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2024-04-11 06:50

楽譜制作ソフトと作曲の関係、という話

楽譜作成ソフトは今、実質作曲ソフトになっていて、ポピュラー分野でもいっぱい使われてますよという話です。ちなみに細かくは話していませんが、ポピュラー分野ではさらにMIDI演奏データを細かく調整していったりしますし、ボーカロイドなどは「調教」なんていって(すごい語感悪いと思いますが)、人が歌っているのに近いように調整したりします。こうした工程を経て、さらにミックス~マスタリングしてCDプレス前までいったものが完パケです(話の趣旨は、MIDI音源を仮音として入れておくのではなく、リリースにまで使うという意味でした)。

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こんにちは。また深夜のポッドキャストになります。 今日は、当社楽譜の出版社ということで、楽譜を作るのに使っているソフトと作曲の関係についてお話をしてみたいと思います。
当社で使っているソフトは、楽譜作成ソフトの中でもFinaleというものでして、このソフト自体、90年代からあるかなり老舗のソフトです。
最初は確かMacで出ていて、MacもそれもClassic環境の頃だったんですね。
当初はあまりできることも少なかったんですけれども、その後どんどん改良を重ねて、今はほぼ何でもできる、最も自由度が高いということで採用しているソフトなんですが、
こういった老舗のソフトにありがちなことなんですけれども、いろいろと新しい機能を追加するごとに整合性がうまく取れなくなってきて、
いろいろバグが多かったりとか、いろいろ問題があるというのがちょっと悩みどころなんですけれども、
それでも一番ピアノ楽譜とかのような複雑な楽譜を作るのに向いているということで、当社は採用しています。
このソフト、私は90年代に実際に使ったことがあって知ってはいたんですけれども、
今実際に使っているのはどちらかというと、もう一人の代表の人間の方になります。
結構音大生、特に作曲とかやるような人間の間では、こういう入力楽譜作成ソフトというのを結構買っている人は多くて、
代表的なところ(ソフト)ですと、Siberiusだとか、今ですと無料のものでMuse Scoreというのが出ていまして、これらのものを使っている人はとても多いです。
単に楽譜を作るだけなら、手描きでもいいじゃないかと思われるかもしれませんが、
例えば作曲家にとってみたら、自分の曲を弾いてもらいたいよというときにパート譜を作らなければいけないんですね。
これがかつてはすごく大変な作業だったんです。
作曲家が作曲するときには、いろんな楽器が入るときはスコアというものを作るんですけれども、
基本的にスコアを全部見るのは指揮者だけなんですね。
他のパートは、それぞれパート譜というのがないとちょっと演奏しづらいということがあります。
基本的にピアノがソロで弾くような場合でない限りは、みなさん楽譜を見て演奏することがほとんどです。
しかも楽器によっては、吹奏楽とかやっている方はよくご存知だと思うんですけれど、
移調楽器というのがありまして、普通にドレミファソラシドのつもりで鳴らしているのがシbドレミbファソラシbみたいな感じで、キーがちょっと違ったりとかっていうのがあるんですね。
こういう楽譜をその楽器に合わせて読みやすいようにするパート譜を作る必要があったりします。
こういうときに楽作成ソフトがかなり役に立つということで、作曲家の方は結構これを使っています。
そういう事情は90年代も変わらずあったんですけれども、だいたい2000年以降ですかね、ぐらいからまたちょっと事情が変わってきました。
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何が変わってきたかというと、ソフト音源というのが出てきたんですね。
ソフトウェアシンセサイザーとかも呼ばれたりしますけれども、パソコン上で、いわゆるMIDI音源ですね。
MIDI音源の質がとても上がって、クラシック楽器などもサンプリングといって実際の音を録って、MIDIの情報で音を鳴らすことができるということになりまして、
昔の作曲家は、例えばフルオーケストラの曲とかを書くとき、この音はこんな感じになるだろうなというのを頭で予想しながら書いていたわけですけれども、
それが実際どうなるか、どういう風に響くかというのは結構、経験を積まないとうまく書けない、想像できないということがあったわけですね。
それを今解決する手段として、楽譜を書いたやつをそのままMIDI音源に割り当てることができるようになっていまして、
どのソフトウェアもですね。それで鳴らしてみて、いろいろ作曲を試してみるということが今結構頻繁に行われています。
実際、作曲コンクールなどでも楽譜だけでなく、こういったMIDI音源、あるいは実演した音源をつけてくれみたいなのが要求されることが多いみたいです。
ただ、こういうのにもちょっと批判がありまして、MIDI音源、質が上がったと言ってもやっぱり生楽器とはちょっと違うんですよね。
生楽器と何が違うかといえば、一番はある音が鳴っているとき、他の音も共鳴しているということが一番違うところですね。
例えば、チェロやコントラバスが弾いているときに、他の音は全く音が鳴っていないかというと、何らかしらの共鳴が起こっている。
一緒に演奏したりすると、倍音と呼ばれる、実際に鳴っている音以外にも他の音を演奏しているときに鳴っているんですけれども、
それが強調されて聞こえるとか、そういった響きがやっぱりちょっと違うということで、こういう作曲ソフトのMIDI機能を使って音源を作るということに対して批判的な人も結構います。
知り合いの音楽評論家などは、こういう作曲賞などがMIDI音源審査するというのは、審査員がちゃんとスコアを読む能力がないというような結構厳しいことを言ったりする人もいます。
ただ、そういった弊害はクラシックの方ではあるとは思うんですけれども、逆にポピュラーの方とかでは、
そういった自分が演奏できない楽器をMIDI音源で鳴らすというのはもう結構当たり前に行われていまして、いわゆる打ち込みですよね。
手でソフトウェア音源を鳴らして演奏してそれを収録するという人もいることはいるんですけれども、やっぱりMIDIデータ、楽譜から起こせるというのがいいというふうに考えている人もいるんですよね。
特に収録にかなり手間がかかる生のドラムだとか生のピアノだとかは、音源で代用してしまうという現場も結構多いみたいですし、
あるいはストリングスを用意できない場合、これをまたMIDI音源で代用するということも結構ある話です。
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こうしたものをいわゆるボーカロイドプロデューサーとかの方々は使って音源制作をしたりとか、
もうデモだけではなくそのまま完品まで、完パケって言うんですけれども、完成まで作ってしまうというケースも結構あるみたいです。
というわけで、最近では楽譜制作ソフトというのは、もう実質はMIDI入力ソフト、あるいはパート譜作成ソフトみたいな感じになってはいるんですが、
当社は出している楽譜がピアノ譜が多いということで、一番自由度が利くということで、ちょっと使いにくいと言われることも多いFinaleを使っていますという話でした。
ちょっと今日は専門的な話になってしまいましたが、これぐらいにしておきます。
それでは。
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