1. 佐々木亮の宇宙ばなし
  2. 855. 世界中誰もが同じデータ..
2023-02-12 14:33

855. 世界中誰もが同じデータをさわれる天文業界は平和な世界だと思う

天文学ってマジで素敵な世界だと思うんですよね。インターネットとパソコンさえあれば、誰もが同じデータに触れて、同じソフトを使って分析できて、

同じ立場で議論できる。なんか理想論言っているように見えるかもだけど、これが天文業界の国境なきピースフルな世界。


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1日10分、宇宙時間をテーマに毎日お届けしております、宇宙ばなし。
今回は、天文の業界で一体どうやってデータが扱われて、どうやって論文が出されていくのか、
そういった宇宙業界にいる人にとっては当たり前だけど、
宇宙業界にいなかった人にとっては、ちょっと新鮮なお話をしていこうと思っておりますので、
ぜひ最後までお付き合いください。
3、2、1、イクネーション、マイナス10、マイナス10、
佐々木亮の宇宙話
2023年2月12日始まりました、佐々木亮の宇宙話。
このチャンネルでは、1日10分、宇宙時間をテーマに天文学で博士号を取得した専門家の亮が、
毎日最新の宇宙トピックをお届けしております。
ということで、本日でエピソードが855を迎えるというところになっております。
すごいですね、毎日毎日ちゃんと数えてるのに、
ここの数字までたどり着くと、やっぱちょっと嬉しいなっていう気持ちになりますね。
多分こっから先はずっと同じ気持ちで収録ができるのかと思うと、
幸せなポッドキャスト収録だなと勝手に思い込んでおります。
はい、ということで、今日も編集なしでやっていきましょうというところなんですけど、
最近ポッドキャストを新しく聞き始めてくださった方からですね、
どんな感じで収録編集してるんですか?って聞かれること多くて、
全く編集しないで毎日毎日撮っては出して、撮っては出してをしている、
そういうチャンネルになっておりますので、クオリティはご愛嬌というようなところでやっております。
はい、ということで、じゃあやっていきたいと思います。
今日紹介するのは、ちょっと最新の研究っていうよりは、
研究のやり方っていう部分をちょっと紹介していきたいと思います。
天文学っていうところ、ずっと専門でやってきたわけなんですけど、
天文学のデータってどうやって取得されて、どうやって使われるのかっていう、
こういう目線で話したことって、これまでの855回でなかったんじゃないかなと。
しかもこれって、研究を始めて、しかも結構ちゃんと研究をやり始めた時に、
ようやく見えてきた部分なのかなって個人的には思ってるんですよね。
なので、なんか僕の中で当たり前になっていたけど、
実は、実は、結構非常識?非常識っていう言い方は変か。
なんかちょっと、へえそうなんだって思う部分多いのかなと思うので、
今回はそちらを紹介していこうという感じになっております。
よく新しい観測、なんかこう新しい望遠鏡が打ち上がって、
そこで見つかった結構インパクトの大きい観測結果の論文を紹介することが多いと思うんですよね。
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ポッドキャストの中で。
それって大きく観測っていうところだったり、データ分析っていうところまで考えると、
大きく3つの経路があるんですよ。
データが実際に活用されるっていうところまでで。
で、これ一番多分論文として出ている中で、
比率として大きいのは、これパブリックデータって呼ばれるような状況になっていて、
誰でも触れるようなデータとして公開されているっていう状況ですね。
これを使って新たな研究的な示唆、天文学的な示唆を出していくっていうところが、
一番大きいデータの使われ方をしてるんじゃないかなと思うんですね。
特に僕がいたX線を使って宇宙を見るっていう、
X線って人工衛星に望遠鏡をつけて飛ばさないと観測できないようなものなので、
結構レアな観測データになるんですけど、
こういうX線天文の業界では結構スタンダードになっていて、
何かっていうと、国がプロジェクトとして打ち上げるっていう人工衛星あります。
これがもう本当に何百億とか何千億とかっていうレベルでかかる望遠鏡になっていて、
例えばこれを日本とアメリカで打ち上げましたってなったときに、
この観測データ、じゃあもう内部のチームみんなで料理して好きなだけ使おうよ、
独占しちゃおうみたいな使い方をすると、
研究の成果を最大化させられないっていうデメリットがあるじゃないですか。
そこに加えて、やっぱり学問を追求するっていう目線で見たときに、
そもそも研究力の底上げっていうところが達成されないっていう課題が出てくるんですね。
もし独占してしまうとすると。
なので、高エネルギー、X線だったりとかっていうようなデータっていうのは、
NASAだったりJAXAが各それぞれで運用してたりする共通のデータアーカイブって呼ばれるようなサイトのところに
データが基本的に全部上がる仕組みになってるんですね。
で、そういったパブリックデータになったものを、
なんかちょっと自分が専門としている研究分野、
それこそ僕だったら、太陽みたいに自分で光っている星、
光星って呼ばれるものを観測したデータっていうのを集めてきて、
その集めてきたデータから見えることってあるのかなっていう新しい発見を探していくっていう感じなんですよね。
なんかこういう結果出たってなっても、じゃあパブリックデータ、
世界中の誰でも見れるデータから見つけて、それで論文って出てないかなって調べて、
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出てないんだったらこれちゃんとまとめて出そうみたいなところで、
どんどんどんどん研究成果が膨れ上がっていくっていう、そういう仕組みになってるんですよね。
じゃあそのパブリックデータになるまでの観測ってどうやって行われるのかっていうところですよね。
衛星を黙って放置しておいてもデータが取れてくるわけではないので、
基本的には筋のいい観測場所っていうのを2つの方法によって切り分けて観測を常に時間の無駄なく常に行い続けるっていうのが
人工衛星のデータ取得の方法なんですよ。
まず1つがコンペティション的な意味合い、つまり世界中の研究者が申し込みをして、
この天体がこれだけ面白い、これだけのインパクトを与えることができるみたいなのを、
例えばNASAの人工衛星に対してその運営事務局に1年に1回募集がかかるからみんなパーって応募するんですよ。
倍率5倍とか10倍とかっていうようなところになって、
じゃあ俺の注目してるこの天体、こんだけ面白いからこんだけの観測時間くれ、
いや俺のはこういうことだ、私のはこういうことだ、みたいなのでパーって集まってきたものを運営チームの、
これも天文学者たちなんですけど、で精査して、これの順番で観測していくと、
今後1年間この人工衛星はこれだけの成果を発揮してくれるんじゃないか、みたいなところを順位付けして、
でそこから採用された観測が1年間だったり半年だったりっていうスパンで回っていくっていう感じなんですよ。
でその観測プランっていうのを申告して採用された人には、
1年とか半年とか1年とかのデータの占有権っていうのが与えられるんですね。
そのデータを占有してそれまではパブリックのデータに乗りませんと。
つまり観測をすることはしたしデータもあります。
ただデータを触れるのは申し込みをしたあなただけですっていう状態になるので、
そのデータを独占して1年間の間に研究成果を書き上げて論文として報告してしまえば、
あとはそのデータがパブリックになったところで、
自分のやりたかったことは達成されてるしっていうような状況でデータが一段落すると。
あとはそのパブリックになったデータ、公に公開されたデータっていうのは別に誰が使ってもいいし、
実はそこにお宝が眠ってて公開された瞬間に他の研究者がもっと深掘りして、
自分より大きい成果を出すっていう可能性も全然あり得るっていう。
そういった結構厳しい世界で観測データっていうのが蓄えられてるっていう状況ですね。
ただ最初研究者たちがこぞって申し込みをするっていう状況になるまでには、
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やっぱりその衛星がどれだけ有用かっていうパフォーマンスも見れなきゃいけないわけですよね。
しかも打ち上がってすぐって結構慎重に運用していかなきゃいけない関係で、
数年間は募集をかけないっていうことが結構一般的には行われるんですよ。
そういったところで行われるのが、衛星を立ち上げて打ち上げようとしてる運用チームに
サイエンス、科学のチームっていうのが組成されて、そのチームで議論して、
この分野はこういった研究ができるからこの天体を観測しよう、この天体を観測しようって言って、
運営チームが最初初期の1年とか2年とかっていうところで研究成果をガンガン出して、
よし、じゃあ君たち使いたいように使ってください、書類募集しますみたいな感じで
新しい観測データっていうのがどんどん募集されていくって感じなんですよ。
つまり初期のオペレーションチームが行うフェーズと、一般の研究者たちが行うフェーズと、
それらのデータが公開されるフェーズとっていうので、実は3段組ぐらいに分かれながら
天文のデータっていうのはどんどん世界発信されていってると。
これだから解析の方法とかをちゃんと確立できれば、実は誰でも天文の研究できるんですよ。
これが僕、この宇宙の業界のすごい素敵なところだなと思ってて、やっぱり国境がないんですよね。
国境がなくてインターネットにアクセスできるっていう状況にさえなっていれば、
手元にパソコンさえあれば、世界中の誰でも天文の研究ができるっていう、
そういう環境が公開されている状態って本当に素晴らしいと思うんですよ。
しかもこれデータが公開されるだけじゃなくて、そのデータを触ることができる分析用のツールみたいなのも
これNASAが出してたりJAXAが出してたりっていうので、
基本的には世界中統一された標準化されたソフトウェアが公開されているので、
データをダウンロードしてきて、分析用のソフトをダウンロードしてきて、
なので、ダウンロードしてきたデータを分析ソフトに読み込ませて、
あとは自分でオリジナルでポチポチやりながら、
あ、こういうことが見えるんだ。
じゃあこういう研究成果出そうだね、みたいなところができるってことなんですよ。
なので、これは結構いい。
なんだ、僕ちっちゃい頃とか、研究の世界ってデータのひとくせいが全てみたいな。
もうこのデータ誰かに見られたら終わるみたいな。
それでコナンとか近大地とか、なんか分かんないけど、
ドラマとかで殺人事件が起きるみたいなね。
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そういうのになるようなもんだと思ってたので、
なんか業界のこれ不思議だなと思って、
これぜひみんなに紹介したいなと思って今回こんな話をしてました。
実はこのデータを蓄積するっていうところもそうだし、
解析用のツールっていうところの一部開発も僕NASAでやっていたりして、
なんかこう世界中の偉い研究者の人たちが、
僕がちょこちょこってこう、
僕が全部作ったっていうよりも全然僕がただ部分的に直しただけなので、
そんな偉そうな顔は全くできないんですけど、
この僕がちょっと手を加えてチクチクやったやつが、
世界中の偉い人たちが使ってるんだって思うと、
なんかすげえ重圧に襲われながら、
けどなんかこうやったほうがいいんじゃないですか、
みたいなのをちょっと報告しながらみたいなのやって、
一番初めて仕事っぽく動いた、
そんな研究だったのかなって思った思い出もちょっと思い出しましたね。
そんな感じで、なかなか普通に研究をやってる人にとっては常識だけど、
宇宙分野に覗いたことがない人にとっては結構新鮮な話なのかなと思って、
今回いろいろ紹介させていただきました。
このあたりですね、実は研究の紹介をしながら論文読んでる中でですね、
こういう観測データなんだとかって見るんですけど、
結構そこの差って別に伝えても面白みもないし、
例えば昨日のエピソードで話したイイロシータのに関しては、
結構新しめの人工衛星だけど、
ようやくパブリックになったやつを運営チームに入ってる人でもなくて、
観測提案を出したわけでもなくて、
パブリックになったデータを引っ張ってきたっていう研究だったりするので、
そういったところでちょっと思いついたエピソードでした。
そんな感じでね、宇宙の業界っていうのは国境もなく差別もなく、
なんかいい研究のサイクルができてるんだなと個人的には感じているので、
そのあたりちょっと感じていただきながら、
平和な世界からお届けされる研究、
これからもいろいろ紹介していきたいと思っております。
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