【土曜版 #85】伝統の当事者になり、人類史の1ページに。発酵デザイナーが語る生き方の哲学(ゲスト:小倉ヒラクさん)
2026-07-04 1:09:12

【土曜版 #85】伝統の当事者になり、人類史の1ページに。発酵デザイナーが語る生き方の哲学(ゲスト:小倉ヒラクさん)

News Connect 土曜版、今回のゲストは発酵デザイナーの小倉ヒラクさんです。2026年5月に出版された新刊『僕たちは伝統とどう生きるか』をテーマに、伝統的な産業が直面する危機の実態から、プラトン・アリストテレス・ガダマーといった哲学者の思想を手がかりにした「伝統とは何か」という問いを深く掘り下げました。物価高だけでなく、気候変動・人口動態・社会インフラの疲弊が複合的に重なり、ものづくりの現場で「選択肢がなくなる問題」が起きているという現状認識から、伝統を大文字と小文字にわけるという独自の概念整理、そして自分自身が伝統の継承者になるという実践的な提案まで、当事者意識を持たざるをえないインタビューとなりました。

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【ゲストプロフィール】

小倉ヒラク/発酵デザイナー

1983年、東京都生まれ。早稲田大学文学部にて文化人類学を学ぶ。在学中にフランスへ留学。東京農業大学にて研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市に発酵ラボを設立。2014年、絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞を受賞。2020年、発酵食品の専門店「発酵デパートメント」を東京・下北沢にオープン。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』『オッス!食国 美味しいにっぽん』など。

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サマリー

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんは、新刊『僕たちは伝統とどう生きるか』をテーマに、日本の伝統産業が直面する複合的な危機について語りました。気候変動、少子高齢化による継承者不足、昭和の社会インフラの疲弊が重なり、「選択肢がなくなる問題」が深刻化していると指摘します。この危機感から、小倉さんは伝統を「大文字の伝統」と「小文字の伝統」に区分する独自の概念を提唱しました。 「大文字の伝統」は権威的で唯一の真理を求める強制的な側面を持つ一方、「小文字の伝統」は弱さから生まれ、多様な可能性を生み出す自律的な営みを指します。この思想的背景には、プラトンとアリストテレスの哲学、そしてガダマーの「過去は発明された」という解釈学が深く関わっています。アリストテレスが「善」とプロセスを重視し、ガダマーが伝統を「変わりながらも手渡されていくダイナミズム」と捉える考え方は、「小文字の伝統」の理解に不可欠です。 小倉さんは、伝統を「守る」のではなく、現代のリアリティを持って「ぶつかる」ことの重要性を強調します。そして、私たち一人ひとりが「伝統の当事者」となることを呼びかけました。具体的には、伝統的なものづくりを「買い支える」こと、そして味噌作りや季節の手仕事など、無理のない範囲で「小文字の伝統の継承者」となることです。これにより、私たちは「人類史の参加者」としての意味を見出し、不確実な現代において伝統に「守ってもらう」時代が来ていると締めくくりました。

はじめに:伝統産業が直面する複合的な危機
伝統を今回テーマにしたと思うんですけど、なぜ伝統だったのか? そして今伝統ってどういうふうに取られているのか?
伝統を大事にしようとか、なんかそういうことではなくて、僕が今まさにその伝統の存続の危機の当事者に立っているという立場から、
みんなでこれどうするって呼びかけをしないといけない。あえてその問題提起として、今起こっているのは値上げの問題じゃなくて、選択肢がなくなる問題なんだ。
選択肢をなくそうとしているのは実は僕たち自身なのではないか。だから伝統をどうしようとかじゃなくて、一番理想的なのは私が伝統なんだっていうふうに思える人が増えるっていうのが、すごく豊かな未来が待ってると思います。
日本国内でちょこっと当事者の人口が増えていけば買い支えるというところに結果的につながっていくということですね。
実際やってることはちょっとしたことなんですよ。だけどそれが大きく人の意識を変えていくし。
大きな流れの中で自分の仕事って何なんだろうなっていうのを常に思っていて。
本当ちょっとだけでもいいから、大きな時代の流れの中のプレイヤーでいるって、やっぱり最高の生きている意味だと思うんですよね。
人類史の参加者になりたいですよね。
なりたいですよね。
私も常に思ってますね。
こんにちは。パーソナリティーの野村孝文です。
本日のゲストは発行デザイナーの小倉ひらくさんです。
微生物の働きである発行、これを仕事、そして探求のテーマにしている小倉さんなんですが、
今年の5月に新刊書籍、僕たちは伝統とどう生きるかを刊行されました。
この本ですが伝統的な産業の現在地を事例に、日本の経済、そして社会にも鋭く切り込んだ一冊です。
今日は新刊書籍をテーマに、自分たちの営みを歴史の一部として位置づけること、これについて議論をしていきました。
かなりですね、いろんな考えが喚起されるインタビューでした。
それでは本編をどうぞ。
それではお呼びします。ゲストは発行デザイナーの小倉ひらくさんです。よろしくお願いします。
どうぞよろしくお願いいたします。
小倉さんも発行デザイナーとして10年以上のご経験があると思うんですけど、
私が小倉さんの活動を初めて知ったのが、2019年にヒカリエで開催されていた展覧会でして、
あの時ファーメンテーションツアリズム日本というタイトルですかね。
47都道府県の発行食品が一堂に買いするっていう展覧会があって、本当偶然その前を取り掛かって足を踏んでみたんですよ。
そうしたらめっちゃ面白くて、こんな多様な世界が日本にあるのかっていうことを、そこで不勉強だから初めて知ったんですよね。
ありがとうございます。
これをプロデュースされているのは小倉さんって方なんだっていうことで、そこから小倉さんの著書を読ませていただいたっていう経緯がありました。
ありがとうございます。そういうご縁で今回はお招きいただいたということで。
そうですね。あと先日のポッドキャストエキスポ。小倉さんも登壇されていましたし、私も登壇したという。
そうですね。僕は土曜日の午前中一発目で、おみゆさんと一緒に全く緊張感のない縁側のお茶飲み話みたいなのをしてる裏で、タクラムの小太郎さんと人類学者の室さんがすごいシリアスな話をしてたんで。
それが土曜日の一発目ですもんね。一日目の一発目にそれがあるっていう感じでした。
いやー、ポッドキャストエキスポはすごい濃かったですね。トークが。小倉さんの時もものすごい人気でしたね。一日目でしたね。
ありがたいことに。そうですね。私は二日目で行ったんですけど、そこでニュースをポッドキャストで語る意味みたいなことがあったり。
あとは、これ全然単なる雑談なんですけど、今本当にポッドキャストってイケてるのかどうかみたいな話で論争が起きたりとか、いろいろありましたね。
僕も実はそのラジオとかポッドキャストもだいぶ子三世になってまいりまして、僕のやってるただいま発行中っていうポッドキャストは2021年とかからやっていて、
ポッドキャストじゃないんですけど、僕住んでる山梨で発行兄弟の小路徳ってお店屋さんの兄弟と3人でやってるラジオ番組もう11年とかやってて、
なんかこう呼吸をするようにずっとラジオポッドキャストと暮らしてきたので、なんか最近ポッドキャストが盛り上がってるとかビジネスに使えるんじゃないかみたいなことの波に全く乗れてない。
昔からいるがゆえに。そう、いるがゆえに。なんか最近そうなんだ。
いやでも本当に野村さんのような先人たちの営みがあってこその今の盛り上がりですからね。
全く自流に乗れてないんですけれども、でもとってもラジオが好きで、ニュースコネクトも野村さんとお会いした後援で聞き始めたんですけど、めちゃめちゃいいですね。
ありがとうございます。
僕ここ3、4年ずっとBBCのポッドキャストを毎日聞くっていう習慣があって、英語なんですけど、世界中の時事ニュースが政治もあり科学もあり経済もありってバラエティー飛んだのが毎日届くんですけど、こういうの日本語でもあったらいいなーって思ってたんですよ。
したらあったっていうね。
めっちゃ嬉しいです。ありがとうございます。意外にないんですよね。毎日なんてかこうまとまった形で流れてくるやつっていうのは。
そうなんですよね。だから結構ちょっと専門文化が激しすぎるというか、政治だけとかテク系のものだけとかっていうのがあるんですけど、結構やっぱりちょっと新聞っぽく普段自分が興味をあんまり張れてないものの情報が向こうから来てくれたら嬉しいじゃないですか。
そうですね。
だから本当はポッドキャストって耳で聞くから、受け身で聞くのにものすごい良いものだから、もうちょっとなんかこう普段自分が興味持ってないけど、知ったらああそうなんだっていうものが習慣化して流れてくるものあったらいいのにな日本語でっていうところでニュースコネクトはなんかすごい刺さりました。
嬉しいです。ありがとうございます。もうちょっとそういう感じで今後もやっていきたいなと思いましたね。
夕方も始まったから、俺は1日2回聞くことになるのかって思って。
すみません本当に大倉さんの貴重な時間をいただいちゃって申し訳ないですけど。
いやいや嬉しいです嬉しいです。それでは今日は改めてよろしくお願いします。
ちょっと改めてプロフィールを紹介させていただきますと、1983年東京都生まれ、早谷大学第一文学部で文化人留学を学ばれまして在学中にはフランスへ留学されました。
卒業後はですねスキンケア会社でのデザイナーそしてフリーランスのアートディレクターなどを経て2014年に発光の領域を仕事にすると決意されます。
そして東京農業大学の研究室に入り発光デザイナーとしてのキャリアをスタートされました。
その後絵本とアニメ手前ミサの歌でグッドデザイン2014年を受賞されます。
山梨県甲州市に拠点を移されまして発光ラボを開設されたのも同年です。
そしてですね全国の醸造家や研究者たちと発光微生物をテーマにしたプロジェクトを展開し2020年には発光食品の専門店発光デパートメント東京下北沢にオープンされました。
そうなんですよね。なので一貫して発光をお仕事にされてきた。
そして数々の展覧会もあればその企業さんと連携したプロジェクトもあるということですね。
なのでちょっと小倉さんにですね後半でですねキャリアについて伺っていきたいと思うんですけど
今日のメインテーマは小倉さんの新刊本ですね。僕たちは伝統とどう生きるのか。
こちらについて詳しく伺っていきたいなと思っています。
これすごく面白かったです。
ありがとうございます。
本当に見方が変わるもの。伝統というその二文字というものが今どういうふうに使われていて
その使われ方の欠点が一体どこにあり本当の意味ではどういうふうに解釈したらいいのかっていうのをかなりですね歴史とか
今のその日本の情勢っていうのを踏まえた上で解説いただいている本なんですけど
ちょっと改めて私がペラペラと言うよりも小倉さんの口からぜひお話いただきたいなと思ってまして
伝統今回テーマにしたと思うんですけど
なぜ伝統だったのか。そして今伝統ってどういうふうに捉えられているのか。そのあたりからご覧いただいてもいいですか。
はいそれではですねちょっと僕の新著僕たちは伝統とどう生きるかについてのお話をしたいんですが
まずこれきっかけがですね僕今まで本何冊も出してるんですけど
だいたいみんな発行とか職の本だったんです。講談社現代新書から出ているんですが
そこの編集部に新卒で入った女性編集者からある日ものすごい長文のメールが来て
僕のことを知って話してるのを聞いて伝統の本を作りませんかっていうすごいオファーが来たんです
僕そういう歴史とか思想とかが専門ではないので伝統を語れるかなーって思って
ただ非常にそれがとても面白い面白いメールだったのでその編集者の方のことがすごい気になっていて
なんとなくこう2人で会ってこういう本がいいんですって話を聞いたんですね
でただその本を書こうかどうか悩んでた時にこんな出来事がありました
僕今東京の下北沢で発行デパートメントっていう発行食品専門店をやってるんです
今年この商品を卸せないっていうメーカーだったり醸造蔵がすごい増えたんです
例えば秋田のハタハタっていうその魚で漁場を作っているお母さんたちから
ハタハタが来なかったので作れませんとかこれ気候変動ですよね
でもう一つがもうだいぶ年で継承者もいないから蔵閉めますとか
これは少子高齢化とか人工胴体の問題でさらにはおじいちゃんの代に投資して作った機械が壊れちゃって
で直そうとしたんだけど直すメーカーももう倒産してなくて
それに似たような機能のものはイタリアから取り寄せなきゃいけないんだけど2億円しますとか
だからそれだけのひよたえ効果あるかどうかわからなくて
新しいのに動かせないからこのラインをなくしちゃうとかそういう話があったんです
でこれは本当にその昭和のインフラっていうのが疲弊しちゃってるっていう問題で
だからまとめていくとその気候変動と人工胴体少子高齢化と
あとはその昭和のインフラっていう社会インフラがすごい疲弊してきてる地方の
そういう3つの要因が重なってすごいものづくりの現場がピンチになっているっていうことがわかったんですね
それは僕は小売リテールをやっているので一番先に結構気づくところなんだっていうのがあって
これはお米の値段がさらにものすごい上がっている時期で不確定要素がものすごくあって
良くなりはしないだろう当面っていう危機感があり
普段僕SNSであんまり何かを煽るような発言はしたくないんですけど
ちょっとみんなで考えなきゃいけない問題だと思ってあえてその問題提起として
今起こっているのは値上げの問題じゃなくて選択肢がなくなる問題なんだっていうタイトルでSNSやブログで投げかけをしたんです
それが去年の2025年の6月とかだったんですけど
それが多分数百万人の人に見られてですね大きな話題になったんです
でそれが結局NHKのクローズアップ現代っていう番組にもなったんですけど
それでまあすごいいろんな人にそのものづくりの現場が危ないっていうことが知られていった時に僕は食発行っていうのが専門なんですけど
全然僕の知らない業界からもううちも一緒ですっていうのが来たんです
例えばたて具屋さんとかあと和楽器作ってるところとか工芸やってるところ建築業界からその工芸インテリアから
あと繊維業界様々な分野から実は私たちも伝統を引き継いで100年とか200年とかやってきてるんですけど
小倉さんが言ってるような全く同じ原因で作るのがすごく難しくなってます
もし自分がこれをやめたらもう誰も作る人いなくなっちゃいますみたいな話が寄せられて
これって発行業界だけじゃないんだっていうのが分かってたんです
でその時に講談社現代新書の編集者の人のオファーの意味が分かってきたんですね
伝統を大事にしようとかそういうことではなくて僕が今まさにその伝統の存続の危機の当事者に立っているという立場から
みんなでこれどうするって呼びかけをしないといけないっていうちょっと使命感みたいなものがその時に出てきて
それで講談社現代新書の編集部にじゃあ今回の本を書きますっていうところからスタートしてたんです
でも基本的にはやっぱりちょっと切実な話で自分が後続しているこの発行という世界
伝統的なものづくりの世界が生き延びれるかどうかの瀬戸際がかなり近づいてきているっていう中で
自分が何ができるかっていうところがスタートでした
伝統の再定義:大文字と小文字の伝統
そうかだからそれはやっぱり伝統産業共通する問題ってことだと思うんですけど
特になんでしょうね小倉さんの小売りをやっている中での実感で言うとここ1,2年みたいな感じなんですか
そうですね多分10年ぐらいちょっとずつその傾向が出てきたんですけど
一気に顕在化してきたのが本当ここ2,3年ぐらいの感じですね
そうなんですねまあいろいろありますよね円安物価高みたいな話もあり
本当に今かなり熱くなってますけど気候変動みたいな話もあり
2,3年ひょっとしたら世代的なものもあり十分に継承されなくなったってこともあるかもしれないんですよね
そうなんですだから結構やっぱり原因が複合的な分だけかなり手強いというか
だからやっぱりもの世の中ってそういうもんだと思うんですけど
一つの原因じゃなくて複数の原因がこう悪い意味で歯車噛み合っちゃうタイミングってあるじゃないですか
それがまさにそのものづくりの現場を直撃しているっていうことが身をもってわかったので
それに対して本を書こうってなった時にこれは伝統を守ろうみたいな呼びかけじゃダメだと思ったんですね
そうではなくて選択肢をなくそうとしているのは実は僕たち自身なのではないかっていう
だからそこからリアルな場所から始めなければいけないっていうことを思ったので
だからこの本のタイトルは僕たちは伝統とどう生きるかなんですよね
だから伝統を大事にしようとか伝統はいらないとかではなくて問いの形になってるんです
そうするとやっぱりこれまでのその伝統の語られ方ですね
今まさにその伝統を大事にしようと伝統はいらないっていうふうに2つおっしゃいましたけど
その何か二項対立が今までは多かったってことなんですかね
はいその通りだから最初のステップ1は自分のお店で気づいたそのものづくりの危機っていう
自分の実体験から来てるんですけどこれで伝統についての本を書きます
じゃあいざ書くぞってなった時に問題2にぶち当たりました伝統を語るの難しいって
なるほど
難しいってなったんですよ何が難しいかっていうと結論から先に言うと
日本が戦前戦中の植民地政策だったりある種の加害をいっぱいしてきたわけですよね
その戦争の中でそれの生産がどうもうまくできてなくて戦後この伝統を語るっていうことが結構タブーになっているっていうことがわかってきたんですね
それは非常に根深い問題でやっぱり伝統について語る
例えば伝統ポジティブに語るっていうことはすなわちかつてのその日本が帝国主義時代だった頃の
まあ要はすごい他の国に対して生きていた頃の日本のその精神性のあり方だったりその戦争犯罪っていうものを
暗に認めてしまうような形になってしまうしで一方でその伝統っていうものをやっぱり
ポジティブに捉えていろいろ発信していくメッセージってかなりなんかその政治的には排外主義だったり
国粹主義っていうものと紐づいているものが多いとで僕自身の立場としては
僕のやってる例えば発行デパートメントっていうお店ってお客さん半分弱ぐらい海外の人なんですね
だから日本の伝統を扱ってるんですけど同時にものすごいグローバルに広がれた場所で
僕もいろんな国の人たちと共同して仕事をしているのでなんかこう
日本だけが良ければ良いとか日本が一番とか全然思ってないですけど
その中でそういう立場で伝統を語ることが実はかなり難しくて
何かしらのあの僕が生まれる前から始まっていた僕の親とかおじいちゃんの代から始まっていた
何かしらのなんかこう思想的な制限っていうのがここにはあるっていうのが調べていくうちに分かってきたんですね
その結果どうなってるかっていうとこれまで出てきたその伝統の本って
例えばいくつかパターンがあるんですけど一番わかりやすいのはなんかこう日本すごいみたいな
日本はこういう国でこういう歴史を持っていてだからすごい他の国とは違うんだみたいな
日本の優位性をこう言うために歴史とか伝統が脱信されてるっていうのがある
もう一個はこれはもう比較的あのなんて言うんでしょうね
一番好ましい僕にとっては好ましいですけど伝統の当事者から例えば
じゃあ歌舞伎をやってる人とか農やってる人とか茶道やってる人から
日本の具体的なその伝統の何かしら具体的な話があってこういう素晴らしい文化があるから
これを大事にしようとかこれを誇りに思うとかこれはなんかすごくいいなと思うんですね
僕もそういう本いっぱい持ってるんですけどそれがある
3つ目はどっちかというとその評論家とか思想家の人たちに多いんですけど伝統に騙されるなって本ですよ
で自分たちが伝統だと思ってるのは明治以降に非常に恣意的に作られたもので
本当の伝統ではない作られた伝統だという3つぐらいのパターンがあって
これ僕どれにも該当してないなと思って
どれにも該当してなくてじゃあ何なんだろうっていうことを考えてた時に
伝統という言葉の日本に生きてる僕たちのこの伝統っていう概念自体を1回整理して
今ポジティブに語るべき伝統というか真剣に考えるべき伝統と
ある種その歴史的な反省をもとに乗り越えていく伝統っていうのを概念として
ふわけしていかなきゃいけないそうじゃないと語れないっていうことに気づいたんですね
これがステップ2の難しさでした
そうかでもおっしゃる通りですね伝統というものの類称を図書館で探そう
図書館でも本屋でもいいですけど探そうと思うと確かにこれ1,2,3のパターンのいずれか
2は何かを主張するというよりも今こういうことやってますっていうファクトが書かれてると思うんで
何かを主張するものはだいたい1と3に分かれるってことですね
そうなんですだから伝統素晴らしいだから日本素晴らしいか
作られた伝統に騙されるなかどっちかなんですよ
極論な感じがしますねそれぞれ
そうなんですでじゃあひるがえって僕の立場で言うと
発行って作られた伝統じゃないんですよねそういう意味で国家によって
そういう側面もゼロとは言わないんですけど基本的にはその土地その土地で育まれてきて
何百年とか下手したら千何百年とか続いてきて
少しずつ形を変えながら基本的なコンセプトだったりとか
その挙動体における位置づけっていうのはかなり原型を保ったまま何百年ってきてるものがいっぱいあって
そういうものが僕の店何十個とかあるわけですね
で実際僕はそこの現場に行ってそこの人たちから話聞いたりフィールドワークをやっていて
ちゃんと作られてないそしてそのある種その政治的にもなんか
恣意的に利用されてない伝統っていうものがいっぱいあって
これが僕たちの暮らしを支えているしもっと言えば伝統に興味がない人たちの生活も含めて支えているっていうことなんです
例えばドンキホーテとか行くじゃないですか
ドンキホーテに売ってる商品の中で地方でずっと何かしらの技術継承をしてきて
何かに特化して例えば生活雑貨とかを作っているようなメーカーって実はいっぱいあるんです
僕たちが知らないだけで例えば金属の型を作り物みたいなものだったり
こういうのって江戸時代から続いていったり
例えばじゃあ何か気に入ったジーンズを買いますって言ってる時に
やっぱりその西日本のその繊維業が元になったり繊殖が元になったりして
例えばジーンズの技術ができてますとか
僕たちは伝統っていうと何かこう本当に様式化された何か特殊な世界と思うんですけど
日常生活でどこかで買う商品とかにもこのずっと何百年も継承されてきた伝統っていうのが隅々行き渡っていて
それによって僕たちの日々のクオリティオブライフがちゃんと守られているっていうことをやっぱり
僕は発行の仕事を通してやっぱり気づいていったんですね
なんでもっと切実なんですよね日々の生活にものすごく関わってくる
本当にそうですね
でそれが危機を迎えてるっていうのはやっぱりよろしくないので
基本的にはやっぱりちゃんと価値があるものなんだよっていう風にポジティブに言いたいんだけど
雑に言うとある意味で言うとその戦中戦後以降からずっとある種タブーのように続いてきた
何かしらの極端な国粹主義みたいなものに巻き取られちゃう形にもなるから
そこにはまらずにうまくポジティブな呼びかけをできる方法はないのだろうかっていうところがあって
でこの本の一番大きなトピックスは伝統を大文字の伝統と小文字の伝統に分けるっていうアイディアにつながってたんです
そうですよねそれが本当にユニークなところだと思うんですけど
伝統というかなり一緒くたに語られがちなものを本当にAとBに分けるという話だと思うんですけど
ちょっと大文字小文字それぞれどういうものか伺ってもいいですか
はいちょっとせっかくなんでちょっと本手元にあるんで読むのが一番いいですね
僕ずっと最近気づいたんですけどラジオとかポッドキャストずっとやってきた割にあんまり喋るのが得意じゃないかも
えそうなんですか
最近思い始めた
めちゃめちゃ喋るのうまいなーと思って私聞いたんですけど
いやいやいやなんかあのちゃんとなんかこう自分の本の方がちゃんと言いたいことがまとまってるなと思って
そうなんですねあれですかじゃあその書いてアウトプットする方が楽というか精神的な負荷少ない
負荷高いんだけど書いた文章の方がちゃんとその情報の流度がきちんとまとまってて
そうなんですね
だから説明するときは自分の書いたものを読むのが一番いい
すいませんあの二度手間みたいなことさせてしまって恐縮なんですけど
いやいやいや全然全然えっとじゃあちょっと読みますね
歴史の過ちを繰り返さずに過去から受け継がれてきた文化や知恵を生かすために伝統を二つに区分しよう
一つは大文字の伝統全部大文字でトラディションである
それは強さに向かう伝統権威を生み出し少数派や弱いものを従わせる伝統
使う死体も範囲も大きく形を崩すことのできない大文字の伝統だ
覇権として土像を作り出すと同時に少数者の抑圧としても機能する
もう一つを小文字の伝統全部小文字でトラディションと名付ける
それは弱さから生まれる伝統権威に飲み込まれないよう流れるように形を変える小文字の伝統
逆らえない大きな流れの中でも自分のアイデンティティを見失わないための小舟のようなものだ
もう少し対比を続けてみよう
大文字の伝統は〇〇すべきという強制的な命令
小文字の伝統は〇〇であってほしいという自立的な願い
大文字の伝統は唯一の答えを生み出す求心力
小文字の伝統は多様な可能性を生み出す遠心力
大文字の伝統は文字と知に宿る
小文字の伝統は行為と手に宿るというふうに書いてある
これが僕の中の定義でだから伝統って何も注釈をつけずに語ろうとすると
それはすなわち大文字の伝統に見られてしまうということが今までの難しさだったんだということで
この言葉を分けた後に気づいて
大文字の伝統は大文字の伝統でも必要なものだと思うんですよね
やっぱりそれがないと社会全体の秩序が生まれないので
それはそれで必要なものだけどそこの部分に関しては非常に
日本はまだ過去の戦争の中で伝統というものを盾にしてやってきたいろんな課題っていうのが
まだちゃんと生産できてないっていう問題も依然として残っていて
でもそれはそれをどうするかみたいな話は僕の仕事じゃないので
それはそれこそ僕の仕事じゃないのでそれはそれとしてある
だけどそれとは別に小文字の伝統があって僕が考えたいのは小文字の伝統のことなんだっていう
この本を読む人そして僕と一緒にこれからの伝統を考える人社会を考える人が
フォーカスするのはまず小文字の伝統にしてみようっていう呼びかけを思いついた時に
多分きっとちゃんと生産的な話が同時代の人たちと伝統についてできるんじゃないかって思いました
哲学から紐解く伝統:プラトンとアリストテレス
定義の一番最後の大文字の伝統は文字と地に宿る
地というのは結構本当にこれまで歴史的にだからこの民族は優れていて
この民族は劣っているんだみたいな習たりにも使われてきてしまったということですよね
一方で小文字の方は行為と手
これつまり本当に小倉さんがずっとご覧になられてきたある地域において
こういうものが受け継がれ作られていて
でもそれっていうのはその伝統を誇ってるわけじゃなくて
生活の必要としてそういうのをずっと作ってきたっていう
それこそがやっぱ小文字の伝統ってことですね
例えば日本という国は産業だったり文化の隅々に小文字の伝統は行き渡ってる
先進国の中ではかなり珍しい国で
僕はそれを日本のたまたまですけど非常に優れたところだと思ってるんです
だから野村さんが光の展覧会来た時にびっくりしたわけじゃないですか
この多様な世界があるんだって
あれなんですあれが先進国なのに地方隅々にあるっていうことは
ものすごい巨大な財産なんですよね
だから47都道府県の発行を調べて展示した時に
僕はやっぱりちょっと抽象的な視点で俯瞰した視点で言いたかったのが
この発行というのはその日本の文化の多様性の象徴なんだと
これをもちろん美味しいし健康にいいんだけどそれだけではなくて
文化的資産として大事に発展させようっていう
大きなメッセージがやっぱり展覧会の中にあったんですね
でそれを今までは発行っていう領域でやってきたわけなんですけど
今回の新庁とそれに紐づく活動の中では
職以外の全ての領域に広げてこの伝統っていうものを
2020年代のしざで話すっていうことをやろうと思ったんです
そういうことですね
そうするとじゃあ伝統を語ると
大文字と小文字を分けて語ろうということを
多分本当にメインのキーワードとして思いつかれたと思うんですけど
本書の語り方論の持ってき方として
私がすごい面白いなと思ったのは
プラトンとアリストテレスから始まってるじゃないですか
始まっていて
例えば日本の江戸時代の国学であるとか
あと歴史学者のガダマの論であるとか
あとはこれは今の話にもつながりますけど
ナチスや大日本帝国が何をしてきたかみたいな
民芸運動は一体どういう意味があるのかという風に
かなりレンジの長い語り方をしてるなと思うんですけど
この構成っていうのは
いかにしてたどり着いていったんですか
僕の性格もあるっていうのが第一で
要は一番根源まで戻って話そうっていうのもあるんですけど
もう一個は言論を作りたかったんです
なぜかというと
それはこの本は第一に
ものづくりをしている僕の友人たちに向けて書いたもので
彼らは今非常な困難を感じている
どんどん原料費も上がるし
固定資産税も高いし
場所いっぱい必要だから
そういう困難を抱えながら
全部その土地を駐車場かマンションにした方が全然楽なのに
でもやっぱりものづくりをし続ける彼らは
何で自分がそうするのかっていう理由を知りたい
頑張ってこうやっている
それに僕も答えたいというか
書いている途中に僕の仲良しの店の旦那から
自分は本当こういうので
親から受け継いで結構楽しんでやってるんだけど
何で自分がこういうことをやってるかっていうことの
答えになるようなのを書いてくれたら嬉しいなって言われて
それずっと自分の中で引っかかってきて
そうするとやっぱり意味を見出す
つまりメリットこういうことをやってるから社会が良くなるんですよみたいな
メリット提示じゃなくて意味の提示じゃないとダメだと
そうじゃないとやっぱり彼らが本当に大変な思いをしながら
やっぱりものづくりしてるというこの現実に対して僕は答えられないと思って
そうするとやっぱりそもそも人類は伝統というものを介しながら
社会をどのように捉えようとしてきたのか
あるいは人間の在り方をどのように捉えようとしてきたのか
っていうことから始めないとダメだってなったんですよ
ずっと調べていって戻って戻って戻ってってなって
たどり着いたのがプラトンとアリストテレスだったんです
本当にそういうことですね
そこからだからルーツはどこなんだ
何から語っていったらいいんだって戻っていった結果そこに繋がったってことですか
なので僕はこう思うよりももっと強いものが必要で
人類はこういうふうに伝統というものを認識してきたから
だからものづくりをしてる僕も含めて
人類史の一番新しいページにいるんだと
ぐらい強い意味を提示しないと
みんなもう嫌だってなっちゃったら
僕の大好きなあれもこれもなくなっちゃうなって思ったんですよね
その危機感がとてもありました
よくわかりましたそういうことですか
でも確かに例えばアートの世界であっても
ぽっと出てくるってほとんどなくて
そのアートの歴史があって
こういう文脈の中でこれを乗り越えてるからこれが大事なんだみたいな
語られ方じゃないですか
それと同じようにってことですよね
伝統的なものっていうのもこの文脈の中で今これをやってんだ
っていうような位置づけの仕方をしたってことですか
そうだからやっぱり自分の仕事だったり
自分のやってることに対するその内発的なロイヤリティって
やっぱり人類の歴史の中に参加してるってことだと思うんですよ
自分が今この瞬間に
でそこまで掘り起こす本にしないといけないぐらい
物作りのこの現状が危ないっていう
っていうことをなんかこう思ってました
書きながらもどんどんこういろんな危機が来るわけですよ
えっあそこもやめちゃうのみたいな
僕大好きだったのに
僕はお金持ちだったら授業継承すんのにとか
悲しいことがいっぱいあって
でやっぱりそのためにもっと自分がこう思うみたいな感想ではなくて
よりその人間のその文化だったり物の考え方の
やっぱり根本から考えていかなきゃいけないって言った時に
一番やっぱりエッセンシャルだなって思ったのが
プラトンとアリストテレスだったんですよね
そういうことですか
でこのプラトンとアリストテレスの伝統感って
もはや人間とは何かっていう
今のAI社会に対するなんかものすごい大きな論点を含むぐらい
とんでもなく根源的なその立場っていうのを提出してるんです
ちょっとアリストテレスとプラトンにとって伝統とは何だったかっていうのを
ちょっとかいつまんで話してもいいですか
まずプラトンはソクラテスの学弟なわけですけど
プラトンは彼が考えるのはその真実というものが
世の中にプリセットされていて
それを理性によってつかみ取る献人っていうのがいると
その世の中にプリセットされている理想っていうのが
イデアとかっていうわけですよね
それをつかみ取ることによって素晴らしい政治社会ができるんだっていう
すごいプラトンの研究者からすると雑な言い方ですけど
そういうことを考えるわけです
その時に伝統っていうのは因集になっちゃうわけですね
だから経験主義みたいなの邪魔なわけです
プリセットされているものをつかめばいいわけだから
そこに経験はいらないわけですよ
経験っていうのはそのイデアを見るのを曇らせる因集であるという考え方なんですね
プラトンの場合は
で分かるというか
要は正解は1つ絶対の正解が1つあり
人間の経験則だったりとか
社会的な語彙形成っていうのはある意味で言うと
たった1つの真実をつかむのの邪魔になることもあり得ると
いうふうな考え方をちょっと乱文付けするわけです
さらにプラトンの弟子数字に当たるアリストテレスになると
ちょっと違っていて
これもアリストテレスってものすごい多面的な哲学者なんで
ある部分だけちょっと今恣意的に抜き出してると思ってください
プラトンが真理というものを目指したのに対して
アリストテレスが目指したのは善だったんですよね
トゥルースではなくて
なんかグッドであることを目指したんです
でアリストテレスはそう考えると
真理は1つかもしれないけど
善はそれを求める人の数だけあるって考えるわけですね
だからその人間の社会的な営みっていうのは
様々な人とのコミュニケーションを重ねて
関係性を重ねて世界との関係性を重ねながら
人それぞれにその最高善というものを目指していくんだっていう考え方をするので
その結果どうなるかっていうと伝統いいじゃんっていうことになるんですよね
伝統っていうのはたくさんの人たちが時間をかけて合意してきたものだから
そこにはその信頼が積み上がってると
この信頼を積み上げていくことによって
この善というものに到達できるんだという考え方
結構プロセス主義なんですよね
それに対してやっぱりプラトンの唯一の真理を掴み取るっていうのは
プロセスよりも本当に結果なんですよ
だから結果なのかプロセスなのかみたいな話になってきて
伝統っていうのがポジティブなのかネガティブなのかっていうのはここにあって
結果が大事であれば伝統っていうのはネガティブになり得るんですよね
むしろそのベストな結果にたどり着くのを邪魔をすることすらあるみたいな
それに対してプロセスを重視すると伝統ってものすごいポジティブなものになるんですよね
だからそこで何かその真理とか真実というものがあるとしたら
それはすでに誰かが決めたような神のような存在が決めた
絶対的なトゥルースっていうものがあってそこにたどり着くレースなんだっていうふうに思うのか
それともそのプリセットされた唯一の答えっていうのはなくて
ある文脈ある共同体があってある文化があって
その中でその環境での一番ベターな善を求めていった結果
事後的にこれが正解なんじゃないかっていうのが生成されてきてる
っていう2つの考え方が分かれてくる
で僕は絶対アリストテレスが好きだなって思ったんですよ
個人的ななぜなら僕が凡人だからっていう
自分がもう圧倒的に唯一の真実に到達できる超人だっていう自信があったらですよ
イーロンマスクみたいにジェフ・ベロスとか多分プラトンすげえと思うんですけど
そうじゃないからやっぱり人それぞれがそれぞれの文脈でベターを尽くしていった結果
社会的なある文脈の中で社会的なその答えみたいなのが合意されていく
その合意されていくプロセスにこそ価値があるっていうふうに
アリストテレスが考えていると僕は受け取ったんです
でこれが伝統というもののある種の原点というふうに思ったんですね
ちなみにそれよりさらに500年ぐらい前に古代中国の州っていうところで
かなりそのアリストテレスの伝統の考え方に近いようなもの
アリストテレスはノモスって言うんですけどそれと近いような概念が出されていて
それが礼なんですよね礼儀の礼ですね
でそれが発展していって孔子が発展させて儒教になっていくんですけど
実はアリストテレス的な昔の古代ギリシャの都市文明から出てきた
ノモス伝統っていう考え方と古代中国から出てきた礼っていう考え方
結構近くてっていうこともすごく驚きでした
でもそれぐらい古いところから実はそのプロセスなのかそれとも結果なのかっていう議論が続いてるっていう
私も個人的にアリストテレスの方ですねやっぱり
ガダマーの解釈学:伝統は「守る」ものではない
そうですね
めっちゃ雑なんですけど自分の社名にクロニクルって付けてるのは完全にそれでして
やっぱりそうなんだ
やっぱりそうですね
やっぱり蓄積してきたものに意味があるっていう風に思っているというのがあって
プロセスというかそうですねやっぱり残ってる
そして今はそれは今の状況に一見そぐわないかもしれないんだけど
残ってるってことはまだ我々が理解できていない何かの理由があるんだなっていう風に
ちゃんと経緯を払った方がいいというのが結構個人的な考えではありますね
そうですね
すごいちょっとやっぱりアリストテレスってさまざまな古代の哲学者の中でも
結構何か懐が広いなという感じがしますね
だからとても古代ヨーロッパ的でもギリシャ的でもありつつ
だからちょっとアジア的な視点も生物学とかもやっていたし
僕改めてアリストテレスっていいなと思ったんですよね
その後のいろんな思想家の話も出てくるんですけど
特に影響が大きいのかなと思ったのが歴史学者のガダマ
ガダマという固有名詞はそんなにひょっとしたら
日本では著名ではないかもしれないんですけど
この人に着目した理由っていうのはどういうところにあったんですか
ガダマは主に聖書の解釈を研究していた解釈学者
哲学者でハイデッカーの弟子ですね
ドイツのガダマは日本ではちょっとマイナーで
ちょうど真理と方法っていう素晴らしい本があるんで
今回の新聴の別の世界観を作っている真理と方法っていう本があるんですけど
それがね僕の大学生ぐらいの時にようやく出たかなぐらいの
それぐらいちょっと日本に紹介されるの遅かったんですが
今これニュースコネクト聞いてるリスナーの皆さんで
哲学とか思想とかに興味ある人はぜひ真理と方法を読んでほしいですね
特に第2巻が最高に面白いんですけど
伝統とは何かっていうことを書いてるところなんですけど
それをたまたま僕子供の時っていうか学生時代に
キリスト教者のご記事の知り合いがいて
彼の影響でガダマというのを知っていた
キリスト教者でもあり研究者でもあったんですけど
そのガダマっていう人の研究をしてたんだみたいなことからちょっと知っていて
大学でその真理と方法が出たばっかりだったので読んでずっと覚えてたんです
今回伝統の本を書く時にもしかしたらすごいキーはガダマかもしれないっていうことをちょっと思い出して
それはどこにあるのかっていうとガダマはめちゃくちゃ面白いことを言っていて
過去は発明されたっていうことを言うんですよね
過去は発明された
これすごい面白いですよね
18世紀もっと一応前ですね
フルネッサンス以降の啓蒙主義に至る歴史の流れの中から解き明かしていくんですけど
例えばこの本の中にも出てきてますけど
吉常千本桜っていう浄瑠璃とかにもなっている
その僕大好きな歌があるんですけど結構変な話で
平安時代の武士の話なのに舞台が江戸なんですよ
明らかにみんな江戸の服着てでも平安時代の話ですみたいな
すごいですねなんか6,700年ぐらい飛んでいるってことなんですね
これどういうことなんだみたいな
でも同じことがあってやっぱり中世の例えばローマ時代の写本とかって
絵を写す時に服装が変わっちゃうんですね
中世の服装になっててローマ風じゃなくなるみたいな
僕らからするとローマ時代の本なんだからローマ風の衣装のものを写せよって思うんだけど
そういう概念がないわけですだからその時代っていうのは
昔の時代と今の時代が違う理屈で動いている
違う世界観で動いているっていうことの概念が今ほどなかったんですね
だからある意味で言うと温庫地震っていう世界観が出てくるわけですよ
過去と未来は重ね合わせられるっていう
でもガダマーはずっとその系譜を研究していく中で
特にその啓蒙主義っていうものが出てきた時に
ある種その時代っていうか時間が物質化されたという現象が起こるわけです
だから啓蒙主義はやっぱりその唯物論に向かっていくので
目に見えない時間とかっていうものも定量化していくわけですよね
そうなってた時に過去の時代と今の時代は違うものだと
違う時間軸なんだっていうふうにある種の物質化していくわけですよね
でその時に初めて昔の人と今の人は違うっていう考え方になっていくから
やっぱり江戸時代の着物はおかしいってなるんですよ
平安時代だから平安時代の服着てろよ、違う時代だから
でこの時にそのガダマーが指摘されたのは非常に古代の世界観だと
人間っていうのはその歴史が時間が進んでいくほどにダメになっていくと
その文明の起源っていうのが一番活力があって
倫理もちゃんと荒れてなくて人心も荒れてなくて
歴史を重ねに従ってだんだん疲弊していく、荒んでいく
だから古代に戻ろうみたいな、ルネッサンスとかもそうですけど
で孔子も衆王に帰れとかっていうわけなんですけど
そういう考え方がになってくるんだけど
啓蒙主義になった時にその時間っていうのが分割されていって何が出てくるかっていうと
真逆の考え方で時代が進めば世界は良くなる、なぜなら人間を改善していくから
だから過去は未来より良くなるっていう考え方が初めてこの後に出てくる
これを歴史認識というっていう風にガダマーは言っていて
それはすごく伝統を考える上で大きなポイントなんだって思ったんですね
そういう大きな枠組みがあった中でガダマーが言ってることってすごく変わっていて
一周回って古代の今と昔が混ざっちゃうものを肯定する
全部じゃなきゃ啓蒙主義を規定しちゃうんですね
昔の時代と今の時代って本当に隔たっているのかと
本当に全く干渉し得ないものなのか
そうではなくて例えばキリストの言葉を見てみろと
時代を越えてずっと受け継がれている言葉があるじゃないかと
だから本当は過去現在未来っていうのは隔たったものではなくて
何かを例えば言葉とかを受け渡すことによって
その分離された過去未来現在っていうのが繋がる瞬間があるんだと
そのようにして2000年以上前に2000年前に語られたキリストの言葉っていうのを
今語られたその地肉の通った言葉として
もう一回蘇らせなきゃいけないっていう締め感があったわけですね解釈学者の
この考え方ってでも絶対伝統に生かしたほうがいいと思ったんです
なぜならガダマー以前の考え方だと歴史って守るになっちゃうんですよね
だから過去は過去のままやっぱり再現しないといけないから違う時代だから
だから伝統は守ろうっていう形なんですけど
やっぱりガダマーにおいての伝統って違っていて
守ろうとしても例えば100年前の人間と今の自分って違うから
守れないっていうですね守ろうとしてもだから違う解釈になっちゃう
でもそれでいいんだっていう話で
そうやって違う解釈が分かれていってもなお受け継がれていくものがある
なお受け継がれていくものをずっと手渡していくことっていう
変わりながらも手渡していくダイナミズムっていうのが伝統なんだっていうんですよね
いやーこれすごいいい話ですよねいい話っていうか納得感の話だなと思って
そうなんです
だからあれですよねまあその今この我々が生きているこの状態に
その過去から受け継いだものが多分要素として残っていて
それをまあ現代風に利用とか使っている生活のために使っているっていう
まあそれをまあある意味肯定しているってことですよね
そうなんですだから小文字の伝統さっき言った小文字の伝統って
全てそのある種ガダマーのがいう伝統みたいな継がれ方をしていて
例えば発行で言うと日本酒とかっていうものがあるんですけど
この基本的な製法って実は江戸時代の中期ぐらいにできてるんですよ
もっと流行っている人もいるんですけど
だから技術としては結構2、300年前に完成してるんですけど
味はなんか時代によって変わっていくんですよね
それは技術のコアの部分とか作り方の基本的な思想は変わらないんだけど
日本人がなんかイタリアン食べるようになりました中華食べるようになりました
酸っぱいものも辛いものも大丈夫になりましたって言うとやっぱり日本酒も変わってくるんですよ
でそれってやっぱり100年前の人たちと同じ食生活してないから
100年後の自分たちがその100年前の人たちと同じ食生活をしてないことを悔やんじゃいけないっていう考え方なんですよね
別にいいじゃんしょうがないじゃんそれでって
だけどその100年後の僕たちでも美味しいと思う日本酒をいかに作るかっていう時に
100年前のその酒の技術を作った人たちと100年後の今の僕たちは離れたように見えて
だから地平が異なっているように見えてでも同じ場所に立つことができる
それは地平融合って言うんですけどその時に伝承というか伝統の受け渡しが行われるんだというのが
ガダマーの言ってることでこれ発行のことだなって思うんですよね
現代における伝統の可能性:岡本太郎とリンネの事例
そうですねそっかだからやっぱりこの伝統しかもこの小倉さんのご友人、友人、知人が
まさにリアルに生活の糧としてやってることっていうのは結構そのガダマーの理論を読むと
なるほどこういうことだったのかっていうのが理解できるってことですね
そうなんで何かはしょって言うとガダマーが教えてくれるのは伝統は守らなくていいってことなんですよね
そうではなくて今を生きている自分の自分たちのリアリティを持って
100年前とか200年前の先人たちのその技術とか思想にぶつかれってことなんですよね
結構本を読んでこれリスナーさんにもぜひ読んでいただきたいんですけど書き口とか語り口というか
結構面白いんですよね小倉さんのガダマーのことはガダマー先生
ガダマー先輩
先輩という風に書かれていたりとかあとこれ無理じゃねっていう風に書くみたいな
言葉使いがあったりとかあって面白いんですけど私が結構読んで笑っちゃったところが
じゃあ日本の伝統っていう風になるとよくその日本の伝統を掘り起こして
それを世界に伝えるんだみたいなことを言う人がいると思うんですよね
それをそのなんか上がった企業家みたいな人がこうなんか言うみたいな
たまにいるんですよね
まあいるんですよねきっといますよね
それは上がった企業家みたいなことを言う人じゃなくて
本当は別の態度が必要なんだってこと書かれてると思うんですけど
まあよくあるこのその日本のその伝統を掘り起こして世界に伝える論
っていうのは小倉さんのこのやっぱ見ているものからすると何が欠けてるんですか
まずあんまり波及しない
波及しない
波及しないそもそもがそんなにそれが大きく状況変えない
だから日本のこのある種のその特殊な価値観というか
そのガルバゴスした価値観をすごい他と違ってユニークなものだから
きっと海外に出したら受けるぞみたいな話って結構うまくいかなくて
うまくいかないしなんか態度として若干なんか寂しいかなと思ってるんですよね
それはなんか届けようとしてる人たちを若干バカにしてる目線でもあるような気がしていて
要はなんかそのちょっとなんかあんまり丁寧な態度じゃないっていうか
なんかまあわかってくれるっしょとか
それはなんか裏返しのやっぱり日本すごいと一緒なんじゃないかなって思うんですよね
だから今気づかれてないんだけど俺たちやばいんだよみたいな
そういうことはなんかあんまり生産的じゃないと思っていて
この本の中で書いてるじゃあどういうスタンスがいいんだっていうのは
僕は岡本太郎がすごいなと思ってるんです
岡本太郎は日本の伝統っていう本をまさに書いてるんですけど
もうめちゃくちゃなこと言ってて
そうやって形式ばった伝統だったら滅びた方が良いみたいなことを書いていて
大阪は最高だみたいな京都と違って
ここにはなんか上辺作ろうった伝統がなくて
みんなその日の生活に追われて悪セクしててめっちゃ悪趣味だみたいな
だけどこれが現代日本の祝図だと
だったらこの品のなくて悪セクしているところから始めなければいけないみたいなことを言ってて
結構ガダマーっぽいんですよね
ガダマーもなんかそのだって現状こうだから
まずそこ肯定するところから始めようよって
無理なものは無理って言おうよっていう
無理な理想を押し付けるのやめようよっていうところから始めて
結構なんかリアリスティックだと思うんですよ
でその中でじゃあ
その日本の伝統っていうものがどういう風に
その外に向かって開かれていくのかっていう話で
まあ岡本太郎にとって大きなテーマだったんですね
でそういう岡本太郎のその伝統に対する考え方を
この本の中で言うと理解するんじゃなくて了解した状態で言うと
どうなるかっていうと
どっちかっていうと日本の伝統を世界に出そうみたいな
ことの逆の方がいいと思っていて
で自分の中の通過してきた全ての体験とかインスピレーションを
全て伝統とみなす
だからそれは例えばじゃあ料理人だとしたら
イタリア料理の伝統も自分の中の伝統だとみなす
中華料理も自分の中の伝統だとみなす
でそういう日本に限らず様々な伝統というものを
体に通過した後に和食を作る
さっき言ってたそのよくある話だと
インプットが狭くてアウトプット側が開いてるみたいな感じなんですけど
僕は逆だと思っていて
インプット側が開いていてアウトプット側がすごい尖ってる
狭いっていうのが僕は面白いと思ってるんです
でそこの中の具体例で言うとこの中では
リンネっていう新しくできた京都の酒蔵が出てるんですけど
グローバルにすごい活躍してた結果
宮台区の技術とか縄文っていうものに着目して
でもグローバルな酒も知っていて
それを割と古典的な日本酒っていう形式に当てはめていくんだけど
普通米で作る麹を縄文を通過してるので
栗で行くかみたいな蕎麦で行くかみたいな
なんかことをやってなんか遡りすぎてて新しくなってるみたいな
あのすごい不思議な世界があるんですけど
彼はやっぱりその日本酒っていうその狭い形式の中に
本当にいろんなインスピレーションを圧縮していくことで
すごくインパクトのあるプロダクトを作っているんです
で今僕のお店の海外から来る人たちもリンネすごい受けていて
それってなんかすごくいろんな視点があるんですよね
だから彼は日本を代表してないんですよ全く
日本を代表しようとしてなくて
自分の個人的な興味とか自分のインスピレーションっていうのを
日本というフォーマットにぶち込んでるわけですね
それが何を起こすかっていうと
まず例えば米じゃない麹で作ってるので今米めちゃくちゃ高いじゃないですか
だからこのままの米の値段続いたら日本酒業界やばいかもっていう状態の時に
こういう可能性もあるんだみたいな
他の酒蔵にすごいインスピレーションを与えるわけですよ
米がなくても酒は作れるっていう
サバイブする道を一つ示してるし
海外の人にとってはじゃあ例えば蕎麦
蕎麦の麹のお酒を作りますってなった時に
フランス人ってガレットスってやっぱり近いじゃないですか
だから米の日本酒より蕎麦の日本酒の方が私に近いと思うんですね
だから尖ったフォーマットになることによって
別に世界酒にしようとしてるわけじゃなくて
むしろそのいろんな偏った伝統っていうのを
エッチに押し出すことによって
なぜか世界酒に近づくっていうことが起こるわけです
これは岡本太郎が言ってて本当にそうだなって思うのが
普遍性、日本の文化の普遍性を信じるんじゃなくて
自分自身の普遍性を信じるって言ってるんですよ
なるほど、いい言葉ですね
これめっちゃいいなと思って
岡本太郎って変な人だけど大した人だなと思って
だから今井くんは自分自身が
ほんと麹とか発酵っていうものに熱狂してやっていることに対して
やっぱりまっすぐなんですよね
で、そうやって麹とか発酵に熱狂している
その麹の熱狂っていうのが
実は地球の裏側の同じく発酵とか麹に熱狂してる奴らが増えていて
ダイレクトに響いちゃうんですよ
輪廻の今井さん
そうですね、輪廻の今井さんが
だからこれが僕は現代的な伝統の可能性だと思ってるんですよね
でもそうかもしれないですね
なんか切り備えたものというよりも
その人が生きてきた全てっていうのがインプットになり
それこそが独自性を生み出すってことなのかもしれないですよね
で、それのなんかこうえっちいさというか
その爆発性を持たせるために
ある種その狭い伝統っていうフォーマットを使うっていう
だからすごい大量のものを圧縮して
狭いつつからパンって打ち出すみたいな感じだと思うんですけど
その時に時代を切り開いていくような表現ができるっていうのが
やっぱりこれ岡本太郎的なやっぱりメッセージというか
岡本太郎はやっぱりそういうことを考えたと思うんですけど
それがやっぱり今新しい時代の発酵とかものづくりをやってる人たちに
やっぱチラホラー出てきてるんですよね
そうなんですね
リンネンの今井くんっていう人もそうだし
あとは例えば発酵っていう領域でいうと
僕やってる発酵デパートメントにこの間来てた
コロンビアからのチームがいて
今麹のこと学んでると
で、いろいろ教えてくれって言って教えて
で、どうすんのって言ったらコロンビアに行って
麹のメーカーを作ると、麹屋さんをやると
え、米麹とか麦麹とか作るのって言ったら
いや、アマゾンの作物を麹にするって言うんですよ
すごいですね
作れるんですか?アマゾンの作物で麹って
科学的にフラットに分解すれば作れる
タンパク質とか原粉質があれば
だからやっぱり彼らは彼らなりに
日本の発酵文化っていうのをやっぱり彼らの
グローバルな伝統に取り込んで
そのアマゾンでずっと伝統的に作られてきた
食文化あるらしいんですよ
そこのフォーマットの中に
争点しちゃうっていうことをやっぱりやろうとしているんですよね
そうなんですね
いや、めっちゃ面白いですね
よくわかりました
日本の伝統世界論の欠陥について
それでいうと
もともとちょっとこの本についてのまとめにかかるんですけど
もともと伝統的な産業が今起きている危機感
今まさに直面している危機感っていうところから始まったわけじゃないですか
そういう行為の歴史的な位置づけ
歴史的な意義っていうのを
ある意味説明したいっていうようなところで始めていって
それは多分この本で説明できているのかなと思うんですけど
読者である我々
その伝統産業にかかっていない我々
多分このまま行くとそういった産業っていうのは
だんだんと消失していって
それっていうのはさっきのドン・キホーテの例じゃないんですけど
実は我々の日常生活のいろんなところに影響を与える
ってことが多分未来としては見えている中で
どう振る舞えばいいのか
最後その辺り伺ってもいいですか
ありがとうございます
これは本当に本の最後の方に呼びかけているところなんですけど
前段として今伝統多様性を殺そうとしているものは
僕はやっぱり考えた結果
気候変動でもなければ
人工動態でもなければ
インフラの劣化でもないと思ってるんですよ
僕たちの意識そのものだと思っていて
何かを作りながら伝承していく
何かコミュニティとか地域に積極的に働きかけて
何かを生み出していくっていうことから
遠ざかってしまったことによって
伝統は本当に実際
抜き差しならないぐらい切実に必要なのに
その意識が離れてしまっているから
僕たち一人一人の選択と意識の問題が
伝統を殺そうとしてるんだっていう風に思うんですね
人類史の参加者となる:伝統の当事者としての生き方
それを変えるためにこの本を書いたんですけど
例えば僕の本を読んで
一理あるなと
平くんの書いてること一理あるから
私何ができるのかなと思ってくれたら
僕はめちゃくちゃ嬉しいと思うんです
その次のステップにやれることって
僕は二つだと思っていて
一つは買い支えることなんですよね
そういうものづくりをしてる人
あるいはそういうものを売ってるお店だったり
そういうところで自分が納得する買い物をして
買い支える
これは結構イメージしやすいし
すごいシンプルですけど
めちゃくちゃ大事なことです
もう一個は
自分も伝統の継承者になるってことなんですね
大文字の伝統の継承者ってなるの結構難しいんですよ
天皇家に入りたいみたいな
そうですね
究極に何かの家元になりますとか
そんな感じですよね
これはちょっと歯が立たなそうだなみたいなね
京都の楽とかの
神本になりますとか大変
そうなんですけど
小文字の伝統の継承者だったら
誰でもなれるんです
なるほど
すごいシンプルに言うと
例えば僕のお店で
お味噌づくりのワークショップずっと
定期的にやってますけど
お味噌作ると小文字の伝統の継承者です
あーなるほど
それって何百年かもずっとやられてきたことじゃないですか
そうですねまさに
そうなんですそうなんです
だから大文字の伝統ってすごくハードル高いんですけど
小文字の伝統ってすごくハードルが低くて
なぜなら伝統で続けてきたものづくりって
結構なんか農家とか漁師のパートタイムが多いんですよ
あーなるほど
だから農間期とか漁出れない
天気荒れてる時に
じゃあその手仕事で
例えばこの雪の時に履くブーツみたいなの
網を編むかとか
例えば焼き物をやるかとか
お漬物を作るかとかってなって
そういうのが別にフルタイムの職人とかっていう意識抜きに
今日は船が出ないな
じゃあこれ作るかみたいなことをずっとやってった結果
ある種の文化として
数百年やっぱり存続しているので
実はなんかみんなが思ってるほど
コミットしなくてもいい
だから例えばあれですよね
仕事をしながら
旅館の時間でちょろっとやっても全然いいってことですね
そういうぐたりで
この間コーチ行ってたんですけど
コーチにゴイシ茶っていうお茶があって
発酵茶があって
珍しい山のお茶があるんですけど
発酵させるお茶なんですけど
ちょうどそれ一緒に訪ねた
まちづくりとか地域のことに関わりたいっていう
若者と一緒に行っていて
でもうゴイシ茶も作る人があと3人ぐらいしかいなくて
大変なんだよみたいなことを
農家さんから言われた時に
これってどれぐらいで作れるんですかって言って
2ヶ月って話なんですね
なんか今の仕事辞めなくても
僕告げるかもみたいなことに気づくわけですよね
だからなんかこう
結構そのまちづくり校舎みたいなところ
観光、商工会議所に近いような
まちづくりに近い会社で働いてるので
その時ボスもいたんですけど
ボスにこのゴイシ茶の伝統を絶やさないために
彼に夏2ヶ月間特別休みを出して
ゴイシ茶作りにやってもらうっていうのはどうですかねって聞いたら
全然ありですねとかって言ってたんですよね
1年中フルタイムでやらなきゃいけないと大変じゃないですか
でも2ヶ月間長い夏休みだと思って
この時はゴイシ茶頑張って作るとかってなれば
実はその仕事辞めなくてもいいんですよね
そういうものっていっぱいあって
生き方を抜本的に変えなくても
伝統の継承者っていっぱいになれるんですよ
だからまあ思ったよりもだからそのハードル高く
捉えなくてもいいってことですね
大文字の伝統は多分ハードルすごく高いんですけど
小文字の伝統はね低いですハードルは
だから僕のやってる活動は
箱デパートメントの活動とか
いろんな活動っていうのもやっぱり
根本的には伝統の当事者を増やす
そして伝統を今確実に弱らせている
意識が離れていく
当事者じゃなくなっていって遠くなっていくっていうことの
ゲームチェンジをするには
伝統の当事者を増やすっていう
そこに尽きてくる
なるほどそっかだから自分が
例えば少し私たちの宮の愛知県の
三河地方というところの出身なんですけど
発行の展覧会だと
岡崎の八丁味噌っていうのが
出てたんですよ
例えば手作り味噌を作るとかは
ひょっとしたら自前でできることかもしれないと
そうすると
そういった行為を通じて
別の伝統的な
事業
繊維産業かもしれないですし
またその荷物かもしれないですし
そういうところにもよりリアルに
思いを馳せていけるってことなんですかね
結構イメージっていうか想像力が
共通してるんですよね
だから小文字の伝統って確実に
手を使うわけですよ
自分が何か手を動かして体を動かして
やるときにリアリティが
出てくるんですよねこういうふうに物が
作られるんだとか
この技術ってそういえば
あそこのなんかお店で見たあれ
に使われてるやつだとか
そうするとぐっと近づいてくるんですね
自分たちがいかにその小文字の伝統
というものにやっぱり囲まれていて
それによって生活が成り立っていくかっていう
そうするとよりなんか
応援しやすくなるわけですよね
買い支えるっていうことの距離も近くなるので
やっぱり一番は
自分もちょこっと当事者
そのためのインターフェースを
どれだけ作れるかっていうのが
僕の仕事の勝負どこだなって感じがします
すごくよくわかりました
日本国内で
ちょこっと当事者の人口が増えていけば
それをひょっとしたら買い支える
というところに結果的に繋がっていく
ということですね
しこのおばあちゃんがいなくなった
もう作れなくなったんだみたいなのが
例えばフリーランスの
web関係の仕事をしている
女の子が比較的
時間あるから
冬のこの何週間の時に
おばあちゃん家行って一緒に作るね
でいいんですよね
実際そういう例ってあるんですけど
そういうことでいいんです
そうすると続いていくんです
だから要は自分が当事者であれば
自分が死ななければ続くって思えるんですよ
これってめちゃくちゃよくないですか
これが継承者であるってことなんですよ
一番最初に
言論を作りたいんだって
話をしたじゃないですか
一番やっぱり強い意味って
自分がその人類史の中の
1ページの参加者であるってことなんですよね
傍観者ではなくて
だから継承者になるってことは
やっぱり参加者
歴史人類史っていうものを
参加者になるっていうことだと思っていて
それはみんなが思っているほど
壮大なことじゃないんですよ本当は
夏の2ヶ月間山登って
御医者作るかとかでも
ある意味それは
歴史の中で三角してるんですね
だから伝統をどうしようとかじゃなくて
一番理想的なのは
私が伝統なんだっていう
風に思える人が増えるっていうのが
すごく豊かな未来が待ってると思います
そっかじゃあそのためには小文字の伝統を
少し無理のない範囲というか
日常生活の中に取り込めるところは
取り込んでいくというのが
人類史の参加者になりうる道ってことなんですね
そうなんですだから
実際やってることは結構
ちょっとしたことなんですよ
だけどそれが大きく人の意識
やっぱり変えていくし
大きく人の意識が変わっていく
その人たちが一定数を超えた時に
本当に社会のゲームチェンジ起こるので
そういうことですね
人類史の参加者になりたいですよね
なりたいですよね
私も常に思ってますね仕事をする上で
大きな流れの中で
自分の仕事って何なんだろうなっていうのを
常に思っていて
本当ちょっとだけでもいいから
大きな時代の流れの中の
プレイヤーでいるって
やっぱり最高の生きてる意味
だと思うんですよね
そういうものに向かい合うために
例えば伝統っていうのは全ての人に
開かれてて本当は
とてもいい題材だなと思ってます
そういうことですね
今日は後半で小倉さんの
ライフヒストリーを伺おうかと思ったんですけど
この前半の話が面白すぎて
時間がいっぱいになっちゃいました
その話またちょっと
別途伺ってもいいですか
分かりました
今日はこの感じでいいです
伝統論で
聞かせていただければなと思いました
これ聞かれた
リスナーさんの中では
結構
自分もやってみたいかも
と思う方結構多いかな
と思いましたね
あとはやっぱり
書いてて
書き終わって出版してびっくりしたのが
今回のニュースコネクトもそうですけど
ビジネス系の人たちに
注目してもらったりとか
この本を使って勉強会とか
読書会をやってる人たちがいっぱいいるみたいで
どうしてなのかな
って考えた時に
今って本当に先が不透明だし
なんかこう
例えばテクノロジーとか
軍事技術とかAIとかっていうのはもう1年単位で
どんどん数ヶ月単位で進歩していって
全く先が読めない
だから時間っていうものが
どんどんどんどん
どっかその消失点に向かって
圧縮されてるような感覚があって
それはなんか息苦しく感じてる人
多いんじゃないかなと思います
しかもそれが行われてるのはね
全然違う国の
あるラボとか
遠い
自分から
Googleしたってきっとあるだろうと思ってる時に
なんかその対極として
何百年という時間が
蓄積されてきたからいい
っていうやっぱり揺るがない価値観が
この伝統という世界にあって
そこの中で自分のやっぱり
生きる意味のバランスを
どう取るかっていうことの
インスピレーション探してる人たちが
この本の出版とともに
ものすごく増えてるんだということを感じます
気持ちすごいわかりますね
速すぎるんですよね
速すぎるし自分と関係ない
ところで動いているから
それに対して抗いようがないっていうような
フラストレーションなのか
虚しさっていうのを結構現代人は
感じてるだろうなとは思いますね
それって生きてる意味からの阻害なんですよね
だからすごいそれって
現代人にとって大きなリスクで
僕はやっぱりそこに対して
全く違う価値観として
要はなんか対立するものとかではなくて
全く違うレイヤーで
自分の体を使って自分ができる範囲で
その
阻害の逆の
やっぱり人類がずっと続けてきた
歴史の中の三角者になる
っていうことが
あなたが望めば何かそこに
大事さを感じられればいつでもできるし
その扉は僕はいつも
開けておくよっていうふうにやっぱり言いたいですね
発行デパートメントとか
小倉さんの発信を
ウォッチしていればワークショップの
情報ってのが得られるんですか
でホームページとか見ていただければ
ワークショップとかなんかいろんな本当に体験
できるんですよね
あとはいつもじゃないんですけどある時期が
来たらツーリズムというか
みんなでそこに行こうとかっていうことも
やっているので
是非本当に自分の
参加できる分でいいのでやってみると
そしてこの本とか僕の
今回みたいなお話とかも合わせて
考えてもらうとなぜ
その伝統が自分たちにとって
大事なのかっていうのがすごい
よく分かると思います僕はやっぱ
今この本を出してこういうことを
やっていてで今こういう時代の
流れの中で思うのがこれまでは
僕たちは伝統を
どうやって守ろうかっていう
なんかこう自然保護みたいな
動物保護みたいな
感じで接してましたけどこれだけ
かなりその自国の中の
コントロールが効かなくなっていったり
そのエネルギーとか大きなインフラ
っていうのがやっぱり自分でも分からなく
なった時に逆に伝統に
守ってもらうっていう時代が
もう来てると思います 伝統に
我々が守ってもらう 守ってもらう
だから例えばエネルギー
とかが一旦入って来れなくなる
石油とかもそうですけど
で円が安くなって
外から自由に物が調達できなく
なってきた時に実は
そのそういう無い物尽くし
の中でやっぱり生まれてきた
例えば発光っていうものがあって
そういう伝統にもう一度やっぱり守ってもらう
時代っていうのがもう来てるんだな
っていう風に思います そうですね
まあ経済状況がなかなか苦しくなっていく中
伝統には
いろんな本当に培ってきた
知恵が詰まってるわけですもんね しかもそれは
基本的には不足欠乏の中で生まれた
知恵ってことですね そうなんです結構閉鎖系の中の知恵なんで
そういうのもこの本の中で
例えばジョージアっていう国を取り上げながら
そういうお話も今の時代の
リアルとして書いてるんですけど実は伝統って
古臭いもの
ってイメージはあるかもしれないんですけど
僕にとってはとても現代的な
イシューだと思ってます
いやーありがとうございます
ほんと聞き応えがありました
ありましたし
これ結構本当に心動かされました本当に
そうだよなって思いましたね
よかったです野村さんに
お話聞いてもらえてとても嬉しいです
いやーこれでも
結構リスナーさんも心動いた方多いんじゃないですかね
きっと今日の話 いやーそれを願います
ですね なんで小倉さんの長所ですね
ぜひ皆さん手に取っていただければなと思いました
では今日はこのあたりで締めくくり
ていきたいと思います 今日はありがとうございました
野村 どうもありがとうございました ニュースコネクト
お相手は野村貴文でした もし番組に
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良い週末をお過ごしください
01:09:12

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