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皆さんは「ムーアの法則」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?ムーアの法則は「集積回路」のトランジスタ数が2年毎に2倍になるというものです.集積回路は今の言葉で言えば「チップ」つまりコンピュータの頭脳ですね.頭脳を構成する細胞がトランジスタというわけで,コンピュータの場合頭脳が2年ごとに2倍の大きさになっていくということです.

ムーアの法則の対象は人間が作り出すテクノロジーですから,いつも絶対に正しいというわけではありません.そもそも我々は「法則」という言葉を何にでも使いがちなのですが,それがどのぐらい普遍性を持つかという点には気をつけなければなりません.

しかし,ムーアの法則に使われる数学に厳密に従っている物理現象があります.そして,それこそが,考古学者の最も強力な武器でもあるのです.

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市ですおはようございますこのポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースでた
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改めまして市ですこのエピソードは2022年4月22日に収録しています このエピソードではバックナンバーの第20号から
考古学とムーアの法則の以外な関係をお届けしていきます
皆さんはムーアの法則という言葉を聞かれたことがあるでしょうか ムーアの法則は半導体の集積回路のトランジスタ数が2年毎に2倍になるというものです
集積回路は今の言葉で言えばチップ つまりコンピューターの頭脳ですね
頭脳を構成する細胞がトランジスターというわけでコンピューターの場合 頭脳が2年ごとに2倍の大きさになっていくということです
トランジスタ数が2年で2倍ですから1年で1倍でしょうか いいえ1年でおよそ1.4倍になります
そうすると2年では1.4倍の1.4倍でおよそ2倍となります ぜひね電卓でお試しください
ムーアの法則はしばしば x 年で y 倍の x と y が違った形例えば1.5年で2倍のような形が使われることもあります
提唱者のゴードンムーアも1965年には1年で2倍とを唱えていました
マイクロソフト創業者のビルゲー2は本の中で1.5年で2倍説を引用していました
まあ x と y が異なっても本質的には同じことなので細かいことは気にしないことにしましょう
コンピューターのチップに関してはムーアの法則はどうやら正しいようです と言ってもムーアの法則の対象は人間が作り出すテクノロジーですから
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いつも絶対に正しいというわけではありません そもそも我々は法則という言葉を何にでも使いがちではあるのですが
それがどのぐらい普遍性を持つかという点については気をつけなければなりません
例えば万有引力の法則はおそらく宇宙全体で成り立っています しかし経済学で言われる一物一化の法則すなわち
同じ市場同じ時点同じ商品ならば同じ価格であるという法則は成立していないことも あります
しかしムーアの法則に使われる数学に厳密に従っている物理現象があります そしてそれこそが考古学者の最も強力な武器でもあるんです
地球上にはカーボン14または略してC14という物質があります 何のことでしょう
C14は炭素の一種です 炭素にはいくつも種類があり石炭もダイヤモンドも炭素なのですがここで言いたいのは
C14が炭素の同位体アイソトープであるということです 同位体とは科学的性質が全く同じなのに重さが違うものです
C14に対して地球上に最もありふれた普通の炭素のことをC12と呼びます 名称がややこしいのですが石炭とダイヤモンドはお互い
同素体と呼びます 同素体英語ではアロトロープと呼びます
今お話ししたいのはC14とC12の関係これアイソトープ同位体ですね 日本語だと発音が一つ違うだけですね
このC14なのですが放射線を出す能力を持っています つまり放射性物質放射性同位体ラジオアイソトープなんですね
原子は大変小さく軽いので重さを測るのにグラムではなくダルトンという単位を使います
大雑把に言うとC12は12ダルトンの重さを持っており C14は14ダルトンの重さを持っています
C14の発見は意外と新しく1940年にアメリカの科学者マーティン・ケイメンと同じくアメリカの科学者で同僚のサム・ルーベンによって発見されました
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発見からまだ100年と経っていないということになりますね C14はおよそ5730年でその半分が放射線を放出し
安定した窒素へと変化します 放射するのはβ線つまりは電子なので通常の環境であれば被曝の心配は必要ありません
この5730年で半分になるという性質 何かと似ていませんか
そうなんですムーアの法則の x 年でy 倍の x を5730
y を1/2にすれば5730年で1/2倍ですからムーアの法則の発生と見ることができますね
実際にはムーアの法則の方が後出しで正しくは指数関数的増加の法則 あるいは指数関数的減衰の法則と呼ぶべきなのですが
まあこのエピソードの中ではムーア博士への敬意も込めてムーアの法則で通したいと思います
メールでお送りしているニュースレターのバックナンバー こちらは web でも読んでいただけるんですがこちらの方ではムーアの法則を図で示しています
そうですねネズミ算を考えていただいてもいいかと思います 1日経ったら2倍2日経ったら4倍3日経ったら8倍4日経ったら16倍という風に倍々に増えていくような
グラフを想像してみてください 急激に上昇していきますよね
逆に半分ずつ減っていく方も考えてみてください1日経ったら2分の1 2日経ったら4分の1
3日経ったら8分の1 4日経ったら16分の1 こちらはですね最初急激に減っていくんですけれども最後なかなかしぶとくて
決してゼロにはならないんですけれども徐々に徐々にこの減り方が減っていくという ねグラフを想像していただければと思います
そしてこの c 14の個数もまたこの減衰する方のムーアの法則に従っています
では地球上の c 14はこういうふうに減衰していくのか減っていくのかというとそう ではないんです
c 14は地球の大気内では壊れるのと同じ速度で生み出されています これは大気中の窒素が太陽からの宇宙船
コズミック例によって c 14に変換させられるためだと考えられています 大気中の c 14は年間7.5kg程度が生成されていると推定されています
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だいたい同じ量が我々のムーアの法則に従って減少していっているので すり合いが取れているわけですね
そして大気を呼吸している動物植物は体内に c 14を取り込んでいます それゆえ体内の c 12と c 14の比率は大気中の比率と同程度になっていることも想定できます
大気中の c 12と c 14の比率は 1兆体1程度です
こんなに薄まっていては見つけられそうにありませんが c 12が放射性を持たないのに対し c 14は放射性を持ちますから
放射線を測れば比率がわかるんです 放射線を測るガイガーミュラー係数管
通称ガイガーカウンターは c 14が放出するβ線を測ることができますから c 14の個数を求めるのに使えます
動植物が活動停止するとつまりは死ぬと大気から c 14を取り込まなくなります 活動停止後は新たな c 14の供給がなくなりますから
c 14を減る一方になります そして c 14の減る速度がわかれば
生態に残された c 12と c 14の比率から いつ活動停止したのかがわかるのです
活動停止した時期というのは人間や動物なら生きていた年代 木なら伐採された年代
穀物や果物なら摘み取られた年代ということになります もうお気づきですね
c 14が減る速度は我々のムーアンの法則に従っていました それは一定の速度ではないのですが数学的にははっきりしたカーブを描きます
考古学的な生態の異物 まあ例えば遺跡から出てきた木材であるとかミイラとかから炭素を取り出し
炭素のうちの c 14の含有量を調べて 我々のムーアンの法則のカーブに当てはめると
その生態が最後に生きていた年代を推測できるというわけです このような年代測定方法を
放射性炭素年代測定法と呼びます c 14はおよそ6000年で半分に減ってしまうわけですが
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倍の12000年ですべてがなくなるわけではありません 最初の6000年で半分になり次の6000年でさらに半分になるんです
現在の分析装置を使えば c 14を使って約6万年前まで測定可能です
1947年に放射性炭素年代測定法を発見したアメリカの科学者 ヴィラードリビーはその功績によって1960年のノーベル科学賞を受賞しました
なお待機中の c 14の数が一定なのは待機中核実験が行われ始めた 1945年まででした
その後は核実験によって c 14の濃度が上昇したと考えられています 考古学者は紀元前
bc の代わりにしばしば bp という年代表記を使います 考古学者でも bp を before present
つまり現代から何年前という使い方をすることが多いですしまあそれで全く問題は ないんですけれども
bp は正確には before physics つまり物理学以前という意味なんですね
1950年から遡って何年前ということを表しますこれは 1950年まではまあ少なくとも放射性炭素年代測定法で遡れる範囲に限っては
待機中の c 14濃度が一定だっただろうというふうに考えられているわけですね まあ白状すると僕もこの
ニュースレッターの記事を書くまでは bp は before present だと思っていました
オリジナルのムーアの法則は2年ごとに2倍になるという法則でした 日本でも猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症もまたこのムーアの法則と
同じ数学法則が当てはまります 感染症の場合基本再生算数という数字を
基準にその影響を考えます 基本再生算数は r 0とも書きます
r 0はある感染症に対して全く免疫を持たない集団の中で一人の感染者が平均して何人の 二次感染者を生み出すか
つまり再生産するかを示す数値です r 0はウイルスの種類によって異なりますが新型コロナウイルス感染症に関しては
感染拡大初期のデータから2.1から5.1の間と推定されていますこれはまた株によって も異なっていくのでぜひね最新のデータというのはまたネットで検索して調べてみて
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ください r 0は空気感染する感染症では大きく
例えばはしかや100日節では10以上 飛沫感染する感染症では1.1から10の間におおむね収まるようです
エボラ出血熱は r 0が1.3前後と見られています 次に一人の感染者が平均して何日で二次感染者を生み出すかを考慮します
この時間を世代時間と呼びます 新型コロナウイルス感染症では平均4.8日と見積もられています
数字を簡単にするために全く免疫を持たない集団内で感染者が5日ごとに2人の 二次感染者を生み出すとしましょう
5日ごとに2倍になるまさにムーアの法則ですね これがどのぐらいのペースかというと10日で4倍
30日1ヶ月で64倍 1年でつまり365日で
94回4000 軽倍という
天文学的な数字になります 感染症が5日ごとに2倍のペースを維持するなら
一人からスタートしても計算上4.5ヶ月で日本の総人口を上回ることになります これが専門家が感染症に対して非常に神経質に警告を鳴らす理由ですね
実際にはすでに感染が拡大している状況の中での再生産に関心があるわけでそのために 実行再生産数という数値が用いられます
こちらは rt とも書きます rt が1よりも小さければ感染症は収束に向かい
rt が1よりも大きければ感染症は拡大します 感染症への対策はこの rt を1未満にすること以外にありません
さもなければ感染症は再現なく増え続けます ムーアの法則の通りたとえ出足は遅く見えても後から急激に増加するんですね
これが感染症は初動で徹底的に抑え込まないといけない理由にもなっています
ところでゴードンムーア博士はこんな言葉も残しています ムーアの法則はマーフィーの法則に違反している
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すべての物事はどんどん良くなっていくのだ
マーフィーの法則と呼ばれる法則いくつも知られているんですがオリジナルの一番有名な マーフィーの法則はこうです
失敗する可能性のあるものは失敗する マーフィーの法則は法則という名前がついていますがもちろん冗談です
同じ法則という名前がついていても物理法則というのは実験によってあるいは観察によって 宇宙全体で成り立っているであろうことが確かめられている法則です
経済学における法則も経験的に知られている法則という風になります 一方マーフィーの法則は
人生なんてそんなものさと思えば生きるのが楽になるような 自信だと
考えてみてはどうでしょうか 失敗する可能性のあるものは失敗する
例えば 乾電池は逆向きに入れられてしまう可能性があるため誰かが必ず乾電池を逆向きに入れます
そして電池を入れたのに電源が入らないとメーカーにクレームを入れます マーフィーの法則にはたくさんのバリエーションがあり
マーフィーの法則のパロディーもあります 例えば失敗する可能性のないものも失敗するといったものや
マーフィーは楽天家だったといったものまであります 僕のお気に入りは
絶好のチャンスは最悪のタイミングでやってくるというものでよく実感しています
著名な経営学者ピータードラッガーもドラッガーの法則と称して もし何かが失敗するならば他のすべても失敗するし
それらは同時に起こるというふうに主張しています マーフィー版熱力学の法則というものまであります
マーフィーの熱力学第一法則 あなたは勝てない
第二法則あなたは引き分けられない 第三法則あなたは危険もできない
もうなんか人生そのものみたいな気もしてきちゃいますけれども まあマーフィーの法則人生ってそんなものさと思うための指針だと思えば
まあ納得もできなくはないかもしれないですよね 僕はこの熱力学の法則第一から第三の法則
あなたは勝てないあなたは引き分けられないあなたは危険もできないというのを見て じゃあ
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ルールの方を変えたらいいんじゃないかななんてことも考えます 我々が受けてきた学校教育ってルールを守ることじゃないですか
もちろんルールは守るためにあるのであって ルールは守らないと社会秩序というのを保つことはできないわけなんですけれども
ただ無批判にルールを守るんじゃなくてなぜこのルールがあるんだろうあるいはこの ルールは
改良すれば世の中もっと良くなるんじゃないだろうかっていうふうに疑うことも 必要なんだと思いますもちろんルールを改良するということは当然解約しちゃう
こともあるわけでその結果 社会はより悪い方向に望まない方向になることもあることはあるんですよねでもその
挑戦っていうのをあるいはそれを疑うということルールを疑うということを 我々はしていかないと
結局 マーフィー版熱力学の法則に陥ることもあるんじゃないかなと思いました
マーフィーの法則ってまあこれ冗談なんですけれども時々こういう 示唆を与えてくれることもあるんだなぁと思っています
ゴードンムーガーやピータードラッガーのような 著名な人々もマーフィーの法則を楽しんだということは
彼ら彼女らもまた我々と同じ人間なんだなということを思い出させてくれますよね もう一つマーフィーの法則から学ぶべきことがあります
マーフィーの法則が冗談とも言い切れないのは程度の差こそあれ 間違った使われ方をする可能性のあるものは
いずれ間違った使われ方をするということなんですね これは工業デザインの上で非常に重要な考え方で
例えば用事向けの玩具はそれが食べられてしまうことを考慮して 含まれる化学物質の基準が食品衛生法によって決められています
公所作業は転落や転倒などの重大事故が起こりやすいため 労働安全衛生法によってハーネスの着用など厳しい基準が決められています
そう考えると小学校の運動会の組体操も4段程度から公所になるため 労働安全衛生法違反ということになってしまいますね
皆さんの好きなマーフィーの法則もぜひニュースレターの方にお寄せください 今回は考古学とムーアの法則の意外な関係をお届けしました
素敵な一日を過ごしください一でした
24:01
釜石県南部区の瀬戸口駅
釜石市内の屋根には世界一の瀬戸口駅があります
釜石市内の中心地である釜石市内の中心地である
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24:58

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