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こんばんは、北詰至です。
このポッドキャストは、毎週一つの短歌を取り上げて、短歌のセカイの楽しみ方をお話ししています。
毎週金曜、夜8時に配信しています。
今回は、一目見てドキッと怖くなる短歌をご紹介します。
短歌に読み込まれた快速電車とは、一体何を意味しているのでしょうか。
一緒に短歌のセカイを歩きながら考えてみましょう。
短歌がもっと楽しくなる15分です。
3番線、快速電車が通過します。
理解できない人は下がって。
3番線、快速電車が通過します。
理解できない人は下がって。
今回は中澤圭さんの3番線快速電車が通過します。
理解できない人は下がって。
という短歌をご紹介します。
この短歌は中澤圭さんの歌0001テキストという歌集に収録されています。
この歌集のタイトルが不思議なタイトルですよね。
パソコンのファイル名みたいな感じなんですね。
アルファベットでUTA歌、数字で0001.テキスト
後ろにファイル形式を表す拡張紙がついてるんですよね。
それがまず目を引きますね、この歌集で。
歌0001.テキストの0001っていうのが単純にナンバリングしてるっていうすごく無機質なタイトルなんですけど
ナンバリングの時って結構迷いませんか?
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お仕事をされている方は経験あると思うんですけど
仕事だとよくファイル名にナンバリングを振ったりすることってありますよね。
その時にナンバリングを始めるにあたって何桁にしようってちょっと迷ったりしませんか?
例えば2桁で0102とかってファイルにナンバーを振っていって
99までできるのか、2桁だと。
そういう番号体系にしてたんだけど意外と足りなくなっちゃって
001って3桁くらいにしておけばよかったなとかってそういうことってあると思うんですよね。
でも3桁も作らないのに3桁用意しておくとそれはそれで見栄えがパッと見た時に数字が分かりづらくなっちゃうんで
ナンバリングの仕方って結構仕事の上では重要で難しいところだなって思ってるんですけど
なんかこの0001って4桁にしたのがね、私はすごく気になっていて
どれだけたくさんの歌集を作ろうとしてたのかなって思いました。
だって4桁だと9999番までいけるわけでしょ?
だからそんなに精力的に歌を作ろうとしてたのかなとかね、そういうことを考えました。
中澤圭さんは実はご病気で若くして亡くなっていて
この歌集がどのタイミングで出たのかはわからないんですけど
もしかしたらそういうので自分がどこまでいけるかっていうので
4桁のナンバリングをしたのかなとかちょっと思ったりもしました。
というわけで今回はそんな中澤圭さんの歌0001.テキストという歌集の中から
代表作とも言われている単歌ですね
三番線快速電車が通過します。理解できない人は下がって。という単歌をご紹介します。
これね、なんかあの私初めて見た時ドキッとしました。
ちょっと死を連想させるような感じがしたんですよね。
それは三番線にやってくる快速電車っていうフレーズとか
理解できない人は下がってっていうところから連想したんだと思うんですけど
なんかちょっと飛び込んで死んでしまうんじゃないかみたいな
この単歌の世界の主人公の危うさみたいなものを感じたんですね。
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すごくパッと一目見て危機感を煽られる歌だし
ちょっとこう死を連想させるような怖い単歌だなっていう風に思いました。
これもしかしたら鉄道好きの人はまた違った感想を持つんですかね。
私も鉄道好きですけど、なんか三番線の快速電車とかっていうフレーズを聞いて
自分のお気に入りのどこどこ駅の何線のところだなとかって連想したりとか
そういう楽しみ方もあったりするんですかね。
なんかそういうちょっとドキッとする単歌です。
これね、ただ漠然とドキッとするっていうだけではなくて
いろんな読み方ができるなーって思ってます。
それは三番線っていう、なんで一番線でも二番線でもなく三番線なのかっていうところもあると思うし
三番線まであるんだったらそこそこ大きな駅、そんなめちゃくちゃ田舎のちっちゃな駅じゃないかなとかね。
だけど快速電車が通過するような各駅しか止まらない駅なわけじゃないですか。
だからなんかどういう街なのかなーっていう想像もできますよね。
そんなに都会じゃないんだけどめちゃくちゃ地方っていうわけでもなくて
なんかベッドタウンの快速が止まらない駅とかなのかなーっていう想像できますよね。
この三番線と快速電車が通過するっていうだけで。
そこが結構すごいなーって思って、田舎って31文字しかないので
いかに一つの単語でどれだけその背景、景色を連想させるかっていうのは大事だと思うんですね。
三番線、一番線でも二番線でもなく三番線っていうだけで
そういう駅の規模がなんとなく想像できたりとか
快速電車が通過っていうたったこれだけの短い言葉で
その街がどんな街なのか、この主人公はどんな地域に住んでるのか
っていうそんなところまで連想させるこの言葉のチョイスは本当にすごいなと思います。
私はね今、田舎を自分で作ってて、そこがもう課題ですね。
難しいですよね。言葉を選べてね。
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自分が思っていることと他人が解釈する言葉の読み取り方も違ったりするので
いかにこういろんな人に似たような想像をさせる言葉をチョイスできるか
みたいなところのセンスが、田舎は難しいところであり、面白いところかなって思ってます。
そんな感じの駅でですね
快速電車が通過するのでお下がりくださいっていうような
ホームのアナウンスが流れるわけですよね。
ただそのアナウンスがちょっと違っていて
快速電車が通過します。
理解できない人は下がって。
これ、理解できない人って何なんでしょうね。
普通だったら、理解できてるできてないに関わらず
皆さんお下がりくださいですよね。危険ですのでお下がりください。
誰に対しても全員に対して下がってねって呼びかけるわけじゃないですか。
それが理解できない人は下がってっていう
下がってほしい人を限定してるんですよね。
これが何なのかなっていうのが
あれこの単価なんか変だぞって思わせてるきっかけになっていると思います。
というわけでここからは私が想像したこの単価の世界について
詳しく語っていきたいと思います。
まず快速電車なんですけど
これはきっと何かのメタファーなのかなっていう風に思っています。
普通のね、本当のリアルの快速電車がゴーって通過していく時のイメージから
何かの障害とか苦難とかあとは恐怖
あとは力ですよね、権力とか
そういったものすごく大きくて立ち打ちできないようなもの
っていうのを表しているのかなっていう風に感じました。
下のくの理解できない人は下がってっていうところなんですけど
何を理解できない人、理解する対象って何なんだろうっていうところですよね。
これもね、いろんな捉え方ができるかなって考えてたんですけど
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例えばね、そもそもの快速電車が通過しちゃって
理解できない人は下がるんだけど
理解できている人は下がらなくていいわけじゃないですか。
その理解できている人の方が挑むっていうか下がらずにね
下がらないっていうことは快速電車にぶつかったり引かれちゃったりして
怪我だけじゃ済まないかもしれないですよね。
最悪死んでしまうかもしれないっていう
そういう危ない状況なのに
なんで理解できている人には下がってって言わないのかなって考えた時に
一個はね、その理解できている人は怪我とか死を回避できるっていう風に考えられるかなって思いました。
なんかわかんないですよ。
何かを理解できている人は快速電車が通過しても全く大丈夫。
例えば自分でアナウンスがなくても自分で電車との距離を適正に保つことができるとか普通に考えると
あとは理解できている人はスーパーマンみたいな感じで
ぶつかっても自分が頑丈だから全然大丈夫とかね
空を飛んでひらりとかわすことができるとかそういうことかもしれないですよね。
もう一つ理解できている人がさっきは怪我とかを回避できるっていうパターンをお話しましたけど
もう一つ考えられるのは死んでもいいって思ってるのかなって思いました。
理解できてるからもういいんだぶつかって怪我したって
ぶつかって死んじゃったとしても僕はもういいんだよって思ってる
お下がりくださいって言われない
あなたは理解してるからもう死んでもいいんだから下がらなくてもいいよね
理解してる本人も思ってるしホームで注意喚起をする駅員さんもそう思ってる
っていうのも考えられるかなって思いました。
なんかその2パターンで考えると
その快速電車が通過する時の状況を理解できている人のパターン
2パターンで考えるとその理解する対象もね
ちょっと見えてくるんじゃないかなって思っているんですね
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死を回避できるパターン
自分で電車との距離を測れるとか
あとはスーパーマンみたいに大丈夫回避できるみたいな感じだと
何を理解するかっていうのは何か挑戦することなのかなって思いました。
例えば新しくビジネスをやるとか
自分の夢に向かって挑戦する
例えばミュージシャンになるとかね
なんかそういうのを何となくこうしたら大丈夫だろうとかって
理解できてるから突っ込んでいけるみたいな
そういうことなのかなっていう風に考えたんですね
理解できないまま新しいことにチャレンジしようとすると
新しいことにチャレンジすることね
清水の舞台から降りるつもりでとか
思い切ったことをする時ってそういう言い方しますよね
清水の舞台から降りた時に
あまりにも無謀なことすると死んじゃうわけですよね
あんな高いところ
清水の舞台行ったことありますかね
京都の清水寺
すごい高い山の坂道登っていくんですけど
すっごい高い山の上にあって
ここから落ちたら即死だなっていう感じなんですよ
景色はすごいいいですよ
眺めは綺麗なんですけどね
だからそういう感じで
挑戦するには何かを理解しておく必要がある
それは自分が本当にやりたいのかみたいな
自分の気持ちをきちんと理解しておくっていうことだったり
自分が挑戦しようとする世界のことを理解しておくとか
なんかそういう事前の心構えみたいなもの
っていうのが理解することの対象なのかなって考えたんですね
もう一つは電車が通過してぶつかって死んじゃってもいいんだ
っていうパターンだと
その理解する対象って
仏教でいうと悟りみたいな
なんかそういうことなのかなって思ったんですよね
これはなんかちょっと難しい解釈なんですけど
自分はもう人生のことを悟ったからいいんだ
とかね、この世界のことを悟ったからいいんだ
自分はもうこの世でのお役目を果たしたよ
みたいなことが理解できたっていう風に定義されていて
だから理解できてない人は
まだもっとこの世で頑張ってねっていうことで
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下がってくださいって言われるけど
理解できた人はあなたはよく頑張って理解しましたね
もう大丈夫だよっていうことで
下がってくださいの対象になってない
っていうね、なんかそんな見方もできるかなって思いました
ね、皆さんはどう感じましたか?
これね、なんかその人によって
どの単価もそうですけどね
人によって全然読み方が違うと思います
この単価を見た時に
ただ怖い、なんかちょっと病理自殺みたい
みたいな感じで終わるんじゃなくて
なんかその、この単価って何だろうっていうのをきっかけに
自分にとっての快速電車って何なのかなとか
自分にとって理解しておくべきことって何なんだろう
っていう考えのきっかけになれるような単価なんじゃないかな
っていうふうに思いました
で、この単価の世界はまだ親切なんですよ
だって3番線快速電車が通過します
理解できない人は下がって
駅員さんが親切にアナウンスしてくれるんですよね
だけど現実の世界ってそんなことばっかりじゃなくて
外国のホームとかってあんまりアナウンスないですよね
日本はまだ親切な方でね
なんかそういう外国の駅のアナウンスみたいに
お下がりくださいみたいな何もなく
もう時間になったらバーって電車が通過していくみたいな
危ないみたいなこともあるわけですよね
現実の世界だと
で、なんかその準備心構えみたいなものを
改めて考えさせられる単価なんですよね
今回のこの中澤圭さんの3番線快速電車が通過します
理解できない人は下がってっていう単価はね
っていう風に思いました
きっと今これを聞いてる皆さんは
自分にとっての快速電車ってなんだろう
自分にとって理解したいことをしておいた方がいいことって
何なんだろうって考えてると思います
そうやって考えておくことが
後々本当に3番線に快速電車がやってきた時に
きっと役に立つんじゃないかな
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中澤圭さんの3番線快速電車が通過します
理解できない人は下がってをご紹介しました
単価の世界の歩き方は毎週金曜夜8時に配信しています
また来週金曜夜にお会いしましょう
それではおやすみなさい