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2025-07-14 09:55

【再掲】「働きやすさ」と「働きがい」の違い

職場への満足度を向上させるための企業施策の特徴は、「働きやすさ」を高めることによって『職場への満足』を高めようとしています。しかし、「働きやすさ」は本当に『職場への満足』を高めるのでしょうか。

「人を大切に育て活かす社会創りに貢献する」を社志に掲げるFeelWorks代表前川が、「働きやすさ」と「働きがい」の違いについて解説します。

 

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サマリー

このエピソードでは、働きやすさと働きがいの明確な定義とその違いが解説されています。日本の働き方改革によって働きやすい環境が整いつつある一方で、従業員のエンゲージメントが低い現状を踏まえ、働きがいの重要性が強調されています。働きやすさと働きがいの違いが重要視され、特にエンゲージメントの重要性が認識されています。働きがいを持って働ける環境の整備は、企業にとって新たな挑戦となっています。

働きやすさの定義と背景
FeelWorks代表取締役の前川孝雄です。 今日はですね、働きやすさと働きがいの違いについてお話ししたいなというふうに思っています。
まずそれぞれの定義なんですけど、働きやすさというのはですね、まあ読んで字のごとくなんですけど、働くことが容易い、まあやさしいというふうなことですね。
これまでですね、日本ではですね、働き方改革っていうのが2019年からですね、法整備もされて非常に働きやすい環境になってきたなというふうに思うんですね。
背景にあるのは、女性の活躍であったりとか、少子高齢化によって高齢期になっても働く方が増えているとかですね、
仕事と育児の両立とか、ご自身の病気と仕事の両立とか、親の介護とですね仕事の両立とか、プライベートな事情を抱えながら働く方々が非常に増えてきたというふうなことがあって、まあ法整備がされてですね、働きやすい環境整備というのは進んできたということだと思うんです。
一方でですね、働きがいとは何かというふうに考えると、働く甲斐があるということですね。
僕自身はもう少し突き詰めて考えていくと、働くという漢字はにんべんにですね、動く、すなわち人のために動くということが働くということだと思うんですけど、そういう意味でいくと、人のために動く喜びを感じることが働きがいじゃないかというふうに定義をしております。
この働きやすさと働きがいなんですけど、冒頭も申しました通り、日本はですね非常に働きやすくなってきたんですね。
いろんな労働関係のですね調査を見ても明らかなんですけど、今日本ではですね、労働時間というのがどんどんどんどん短くなってきていますね。
あとあの有給休暇の取得率なんかも調査史上ですね、過去最高のですね有給休暇の取得率というふうな時代になってきています。
まあその背景にあるのはやっぱり法整備がなされたからですね、働き方改革の関連の法案というのがいくつか内容はありますけれども、
主には労働時間をいかに減らすかとかですね、あとは休暇をしっかり取れるようにということですね。こういうことが強く法律によって企業に求められてきたが故にですね、
働きがいとその要因
働きやすくなってきたなというふうに思うんです。 ただ一方でですね、働きやすい環境になってきたからといって、
働く方々がですね、充実して働きがいを持って働いているかというと、そんなことはないというふうに思うんですね。
いろんな調査を見れば明らかなんですけど、働く方々の従業員エンゲージメントっていうのもありますけれども、この調査、ギャラップ社なんかがよく世界的な調査をしておりますが、
この調査を見てもですね、世界百数十カ国の中で日本は従業員エンゲージメント、働きがいと言ってもいいでしょう。
これは世界最下位になっているわけです。 これはやっぱり不思議ですよね。非常に労働時間も短くなって、休暇も取れやすくなって、
もっと言えば働き方改革ではですね、同一労働同一賃金なんてことも謳われましたけれども、そこも含めて賃上げというようなことも強く求められてきているわけです。
それでも今日本で働いていらっしゃる方々のエンゲージメント、もっと言えば働きがいというのは極端に低い状況にとっていると。
これなぜなのかという考えていきたいんですけど、これを説明するのに分かりやすいのがですね、
フレデリック・ハーズバーグっていうですね、1900年代、20世紀に活躍したアメリカの臨床心理学者がいらっしゃいますけれども、
このハーズバーグはですね、非常に分かりやすい二要因理論というのを発表してですね、これは今も受け継がれて広く使われている理論でご存じの方も多いと思うんですが、
これを僕なりにちょっと引用してですね、整理して考えていくと、ハーズバーグの二要因理論のうちの一つが衛生要因と言われるものなんですね。
これは働く環境であったりとか、福利厚生等の条件であったりとか、職場、上司同僚との人間関係とかですね、給料など、この辺りが衛生要因と言われるものなんです。
すなわち、働き方改革によって国がですね、企業に求めてきたものってほとんどが衛生要因なんですね。
労働時間を短く、休暇も取れるように、賃上げもしましょう、このようなことですね。これは非常に改善されてきたわけです。
ところがですね、ハーズバーグがその昔から主張しているんですが、衛生要因が改善されていくと何が起こるかというと、働いていらっしゃる方々の不満足が減るんだというふうに言ったわけです。
不満足が減ればいいじゃないかと思って、それをどんどん改善していくと、満足につながるかというと、実はつながりにくいんだというふうに主張したわけですね。
僕も本当にそう思いますね。
一方でもう一つの要因、動機づけ要因って言うんですけど、これは何かというと、自分が担う仕事内容そのものであったりとか、組織、チームの中で持つ責任であったりとか、
自分の持ち味とか働きを同僚や上司やお客様等々関係者が認めてくれる承認であったりとか、仕事を通じた達成感であったりとか、このようなものが動機づけ要因だというふうにハーズバーグが言ったわけです。
まさに整理していくと、動機づけ要因で喚起されるものが働きがいだというふうに思います。
日本の現状と提言
一方で衛生要因によって喚起されるものが働きやすさだと思うんですね。
その意味でいくと、働きやすくなってきたんだけど、働きがいの方はどうなんだっけというのが、今の日本の実情じゃないかというふうに思うんです。
FeelWorksはですね、この問題意識、人材育成に長年取り組んでいく中で非常に持っておりまして、働き方改革の法律ができる前からですね、多様な方々が働くようになってきたので、
労働時間を短くしましょうとか、休暇が取りやすくしましょうという働きやすい環境整備というのが企業が進みかけているわけです。
その時から、我々は強く問題意識を持っていましてですね、働きやすいことはもちろん多様な方々が働くようにおいては大事なんだけど、それは目的じゃないよねと。
あくまでも衛生的な要因で必要なんだと。大事なのは働きがいですよね。
自分自身が本当に自分だから担える重要な仕事をやっていて、しっかり周りに認められて、その仕事の成果がですね、誰かに喜んでもらえる喜び、達成感を感じられる状況、これこそが重要なんだというようなことをずっと訴え続けてきたわけです。
ところがですね、あの法律はできてしまって、企業は当然法令遵守によってこれを守るようになってきたわけで。
何が起こっているかというと、先ほど言ったような従業員エンゲージメントは世界最下位の状況が続いているというふうなことなんです。
そういう意味では、働きやすさではなくて働きがいの方が重要で、働きがいを目的にして、さはさりとて多様な方々が働くので、働きやすさもヘッジしていくということが大切なんだと思うんですね。
僕たち自身は本当にこの問題意識を持っていてですね、2017年にはですね、FeelWorksのグループ会社として働きがい創造研究所というのを立ち上げてですね、この啓蒙活動、人材育成、人の活躍支援において重要な概念だということで啓蒙活動をずっと続けてきているわけです。
そういう意味においては、最近になってやっとですね、やっぱり働きがいが大事だよね、働きやすいだけじゃダメだよね、エンゲージメント重要だね、このような話が出てきたなというふうに思っているわけです。
ちなみに僕自身は一般社団法人のウーマンエンパワー協会というところの理事も兼任をしているんですけど、この活動も女性の活躍をですね、世の中に対して影響力、ソーシャルインパクトをもたらしましょうということで一生懸命やっているわけです。
このウーマンエンパワー協会でもですね、その昔は女性が働きやすい企業表彰というのをずっとやってきたんですが、問題を定義させてもらいまして、働きやすい会社表彰というのはちょっとおかしいよねと、
そうではなくて働きがいを持って働く環境が整っている、そういう企業をほめていこうじゃないかと、こういうようなことで働きやすい企業表彰からウーマンエンパワー企業表彰ということで、いかに働く女性をエンパワーするかというふうにかえたりとか、
多様な観点でこういう活動をずっと続けてきているわけです。そんな中で、いよいよ世の中では、いやいや働きやすいだけじゃダメだと、働きがいが重要だと、働きがい改革をしていこうと、こんな潮流がやっと出てきたなというふうに思うわけです。
働きがい改革の課題
ただ難しいのはですね、もうすでに先に衛生要因が改善されてきてしまっているので、何が起こっているかというと、多くの企業で問題になってきているのは、
既得権益が当然所与の条件になってしまっている方々が増えてしまっているということですね。これは非常に悩ましい問題です。
かつ、動機付け要因にあまり目が行かなくて、衛生要因だけに目が向いてしまうと、会社の福利厚生とか休暇制度が充実している、もしくは産休育休制度が充実しているので、
できるだけ目一杯休もうというのを一生懸命権利として使おうみたいなのが出てきたりとかしてしまう。こんな問題も起こってきている。
確かにそれは権利で良いのかもしれないけれども、キャリアの重要なタイミングで休みをいっぱい取ってしまうということだと、本来の意味でも充実したキャリアとか成長とか活躍ということに繋がらないんじゃないかと、こういうふうに僕自身は思っているわけです。
そういう意味でいくと、働きやすさが先行してしまったがゆえに、今、多くの企業が働きがい改革に取り組み始めていますけれども、実はハードルがさらに高くなってしまってきている。こんな問題があると思うんです。
じゃあ、どうやって働きがい改革に取り組んでいけばいいのかと考えていくと、衛生要因は会社の人事制度の整備で何とかなるものばかりだと思うんですね。
一方で働きがいのほう、動機付け要因に関わるものは、実は一律の人事制度だけではなかなか全従業員の支援につながりにくいんじゃないかと思うんです。
その意味でいくと、僕たちが大事にしている上司力ですね。現場の上司の皆さんが一人ひとりの大切な部下と向き合って、一人ひとりの働きがいを高めていく。
何より働きがいというのは、一人ひとりの心の内側の問題でございますので、これがとても重要になってきている。そういうふうに思うわけです。
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