天文学者の思考プロセス
難しく珍しい現象を捉えるために、天文学者はどういうふうに考えて計画を立てているのか。
国が運用している人工衛星だったり望遠鏡というのは、研究者たちの争い、競争の上で審査されて、その観測時間を得ることができています。
その観測時間を取るために、研究者は提案書を書くんですが、その提案書を書く時のポイントだったり何を考えているのか、
このあたりを深掘りしていくと、宇宙話的な宇宙の深掘りの面白さが出てくると思うので、今日はそのあたりをお話ししていきたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
改めまして始まりました笹木亮の宇宙話。
このチャンネルでは1日10分宇宙時間をテーマに、天文学で博士号を取得した専門家の亮が、毎日最新の宇宙トピックをお届けしております。
今日のエピソードが1846話目ですね。
基本的には1話完結でお話ししているので、気になるトピック気になるタイトルからぜひぜひ聞いてみてください。
どこから聞こうかなーっていうふうに思ってくれてるんであれば、毎週日曜日は日曜特集っていうものをやってます。
日曜日に1週間のポッドキャストの内容を振り返っていくっていう回ですね。
なのでそこから聞いてもらえると、まるっと聞いた上で、じゃあ今週のこれ聞き直してみようかなとかができると思います。
ぜひぜひ昨日のエピソードを聞いてみてください。よろしくお願いします。
そんな感じで今日は2025年の11月の3日となっております。月曜日祝日ですね。
月がどんどんどんどん大きくなっていって、次の満月が実はあさってなんですよね。
あさって11月の5日が満月になってます。
なので日々月が大きくなっていく姿が見れていて、なおかつもう満月目前というところになってるんで、
なんか月の動きとかを気にしながらちょっと夜外歩いてみると面白いかもしれないですね。
でもなんか月がめっちゃ明るいのに空気が澄んできているから天体がよく見えるっていう、
なんかやっぱ冬っぽい感じになってきてるなーっていうのは昨日も話したけど改めて思うので、
そういったなんか対比みたいなのをね楽しんでくれたら面白いかもしれないですね。
そんな感じでじゃあ早速本題に行きましょうか。
今回お話しするのは天文学者の頭の中、研究者は一体どうやって珍しく、
そして面白い現象を宇宙から発見しているのか、そんなお話をしていきたいと思います。
今日のエピソードは2日前、2個前ですね、1844話を聞いた上で聞いてもらえるとより楽しんでもらえるかなと思います。
その回でどんな話したか、本当にざっくり言うと太陽みたいに自ら輝く光勢、
まあ太陽も含めですけど表面で爆発現象、太陽フレアと呼ばれるようなものって引き起こしてるんですよね。
でこのフレア、若い星、本当生まれて1億年2億年とか、そういう星っていうのは頻度高くエネルギーの大きいものを起こしている。
でその頃周りにある惑星とかにそのフレアから何か影響が与えられて、惑星の環境とか大きく変わっていったんじゃないか、
なんていうようなところも指摘されていたりするんですね。
でそんな研究の中で面白い研究結果が出てきたよっていうのが今回新しく報告されたっていう研究を、
2日前のエピソード、2個前のエピソードで紹介させていただいてました。
でこれ何が面白いポイントだったかとか、これまでと大きく違うポイントは何だったのかっていうところですね。
一つ面白いポイントとしては、地上にある望遠鏡、これ京都大学が持っている日本の岡山にある生命望遠鏡、
そして兵庫県にある西ハリマ天文台にあるナユタ望遠鏡、
で韓国の、韓国にある、これは何て読むんですかね、不見山光学天文台かな、のボアオっていう望遠鏡があるんですね。
この望遠鏡と、さらにアメリカのNASAが運用している宇宙にあるハップル宇宙望遠鏡、この4つを合わせて同じ星からの爆発現象であるフレアを捉えることに成功したというような、そういう研究なんですよ。
でこれ、いろんな装置使ってるけど、これをまず、同じ装置を使うっていうところの難しさで言うと、それぞれの天文台とか望遠鏡っていうのは、自分たちの成果を最大限発揮しなきゃいけないっていう使命を与えられてるわけですね。
なぜなら、国の研究費とかで作って、科学の成果を最大化させるためにこういう望遠鏡が必要だっていうふうに作られているわけで、なのでなるべくその施設も研究成果を出していかないと運用費とかを積み上げていけないっていう、そういう課題があるんですよ。
だから望遠鏡の施設の人たちっていうのは、好き勝手に使いたいって言って言われたら使わせてあげる、なんていうことはしないで、コンペティションみたいな形で募集を募って、
それで、なんか現実的な研究成果を残してくれそうな提案を通してあげる。これは勝負の観測だなみたいな。
つまり望遠鏡として一番嬉しいのは、短い時間だけ使わせてあげて、めちゃめちゃでかいインパクトのある研究を出してくれるのが一番いいんですよね。
で、それを例えば100件やったら、もう100個成果出て、もうバンバン罪みたいな。
けど、なかなかそんな研究もないと。
で、例えばすごい珍しい現象、10日に1回、20日に1回とかしか起こらないようなものとか、そういった現象を見つけたいときに、じゃあ20日間貸してあげるよみたいなのって、
例えば、5日で出る成果を持っている提案書と比べてどっちがいいんだろうみたいな、そういう天秤のかけられ方とかをするわけですよ。
なので、程よい観測時間で程よい成果が出るっていうところに、
をいい感じに提案するっていうのが研究者たちがやってる仕事の大げさに言わなくても半分ぐらい。
天文学者はそういうマシンタイムって言われる機械を使う時間っていうのを取るために、そしてそれをやるための研究費を取るための申請書みたいなものっていうのを常に作り続けている。
そういう仕事でもあるわけですね。
共同観測の意義
で、観測して面白い研究結果が出たらバーッとまとめるというようなそんな感じ。
で、人気の望遠鏡であればあるほど倍率は高くなる。倍率が高くなると、より堅実に成果を出してくれるものとかに勝たなきゃいけない。
けど、なんか並みの研究成果が出るようなものでは、自分のキャリアもそうだし採択されるような審査中もあんま面白くないなって言って除外されちゃうとか。
っていうなんとも難しいところがあるわけですね。
で、今回その2日前の、2個前のエピソードで紹介した話は、
多分、まずどっかの望遠鏡の、多分ですけど、京都大学の岡山天文台のマシンタイムを一定確保できているみたいな状態があった上で、
この望遠鏡と一緒にあなたたち動かして、このフレアと呼ばれる現象を見つけたら、こういうことがわかるから、
で、それってあなたたちだけでもできないし、僕たちだけでもできない。
だから一緒に観測しようよ、みたいな提案があったんじゃないかなと予測してますね。
で、それが例えば、今回若い星に注目してる。
で、これ若い星でこういう細かい爆発現象を見れたっていうのがすごいっていうよりも、
この研究を成功させるために若い星が最適だったっていう見方もできるんですよ。
どういうことかっていうと、若い星、生まれて数億年とかの星っていうのは、
太陽とかよりもバンバン爆発を起こすし、しかも大きいのをめっちゃ起こすんですよ。
で、それの確率をいい感じに平均的なペースとかで割ると、
多分何日間かがっつり観測すれば、爆発絶対見れます、みたいな。
そういう提案になってたと思うんですね。
で、こうハップルを使ってしかできない。
なんなら、僕たちは地上のこういうすごい望遠鏡を使えるタイミングだよ。
ハップルさんも一緒に見たら同じ成果出るんじゃない?
で、爆発は予測はできないけど、確率的にはもうこの期間で絶対に起きるから、
僕らにかけてみませんか?っていうような提案の仕方をして多分通ったと。
だから順番としては、観測したら若い星から面白い現象が見つかったんじゃなくて、
今回みたいな研究結果を残すためには若い星が最適で、なぜなら爆発を頻繁に大きく起こすから。
で、そのために必要な装置を見つくろって、足元を固めていって、
君も乗らなきゃ損だよっていうふうに提案していったんじゃないかなというようなところですね。
それによって、若い星から周囲の惑星に影響を与えるかもしれない爆発の成分というのを見つけることに成功したという流れになってるんで、
実はみんなが知っている研究の流れと研究の提案の仕方はちょっと順番が違うんじゃないのっていうそんなところですね。
新しい目線として持っておいてもらえたらすごい面白いかなと思うんで、ぜひぜひチェックしてみてください。よろしくお願いいたします。
そんな感じで今日はちょっと元研究者っぽいそんな角度で話してみました。
ぜひぜひ今の話を聞いた上で2コ前のエピソードとかも聞いてみてください。よろしくお願いします。
じゃあ以上ですね。はいいかがでしたでしょうかね。
なかなか喋ってて面白い内容でした。
ということで明日は予告もしてたんですけど、ラピュタって呼ばれる名前あれジブリみたいなそんな天文プロジェクトのお話をしていきたいと思います。
今日の研究の話にも実はつながってくるちょっと面白い内容になってるんで楽しみにしておいてください。
今回の話も面白いなと思ったらお手元のポッドキャスターアプリでフォローボタンの近くにある星マーク、こちらでレビューいただけたら嬉しいです。
番組の感想や宇宙に関する質問については、Xのハッシュタグ宇宙話でコメントぜひぜひお寄せください。
Spotifyのコメント欄だったりApple Podcastのレビューでもお待ちしております。
それではまた明日お会いしましょう。さよなら。
