へー、じゃあこっちからは何もしなくていいんですね?
そうですね。そして、のせめる時期、つまり納期は原則として、4月、7月、12月、2月の年4期に分けられています。
4、7、12、2月ですね。ってことは、自分から申告に行くのではなくて、市町村から納税通知書っていう請求書が自動で送られてくるわけですね。
ええ、その通りです。
なんかそれって今風に言うと、サブスクの自動請求みたいですね。でもなんで自分で申告させない仕組みなんでしょうか?
それは単純な理由でして、不動産の価値を正確に評価するのって一般の市民には難しすぎるからなんですよ。
ああ、まあ確かに。自分の家の価値が今いくらだなんて正確にはわからないですもんね。
そうなんですよ。土地の形とか、接している道路の幅とか、建物の経年劣化具合とか、もう計算が複雑極みないんです。
なるほど。だから専門知識を持った市町村側が評価して、計算してお膳立てしてくれるんですね。
はい、そういうことです。ちなみに法律上は、条例で特別の事情がある場合には、この4月、7月、12月という納期を変更することも可能だと定められています。
あ、変更もできるんですね。専門家がお膳立てしてくれる自動請求型、よくわかりました。
えっとでも、持っているだけで全員に必ず請求が来るわけではないってソースの資料にあったんですが、これはどういうことですか?
はい、そこも重要ですね。サブスクに無料枠があるように、固定資産税にも免税転という基準が設けられているんです。
免税転、つまり税金が免除されるラインってことですよね?
ええ。同一の市町村内で同じ人が所有する固定資産について、土地に係る課税標準額が30万円未満、そして家屋、つまり建物ですね。建物に係る課税標準額が20万円未満の場合は税金は課されません。
ちょっと待ってください。その課税標準額って言葉、いかにも専門用語って感じがするんですけど。
あ、そう聞こえますよね。
例えば、私が田舎の古い空き家を運良く50万円で買ったとしますよね。その場合、購入価格が20万円を超えているからバッチリ税金はかかるってことですか?
あの、そこが実務でも試験でもめちゃくちゃ勘違いされやすいポイントなんですよ。
え、違うんですか?
え、課税標準額というのは、あなたが実際に買った市場での取引価格とは全くの別物なんです。
取引価格とは別物、どういうことでしょう?
課税標準額っていうのは、あくまで市町村が独自のルールに基づいて算定した税金計算のベースになる評価額のことなんです。
独自のルールで、じゃあ市場価格とはズレがあるってことですか?
そうですね。市場価格にはどうしてもここが欲しいみたいな個人の感情とか、一時的な登記ブームの価格が乗っかっちゃいますよね。
ああ、確かにプレミアがついて高くなったりしますもんね。
え、行政はそういう不確定な要素を排除して、建物の素材とか構造、土地の本来の価値をすごく冷静に見極めて評価するんです。
なるほど。じゃあ私が50万で買った空き家も役所がどう見るか次第ってことですか?
その通りです。一般的に土地の評価額は市場価格の7割程度になることが多いですね。
だから50万円で買った古い空き家でも役所が、あ、この建物の価値はもう10万円しかないねって評価すれば、課税標準額は10万円になります。
ということは20万円未満の免税店に引っかかるから税金はゼロになる。
はい、そういうことです。買った値段でもないし、ましてや土地の面積でもないんです。
なるほど。面積じゃないっていうのは大事ですね。
ええ。試験ではよく、一定の面積に満たない土地は免税されるみたいなひっかけ問題が出ますけど、これは完全に罰です。
面積で免除されるわけじゃないんですね。
そうです。銀座の一棟地だったら、たとえ電話ボックスくらいの小さな面積でも評価額は30万円を優に超えますから、しっかり課税されます。
ああ、電話ボックスサイズでも、それは分かりやすいですね。あくまで金額ベースの課税標準額で決まるというロジック、完璧に理解しました。
それは良かったです。では、基礎が分かったところで、次の重要なルールに行きましょうか。
はい、お願いします。冒頭でお話しした、6月に家を売ったのに12月までの税金を丸々払わされるっていう怖い話について深掘りしたいんですけど、この誰が払うのか問題、一体どうなっているんですか?
固定資産税の最大の特徴であり、トラブルの一番の元になるのが、この1月1日ルールなんです。
1月1日ルールですか?
はい。法律上、固定資産税の納税義務者は、原則として、その年の1月1日時点で、固定資産課税台帳に登録されている所有者になります。
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。年の途中の6月に売却して、もうその家の行政サービスなんて一切受けてないわけじゃないですか。
はい、まあそうですね。
なのに、残りの半年分の税金が還付されない、つまり役所から返金されないんですか?
自動車税だから、手放した翌月からの分は月割りで返ってきますよね?
はい、おっしゃる通りです。
これ、役所の丸儲けというか、完全に詐欺システムじゃないですか。
あはは、お気持ちは非常にわかります。直感的にはすごく不公平に感じますよね。
ですよね。
しかし、答えはNOなんです。年の途中で売却しても、役所から税金は一切還付されません。
えー!
そして、役所が新しい所有者である買い主に対して、
じゃあ残りの半年分を直接払ってくださいねって課税することも絶対にありません。
えっと、買い主に請求が行くわけでもないんですか?
なんでそんな理不尽な法律になっているんですか?
これはですね、行政のコストを想像してみてほしいんです。
行政のコストですか?
はい、日本全国で不動産の売買なんて毎日何千件、何万件って行われているわけです。
まあ、他社にすごい数ですよね。
もし役所が売買が行われるたびに、えーっと、Aさんには何日分を返金して、
真にBさんには何日分を請求してっていう日割きゃさんと請求書の再発行をいちいちやっていたらどうなると思いますか?
あー、その計算とか事務手続にかかる人件費とか郵送代だけでせっかく集めた財金が吹き飛んじゃうってことですか?
まさにその通りです。税の徴収コストが跳ね上がってしまうんですよ。
なるほどなー。
ですから行政としては、11月1日午前ゼロの時点で台帳に乗っている人、
とりあえずあなたに1年分の請求書を送りますから、その後のことは知りませんと割り切らざるを得ないんです。
なるほど、実務的な限界があるからなんですね。
でもそれでは1月1日時点の所有者が損をするばかりじゃないですか?
現実の不動産取引ではこれどうやって解決しているんですか?
そこで登場するのが不動産業界の召喚集なんですよ。
召喚集?
ええ、実際の売買契約では引渡日を基準にして、売り主と買い主の間で税金の日割り計算を勝手に行うんです。
ああ、当事者同士で計算するんですね。
そうです。そして買い主が売買代金にその税金分を上乗せする形で、売り主の負担分を生産するのが一般的になっています。
なるほど。当事者同士でお金のやり取りをしてうまくバランスをとっているわけですね。
はい。ただし、ここであなたに絶対に忘れてほしくないポイントがあります。
何でしょう?
それはあくまで民間同士の契約に過ぎないということです。
法律上の納税義務者が都市の途中で買い主に移るわけではありません。
あ、なるほど。じゃあもし買い主がその生産金を払わずにバクれたらどうなるんですか?
そうなったとしても、市町村から見れば、そんなの知ったことか。
1月1日の所有者である売り主が全額払えという事実に変わりはないんです。
うわあ、厳しい。
ええ。試験で問われるのは、常に法律上はどうなっているかですからね。
法律と実務の召喚集は明確に切り離して考えないといけないわけですね。
そういうことです。
では、この1月1日時点の所有者が絶対というルールに例外はないんでしょうか?
実は、ソースの資料に重要な例外が記載されています。
どんな例外ですか?
質権、または100年より長い存続期間の定めのある地条件が設定されている土地の場合です。
うーん、またしても専門用語ですね。
質権は、借金の方として不動産を抑えている状態だとして、地条件というのは何ですか?
地条件というのは、他人の土地に工作物とか建物を建てるために、その土地を使用できる強力な権利のことなんです。
他人の土地を使える権利ですか?
ええ。ちょっと考えてみてください。
100年を超える期間、他人に土地を独占的に使わせる権利を設定しているんですよ。
100年?
ってことは、元の地主は生きている間にその土地を自由に使うことはもうできないですね。
だから受験生は無意識に、割引といえば2分の1だって錯覚しやすいんです。
私も最初そう思っちゃいました。
しかし、固定資産税における200平米以下の小規模住宅用地は、なんと6分の1にまで劇的に減額されるんです。
6分の1ってすごいですよね。例えば、評価額3000万円の土地なら、500万円として税金が計算されるってことですよね。
ええ、とてつもない割引率です。
なんでここまで優遇されるんですか。
これには深い理由がありまして、ジェントリフィケーション、つまり都市の富裕化による住み環境の破壊を防ぐための強力な防波堤なんですよ。
ジェントリフィケーション?
想像してみてください。あなたが代々住んでいる静かな住宅街の隣に、突然巨大な商業施設ができて、周辺の地価が一気に5倍に跳ね上がったとします。
わあ、土地の価値が上がるのは嬉しい反面。ってことは、固定資産税も5倍になるってことですよね。
そうなんですよ。もしこの6分の1の特例がなかったら、普通のサラリーマン家庭はただそこに住んでいるだけなのに、突然跳ね上がった税金を払えなくなってしまいますよね。
確かに。払えなくて、マイホームを手放して追い出されることになっちゃいます。
ええ。この特例はそういった事態を防いで、国民が住む場所を奪われないようにするための極めて重要な保護政策なんです。
なるほど。単なるお得な割引キャンペーンじゃなくて、国民の生活権を守るための条項だったんですね。
そういうことです。
ちなみに、200平米を超えるようなちょっと広大な家はどうなるんですか?全部が6分の1ですか?
いえ、そこは区別されています。200平米を超える部分、つまり一般住宅用地については、課税標準額は3分の1になります。
あ、3分の1になるんですね。
はい。ここもセットで整理してくださいね。200平米までは、生活に必要な最低限の広さとして最大の保護、つまり6分の1を与える。
そしてそれを超える部分は、少しゆとりのある広さとして中程度の保護、つまり3分の1を与える。
なるほど。
このグラデーションが法律の意図なんです。
生活の基盤の中こその6分の1と3分の1。背景を知ると、ただの数字の名列が全く違う景色に見えてきますね。
そう言っていただけると嬉しいです。
では、この住宅用地の特例を踏まえた上で、近年話題のタワーマンションに話を移しましょう。タワーマンにもこの特例って適用されるんですよね?
はい。基本的には適用されます。しかしここに大きな矛盾が生じていたんです。
矛盾ですか?
タワーマンションって同じ広さの部屋でも、例えば1階の部屋と50階のペントハウスでは市場の取引価格が数億円単位で違いますよね。
全然違いますよね。高層階はセレブの象徴というか景色も最高ですし。
しかし従来の固定資産税の計算では、建物全体の評価額を占有面積の割合だけで単純に割り振っていたんです。