カウンセリングの始まりと感情
みなさん、今週も1週間お疲れ様でした。
公認心理師・臨床心理師のわたるんと申します。
この番組カウンセラジオでは、病院勤務の現役カウンセラーが、日常のことから人生設計諸々まで、
いろんなお困りごとの解決に役立ちそうな心理学・カウンセリングの豆知識をゆるっとお伝えしています。
今回は、いただいたお便りを通して、カウンセリングを受けた時に感じることあるある、と言いますか。
いい感じにカウンセリングが進んでいる時に、相談している人がどんなことを感じやすいかについて、よく言われていることをお伝えしようと思います。
カウンセリングが進んでいくと、当然進んだ先に終わりがあるわけですよね。
カウンセリングがいいものであればあるほど、そのカウンセリングが進む、イコール終わりに近づく、というのに対して複雑な感情を持ちます。
それがどういう感情なのか、どう対処したらいいと言われているのか、これからお話ししていきますね。
では、カウンセラジオを始めていきましょう。
じゃあ最初にお便りを読み上げさせていただきます。特命希望の方からです。
はじめまして。カウンセラジオに代わってから番組を知り、聞かせていただいています。
前の番組で扱ったことのあるテーマでしたら、繰り返しになってしまいますがすみません。
先日、初めてカウンセリングを受ける機会がありました。
自分の悩みを誰かに聞いてもらうのはほとんど初めてで、表現がわからないのですが、とても居心地が良く、見捨たれたような気持ちになりました。
カウンセリングはいつか終わりますが、今はずっと終わってほしくないと思ってしまいます。
これからカウンセリングを受けるごとに終わりが近づくと思うと、終わってほしくないので、カウンセリングに行きたくないなと思います。
この気持ちにどうやって折り合いをつけたらいいでしょうか。
バタルンさんのお考えをお聞きしたいです。よろしくお願いします。
ということでした。まずお便りをくださって本当にありがとうございます。
毎度ながら励みになっていますし、お便りいただくと、皆さんはカウンセリングについてこういうことを聞きたいんだなーっていうのがよくわかって助かります。
そしてお便りをくださった方はどうやら良いカウンセリングを受けられているようですね。
カウンセリングというものを使っていただいていることそのものが嬉しいですし、それがさらに良い体験になっているというのはさらに良かったなというか、一人の心理師としてとても嬉しく思います。
それでお便りの悩みどころとしては、カウンセリングを受けるごとに終わりが近づくと思うと終わってほしくないので、カウンセリングに行きたくないなーと思ってしまう。
この気持ちにどうやって折り合いをつけたらいいかということでしたね。
じゃあまずは結論を先にお話しすると、その気持ちとても大事なので、もしよければですがそのカウンセラーさんに話してくださいということです。
これはちょっと前の番組でもちらっとお話ししたのですが、良いカウンセリングを受けるコツというのがあって、
それは自分の思ったこと、特にカウンセラーに対して言いにくいことほど本音で話してみるというものなんですね。
カウンセリングは、普段日常生活で抑えている感情も込み込みで抱えている悩みを話してもらって、
カウンセリングの意義
その上でその人がどうなるといいのか、どうなっていきたいのかについて話し合います。
そういう点では日常会話と全然違うものになりますし、逆に急でないと日常会話で話が終始してしまうリスクもあります。
そして何で普段抑えている感情を話すことが大事なのかというと、割とそこに悩みの本質が隠れていることが多いからなんですね。
悩みについて話を聞いていくとですね、何というか元々話していた悩みが形を変えて、より本質をついた感じになっていくんですよね。
そんなふうに普段なんとなく自覚していた悩みとかがより見える化してくると、日常でどうすればいいのかが少しずつ変わっていくしわかってきます。
そしてその変化をもたらすには、カウンセリングを受ける方がより一歩自分の本音に触れることが大事になってくるんですね。
それはちょっとこっぱずかしかったり、認めたくなかったりする感情や考えかもしれないんですが、それに触れて少しずつ共有していくことにカウンセリングの意味があったりするんです。
そしてその感情に触れたり共有したりするというのは、もちろんカウンセラーやカウンセリングに対して思っていることも含まれます。
その感情、気持ちは、その時自分が何を考えていてどんな気持ちになっているのか、どういう時に自分はどんなふうになるのか、そういったことがまた一つわかるようになる大事なヒントです。
まずは、カウンセリングが終わってほしくないという気持ちを素直にカウンセラーの方に話してみるのをお勧めします。
ただ、カウンセリングは終わってほしくないという気持ちがあるけど、それを素直にカウンセラーの方に話せないからこそ、僕の方にお便りをくださったんじゃないかなともちょっとだけ推察しています。
なのでそうですね、もし迷いがあるならば、言えないなーって迷っている気持ちも込み込みでカウンセラーさんに話して一緒に考えるって感じでやっていってもいいような気もしています。
どちらにせよ、カウンセリングで抱かれている悩みについて、こんなふうに質問されたことを、次はカウンセリングの中で話してやるといいんじゃないかなと思っています。
それでここからは一般論になるのですが、実はそのカウンセリングは終わってほしくないっていう気持ち、結構カウンセリングを受けている方はよく抱く気持ちなんですね。
特にいいカウンセリングを受ければ、当然それが終わりに近づけば近づくほど、自分を支えてくれたカウンセリングの時間がなくなってしまうのは不安とか、これから一人で頑張っていけるのだろうかと思うものですよね。
例えば、ちょっと違うかもしれませんが、職場で同じ部署で頼りにしていた先輩がいなくなる感覚に近いのかな。
いやちょっとわかんないんですが、頼りにしていた人がいなくなるときって不安になりますよね。
でもいなくなっても意外と大丈夫なこともあるというか、割と自分も思った以上に成長してて、一人で十分にやっていけたなんてこともあるんじゃないかなと思います。
カウンセリングも一緒で、長く自分の悩みについて一緒に考えてきた人がいなくなるというのは当然不安にもなります。
ですが、カウンセラーは別に、相手を自分なしじゃ生きられなくするためにカウンセリングをしているわけでは当然ないんですね。
カウンセラーは、相談しに来た人が一人で相談に来る前よりもいい感じに生きられるようになることをサポートします。
魚を与えるんじゃなくて、その人なりの魚の釣り方を一緒に考えていくわけですね。
だから、うまくいっているカウンセリングというのは、自分が今までと違う、いい感じの気持ちや気分に慣れた体験をするだけじゃなくて、自分が今までとは違う生き方を見いらせているんじゃないかなと思います。
そして、カウンセリングが終わるときも、そんな体験ができた時間がこれからなくなってしまうという不安を抱きながらも、カウンセリングなしでやっていける部分も見いらせたということも振り返りながらカウンセリングを終えていくんですね。
だからそうですね、もしこのエピソードを聞いている方の中で、今回お便りをくださった方と同じようなお悩みを持たれている方がいたら、まずはその不安や悩みをお自身のペースで話してみること、そしてカウンセリングを終えることに対して不安が生じるのは割とよくあることで、もっと言うと、そういう感情もカウンセラーは重々承知なんですよってことを抑えていただけたらと思います。
ではそろそろまとめに入りますが、お便りをくださった方いかがでしたでしょうか。
カウンセリングってやっぱり特殊な時間だったりするから、なんというかいろんなことを感じたり考えますよね。
ただそんな風にいろんなことを感じたり考えたりすることが大事で、あと今回みたくカウンセリングそのものについて思ったこと、感じたこともとても大事なカウンセリングの材料です。
なのでお便りをくださった方の無理のないところで、これからも迷ったり話したりまた迷ったりしていっていただければなと思います。
改めて今回はお便りをくださって本当にありがとうございました。これからもいいカウンセリングを受けられることを祈っています。
では最後にもしよければこのエピソードがいいなと思ったら星5評価をしていただいたり、何か新日に聞きたいことがありましたらお便りフォームまでメッセージを送ったりしていただけると嬉しいです。
お便り引き続き少しずつお返ししていきますね。
またポッドキャスト以外でもノートでの執筆やメンタルヘルスアプリでの配信も行っています。
詳しくはリットリンクをご覧ください。リットリンクは概要欄とXの固定ポストからアクセスすることができます。
では今回はここまで。おやすみなさい。
ここまで聞いてくださってありがとうございました。また次回をお楽しみに。
