1. そろそろ美術の話を...
  2. #076 東京都庭園美術館と交歓..
2023-02-11 49:48

#076 東京都庭園美術館と交歓するモダン展について(東京都庭園美術館学芸員 大木香奈)

東京都庭園美術館学芸員 大木香奈さんをゲストに美術館の成り立ちや、収録時展示中の「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」展についてお聴きしました。

https://sorosoro-art.vercel.app/ep/076 番組の感想は、#そろそろ美術の話を でお願いいたします。

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Guest Profile

大木香奈(おおき かな)

  • 専門は生活文化史、近代工芸史。2011年より東京都庭園美術館に勤務、収蔵品管理及び建物の調査・修復を担当。
  • 「並河靖之七宝」(2017年)、「ブラジル先住民の椅子」(2018年)、「1933年の室内装飾」(2019年)、「アール・デコの貴重書」(2022年)等を担当。

Show Notes

庭園美術館について

アール・デコについて

旧朝香宮邸内装にかかわった人々アンリ・ラパン

交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー について

00:00
♪~
はい、アートテラーとにぃのそろそろ美術の話を
この番組は私、アートテラーとにぃが
アートに関わる方をゲストにお迎えして
トークを繰り広げるポッドキャスト番組です
本日は東京都庭園美術館学芸員
大木かなさんをゲストにトークをしていきたいと思います
♪~
大木さんよろしくお願いいたします
よろしくお願いいたします
ご出演ということで
はい
どうですか?
緊張されてると
大変緊張しております
なんでですか?
なんでですか?普段そうでもないのに
いやいやいやいやいや
やっぱりこう、半永久に残るという風なお話ですとか
あとでなんか編集も聞かないんじゃないかなと
不安になっておりますけれども
下手なことをしゃべらないと
気をつけたいと思います
Pも入れますから
色々と言っていただいて大丈夫だなと思っております
ありがとうございます
はいということで東京都庭園美術館から
今お届けしている状態でございますが
やっぱり東京都庭園美術館について
まずは色々と伺っていきたいなと思いますので
改めてどんな美術館かというところで
当館は1983年に開館をして
今年の10月1日で40周年を迎える美術館になります
今年ってことですか?
はい
2023年で
なんかじゃあ特別展的なのをやるんですか?今年
そうですね色々企画をしているので
そちらもぜひお楽しみにというところなんですけれども
当館が旧浅川宮邸という
宮家の建築を活用して
そちらを本館として使いながら
美術館活動を行っている美術館ということで
一つそこが独称かなというふうに思っております
この建物いわゆる本館の建物自体は
40年よりも全然前にできているということですよね
そうですね
1933年の春光になりますので
今年で建物自体は90周年を迎える美術館になります
ワールデコの館として知られてますけど
その話をちょっと行く前に気になるのが
じゃあなんで庭園美術館って名前なのかなって
東京都庭宅美術館とかに
一言いまして庭園を推すんかいみたいなところがあるんですけど
これはどういうことなの?
確かにそうですよね
この名称自体は
その美術館になるときに
東京都の方で旧浅川宮邸を
どういうふうに活用していくのかっていうことの
あり方の検討会みたいなものがあって
そこで話し合われて
庭園美術館になったというふうに聞いているんですけれども
そのあたりの詳しい経緯というのも
03:01
ちょっと私の方ではなかなかわからないんですけれども
庭園美術館というのも
その英語の名称が東京メトロポリタン庭園アートミュージアムで
ガーデンじゃないんですか?
ガーデンじゃないんですよ
だからそれもなんかちょっと面白いなあ
っていうふうに思っているところで
よくそのお問い合わせとかでも
庭園美術館っていうからには
お庭でなんか植物とか
そういうことを質問したり
お聞きできる美術館なんですか?
みたいなお問い合わせがあるんですけれども
ご存知のように
東海オニワは確かに敷地面積としては
1万坪ぐらいあるので広いんですけれども
特にそのお庭をフューチャーしている美術館ではないので
そこはなんかちょっと面白いなあと
中にいる私も思っているところですね
ただ日本庭園もちゃんとあるんですよね
実はその洋風の庭園のイメージがあるけど
日本庭園もあり茶室もあり
たぶん植物はっていうと
たぶんお隣の東大の植物園と
たぶんお茶になってるというか
自然教育園さんですね
花博さん
国立の博物館さんの
自然教育園さんの方が
お隣の施設としてあるので
植物に関してはそちらの方がもちろん
お詳しくいらっしゃるので
東海に来ても植物のことは
特に学ぶことはできないんですけれども
でもなんか元々だから
そんなに建物も
オープン時はそんなに
フューチャーされてなかったみたいな話は
うっすらコミュニアさんのことあるんですけど
そうですね
そもそもの経緯を申し上げると
1933年に朝霞の宮廷が建てられて
戦争中に吉田繁が
首相皇帝として使っていた時代があって
その後民間のホテルが
この建物を借り受けて
借り受けた後購入はしているので
民間のホテルの持ち物だった時代があって
その時はホテルが
宿泊施設として使ってたんですか
そうですね
結婚式場として使っていた時代がありまして
そういった時代を経て
東京都がこの敷地を買い取って
活用していこうという流れになった
というふうに聞いているんですけれども
東京都がこの土地を買った時は
建物というのは
特に価値を当時はまだ言い出してなかった時代で
民間のホテルと東京都との売買契約のところでも
敷地だけの契約で
建物は不随といいますか
おまけだった
今はこっちメインにしてるけども
だからやっぱり東京都は庭園美術館じゃないけど
06:01
とりあえず敷地がメインだったんです
永遠についてきたものだったんですね
そういう認識だったんだと思います
そして美術館になった後
建物についての調査研究とかも
どんどん進んでいく中で
この建物っていうのは
とても価値があるものなんだなっていうのが
だんだんわかってきて
ご紹介できるようになってきたかなというところですね
じゃあ最初に土地だけだからって
さらちにして渡されてたら
結構大変なことになったかもしれないですよね
大変なことになってましたね
あとうっそら聞いたのは
だから美術館として最初考えてたんで
今みたいに壁紙とかも
今復活させてるじゃないですか
ほとんど
そうですね
最初はそうでもなかったみたいな
それこそですね
建物の中を美術館として活用していくにあたって
美術館の学芸員が入る前に
改修工事はもう行われてしまっていて
かなり華やかな壁紙なんかが
貼られていたお部屋なども
剥がされてしまい
美術館ホワイトキューブにしようとしたのってどうですか
ホワイトキューブっていうか
ホワイトキューブっていうほどでもないんですけれども
割とフラットな空間にしようとしていたのかなとは想像するんですが
美術館として学芸員が入って
美術館として活動していくぞという風な
話が決まったりとか
実際に動き始めた時には
もうすでに壁紙は失われた後だったという
ちょっと待って
いつどのタイミングで
やっぱりこの建物すごいぞってなったというか
そうですね
いろんなポイントというか
ターニングポイントみたいなのはあったとは思うんですけれども
それこそそのホテル
民間のホテルの時代も
この建物を大切に守り伝えようとしていた方が
支配人みたいな方がいらっしゃって
その方が誰が作ってどういう価値があってみたいなことを
報告書のような形でまとめていらっしゃったんですけれども
それが実際にどれぐらいの価値があるかとかいうのを
フランスに行って調査したりですとか
近代建築の専門家に見ていただいたりですとか
そういった調査研究を経て
1995年に一度東京都の有形指定文化財になっていて
そこが一つポイントで
その後2015年だったかな
国の重要文化財に指定されていて
というのが一つポイントとしてあるかなというところですかね
僕何度も来てるから当たり前のように思っちゃってましたけど
初めて聞く人もいると思うので
浅河宮さんがどうやって作らせたとか誰に作らせたとかっていうのを
09:02
具体的にちょっと教えてもらってもらってもいいですか
もともと浅河宮旧公族なんですけれども
1922年から25年の間
フランスを中心としたヨーロッパとアメリカを
当時グランドツアーって読んで差し支えないと思うんですけれども
見本を広めるために修行と言いますか
研究のため視察のために
ヨーロッパに留学をしていて
その時に当時そこまで長い滞在になる予定ではなかったんですけれども
フランスで交通事故になってしまって
結果的に長期の滞在にならざるを得なくなったというのがあったんです
奥様のノブコヒも一緒にフランスに渡って
そこでフランスの最先端の美術デザインを吸収するわけなんですけれども
そこで25年に開かれていた通称RDECO博覧会という博覧会を見学して
そこで見聞きしたものを
東京に戻って自分の建物として
定宅として再現したいというふうに思ったのかなというふうに思うんです
RDECOという言葉がこの番組的には初登場の言葉なので
簡単にご説明いただけるとありがたいです
RDECOとは略称なんですけれども
RDECORATIVEというフランス語が元々の言葉なんですけれども
意味としては装飾美術
RがARTというデコラティブってことですよね
英語で言うとデコラティブアートっていうことなんですけれども
もともと1910年代から30年代にかけて
フランスを中心に両ヨーロッパを設計した工芸、建築、絵画、ファッションなど
全ての分野に発求した装飾様式の総称のことを指していて
先ほども少しご紹介した1925年のパリで開かれた博覧会
これ日本語では現代装飾美術産業美術国際博覧会というふうに呼んでいるんですけれども
こちらの博覧会の名称を短くした略称を由来とする名称なんですね
じゃあ1910年代から何となくあったとしても
その頃はみんなRDECOって言ってなかった?
そうですね、そもそもRDECOっていう言葉自体がその当時はなくて
60年代70年代に1910年代から30年代の様式を振り返って
1925年様式っていうふうに紹介されたのが初めなんですね
なるほど、だから最近1980年代ファッション流行ってるみたいなのも
12:01
別に80年代の時に80年代ファッションって言ってないけどみたいなことなんだ
振り返って付けるみたい
1925年様式っていうふうに紹介されていたものを
RDECOっていうふうに私たちが後の時代になって
この10年代30年代のデザイン装飾美術について呼ぶようになったというのが
なるほど、ただその装飾って何でも装飾じゃないですか
はいはいはい
だからこういう特徴があるみたいなのはあったりするんですか?
そうですね、RDECOっていうとよくその前の時代のR NUVOと比較されることが多いんですけれども
R NUVOと比較すると一般的によく言われるのが
NUVOが有機的で曲線的でっていうのに対して
RDECOは割と直線的で鉱物的って
石の鉱物なんですけど鉱物的なというふうな言われ方をすることが多くて
当時その鉄筋コンクリートとか強化ガラスとか新しい素材が建築の分野で出てきた時に
それを表面的に装飾することに価値を見いだしていた時代なので
そういった文脈で出てくるんですよね
RDECOって言っても、すごく多岐にわたっていて
鉱物的、直線的だからRDECOっていうそういう単純な話でもなくて
当時のキュビスムとかロシアバレーとか
すごくエキゾティックな要素を取り込んで発展していた部分があって
すごく多様な要素を含んでいる様式で
一言で説明するのがかなり難しい様式なんですね
このときは東京都展美術館いわゆる旧浅河宮亭の
この辺見たらRDECOだなって潰れるじゃないですけど
この辺RDECOだわっていうのはどういうところが
そうですね、いろんな部分に全般的に言える部分ではあると思うんですけれども
ここがっていうふうに言うとやっぱりラジエーターカバーの噴水の模様であったりとか
あとはラリックの花模様の照明器具とか
すごくジグザグであったりとか
直線的な要素も取り込んでデザインされているので
わりとうちで見るとRDECOらしいねって言われるところだと思うんですけれど
この展美術館さんか浅河宮さんがRDECOの屋敷に作ったわけじゃないですか
当時日本ではそんなに他にだから匹敵するくらいのRDECOの建物って何かあるんですか
15:01
建物というよりも客船風に
ああ、そうかそうか
がRDECOの要素をタブに取り入れているところがあって
今現存しているところだと
彼川丸なんかはまさにRDECOですね
でもそれぐらいじゃ数えることしかないってことは
当時浅河宮さんがRDECOを見てきたわけじゃないですか
これ日本で作ろうって言って
じゃあこれを作りたいって言って
対応できたものなんですか日本人の見たことないのに
そうですね
そもそもそのRDECOって当時通信技術も発達していたので
割とフランスであった博覧会の情報ってそこまで時間差なく日本には入っていて
雑誌とかでも紹介されるみたいな
割とその要素要素で日本の中で建築に取り入れられていたりとか
商業美術の中で雑誌の表紙とかデザインに取り入れられたりっていうのは多々あって
その中で浅河宮邸が特に特徴的というか
面白いなというふうに思うのは
やはりそのフランスのアーティストが直接建設に関わっているというのが一つ面白いところです
呼んできたってことですか
実際には日本には来ず手紙ですとか電報等のやりとりで
デザイン画というか図面を共有しながら進めたというふうにお聞きしています
一番上にトップに誰がついているのこの統領的なというか
もともと浅河宮邸が区内省匠見寮公務課という
公室関係の建物を建設するための建築家集団があって
広続の建物を建てるにあたっては彼らが基本的に設計をして建設をするというのが基本だったんですけれども
浅河宮邸についてはその基本設計全体的な部分は区内省区内省匠見寮がやるんだけれども
そのお部屋の中の一部の部屋だけ切り分けて
フランスのアーティストにお願いをしているんです
内装を頼むみたいな感じですね
そうですね
その方はなんというかと
アンリ・ラパンという装飾芸術家で
1925年のアールデコ博覧会でも洋食についていた人物なんです
そんなすごい人に直応ファーしたんですか
そうだと思います
ただどういうふうな経緯でラパンに頼んだのかとか
そういった当時の手紙なんかは残念ながら一切残っていないので
ラパンにお願いしたというのは
領収証等ではわかっているんですけれども
18:04
どういう経緯であるとかどういう内容でというか
そういった部分については残念ながら
まだ資料等ではわかっていないというところです
じゃあラパンさんには全体設計でこういうのが出てきます
この部屋をお願いしますと言ったら
ラパンさんが図面を書いてこんな感じで作って送ってくるってことですか
そうですね7室だけラパンが室内装飾を手掛けていて
全7室あるんですか20ぐらいはあるってことですか
20以上あると思いますね
それはやっぱり高速のお家で
なんでそのお家は7室を単に
そうですね
浅川宮邸って基本的に1階部分がパブリックというか
おもてなしの空間で2階がプライベート空間ということで
宮家の方たちが生活をするための空間だったんですけれども
特に1階部分のおもてなし空間について
ラパンに依頼をしていました
なるほど
でその図面が来たらそれを日本で作ってたってことですか
そうですね
おそらくフランスでも一度図面というか
その具材も含めて1階フランスで建設をしたものを
バラしてそれを日本に持ってきて
日本で再度組み立てるっていうことをやっていると思います
当然ですがとんでもないお金かかったと
そうですね
領収書に残ってるってことですか
はいはい
(笑)
残ってます
何が一番高そうだなって思います
その大きさが調べた結果
これ実は高級なんだよっていう
庭園美術館
調べてみます
あとあれもありますよね
入り口入ったところにラリックの
ガラスの扉みたいなのありますけど
あれはラリックにお願いしているということですか
そうです
ただ窓口としては全てアンリ・ラパンなんです
アンリ・ラパンが仲間というか仕事仲間のアーティストに
その部分部分をお願いをしていて
おっしゃっていただいたような
ルネ・ラリックであるとか
あとはガラス工芸家のマックス・アングラン
鉄工芸家のレイモン修武
あとは彫刻家のブランショーといった人物に
仕事を発注してトータルでコーディネートをしたのが
アンリ・ラパンだったということです
それは日本の人たちでも職人さんたちも
作ったりするものもあるわけじゃないですか
日本の職人さんが作ったものがレベルが高い
どちらがということよりも
両者が互いを学び合ってといいますか
影響を受け合って作られている
というのがすごく面白いなというところで
特に区内書託美寮公務課の人たちが
21:01
朝日の宮廷のラパンが手がけたお部屋の中でも
ラジエーターカバーなんかは
部分的に区内書託美寮の人たちが作っていたりするんですね
なんですけど
ラパンがコーディネートした部屋の装飾から
引用してラジエーターカバーを作っていたりとかしていて
互いにコラボレーションして作ったっていうのが
やっぱ面白いのかなというふうに思います
ちなみにどれぐらいの期間でできたんですか
大体4年くらいですね
4年でできて
ご夫妻はここにどれぐらい住まわれたのですか
すごく短くて
朝日の宮系は基本的に朝日の宮ご夫婦と
お子さんが4人いらっしゃるんですけれども
男のお子さんがお二人
女のお子さんがお二人なんですけれども
女性の方の長女の方はもう
建物が建てられた時に既に
後付いちゃった
結婚されていたので
実際には住んでおらず
息子さんお二人は
すでに当時学校の方に
寮生活というか
の方に出ていたので
基本生活はしていなくて
こんなでかいところ家族3人ですね
そうですね
あとプラスお月の次女の方であるとか
あとはお世話をされる方たちと一緒に
お住まいでいらっしゃったと思うので
住んでいる人としてはそれなりの人数なんですけれども
実際生活していたのは当初は3人で
ただ浅河宮夫妻の奥様の方が
1933年の秋にも亡くなられて
寻行した33年にと
1年も経たずしてた
そうですね半年ぐらいで
お亡くなりになってしまって
なので実際1940年代中頃まで
浅河宮家として本宅を使って
生活をしていたんですけれども
浅河宮のご主人と娘さんが
メインで生活をしていたという形ですね
でも逆にそういうのもあって
きれいに残ってるのかもしれない
息子さんとかがいたらなんか落書きとかされてた
そうなんですかね
でもそうなんですね
家族が仲良くずっと過ごしてるイメージがあったけど
意外とそういう感じなんですか
せっかくなんで建物の話も
いろいろ聞いていきたいなと思うんですけど
前に大木さんが建物公開展の時に
たぶん僕らが建築ツアーで来て
24:00
急に講師お願いしてみたいな感じでやった時に
意外とこの建物にいろんな秘密があるみたいな
それこそあれじゃないですか
コンクリートに漆塗ってるところがあるみたいな
発見をされてましたよね
発見というか今まで気づかれてなかったけどみたいな
ありますあります
そういう建物のこんなところに
実はこんなのがあるんだよって
大木さんならではの
いろいろと教えてもらえると嬉しいなと思うんですけど
ちょうどそのツアーの時は
建物の素材と制作をした職人さんに
商店を当てた展覧会の時にツアーで
とにーさんが来てくださった時で
おっしゃっていただいたように
コンクリートに漆を塗るという技法について
紹介をしていたんです
浅河宮邸って今でこそ
それこそ90年前の建物ですけれども
当時は最先端の技術を
導入して建てられた建物で
コンクリートに漆を塗るという技法自体も
当時としてはすごく革新的な技法だったんです
漆っていうと基本的に木材に
漆を塗るっていうのが
一般的なイメージだと思うんですけれども
コンクリートに漆を塗るっていう技術が
昭和初期に特許を取った最先端技術でして
日本だけでもなくて
アメリカやイギリスフランスドイツでも
特許を取得していたんです
日本人が考えて世界的に特許を取る
そうです
金沢の商店が
特許を取っていたものだったんですけれども
そもそも関東大震災後に
鉄筋コンクリート造りの建物が増えたことから
その正面を装飾する需要があったわけで
そういった需要を見越して
コンクリートに漆を塗るという技法が開発されたんです
一般的にはタイルでって感じですよね
装飾する手の力で
そこの漆直で塗っちゃう
そうですね
ちなみにタイルに漆を塗るっていう技法も
特許の申請がされてたようなんですけど
同じところからですか
そうです
はい
場所としては
これは全部で使われてるわけじゃなくて
内装でって使う
そうですね
当館で言うと
次の間と呼ばれるお部屋の柱の部分と
香水筒と私たちが呼んでいる
巨大な照明器具があるんですけど
そこの台座の部分が
コンクリートに漆を塗ったというような
はい、技術が残ってます
パッと見気づかないけどということですよね
だから漆でポーティングされてるので
元材かと思いきや
中は?
コンクリートっていう
なんか大きさがすっごい調べてたんですよね
その時の天然化のためにいろんな素材をっていう
それどうやって気づいたんですか?
でも叩いて
触ったらコンクリートになっているのがわかってたってことです
見た目とかそういうところからではなくて
27:02
浅河の宮廷を建てる時の
建築の使用書であるとか
発注書類というのが残っていて
それを丁寧に端から端まで読んでいくと
この部分はコンクリートに漆が塗られているっていうのが
へぇ~
今さらっと言ったけど
発注書も1ページ2ページのペラペラじゃないですもんね
すごい
どれぐらいの量でしたっけ?
2つ使用書類があって
工事録というふうに私たちが読んでいるものが
何巻だったかな?
20何巻?
缶ですもんね
ページじゃないですもんね
はははは
うん
それ1巻も結構なページがあるわけですよね
そうですね
それを全部ページ読んだんですか?
必要に応じて読んでいて
もちろん私1人っていうわけではなくて
缶としてのみんなで取り組んだ事業だったので
それでいろんなことがわかったっておっしゃってましたね
そうですね
当時最先端の壁紙も使われて
そうですそうです
壁紙が洗える壁紙っていう
触れ込みで使われていたもので
海外通称株式会社っていうところが取り扱っていた
ザルブラ社のテッコっていう壁紙のシリーズがあって
それを採用しているんですけれども
テッコというのはですね
宣伝文句としては退職しなくて
水洗いができて水に侵されない
無視に侵されないっていう点が
特徴として挙げられていて
日本に限らずヨーロッパ各国で
かなり話題になった壁紙だったんですけれども
浅河宮帝だけではなくて
それこそ前田公尺帝とか
三越の百花店とか
当時は歌舞伎さんもあのテッコの壁紙を使っていた
というような記録が残っていて
洗える壁があって
メンテナンスが容易ですよっていうので
販売されて採用されていたのかなというふうに思います
そういうのが至るところに使われてるし
しかもあれですよね
大きさのあとその多分展覧会に合わせたと思うんですけど
修復もいろいろとされてましたよね
そうですね
当官その家具が当時使われていた家具が
一部寄贈されて戻ってきたりですとか
そういった部分があって
その家具を一から修復し直して
実際に展示に使えるようにしたりですとか
あとは建物自体のニスの塗り直しをしたりとか
30:02
部分的な改修修復なども定期的に行っています
修復でいうと先ほどさらっと言った香水灯なんかも
今当たり前のしかも今の東京都田演武祖家の
トレードマークというロゴマークに使われてますけど
これもなんかちらっと聞いた話だと
ボロボロになってた元々は
そうですね
当官が2010年21年から14年まで休館をしていた時に
全面的に建物を調査していく中で
香水灯と呼ばれるのが磁器でできているんですけれども
高さも結構ありますよね
そうですね2メーター10センチくらいあったかな
ぐらいの高さのものなんですけれども
調査する中で一度修復した方がいいだろうというふうになって
取り外しをして
過去一回修復してたみたいなんですけど
その修復を全部取り去って
膨大なパーツになるまで
バラバラになってたというんですよね
ものを修復官の方に全部繋ぎ合わせていただいて
元あった場所に今戻しているという
全然当たり前ですけども
元に戻ってるだけだから気づかれないけど
実は結構いろいろと修復してるんですよね
天秤術
なんか門も変えたんですよね
入り口の門というか
そうですね修復に出していて
元々その金属製の門だったので
劣化が進んでいたところを
全部きれいにサンドブラストをかけたり
塗装し直したりして
きれいにした状態で
今は元あった場所に戻ってるんですけれど
割とこう気づかないお客さんとしては
多分気づかないだろうなというような細かい部分も
割とちょこちょこ手を入れながらメンテナンスしてます
そういうのもあるからかもしれないですけど
一応年に大体1回建物公開の時がありますし
今年の2023年も控えてるとですね
そうですね
こちらは4月の一日から開催の予定の展覧会で
朝霞の宮廷の記憶に焦点を当てた
展覧会になる予定です
建物公開するといっても
毎年ちょっと違うとですね
今年は4月からですけれども
だってその前にというか
今ちょうど開催されてる展覧会が
まさに大木さんが担当している展覧会ですけども
ぜひこちらについてもご紹介いただけたらなと思っております
現在東京都庭園美術館で開催している展覧会が
「交換するモダン 機能と装飾のポリフォニーテン」
という展覧会を開催しています
交換の取り替えっこの交換ではなくて
換気の館というか
換成は館ですね
33:01
こちらの展覧会は豊田市美術館
島根県立岩見美術館と
東館の3館の巡回する展覧会でして
東京都庭園美術館は3館目というか
最終会場
最終会場フィナーレを飾る会場になっています
各館のコレクションを描くに
展示が作られていっているんですけれども
豊田市美術館さんであると
例えばウィンコー号の壁紙のサンプルであるとか
家具
岩見美術館さんであると
ポール・ポアレア・ガブリエル・シャネルのドレスであるとか
ファッションの強い美術館の岩見さん
東館はそれこそ1925年の
アールデコ博覧会の関連の資料であるとか
そういった3館の特色あるコレクションを
格闘している展覧会になりまして
それ以外にも海外で言うと
海外装飾美術館からも
作品を借用させていただいてまして
国内外の美術館・研究機関の協力を得て
約400点の作品を紹介する展覧会になっています
ただこの機能と装飾のポリフォニーって言われましても
(笑)
どういう展覧会なのかなっていうのはありがとね
僕は配布させていただいてたんですけど
ありがとうございます
まだこれから見てない方のために
そうですね
この展覧会
時代としては1910年代ぐらいから
30年代までを4章に分けて
なるほどさっきほどが何でも出てる
アールデコの時代ってことですね
そうですね
を4章に分けて時系列順に
紹介する展示構成になってまして
出品されてるものは
先ほどもうちょっと申し上げた通り
家具ですとかファッションですとか
あとはジュエリー食器絵画など
本当に多彩なものが並んでいる展覧会になっていまして
それこそですね
とかフランスのデザイナーが参加して
建てられた建物なんですけれども
この展覧会ではフランスだけではなくて
ドイツオーストリアそして同時代の日本の
デザインについても紹介する展覧会になっています
特にこの展覧会でご紹介したいというふうに
考えている部分は
当時の作家たちがですね
国ですとかジャンルを超えて交流し合って
互いに交流し合って影響し合って
当時の多様なモダンの形を生み出していった
ということを特にご紹介したいというふうに
思っている展覧会です
フランスだけとかドイツだけでなくてってことですよね
それぞれがっていうところが
ポリフォニーがそういう音楽用語でって
教えてました
そうなんです
ポリフォニーというのはですね
36:00
多声音楽多くの声の音楽というふうな
多声音楽を意味する音楽用語で
独立した複数のメロディが絡み合う形式の
音楽のことをポリフォニーというふうに言います
この展覧会に展示されている作品たちが
それぞれ異なっていながらも
まるで一つの音楽のように絡み合って
一つの時代を作り上げていった
ということになぞらえて
このタイトルをつけています
知った上で見るとそういうことかってなる
展覧会ですよね
このタイトルだけ聞いたら
みんな何の展覧会だろうと思うんだけど
行ってみるとだからそれこそ本当に
今おっしゃったことそのままなぞるけど
家具もあるしファッションもあるし
だからインテリア好きな人も多分楽しいと思うし
ファッション好きな人も楽しいし
絵画もあるしみたいな
来てみたら面白いってなんか言い出しつれですけど
見てみるとこのタイトル納得
そうそうそう
来るまでがちょっとあれなんですけど
そんなあれですよね
見どころ紹介する動画がなんと
東京都天美術館さんで
そうですねはい
今のところ2月10日公開の予定でございますので
当館のYouTubeの公式チャンネル等で
配信を予定しておりますので
よろしければそちらもぜひ
当然大木さんも出ていただいて
そして豊田市美術館と
石間根県立岩見美術館の担当の学芸さん
3人姉妹みたいな感じで
同じなんかパンツ履いて
MCを僕がやるっていう
5本ぐらい流れるかもしれない
そうですね
賞だてごとに
話聞くとまた面白いんですよね
またお姉さま方
大木さんから見てるお姉さま方が
はい展覧会の内容について
すごくコンパクトにまとめて
ご紹介している内容になっているので
これを見るとより一層展覧会が分かる
という内容になってると思います
多分その時には大木様なんかも
気遣って言わなかったんですけど
気遣って
やっぱり豊田市は豊田市の面白さもあるし
岩見は岩見の
面白さもあるんですけど
やっぱり建物としては
田園美術館さんが当時の建物じゃないですか
大木さんが大変そうだと思うんですけど
400点っていう展示数を
よくぞこの部屋
他の館と比べて狭いんですよね
その展示の面積が
はい
豊田市美術館さんも岩見美術館さんも
基本的にホワイトキューブの展示室を持ちで
面積自体も当館よりかなり広い
美術館になるので
同じ作品展示数規模を
当館に持ってくるというふうになった時に
やはりかなりこう
なんていうんでしょう
工夫をしないと入らないなというのは
正直なところありまして
単純にその面積が狭いというだけではなくて
39:02
当館の場合
その元々の定宅を利用した美術館なので
小部屋が多いので
そもそもこの展覧会の中で
特に紹介したい
その作家同士の影響関係とか
ジャンルを超えた影響関係をご紹介する時に
小部屋でどんどんどんどん区切られてしまうので
それを展示構成の中で
どうやって伝えたらいいんだろう
っていうのはかなり苦労して
大空間だったらそこにいくつか並べちゃえば
この辺が関係性あるだなって分かるけど
そうですね
他の二館さんは
わりと見通しの良い展示室を
壁をそこまで多く建てずに作っていらっしゃって
そういえばあそこの作品っていう風に
振り返ると遠くに見えるみたいな
展示構成になっているところが
当館の場合はもうそもそも小部屋なので
見えないという風になってしまっているので
そこをなんとかうまく繋げるべく
1階の部分でハイライトっていう空間を
ちょっと作っていて
基本的には時系列順の展示構成にはなってるんですけど
当館の一番最初のハイライトの空間だけは
時系列順ではない
時代を超えた作品をいくつかまとめて
紹介しているところなので
そこで時代を超えた影響関係を見せる
というような工夫はさせていただいてます
で2階に行ってから第1章が始まるみたいな
特殊なあれでしたもんね
そういうことでも400点展示品がありますってなって
普通巡回展だったら
400点も当然置けないからちょっと減らします
っていうのもあるわけじゃないですか
普通の美術展のか
なんで今回全部400点行こうと思ったの?
今回出品されている作品が
どれもすべて素晴らしい作品ばかりなので
これは何か破所ってと言いますか
まびいて紹介するわけにはいかないな
というのがすごくあったので
もうとにかくなんとかして
僕も大木さん初日に見させてもらった時に
一番思ったのは大木さんじゃないと
あのパズルは無理だなと
400点入れ込むって
やっぱこの建物を知り尽くした人じゃないと
多分できないなと思って
これはやっぱり大木さんならではだったなって
僕は思いましたけどね
ありがとうございます
ずっと大変でしたよねって思いますよね
そうですね
割とこう当館だと
小部屋ごとにマントルピースって
暖房器具のそのなんていうんですかね
スペースの上の空間をうまく使ったりですとか
既存のその書斎のスペースを使ったりですとか
本当に部屋ごとの印象的な部分をうまく使いながら
42:02
組み合わせてなんとか展示をしたというところです
いやぜひだからそれも踏まえて
見ていただきたいなと思うんですけども
ぜひ400点ある中で
大木さん的におすすめ作品ってありますか
作品でもいいです
この部屋のここを見て欲しいでもいいですけども
はいそうですね
本当にどれが目玉っていうふうに言える
展覧会ではない展覧会ではあるんですけれども
今回特にということであれば
2つあって空間としては
本館の2階の北の間と呼ばれるお部屋に
日本の芸術家の斉藤和蔵という方の
作品を展示しているお部屋があって
主に服装関係で生活改善運動という
生活改善同盟会に所属して
所属してというかそこで
服装委員として活動していた方で
当時日本の服装というのが
主に和装だった時代に
近代化を図るということで
洋装にしていこうという全体的な流れがあった時に
一足飛びに和装からいきなり
洋服っていうのが難しかったと思うんですけれども
例えばその和装の着物の柄の中に
洋風のものを取り入れようという
段階的にステップアップってことなんですね
しようという風な活動をしていた方なんですけれども
僕も展示で見るんだけど
パッと見は本当に温泉街の浴衣みたいな
白と紺のあれだけど
よく見ると模様が洋風みたいな感じですよね
ウィンコボの影響を受けていてというようなものがあるんですけれども
北の間の大空間
天井はちょっと高い空間であるんですけれども
元々ベランダみたいな空間だったと
そうなんです
タイル張りのお部屋で
そこの空間の中に斉藤和蔵の作品と言いますか
着物ですとかデザインが置いているんですけれども
あの部屋自体もタイルを使った
洋館としての特徴が
随分出ている空間というふうに思うので
その空間とその作品との
響き合いみたいな部分は
ちょっと見ていただけたら面白いのかなというふうに思います
あともう一つは
今回ご紹介している作家の中で
エルワール・ベネリクテスというデザイナーがいるんですけれども
デザインがプレートなんですけれども
45:01
その幾何学的なものであるとか
自然の花とか植物をモチーフにした
デザインがというか
かなり抽象化されているので
そのまま写実的に映したとか
そういうものではないんですけど
そういうプレート集が当時
図案集みたいなものですか
図案集がかなりたくさん発行されていて
彼の図案集なんかもご紹介しているんですけれども
実は彼がテキスタイルの制作をしていて
自分でもちろん作っているというよりも
デザインをテキスタイルメーカーに提供して
そのテキスタイルを作っているんですけれども
そのエル・アル・ベネリクテスがデザインを手がけた
テキスタイルというのが
実は浅河宮邸の部屋にも使われていたというのが
採用されているということですね
はい、わかって
そちらについてもご紹介ができているのが
今回面白い点だなというふうに思っています
ちなみにその壁紙
テキスタイルはどこに使われているんですか
日本館の2階の殿下の今というお部屋なんですけれども
おそらく噴水をモチーフにしたテキスタイルデザインで
かなり抽象化されているので
パッと見ではわからないんですけれども
すごく面白いテキスタイルになっているので
お部屋もそうなんですけれども
復元された壁紙が
今は実際に施工されているお部屋なので
そちらもぜひ見ていただけたらなというふうに
壁紙の中の名前は何でしたっけ
ベトロポリスという名前が付いているんですけど
全然噴水感ないけど
そうですね
タイトルからはちょっとよくわからないなという
だからそれも合わせてみると
もちろん他の2階以上も素晴らしかったですけども
ここはそういう響き合いも建物ともありますしね
あと今お二人の名前出していただいたけど
あれですよね
お姉さま方もおっしゃってましたけど
意外と女性作家も今回
そうですね
フューチャー使用ということで
今回それこそ
第一次世界大戦が含まれる時代の
展覧会になるんですけれども
第一次世界大戦の勃発によって
結果的に女性の社会進出が進んだ時代で
あることもあって
女性作家の作品というのを
数多く展示しているので
そういった部分も
ちょっと見ていただければなと思ってます
最後に特にこの女性作家
注目してほしいとか言えば
ぜひぜひ
はい
それこそ以前というか
去年もご紹介がされてますけれども
上野理知の作品なんかも
三菱一号館美術館で大大的な展覧会が
開催された
ただあれですよね
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上野理知という作品が来ると
上野理知って名前で展示してないですもんね
この展覧会ではですけどね
そうですね
フェリーチェリックス
フェリーチェリックスって書いてあるのが
上野理知ですからね
見て言うと
同じ人の名前ですから
あれですけど
ちょっとそこも注目してもらえると
いいかなというふうに思ってます
展覧会はいつまででしょう
2023年の3月5日
日曜日までの開催の予定でございます
あと1ヶ月切っちゃっていますので
ぜひ
もうこんなに400点集まることはないですか
ないと思います
そうですよね
しかもこの建物で見るのがポイントですからね
ぜひ皆さんご覧いただきたいと思います
はい
さあということで
そろそろ収録は終えようかなと思いますけども
どうでした前半やってみて
口が回らない
普通に回ってます
後半もいろんな話聞きたいと思いますので
よろしくお願いいたします
はいでは次回は
大木さんの後経歴を待ちえつつ
さらにビデオについての話を続けていきたいと思います
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ご視聴ありがとうございました!
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