はじめに:映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」
いちです。おはようございます。今回のエピソードでは、プロジェクト ヘイル・メアリーについてお話をしたいと思います。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースデータ、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームボート乗り組みのご協力でお送りしています。
というわけで、このエピソードは、2026年4月2日に収録しているのですが、
ちょうどですね、映画プロジェクトヘイル・メアリーを見てきたところなので、
このエピソードの中で、少しネタバレ要素が出てくるかもしれません。
まだ見てないよという方は、ぜひ今すぐ劇場を予約して見に行っていただければと思います。
もし、原作をもう読んだよという方がいらっしゃれば、そのまま聴いていただければと思います。
映画と原作、そんなに違いはないので、どちらを先に見ても読んでも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
というわけで、本編始めていきたいと思います。
映画鑑賞の勧めと作品のタイトルについて
改めましてイチです。 映画プロジェクトヘイル・メアリーを見てきました。
まだの方は、本当、ぜひ見るべき映画だと思います。
もしね、まだ予告編を見ていないという方、実はね、めちゃくちゃ幸運なんです。
予告編を見ずに、そのまま劇場へ行くべき作品だと思います。
ヘイル・メアリーというのは、ラテン語のアベ・マリアの英語訳で、
一か八かという意味でも、英語圏では使われています。
日本語で言うと神頼みというようなニュアンスがあるんでしょうね。
というわけで、このエピソードプロジェクトヘイル・メアリー、そしてその同名の原作小説
プロジェクトヘイル・メアリーに関する話題を中心にお届けしていこうかなと思っています。
一部ネタバレになってしまうところがあるので、是非先に映画あるいは原作を読んでいただいて、
原作もちろん日本語訳がありますから、映画あるいは日本語訳の方を読んでいただいて、
それからまたこのエピソードが戻ってきてもらったら、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
登場人物紹介とネタバレ警告
今回のエピソードで取り上げたいのは、登場人物、3名の登場人物ですね。
主人公の科学者グレース、そして技術者ロッキー、
最後に指導者エヴァ、エヴァストラットについてお話をしていきたいなと思っています。
ここからネタバレになっちゃうかもしれないので、まだ見てないよという方、是非ここで再生を止めていただいて、
劇場を予約するか、原作を手に入れるか、電子書籍も原著、日本語訳両方ともありますから、手に入れていただいて、
一旦ここで止めていただいて、また映画なり原作を見ていただいて、戻ってきてもらえたらなと思います。
というわけで、大丈夫ですか。もうここからネタバレあるかもしれませんというか、多分ネタバレします。
めっちゃ熱く語りたいので、喋っちゃうかもしれません。なので、ここからネタバレありということで、よろしくお願いをします。
主人公グレース:記憶喪失と科学者としての探求
最初の話題は、科学者グレース、プロジェクトヘイルメアリーの主人公ですね。
グレースは映画冒頭、そして原作冒頭で真っ白な部屋のベッドで目を覚まします。
目を覚ましたグレース、記憶を失っていて、ここはどこ、私は誰状態なんですね。
原著の方では、自分の名前も思い出せないまま、あれ、図上に見えているあのハッチ、ここから10ヤードぐらいかな、みたいな。
ごめんなさい、間違えました。10ヤードは長すぎますね。10フィートぐらいかな、というふうに思うわけですね。
10フィート、メートル法にすると3.3メートルですかね。原作小説の中では、その記憶を失ったグレースが、あれ、今僕フィートで測ったっていうことは僕アメリカ人っていうふうに自分の中で、自分が何者かっていうのを探るわけですね。
主人公グレース、科学者なんですけれども、その記憶を失った状態とはいえ、すごく頭のいい人物で、フィートを使うということは、アメリカ人なのかイギリス人なのか、カナダ人なのか、みたいなことをね。
自分は何者?って肌の色は白いんだけれども、髭とか髪の毛は金髪まではいかなくてもちょっと明るい色で、そういうところから自分は何者かっていうのを探るシーンがあるんですが、
その冒頭でこのヤードポンド法を使っているというところが出てくるんですね。これひょっとしたら、原作者アンディ・ウィアの自虐ギャグ、アメリカ人の自虐ギャグなのかもしれません。
そしてその後を繰り返されていくのが少しずつ戻ってくる記憶のほかに、彼自身が観測、仮説、実験というループを繰り返すんです。
例えば、自分がいるのはどこだろう。そうだ、重力加速度を測ろうと言って、重力加速度を測るんですね。重力加速度、何でかというと物が落ちる速さですね。速さというか加速度なんですが、これ地球と一緒だということを彼は発見するんですが、実際には、これはネタバレですが、宇宙船の中にいるということをね、
気づくわけなんですけれども、そういうふうに、自分がセンシングできるものすべてを動員して自分の置かれている状況を探るということを観測して仮説を立てて実験をするというところ、そこら辺が科学のおさほでもあるんですよね。
彼は根っからの科学者でサイエンティストで、それが劇中にも描かれているということなんです。この観測・仮説・実験というループ、例えば歴史的にも天文学では天体の運行、木星の運行、火星の運行、金星の運行というのが観測され、
そして大天才ニュートンによって、これひょっとして惑星と太陽って引っ張り合っているんじゃないのというところから、すべての物体というものは引き合っているんじゃないかという仮説が立てられ、
そして例えばキャベンディッシュによって物体が引き合っているんじゃないか、物体の動きにくさというものもその物体が引き合う元となる質量に比例するんじゃないかということを確かめる実験が行われたわけですね。
本当に奇跡的な仮説であり、観測そのものはおそらくはティコ・ブライエによる観測というのが決定だったと思いますし、ニュートンによる万有引力の仮説というのも決定でしたし、キャベンディッシュによる実験というのも決定でしたし、
本当に観測、仮説、実験という奇跡の上に現在の宇宙論というのが成り立っているわけなんですけれども、この繰り返しは科学全般変わらないんですね。観測して仮説を立てて実験をして予測をしてという、このループ自体は変わらない。
それがこのプロジェクトヘイルメアリーにも描かれているし、主人公グレースが実施をしているということにもなるんですね。
そのプロジェクトヘイルメアリーの裏テーマなのかなと思うんですが、科学教育という点においても、ここはきっちり再現されているなと思うところなんです。
技術者ロッキー:科学を共通語とした交流
ここからさらにもう一段踏み込んでネタバレなので、特に原作、映画を見ていなくて原作をもう読んでいなくて、これから原作を読むぞという方は、ちょっと一旦ここで止まっておいてほしいんですが、
ここから技術者ロッキーという存在が出てくるんです。そのグレースが物語中盤で出会う技術者ロッキー、登場人物第2の協力なんですね。
ロッキーとグレース、最初は言葉も通じないし、感覚も前提も全く違う存在なんですね。ところがお互いの意図が通じない中で、ミッションを通して思想通、そして心の交流というのが生まれていくんです。
なぜそんなことができたのか、2人は科学を共通語にしたから、原素であるとか、数であるとか、単位であるとか、図面であるとか、そして実験そのものが2人の世界で同じ意味を持つわけですね。
科学というものが最強のリンガフランカ、共通語として使われるわけです。
その科学の言葉を通じて、科学の言葉によって、科学だけではなくて心の交流もしていくというところが、この映画であり原作の醍醐味とも言えるのかなと思います。
これね、僕も全然他人ごとには思えなくて、僕自身、外国人留学生と一緒にね、長崎大学の練習船に乗って海外の国まで一緒に渡航したことがあるんですけれども、
途中で魚を釣ったりとか、ご飯を食べたりとかして行ったわけなんですが、お魚の名前が通じないわけですよ。日本語の中でもお魚の名前って変わるじゃないですか。
タイとハマチどう違うんですか、みたいな話ありますよね。これが英語になると、そもそも英語圏ってイギリスは海洋国家ですが、アメリカはどちらかというと大陸国家なので、アメリカ英語に関して言うと魚の名前に関しては結構大雑把であったりとか、アメリカ英語というのは世界語になってますよね。
世界の中でお魚の名前、英語によるお魚の名前が共通化されているかというと、そんなことはなくて、もちろん地域によって解像度の高い低いがありますから、極端なのですし、やはり大陸国家であるエジプトで、これも実体験なんですが、
お魚が出ると、アレクサンドリアから運んだお魚が出ると、名前を辞書で調べたら、これはスズキだと。スズキなら食べたいぞと思って待ってたらボラが出てきたんですね。
そんなことは全然あるわけですよね。この名称なんだけれども、違うお魚の本体を指しているということが起こり得るので、結局船の上でどうなったかというと、外国人留学生たちと日本人たち、お魚の学名でお魚を指してたんですね。
水産学部の学生さんが多かったからということもあるんですが、これからのシーズンはSアウストララシックス、Sアウストララシックスだよね。何のことだか全然わからないですよね。
ゴマサバのことなんですけれども、そんな話をしていました。サバとゴマサバも違う種なので、そんな話をしていました。
大阪出身の僕から見るとサバとゴマサバの違いも、九州に来るまでわかってなかったんですけれども。
ゴマサバって2種類あって、種としてのサバとゴマサバの違い、マサバとゴマサバの違いと、調理法としてのセサミのゴマと合えるゴマサバとあるので、両方あるんですけれども、
種としてのゴマサバは本当においしいです。ゴマサバをゴマサバにするというのはめちゃくちゃうまいです。そんなことも学名を使っていれば誤解なく話せるということで、科学というのは文明を超えた会話ができるという一例になっていたのかなと思います。
ちょっと話題がそれ過ぎてごめんなさい。そして本作の中で科学者グレースは観測と仮説を立てること、生物化学に近い5側面の読み解きを行って、人類側の知識の生み出しをしていくんですが、
技術者ロッキーは部品を設計して工作して、船とか宇宙船とか環境とかを実際に作ったり直したりするエンジニアリングにすごく長けているんですね。
何が起きているかを言語化し、どう直すかを形にするという分担が一人では届かない解、ソリューションに手を伸ばしていくという、サイエンスとエンジニアリングの美しい協調というものもこの映画の中、そして原作の中で描かれています。
指導者エヴァ・ストラット:映画版の追加要素
そして、このエピソードの最後にご紹介したいのが、原作映画の中に出てくる指導者エヴァストラットという女性なんですが、特に映画の方、これは僕原作中といって、原作と映画の両方あったら原作の方がいいよねとか格好つけて言う人間ではあるんですが、
これに関しては完全に原作を超えています。映画の方が素晴らしいです。原作ではなく映画が描いているエヴァストラットという女性、本当に映画の中で素晴らしいです。
彼女はこのプロジェクトヘイルメアリーの指導者、最重要人物なんですね。彼女は物語の中の設定としては元ヨーロッパ宇宙機関ESAの長官であり、このプロジェクトヘイルメアリーの指導者であり、大学時代は歴史学を専攻したということになっています。
歴史学というのは、今何が起こっていて何を優先すべきかというのを判断するための学問でもあるので、すごく必然的な設定なのかなと思います。
映画の中で、これ原作にはないシーンなんですけれども、映画の中でエヴァストラットが歌うシーンがあるんです。本当に上手いんですよ。めちゃくちゃ上手いんですよ。
だいたい、我々日本人は歌うっていうことが当たり前にできすぎる。僕もスーパー音痴なのでわかるんだけど、日本人で平均的な日本人、大多数の日本人が歌う上手すぎです。世界的に見ると音痴の方が多いです。僕みたいな超絶音痴の方がよっぽど多いです。
なので彼女は単に歌が上手いだけじゃなくて、おそらく何千人に一人のレベルで上手いです。俳優というのはセリフは歌だと言われていて、多少歌は上手くないといけないんですが、その中でも牙だって上手いです。
それがこの作品、映画として成り立たせているというふうに僕は感じたんですね。プロジェクトヘイルメアリーというのは、分野でいうとハードSFというふうに言いまして、ご都合主義があまりないSF、科学的に正しい設定がなされているSFの中で、
このエヴァの歌というのが彼女の人間性というものを伝えてくれるんですが、それが積極作ないんですよね。
このニュースレター、ステムニュースの中に書かせていただいた文言を引用すると、言い訳のない時間の長さで彼女の答制と決断を観客に渡しているんです。彼女の心の内面というものを歌によって伝えているんです。
しかもですね、これはもともと脚本になかったそうなんですね。この空母での撮影シーンで、オフタイムに彼女がのんもん歌っていたらしいと、それを主演の役者さんが聞いて、こんなに歌が上手いんだったら、ぜひ作品に取り込むべきというふうに訴えて、
監督もOKして、映画の中に取り込まれたんですが、言葉にならない願いを音に乗せる歌という意味で大成功しています。本当にこれは原作を越えた瞬間だと思います。原作も本当に素晴らしいんですが、映画の方もとても素晴らしい作品になっていました。
原作中、僕みたいな原作中は映画を推すというのはなかなかないんですけれども、これは本当にいいです。
作品への思いと鑑賞の勧め
いやらしい話をしますと、僕は原作者のアンティ・ヴィアで大ファンで、早く読みたいから、これね、原著英語の方で読んでるんですけれども、翻訳の方も読んでみました。翻訳も素晴らしい。ぜひね、原作の方も読んでいただければなというふうに思いました。
というわけで、プロジェクトヘイル・メアリーについて厚苦しくお話をさせていただきました。僕はですね、2026年3月末、海外出張の予定があったのですが、アメリカ、イスラエルとイランの戦争によって、フライトがキャンセルになったりとかしてですね、出張ができなくなって、
少し時間的余裕が生じたんですね。この前、つい先日、4時間、人と会う予定もなく、締め切りもなくという時間ができたので、これは絵が見に行けるぞということで、時間を調べて、プロジェクトヘイル・メアリーを見に行きました。本当によかったです。
原作読まれた方もぜひ劇場で見ていただければなと思います。どうせそのうち配信にはなるんですが、劇場で見るといいかなと思います。映画ファンの方には昔の映画へのオマージュもふんだんに取り込まれているので、クスクスと笑うシーンもあったりとかして楽しめるんじゃないかなと思います。
というわけで、聞いてくださってありがとうございました。steamfm1でした。