいはテレコーラスという呼び名がついている事柄についてお話ししようかなと思います。
これを聴きの方は、それについてご存知の方も少なくはないかなと思うんですけど、これっていうのは
ある合唱曲ですね、合唱音楽について、それぞれの歌手が一人で
大体お家なので、一人で自分で録音しまして、それをDAWという音声をまとめて編集するようなソフトウェアでまとめまして、
それを使っていわゆるマルチトラックの合唱音源を制作するっていうようなプロセスを踏むような、
これもカギカッコ合唱のスタイルかなということになっております。
オンライン練習と話が大きく違うのは、オンライン練習はリアルタイムでやるんですけど、こっちのことは録音ですね。
録音なので、オンデマンドっていうんですかね、それぞれがそれぞれのタイミングで行って、それを集めて、
また別の編集という作業を経た上で、一つの作品にしていくというようなやり方になります。
実際オンラインという形で全て完結して、何らかの音楽的なアウトプットを提示しようということになった場合、
音楽的なアウトプットというのはつまり演奏のことですね、演奏を発表しようということになった場合は、
おそらく基本的にはこのやり方がほとんど全てなんじゃないかなと思います。
一部、昨年出た面白いやり方として、ZOOMで演奏する専用の作品みたいなものがいくつか作曲されて、
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そういう例もあるんですが、その場合は、いわゆる楽曲そのものがこのやり方によってくるということになるので、
そういう意味では曲がまだそういうことに寄り添っているパターンというのは多くはないのかなという状況ですね。
という中で、基本的にこういう多重録音で行えるスタイルというのは、基本的に同じ時間を縦に見て共有するような音楽であれば全て可能だということになります。
いわゆる多声音楽ができるということになります。
根本的に違うことはやはり同時には歌ってはいないということです。
これをやったことない人はどうやって合わせているんだということもきっとおそらく気になるんじゃないかなと思うんですけど、
まず最初に、いわゆる基準になるデモテープみたいなのを代表の人が、指導者だったりしますが作ります。
そこに合わせて歌を重ねていくということですね。
あとは規模が大きい場合は指揮者の指揮の映像みたいのを入れて、それに合わせて歌う。
そうすることで一つのタイミングみたいなのが合わさっていくわけですよね。
実際のピアノの演奏とか歌の演奏についても、アコースティックな音楽の場合はよく見ていくとテンポが一定であるはずはないわけですよね。
すごく微細な揺らぎというのがたくさんあるので、そういう形で基準に対して一緒に音を作っていくというスタイルにしないと絶対バラバラになっちゃうわけです。
なのでそういうスタイルをとりながら、一つの統一された解釈みたいなことを目指すわけなんですけれども、
同時にただやっぱり人って、シンプルに周りの音を聞いただけで歌っているとか、周りの色の絵を見て歌っているというわけではなくて、
その2つがもちろん一番意識の顕示的な部分に存在するのは間違いないと思うんですけど、
実際には体験としていろいろなものを感じ取っている。
聞いているのもピアノの音だったり、合唱の全体の音の感じだったり、隣の人の声だったり、
すごくいろいろ条件が異なる中でその瞬間の歌を作っていくということがあるわけで、
そのやっぱりその微細のコミュニケーションそのものっていうのがやっぱり合唱の魅力の一つだということに疑いはないので、
そういう意味ではリモート合唱というのはそのこととは異なる世界であるとは言わざるを得ないかなというふうに思っています。
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ただ同時に言えることは、この在り方の中でもものすごく耳を研ぎ澄ませていくと、
例えばその基準になる音とかいうことがあったら、
例えばそれを自分の音を重ねるまでに何万回でも聞き直すこともできるわけですよね。
それはやっぱりライブには逆にないその緻密な音の魅力だったりもするわけですよね。
だからこの話ってもしかするとリモートの合唱と普通の合唱の比較の話ではなくて、
ライブと録音の話の違いだったりもするのかもしれないなというふうには思います。
実際僕もドイツ留学中にCDの録音というのは合唱のアカペラだったり、
オーケストラ付いたりいろいろありましたがかなり多くの数参加しましたけど、
やっぱり全然録り方からして同じ曲を例えばライブでも何回も歌うんですけど、
そのレコーディングというのは全く違う芸術なんだなということを感じざるを得ません。
いろいろなコマ切れの形の音も録って、全体の印象も録って、
なんとかしてこうしてみたいな感じで、結局それぞれの歌詞を歌っていく時の自分のその瞬間のコンディションみたいなのはすごく異なるし、
それを繋げ合わせて作るっていうのが、それはもう録音を制作するということの本質なんですよね、それこそが。
だというふうに考えると、このリモートのラッシャーについてはそういうものなんだというふうに思うところで、
いわゆる何をエッセンスとするかということが反転しているという言い方もできるんじゃないかなって思います。
この何をエッセンス、本質とするかが反転しているということが結構重要なキーワードなのではないかなと思っていて、
つまりそのライブと録音だったり、普通の合唱とリモートの合唱みたいなことがすごく似ているようなことをやっているけれども、
実は鏡のような位置にいる関係があるということで、かなりいろんなことが実は違うんですよということについては、
もし何か新しいことを理解したいのだと思うのであれば、それをするための一つの前提条件になるのかなというふうに僕は感じます。
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なんかそういう意味で考えると、僕はこの一つある種、リモートの合唱とかオンラインでやることに対する人々の拒否反応的なハリエーションも含めて、
この1年に起きたことっていうのは結構ストレスフルな瞬間もあったりするのかもしれないけど、全体的にはすごく良いことなのかなと思っています。
というのもやっぱり、そもそもこれまで自分が保守してきたことからというのが、じゃあなんでどういいのかということをやっぱり考えないと、
マジで巻き込まれて疲れるということになってしまうわけですよね。
で、片っ端からそうではない他者をあまり眺めることをせずに、ただ否定することに躍起になっていく。
そうするとやっぱり自分の、それはなんていうのかな、どういった在り方を自分の境地にしているかは去っておき、
自分自身のやっていることのクオリティっていうのは、下がりはすれど上がることはないということになってしまうので。
立ち止まって今どういうことがあって、どういうことをするとこれまでの自分の培ってきたものを踏まえてワクワクできるのかなということに繋がっていけばいいんじゃないかな、
そんなふうに今思っています。
リモート合唱ということに話を戻すと、多重録音でいろんなものを制作していくスタイルっていうのはある程度確立したかなと思っていて、
その上で音楽的により面白くなっていく動きっていうのが、
あるいは表現として何らかの必然性を持ったもの、より持ったものっていうのかな。
あんまり必然性のある表現という考え方は僕はそんなに好きではないですけれども、
でもまだすごくいろいろな意味で面白くなるポイントっていうのが実はあると思っているので、
それは2021年のうちにまたいろいろな形で具現化して皆様の前で問うことができればいいなと思っています。
10分を超えてしまいましたので、この回もこの辺にしておきましょう。
次回はオンラインコーラスについてもう1回だけ話したいなと思っています。
合唱団アッパレという合唱団について、次回はお話ししようと思います。
ありがとうございました。