第51回の学習を始めましょう。
突然ですが、あなたが親戚から1億円の価値がある豪邸を、
特別にたったの100万円で譲ってもらったとします。
男性1.100万円ですか。それはずいぶんお買い得ですね。
女性2.超お買い得ですよね。
でも、数ヶ月後、あなたのポストには、
数百万円単位の重たい税金の請求書が届くんです。
一体なぜこんな悲劇が起きるのでしょうか。
男性1.ああ、それこそが税法が仕掛ける非常に興味深い仕組みなんですよ。
女性2.本日の私たちの深掘りミッションは、まさにその謎を解き明かすことです。
宅建試験の第4部、「税とその他」から第51回、「地方税」、
特に不動産取得税を完全攻略していきます。
男性1.はい。不動産取得税は、宅建試験において、
毎年受験生を悩ませる非常に重要なテーマですね。
女性2.リスナーのあなたも日々分厚いテキストと格闘して、
無数の数字や条件を暗記しようとしているかもしれません。
でもこの分析では単なる丸暗記はさせません。
男性1.そうですね。全てのルールには、
なぜそうなっているのかという強固な理由がありますから。
女性2.ええ、それを理解すれば、情報型に陥らず、
試験で狙われやすい引っ掛けポイントも確実に抑えることができます。
よし、これを紐解いていきましょう。
男性1.お願いします。
女性2.まずは試験問題の土台となる基本の木を固める必要がありますね。
不動産取得税の課税の仕組みについてです。
誰がどうやって課税するのでしょうか。
男性1.はい。まず大前提として、不動産取得税は市町村ではなく、
都道府県が課税する地方税なんです。
女性2.市町村じゃないんですね。なぜ都道府県なんでしょうか。
男性1.不動産の登記とか、それに伴う大規模なインフラ整備ってありますよね。
それは市町村という小さな枠組みよりも、
広域な都道府県の管轄と深く結びついているからなんです。
女性2.なるほど。スケールが大きいからですね。
では、どうやって税金を集めるんですか。
男性1.徴収方法は、普通徴収という方式をとります。
女性2.普通徴収。
私たちが毎月お給料から転引されている税金とは違う仕組みですか。
男性1.ええ、全く違います。
給与から自動的に引かれる方式は特別徴収と呼ぶんですが、
不動産を買うのって毎月起こる出来事じゃないですよね。
女性2.確かに。一生に1回か2回あるかないかですね。
男性1.そうなんです。だから不動産を取得した後に都道府県から納税通知書、
つまり請求書が送られてきて、自分で金融機関などで納付するんです。
女性2.自分で納めるスタイルなんですね。わかりました。
次は不動産を手に入れたのに税金がかからない例外へと話題を展開しましょう。
女性2.例外があるんですね。どんなケースですか。
男性1.代表的なものが、相続による取得や法人の合併に伴う取得です。
女性2.これらは非課税になるんですね。父親が亡くなって家を引き継ぐのも立派な不動産の取得に思いますけど。
男性1.経済の大きな視点から見てみましょう。本来この税金は、世の中に新しい経済的な動きが生まれたり、
新しい財産を手に入れたりしたときに課されるべきものなんです。
女性2.はい。
男性1.でも、相続や法人の合併というのは、実質的に見れば、形式的な所有権の移転に過ぎないんですよ。
女性2.形式的な移転。つまり家族とか合併した会社という枠組みの中で、
持ち主の名前のラベルが張り替えられただけということですか。
男性1.まさにその通りです。そこに新たな売買取引や、新しい経済的価値の喪失はないんです。だから非課税なんです。
女性2.非常に論理的ですね。実質的な新しい価値が生まれていないから非課税なんですね。
男性1.しかし、ここでも試験委員は受験生の趣向の隙を突いてきます。それが改築に関するルールです。
女性2.ここでリスナーのあなたに、○か×かで答えてください。問題。
家貨を改築したことにより、その家貨の価格が増加した場合、新たな不動産の取得とは見なされないため、不動産取得税は課税されない。間を開ける。
正解は×と言いたいところですが、条件に合わせて今回はこう出題しましょう。問題。
家貨を改築したことにより、その家貨の価格が増加した場合、不動産取得税は課税される。○か×か。間を開ける。正解は○です。なぜなら。
男性1.なぜなら、改築によって価値が増加した場合、その増加した価格部分を税法上は新たな不動産の取得と見ますからですね。
女性2.えっと待ってください。家そのものはもともと自分のものですよね。そこに手を入れただけで新しい不動産を取得したことになっちゃうんですか。
男性1.はい。先ほどの実質的な新しい価値というキーワードを思い出してください。
女性2.あ、なるほど。
男性1.単なる壁紙の貼り替えではなく、建物価値そのものを大きく押し上げるような大規模な改築を行った場合、社会全体から見れば、そこに以前は存在しなかった新しい価値が物理的に生み出されたことになります。
女性2.なるほど。先ほどの相続とは真逆ですね。名前が変わっただけじゃなくて、実際に経済的な価値がドカンと増えた。だからその増えた分の価値に対してはしっかり課税するぞと。
男性1.その通りです。この増加した価値には税金がかかるという部分は品質ポイントなので注意して押さえておきましょう。
女性2.わかりました。さて、新しい価値が生まれればきっちり課税される厳しい面を見ましたけど、少し意地悪な疑問が浮かびました。
男性1.何でしょう。
女性2.もし私が庭にちょっとした物置を建てて、不動産の価値が数万円だけ増えたとしますよね。これに対しても都道府県はいちいち計算してわざわざ請求書を郵送してくるんでしょうか。価値が低ければ見逃してもらえるルールはないんですか。
男性1.ええ、そこは行政も現実的です。価値が低すぎる場合は課税を見送るルールがあります。それを免税店と呼びます。おまけしてもらえるラインですね。
女性2.具体的にはどれくらいですか。
男性1.ここで注意すべきは面積ではなく先ほどの話した課税標準額で判断される点です。土地は10万円未満、家屋を新築などで建築した場合は23万円未満などであれば課税されません。
女性2.10万、23万。不動産の金額としてはかなり小額ですね。
男性1.ええ。数万円の課税標準額に対して税率をかけても集まる税金は数百円とかですよね。それを徴収するために職員が計算して書類を作って郵送するコストを考えると完全に赤字になってしまいます。
女性2.なるほど。税負担を軽くしてあげるという優しい理由だけじゃなくて、手間とコストに見合わないからやらないという効率化の側面もあるんですね。
男性1.そういうことです。さて、この免税店のラインを越えていよいよ課税されると待った場合、次に待っているのが税率のマジックです。
女性2.税率ですね。リスナーのあなた、今テキストを開いて3%と4%という数字を見つめながら本番で絶対に混同しそうななと思っていませんか。大丈夫です。これも背景を知れば一発で覚えられますよ。
男性1.はい。まず、不動産取得税の原則となる標準税率は4%です。財政上の必要があればこれを超えることも可能ですが、重要なのは特例の方です。
女性2.4%が原則だけど特例がある。
男性1.はい。特例として住宅と土地の税率は3%に軽減されています。
女性2.住宅と土地が3%。ここにはどんな国の意図があるんでしょうか。
男性1.人が住むための住宅は生活の基盤となる最も重要なものです。そして土地もあらゆる活動の土台ですよね。この2つは社会にとって不可欠なインフラなので、税負担を軽くして流通しやすくしているんです。
女性2.生活に必須なものは安くする。理屈はわかります。ここからが本当に面白いところなんですが、住宅以外の建物はどうなるんですか。
男性1.店舗などのビジネス用の建物は原則通りの4%のままです。
女性2.お金を稼ぐための道具だから、原則通りしっかり払ってねということですね。じゃあその店舗が建っている土地はどうなるんですか。
男性1.そこが最大の罠です。結論から言うと、店舗が建っている土地であっても税率は3%になります。
女性2.えー、建物の用途に関係なく土地は土地として3%なんですか。
男性1.その通りです。法律上、建物と土地は別々に扱われます。店舗の建物は営利目的だから4%、でも下にある土地は日本の国土という限りあるインフラの一部なので、特例の3%が適用されるんです。
女性2.なるほど。リスナーのあなた、頭の中で不動産を縦にマップ立ちに割ってみてください。上にある店舗の建物は4%、でも下にある土地は3%です。これでもうひっかけ問題も怖くありませんね。