昨日の配信で紹介したアウグスティヌスの話——剣闘士の殺し合いに反対していた若者が友人に連れられ会場の歓声に引き込まれてしまったという話——を受けて、浄土真宗の開祖・親鸞聖人の言葉を軸に、人間がいかに縁(えん=周囲の状況や環境)に左右されるかを話しています。
弟子の唯円が書き留めた仏教書『歎異抄』(たんにしょう)に、こんな問答があります。親鸞が「人を千人殺してきなさい」と言い、唯円が「一人も殺せません」と答えると、「心が良いからではない。殺すべき縁がたまたまないだけだ」と諭します。縁とは、行動や感情に影響を与える状況・環境を指す仏教の言葉です。縁が整えばどんな振る舞いでもしてしまうのが人間だという、親鸞の深い人間観です。
日蓮宗の十界互具(じっかいごぐ)という教えでは、地獄から仏まで十の世界がそれぞれの中にすべて宿るとされます。私たちの心の中にも地獄があり修羅があり、同時に仏の世界もある。縁次第でどの世界が現れるかが変わるからこそ、縁はすべて選びきれなくても良い縁を手繰り寄せる努力が大切だと話しています。
- アウグスティヌスの話から縁の問いへ
- 『歎異抄』の問答:殺すべき縁がたまたまないだけという親鸞の人間観
- 十界互具:地獄も仏も同じ心の中に宿る
- 縁を手繰り寄せることが正気でいる道
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