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2020-11-08 20:10

お市の方「戦国一の美女」第2話 夫・浅井長政との別れ

戦国一の美女として織田信長の妹として生を受けたお市の方の生涯を描いたボイスドラマ。
兄・織田信長の裏切りにより、究極の決断を迫られた浅井長政。最終的には長政は朝倉側につき織田信長を責めることに。お市の方は実の兄の「美しくない」行動に反駁し、浅井長政のそばにいることを決意します。果たして、長政とお市の運命はいかに。


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●脚本:鈴木輝一郎
●演出:岡田寧
●出演:
 お市の方⇒北條真央
 織田信長⇒濱嵜 凌
 浅井長政⇒秋谷柊弥
 家臣⇒田邉将輝
 家臣⇒大東英史
 万福丸⇒明石夏実
 ナレーション・茶々⇒萩原一葉
●選曲:効果:ショウ迫
●スタジオ協力:スタッフアネックス
●プロデューサー:富山真明
●制作:PitPa(ピトパ)

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00:09
天正元年1573年8月26日、織田信長軍は3万の大軍をもって、浅井長政の織田二条を包囲した。一方、立てこもる長政軍は僅かに5千。それに先立つ8月20日に、戦国一の美女が戦国一の美女との別れが行われた。
8月20日、信長軍は越前の国を攻め、国首浅倉義影は滅亡した。この時浅井長政にはもはや浅倉に援軍を送る余力を持たなかった。多くの家臣が織田に懐中され、寝返っていたのである。
みな聞け!これまで織田を相手によく戦った。金ヶ崎の戦い、姉川の戦い、滋賀の陣と、三度に渡って信長をギリギリまで追い込んだ。この長政、褒めて使わす。
だがしかし、我に天運なく、いずれも信長めを打ち果たすことかなわなんだ。もはや越前の国浅倉もない。我らが織田に城に楼上しても、どこからも支援は受けられぬ。城を出て幸福したい者はかまわぬ。今ここより立ち去られよ。
殿、殿は我らの忠義をお疑いか。
志士信中の武士は我ら家臣団の内にはおりません。
織田川への内通者は我らではなく、奥向きの…
そこに尾一が四人の子供らを連れて立っていた。
尾一、ここは軍儀の場ぞ。
長政様、御無礼はお許し下さい。けれどこの子らに、お館様の武者姿を今一度しっかりと見せておきたいのです。
この曇りなき間凪に、阿財長政とその忠臣たちの晴れ姿を、末来までその血に刻み語り継ぐよう。
一堂の者、父上を頼んだぞ。お茶茶。
母、かしこまって司る。
茶茶は母上に似て女子にしておくのが惜しいの。
長政様。
満腹丸、勝鬨をあげよ。
はい。
やがて、織田からの使者がやってきた。
作法により使者は信長本人となって、神座より諸情を読み上げた。
03:03
阿財微善の神長政殿に勧告する。
降伏なされません。
既然の武勇は野に埋めるにはいかにも惜しい。
阿財長政殿が降伏するならば、織田の家臣としてお迎えする。
長政殿ご自身の命の心配はご無用に揃う。
我が家臣たちはどうなさるおつもりか。
阿財の家臣は既に多くが織田に降伏し、織田の家臣になっている。
いや、今もなお、拙者と共に織田と戦っている阿財の家臣はどうなるのか。
とお尋ねしているのだ。
我らは阿財長政殿の武勇を惜しんでおる。
他のことについては審釈は無用。
つまり、阿財の家臣を見捨てろと仰せか。
審釈は無用。
北近江の里の者は何とするのだ。
昨年一昨年と続けて電波塔を焼かれている、
織谷城の穀倉から食料を放出して飢えをしのいだが、
それもそこをついた。
北近江の里の者にどうやってこの冬を越せというのか。
阿財の領地は織田が治める。
農民が飢えて最も困るのは織田であることを忘れておられる。
心配は無用に候う。
だが、織田に略奪された里の者たちの気持ちはどうなるのだ。
摂書の決断で戦死した阿財の家臣たちと、
その家族はどうなるのだ。
我らが申し出ているのは、阿財長政殿のお命をお助けすることだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
つまり、織田は我らについて何も考えていないということか。
それはお答え申すわけにはいらない。
摂書の判断で多くの家臣が討ち死にした。
また北近江の村も火を放たれて焼け落ちた。
摂書は国主としてその責を負う立場にある。
己だけが生き残るわけにはいかぬ。
ただし、市と子供たちの命は救いたい。
殿、私は長政様と共に。
尾一、子らはまだ幼い。
頼んだぞ。
長政様。
承知した。
聖筆、阿財。
長政様。
承知した。
聖筆、阿財長政の子息は織田の家類であるゆえ危害を加えない。
尾一の方様らの身柄を織田本陣にて受け入れた後、
我らは阿財殿と一戦つかまつる。
総攻めの黒幻が迫る中、名残を惜しむ暇もなく、
06:02
尾一は子らの旅自宅を済ませ、
夫、長政の戦自宅を整えた。
長政様。
今宵は一段と美しゅうございます。
ろうそくの炎は消える寸前に輝くというからな。
殿、
お名残惜しゅうございます。
うむ。
なあ一尾。
はい。
拙者のところに嫁に来てくれて、ありがとう。
はい。
尾一。
ああ、長政様。
殿、一つ気がかりがございます。
何だ。
着難満腹丸は、私たちと一緒ではなく、内密に逃がしてはいかかでございましょうか。
何故そう思うの?
何だ。
織田信長の心の動きが、私が幼い頃に見た兄信長とかなり異なります。
どのように。
好んで残虐な行いをとっているようにさえ思えまする。
毎年織田に城下で略奪を働いたのみならず、
千年比叡山援略地を焼き討ちし、僧侶や女、子供を焼き殺しました。
足利義明将軍を追放する直前も、信長は京都市中に放火し略奪し、
女子供を無数に殺し、乱取りまで働きました。
今の織田信長は美しくありません。
今の兄の言葉をどこまで信じていいか分かりません。
承知した。
満腹丸を先に城から逃れさせよう。
ありがとうございます。
そなたは茶々達を頼んだぞ。
はい。
その深夜、着難満腹丸は闇に紛れて織田に城を脱出していった。
夜が明けると織田信長本陣から迎えの腰が織田に城に持ち込まれた。
老市の方は長政に別れを告げると、
茶々、八津、小郷と共にその腰に乗り山城を出た。
織田信長の本陣のある虎小瀬山砦では織田に城のすぐ目の前にある。
老市の方と娘たちは本陣の中、織田信長の重臣たちの前に引き出された。
重臣のうち北青美担当の橋場秀吉とは、蔵人時代の付き合いである。
09:00
庭永秀や作馬信森は清洲城でよく顔を合わせ、言葉を交わしたこともある。
柴田勝家は無本を起こしたのち、十年ほど信長から遠ざけられていた。
そのため柴田勝家と老市の方はほとんど接点がない。
老市の方が本陣の陣脈に通されると、すかさず織田信長が姿を現した。
老市、俺に思うところはいろいろあろうが、まずは大義であった。表をあげよ。
信長様、お久しぶりございます。
でもない。金ヶ崎で阿財永政が裏切る前、小谷城で永政と追うておるので、四年ぶりか。久しいと申すほどではない。
兄上!
永政の命を助けろ、という申しでは断る。
永政ほどの男が今さら降伏しろと言っても、応じるとは思えぬ。
ヌスットのごとく踏んじばって引き出すのも本意ではなかろう。
それは…
相変わらず、そなたは我が妹ながら美しい。
兄上は、合戦で多くの人が死のうというのに、なぜこれほど平然としていられるのでしょうか。
俺は変わった。
僧侶を殺し、円略寺を焼き尽くし、京都市中では女子供を殺しまくった。
小市屋、俺はもはや美しくない。
兄上…
だが、そうなったきっかけは元を正せば永政が俺を裏切ったせいだ。
そうなったきっかけは元を正せば永政が俺を裏切ったせいだ。
兄上、それは違います。
かもしれぬ。
戦国の国首として、避けては通れぬ道で永政が裏切らなくとも、俺はこのような人出だしになっていたのかもしれぬ。
しかし、永政は裏切った。
もし裏切り者の永政を許すことができれば、あるいは俺も再び美しく生けられたかもしれぬ。
だが永政は俺の差し延べた手を振り払った。
兄上、そもそも織田が阿財を裏切ったということをお忘れでしょうか。
忘れた。
そんな…
拒じつ入り混じった信長の異様な言動に、柴田勝家や橋場秀吉ら獣神たちはじっと息を潜めていた。
12:02
阿財永政は合戦に異様に強い。
俺たちの損害を最小限にとどめるために、できる限り和睦で片付けたかったが…
今こうしている間にも永政様は死を覚悟しておられる。
兄上信長の中には自分自身のことしかない。
永政様を何とかしなければならない。
けれどもどうしたらいい?
兄上が案じておられるのは、ご自身が損をしないように、ということだけでしょうか。
他に何がある?
兄上の人としての感情がどこかに行ってしまっている。
今の私にできることは何なのか。
信長は大きな変化を期待していた。
織田信長にこの4年間いろいろあったのは、老市の方も承知している。
実の妹老市と議定の阿財永政に裏切られた。
伊勢長島では一行一揆が発生し、
妹老、織田信長が一揆に包囲されても、
助けに行けずに見殺しにした。
兄上が人としてまともな神経を持っていては、
とてもやってゆけなかったのはわかります。
兄上が哀れでさえあります。
しかし…
さて、阿財永政の着難。
万福丸の姿が見当たらぬようであるが。
それは…
安ずるな。
どうでもよい。
織田二条内には織田の内通者を忍ばせておる。
すでに昨夜遅く、
万福丸が内密に織田二条を脱出したのは承知しておる。
それは…
尾一、
そなたが自分を責めることはない。
万福丸がここにいようといまいと関係ない。
どの道万福丸を殺すつもりだったゆえ、
気にするでない。
私や娘たちに向かっていうことですか?
兄上は明らかに何かが壊れてしまっている。
男子を生かしたままだと将来家婚も残す。
万福丸がここにいなければ日本全国どこにいようといいや、
地獄の底まで探し出し、
必ずや処刑する。
阿財長政が裏切ったことへの恨みではない。
阿財長政は強すぎ、恐ろしすぎる。
姉川の合戦の時、
阿財長政はわずかな手勢で何倍もの兵力を備えた小谷真正面から、
脇目も振らずに俺の本陣まで突進してきた。
たまたま阿財軍の横をついた奴らがいたから、
15:02
小谷は過労死で勝てたが、かなり危なかった。
あんな思いをするのは二度とごめんだ。
阿財長政はまもなく小谷城で討ち死にする。
その息子が血を引いているのなら、
俺のために生かしておけぬ。
人殺し。
そうだ。
長政様だけでなく、万福丸さえも救えないのか。
なあ、市。
俺が美しい生き方をしておらぬことだけは確かな。
ただ、市よ。
そなたはまだ若い。
できることとやれることは、まだまだ多い。
寝言は寝ているときに言いなさい。
私は兄上の思い通りには行きません。
戦国のために、
私は兄上の思い通りには行きません。
戦国の女には戦国の女の戦い方があるのを、
決してお忘れなさいますな。
お市に何ができる?
自害。
なんといたわし。
しかし、お市様ならやりかねん。
兄上がどこぞの大名と名役を千切りしおりに、
その人質として私をどこへなりとも嫁に行かせなさいませ。
嫁に行ったその日のうちに、
今家の広間で自らの胸を突いて、
兄上とどこぞの大名との名役を踏みにじって差し上げます。
そなたなら、
やりかねぬ。
やりかねぬではなく、
必ずやりまする。
織田信長、
私は二度と、
どこにも嫁に行きません。
私の娘に手を出すことも許しません。
私は泣かない。
兄上によって泣かされることはない。
私の涙は、
阿財長政殿と万福丸のためだけにある。
織田信長、
私は美しい。
その日のうちに、
織田信長軍の総攻撃が始まった。
尾市の方と茶々、
初、
五号の三人の娘たちは移送されず、
そのまま信長の本陣に置かれた。
圧倒的な兵力の差があるにも関わらず、
阿財長政は織田信長をよく守った。
ただし、
多勢に無勢であった。
天正元年九月一日、
織田信長は落城。
阿財長政は辞人し、
その首は信長の本陣に届けられた。
18:02
信長はもちろん、
阿財長政と面識があったが、
信長は尾市の方に
阿財長政の首を見せて、
その戦死を確認させた。
ちなみに満腹丸は、
橋場秀吉によって捜索され、
美濃の国関ヶ原で、
串刺しの刑に処せられた。
かくして織田二条は廃棄され、
阿財長政の医療は
橋場秀吉に下された。
橋場秀吉は
琵琶湖畔で
橋場秀吉は
琵琶湖畔の今浜を
長浜と改め、
城を築いた。
尾市の方と
茶々、初、五郷の身柄は
清洲城へ移され、
保護されることとなった。
普通ならばこのまま
誰にも知られず
平和に一生を終えただろう。
けれども、
そうは行かなかった。
本能寺の変で
信長が倒れたのである。
脚本 鈴木貴一郎
演出 岡田康史
出演
尾市の方
北条真央
織田信長
浜崎忍
阿財長政
秋谷桃也
歌神A
歌神1
田辺雅貴
歌神B
歌神2
大東秀文
満腹丸
赤市 夏実
ナレーションと茶々
萩原和羽
選曲 高価
松 佐子
スタジオ協力
スタッフアネックス
プロデューサー
富山正明
制作
株式会社
ピトパ
20:10

コメント

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