1. ストーリーとしての思想哲学
  2. #127 カタリ派4 十字軍
2025-06-22 06:22

#127 カタリ派4 十字軍

サマリー

カタリ派の台頭とそれに対するカトリックの強硬手段が展開され、最終的に十字軍が発動されます。この過程で、レイモン六世との対立が激化し、カタリ派は無残な結末を迎えることとなります。

カタリ派とカトリックの対立
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回の続きです。
カトリック側は、前回述べたような理由で、最終的にカタリ派を殲滅していくわけなんだけど、最初は、本当に情報するところから入ります。
カトリックの聖職者の職権乱用が、カタリ派の氾濫を刺激しているという見解を受けて、まずは多数の腐敗した士気を定職処分にしたりしました。
この辺、きちんと原因を分析して、分析レポートを書く仕事の職員がいるわけだから、やはり正当派というだけあって、組織としてきちんとしている感があって、そこは偉いなという感じがします。
しかし、それでもカタリ派は収まらなかったから、段階的に強行手段に、ローマ教皇だけに強行手段に出ていくことになります。
カタリ派は、トゥールズ伯・レイモン六世の領地内に囲まれていたので、正当派はレイモン六世を孤立させる工作を行います。
まず、レイモン六世の信家たちを多数解き伏せて、カタリ派の異端者を逮捕抹殺するための同盟を結成させる。
それで、この同盟に加われよう要請されると、レイモン六世は予想されていた通りに拒否したから、報復として正当派はレイモン六世を破門しました。
その結果、レイモン六世の信家たちは合法的に信家として従わないといけない神獣の義務から解放されることになります。
さらにレイモン六世を追い詰めるため、政務禁止の罰を執行し、この地域のカトリックはミサに出席することも、生態を配慮することもできなくなりました。
カトリック側はレイモン六世に対して、「そなたから奪う者は有徳とみなされるだろう。そなたを打ち殺す者は祝福されるだろう。」と宣言までしたほど、あからさまに暴力をちらつかせて潰しにかかっていることがわかります。
レイモン六世は語り派に堅入していたとはいえ、さすがに風前の灯火の権力を何とか維持するために、カトリック側に併服して謝罪することを余儀なくされました。
謝罪するにあたり、服従の儀式というのが取り行われたのだけど、これは党のレイモン六世よりレイモン六世の家臣たちにとってこの上ない屈辱だったようで、服従の儀式の翌日、レイモン六世の家臣の一人が教皇徳子を斬りつけるという事件が起こります。
これはまさにカトリック側が待ち望んでいたレイモン六世側が原因の不法な戦争行為でした。
これで晴れて、カトリックは破門されたレイモン六世から領地を奪い、語り派を絶滅させるために教皇の下に参集する命令を下せる盤面が整ったわけです。
十字軍の発動
教皇が差し向ける軍隊とは十字軍のことで、つまり十字軍をレイモン六世の領地に向けて差し向けるための条件が揃ったわけです。
この十字軍への呼びかけは、1208年の春に発せられました。
ヨーロッパの諸公には、十字軍に参加することによって借金の返済猶予や罪の謝面、遺単者の財産を奪う権利などの十字軍に与えられる得点がすべて約束され、1209年の7月にはものすごい規模の軍隊が進軍をし始めていました。
十字軍が町を包囲すると、カトリックもカタリ派もその町の住人は家を捨てて教会に避難しましたが、教会の扉を打ち破り、教会の中にいた者は女も病人も赤ん坊も生殖者もことごとく殺されたという記録が残っています。
一説によると、誰がカタリ派か見分けがつかないという理由で、住民ごと無差別に2万人が皆殺しにされたそうです。
こうしてカタリ派は一気に勢いを落としていくことになりました。
こうしてみると十字軍ってかなりひどいことをしていると思いますが、視点を変えると、戦略とは何かの会でも言ったように、統治をするというゲームの最も根本的なルールは、暴力を所有しているかどうかなんですよね。
コノムとコノマザルトに関わらず、暴力を所有していないと、相手の暴力で沈黙させられるという構図が見て取れます。
その後、カトリック政党派の人材の厚さというか優秀さが見て取れるのが、次に異端新聞所の新聞官や検察官を各所に導入し出した点です。
これでカタリ派の残党狩りもできるし、各所で異端新聞ができるわけだから、カトリックの力はさらに大きくなります。
ピンチをチャンスに変えて力をさらに大きくするという抜け目なさは、戦略の上手さを感じざるを得ません。
こうして異端新聞の厳しい中世ヨーロッパが出来上がっていくわけですね。
はい、今回の話は主にリチャード・ルーベンスタインの中世の覚醒という本と複数の補助資料から組み立てました。
中世ヨーロッパの混沌と、そこに渦巻く思想の面白さを感じてもらえれば嬉しいです。
というわけで今回はここまでです。
次回もよろしくお願いします。
06:22

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