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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします
前回は、ユートピアという言葉の大元の紹介をしました
ただし、ユートピアというか理想郷という概念自体は、古今東西を問わずあまねく存在します
キリスト教だったら天国、イスラム教だったらジャンナ、あとは極楽浄土とか法来とか
多分、どこかに理想郷があるかもしれないという感覚は、人間にとって普遍的な感覚なんだと思います
トマス・モアのユートピアに連なる系譜として、ユートピア文学というジャンルがあります
これは、架空の理想社会があるとしたらどんな感じかというテーマのジャンルで
ガリバー旅行記なんかは特に有名かと思います
ユートピア文学というのがあって、1900年代に逆ユートピアという概念
すなわちディストピアという概念が提出されることになります
ディストピアという言葉は、1932年に出版された
素晴らしい新世界という本が出て以降定着したって言っちゃっていいと思います
厳密に言うと色々あるのだけど
それで1948年に出版された1984年という超ヒット作が出て、そこで完全に定着しました
ディストピアとは、言葉としてはギリシャ語で悪い場所という意味、アンチユートピア、逆ユートピアって意味です
前回のトマス・モアのユートピアの話って
国民が全員働いていて、共有財産で同じ国民服を着ていてって、なんかソ連ぽかったじゃないですか
ディストピアの本が出た1930年代、40年代というのは、まさにソビエト連邦がイケイケの時代ですから
まあかなりわかりやすくソ連に対する批判ですよね
はい、ソ連といえば社会主義です
カール・マルクスが出てくる前までは
空想社会主義とかユートピア社会主義と呼ばれる社会主義がありました
これは社会主義の理論がまだまだ未熟だった時代のことですが
まあ要は空想社会主義はあくまで空想に過ぎないという意味だし
ユートピア社会主義はそんなものどこにもないという意味なわけで
批判されバカにされていました
その空想社会主義に対して科学的根拠を持ち込んだのがマルクスです
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それで空想社会主義に対して科学的社会主義というジャンルができて
それがソ連につながっていくことになります
そういう文脈があるからディストピアは通常
やたら科学的で生産的な社会であるという書き方がされるわけです
あとどうでもいい余談なんですけど
とあるジョークのような調査があります
実際には読んでいない本を読んだふりをしたことがありますか?
それは何の本ですか?っていう調査があります
イギリス人はジョージ・オウェルの1984年を
最も読んでいないけど読んだふりをしているということらしいです
ジョージ・オウェルはイギリスの人だし
そんくらい有名作だって話ですね
というわけで今回はここまでにして
次回ジョージ・オウェルの1984年の話に続きます
次回もよろしくお願いします