まず初めにですね、失敗というものがいかにものづくりや科学を発展させてきたか、というお話をしたいと思います。
皆さん、世界三大失敗って呼ばれる失敗、ご存知でしょうか?
これね、結構有名なんで覚えておいて欲しいんですけど、
世界三大失敗っていうのはね、
タコマ橋の崩落、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没という3つです。
橋が崩落し、飛行機が墜落し、船が沈没したという、これを聞いただけでもね、とんでもない被害だなっていうことがわかるんですけど、
これ単なる事故ではなくて、技術的な失敗により発生した被害なんですね。
1つずつ紹介していきますけど、まずタコマ橋の崩落というもので、
これはね、工学系の学校出たなら絶対に知っている話だし、
そうじゃなかったとしても、たびたびね、テレビとかで取り上げられるんで、
見たことあるとか知ってる人多いと思います。
とにかくね、衝撃的なのが、動画でさ、このタコマ橋が崩落する瞬間の動画っていうのがあるんですよ。
その動画のリンクはね、このポッドキャストの説明欄に貼っておきますから、ぜひ見てほしいんですけど、
ほんとすごいよ。橋がね、まるで生き物かのようにグネグネと動いて、
なんか本当に橋がこんにゃくでできてるんじゃないかと思うぐらい、そのぐらいね、動いてるんですね。
もはやね、神秘的ですらあるんですよ。
まあこれ何が起きてるかっていうと、橋がね、風で揺れてるんですね。
タコマ橋は1940年、アメリカのワシントン州で完成した海峡タコマナローズに架かる橋です。
全長は1600メートルっていうね、非常に長い橋で、当時の橋の長さとしては世界3位を誇る橋だったんですね。
そんなね、世界にも誇れる橋だったわけですけど、とんでもない悲劇が起こるんですね。
なんと橋の完成からわずか4ヶ月で、風速19メートルの横風により、あっけなく崩落してしまったんですね。
まあそんな風速では全然問題のない設計のはずなのに、橋ではね、ものすごい振動とうねりが発生して、まあそれに耐えきれず崩落してしまったんですね。
これ原因は、自礼振動っていう物理現象なんですよ。
自礼振動っていうのは、自分を励ます振動と書いてね、自礼振動と読みますが、これね、まだ当時解明されてない現象だったんですよ。
振動っていうのは、基本的にね、揺らされる力、押したり引いたりする力の繰り返しがかかって発生するんですけど、まあこれはね、強制振動と言います。
まあ強制的にね、こうガーって揺らされるっていう感じね。まあそのままだけど。
一方で、自礼振動っていうのは、振動とは一見関係のない力なのに、まあその構造体の中で振動に変換されてしまって、
自ら振動してしまうっていう現象なんですよ。 皆さんが体験したことがある例で言うと、例えばね、チョークでさ、
黒板に点線を引く方法ってあるじゃないですか。わかります? ちょっとチョーク長めに持ってさ、強めに黒板にね、斜めに当てて、そのままグーって引くと、
ドドドドドって点線かけますよね。やったことありますよね。 あれが自礼振動ね。
振動を別にチョークに与えてないのに、勝手にチョークがドドドッと振動するでしょ。 ああいう現象がね、全長1600メートルのタコバマシでも起きてしまったんです。
風の力で自ら橋が振動してしまって、限界を超えて崩落してしまったんですね。 もう明らかに橋がね、グネグネ揺れて危険な状態だったんで、
幸いにもその橋を渡る人っていうのがほとんどいなくて、 人的な被害はね、なかったんですけど、当然ね、ものすごい金額の損失になりました。
この失敗により、今まで未解明だった 吊り橋の自礼振動という現象のね、メカニズムに注目が集まって、
そして解明されて、吊り橋の設計技術が飛躍的な進歩を遂げたんですね。 これにより現在我々が安心して橋を渡れているわけです。
まさに失敗が技術の飛躍の種になったという例でございます。 次の失敗はコメット飛行機の墜落ということなんですけど、これはね
1942年にイギリス政府主導で開発された飛行機なんです。 かねてからイギリスはですね、国産のジェット飛行機の開発に力を注いでいて、
国を挙げてね、世界を接近するような飛行機を作ろうということで、 10年かけてコメット飛行機ってものをね開発するんです。
この飛行機はですね、1952年に空港に就航して、そこから運用が始まります。 当時は居住性も高くて振動が少ないということで非常に優秀な飛行機として活躍していて、
評判も良くてね。 1953年ですね、だから就航してから翌年には計47台のコメット機が大空で活躍してたんですよ。
しかしですね、それも束の間。 そこから1年後の1954年の1月、コメット飛行機の墜落事故が発生します。
そしてその3ヶ月後、またしても同じ墜落事故が発生するんですね。 これによってコメット機の運用っていうのは全面的に停止されることになりました。
何らかの欠陥があるということです。 当時のイギリスのチャーチル首相は、イングランド銀行の金庫が空になっても事故原因を徹底究明せよと指示を出したほど、
国内では超緊急事態宣言ですよ。 そしてイギリス全土が全力を出して原因究明を行った結果、
何が原因だったかといえば、金属疲労なんですね。 金属疲労っていうのは繰り返し金属に力がかかると、それが小さい力であっても時間の経過で破損してしまうという現象です。
身近な例で言えば、針金を持ってくねくねと曲げ続けると、いずれブチンて切れるでしょ。 あれが一番身近な金属疲労現象ですね。
当時この金属疲労自体は知られていて、当然この飛行機でも疲労を考慮した設計計算とか実験というのが行われてたんです。
が、この実験方法っていうのが良くなかったんですね。 飛行機の試験というのは基本的には地上で行うんですけど、
運用っていうのは空でしょ。 当然実際に使われる空と地上では気圧も違えば環境っていうのは全然違うわけです。
当然ね、地上で評価するとき空の環境を再現して試験を行ってたんですけど、試験の順番っていうのが悪くてね。
飛行機にすごく有利な試験になってしまってたんですよ。 だから飛行機が実際に使用される環境とは大きくずれた状態で飛行機の評価っていうのが行われてしまったんですね。
それによって実際に飛行機が持っている寿命を正しく評価できずに、実際の性能とはかけ離れた10倍以上の寿命を持っているって判定になってしまったんです。
よって実際に飛行機の運用が始まったときは、飛行機の寿命はね、開発者が想定している10分の1程度しかないので、飛行中に寿命により金属疲労が発生して墜落に至ったという失敗です。
この失敗から工学分野ではね、品質確認の試験っていうのは可能な限り実際の使用状態に近づければならないっていう教訓を学びまして、
今の様々な設計企画とかルールにつながっているわけです。 これも工学を進歩させた失敗の一つですね。
ちょっと長くなったけど最後、リバティ船の沈没。これが世界三大失敗の最後です。 これはね、アメリカが第二次世界大戦中に作った輸送船です。
およそ1トンの荷物を運べる大きな船で、非常に船自体も作りやすい設計だったんですよ。
当時の船ってね、リベット止めっていう、まあ皆さん見たことあるとは思うんですけど、丸いポッチのようなものでかしめて船体を作るっていうのが主流だったんですけど、
このリバティ船は溶接で作れるように設計されてたんです。 これがこうそうしてめちゃくちゃ船が作りやすいからさ、どんどんどんどん船が作られてね、
4000台以上作られて運用されていました。 ただね、やはり悲劇は起こるわけですね。
1942年から46年にかけて、次から次へと不可解な大破というものを起こしていきます。
その数なんとね、1200隻なんですよ。 だから作った船の総数の4分の1にも上るというですね、とんでもない量の船が何らかの形で大破していくわけです。
もちろん全てが沈没したってわけじゃないにしろですね。 中には本当に船体の真ん中から真っ二つにポキッと折れてね、沈没してしまうような事例もあって、かなり深刻な状態でした。
この船、なぜこんなことになってしまったのか。 それはですね、低温税制という金属の物理現象にあります。
金属ってね、すごい硬いイメージありますけど、伸び縮みするんですね。 強い力を加えればゴムのように微量ですけどグニッと変形するんです。
そして戻ると。 ただそれも常温状態の話で、温度が低い状態、摂氏0度以下になるとだんだんと伸び縮みしなくなって、
脆くなる金属があるんですね。 こういうのを税制って言いますけど、イメージで言ったらガラスみたいになっちゃうわけ。
強い力がかかった時、グニッと伸びるんじゃなくて、パキッと割れちゃうんです。 このリバティ線っていうのはね、船の作り方をリベット止めから溶接に変えたことで、
船の材料自体が全体的にガッチリとくっついている形なので、何らかの力が加わった時に、力を逃がす先のない設計になってしまっていたんですね。
そこで追い打ちをかけるように冷たい寒冷機の海などを運航すると、もう船自体がガラスの船みたいになっちゃって、ちょっと外力を受けただけでもパキッと割れてしまうんですよ。
そんな船になってしまっていたんです。この現象でもどんどん沈没してしまったというわけですね。
この低温税制という現象も当時は未知のものでした。 この事故を発端にして関心が寄せられて、新たに研究が進められて、
金属材料分野及び溶接技術分野を大きく飛躍させることになります。 といった具合で、最初の話めっちゃ長くなっちゃったんだけど、
まさに失敗が種となって工学、科学、そして世界のものづくりが発展してきたんですよ、という話でございます。
それだけ失敗って大きな価値があるということなんですよ。 そしてここから本題なんですけども、そんな失敗をより体系的にまとめて有効に活用しようぜという学問。
それがね失敗学というものなんです。 失敗学とはなんじゃらほいという話なんですけど、これはね
事故や失敗が発生した原因を解明して、同じ過ちを繰り返さないようにするためにはどうすればよいかということを探求する学問なんですね。
これが失敗学です。 提唱者は畑村陽太郎先生というね、東京大学の名誉教授です。
もうね、機械工学分野で畑村先生を知らないっていう人はね、いないって言っても過言ではないかなと思うぐらいね、非常に有名な先生です。
その先生がね、2000年に書いた失敗学のすすめという本が、これまた名書であるわけなんですけど、これを皮切りに失敗学という分野がね
注目されて学問としてだんだんと確立されていくわけです。 失敗学の目的は失敗を有用に活用しようというものです。
それこそね、今日は失敗は成功の種であるというね、テーマで話してるわけですけど、失敗っていう種に水を与えて、そこから成長させて良いものづくりに発展させると。
こういうプロセスこそまさに失敗学なんですよ。 これ聞くだけでもね結構なかなかユニークな学問でしょ。
失敗学が作られたのにはいろいろと理由はあるんですけど、 その一つがねやっぱ失敗という言葉のイメージです。
皆さん、失敗っていう言葉どんなイメージです? なんかさ、こうネガティブなイメージありますよね。
さっき紹介したね世界3大失敗だってそうです。 すごくね悲惨な失敗の数々です。
こんなね世界規模の失敗でなくても、皆さん普段の生活の中で必ず失敗しているはずです。 そして失敗したら、
ああ怒られるな、ああ馬鹿にされるな、恥ずかしいな、知られたくないな、みたいな負のイメージってね必ずつきまとうんですよ。
これがねもうそもそも失敗というものです。 でもまあね新しいことをしたらね必ず失敗っていうのはつきものです。
まあこれはねものづくりに限らず何事もそうなんですけどね。 でもねやっぱそういった失敗には非常に有益なエッセンスってのは詰まってます。
まあそれこそまさに種なんですよ。 育ててあげれば同じ失敗をしないようなノウハウが得得できるわけです。
ただね、ただ失敗をしただけじゃダメなんですよ。 逆に言えば種なんで、育てないとそれは単なる失敗、種のままなんです。
でもさっき言ったようにね失敗ってねやっぱイメージ的にネガティブなものだから 人間の真理としてはあんまり表に出したくないわけ。
世の中にね知れ渡っちゃうような大失敗ならつゆ知れず 自分がちょっとやってしまった失敗、できればね思い出したくないものです。
だから失敗の種を植えてわざわざそこに水をあげる人なんてそうそういないんですよ。 みんな種を放置してそのままにしてるんです。
でもそれってねめちゃくちゃもったいないことしてるよねという話。 だからこそ学問として失敗を体系化するっていうことが必要なんですよ。
失敗学として失敗という種の植え方、水のあげ方、育て方 これを体系化することでね誰もが失敗の種を植えて育てて技術として発展させていけるようになります。
そういう目的として失敗学というものが立ち上がったんです。 こういう背景を聞いてもね失敗学ってなかなか興味湧いてきませんか。
失敗学はね失敗をゼロにするための学問じゃなくて過去の失敗から こうすればまずくなるよという法則を学んで致命的な失敗を避けるというための学問です。
致命的な失敗っていうのは大きな被害を籠るような失敗 それこそね人命に関わるような失敗です。
そういうものを過去の事例から学んで防いでいこうねということなんですね。 失敗を知識化して共有しましょうと。
そうすればどこかの誰かが同じ失敗をしなくなります。 例えばね誰かがナイフで手を切ってしまったとしてその失敗を知識化して共有化することで
どこかの誰かがナイフで指を切り落とすようなね大きな事故っていうのが防げるわけ。 失敗っていうのはねそういう素晴らしい可能性を持ってるんですね。
ただ、しかし、but これはね一筋縄ではいかないんですよ。
失敗というのはそういう知識化とかね他者との共有を阻害するいろんな特性を持っているわけです。
失敗学における失敗の特性っていうのをね見ていきましょう。 ここからは失敗が持っている特性の話ね。
なぜ失敗を知識化して共有しようとすることが重要なのかというお話です。 それはね失敗は放置しておくと教訓にならないからです。
失敗は種であると、あのねこのポッドキャストの中でも再三お伝えしてますけど、 しっかりと植えて水をあげないと芽が出ないわけ。
そこらへんにホッポッといってもダメになってしまうんですね。 失敗学の中で言われる失敗の特性いろいろあるんですがちょっとかいつまんでね紹介します。
まず一つ目、失敗情報は隠れたがると。 こういう特性があるんですね。なんとなくイメージできますよね。
まあちょっとね今いろんな会社の不正がどうのこうのって騒がれているのでちょっとセンシティブな内容ではあるんですけど、その通りですね。
失敗っていうのは隠れたがるんです。 これは人間の心理としては当然で失敗したらごまかしたくなるんですね。
ただ当然ごまかしたら報いがやってきます。 それこそ有名なのが三菱自動車のリコール隠し問題ですよね。
トラックのハブボルトが折れてタイヤが取れてしまうと。 こういう設計上の失敗を隠蔽して整備工場の責任にしようとしたわけです。
ただこれがバレて三菱自動車は社会的な信頼を失ってしまいます。 この話を元にした小説とか映画もありますよね。
空飛ぶタイヤっていう話ですけど、これねなかなか考えさせられるストーリーだしね。 面白いんでぜひとも小説の方を読んだ方がいいと思いますよ。
映画の方も面白いですけど。 ちょっと話ずれたんですけど三菱に限らずいろんな不正問題ありますけど全ては基本的に失敗の隠蔽なんですよ。
これは失敗情報は隠れたがるっていう失敗の特性を顕著に表している例かなと思います。
2つ目の特性失敗原因は変わりたがる。 これもまた組織あるあるなんですけど
責任問題の話ね。 責任や政治都合でいいように失敗の原因を変えてしまうということなんてよくあるんですよ。
これが失敗の原因だとね騒がれてしまうとこの先やりにくくなるから ちょっとお茶を濁すようにですね違うことが原因であったということにしておこう
みたいなやつ これもね見に覚えがあっちゃいけないんだけどまあ組織で働いているとそういうシーンてね
見ちゃうわけです まあそれはね安全に関わる部分とかではなくて
社内政治的な話を実際に国レベルで見てもそういうことがあってさ 例えばチェルノブイリの原発事故
まあこれ相当有名な事故ですけど 政府は
事故の原因については運転員の規則違反が原因であると発表したんです ただ実際にはね
原子炉にも構造的な欠陥があったと言われています しかしねそこは隠してあくまでもヒューマンエラーの話としてすげー書いたんですね
それは国策として原子力開発を進めたかったからで その上に原子炉に欠陥があったっていうことにフォーカスされてしまうと
マイナス要因しかならないんですね だからこそ失敗の原因っていうのを変えてしまうわけ
人理的に今した話はねいかにちょっと規模の大きい話なんですけど 我々の生活レベルでもこういった失敗原因の変わり身っていうのね
いっぱい起きてますよね 特性3つ目失敗情報は単純化したがると
これもありますね 実際に失敗ってさこれが原因っていうねはっきり1個あるわけじゃなくて
複数の原因がね複雑に絡み合っていることなんてね多いです ただね話を簡単にしたいがためにその原因っていうのを単純化しちゃうんですよ
あれが原因だったあの人が悪かった そういうシンプルな情報とか因果関係っていうのは人を納得させやすいんですね
人はね正しいことよりも自分が理解できたことを信じるっていうね思考のバイアスありますから それもあいまって失敗っていうのは実際の現象とは違う形で単純化されてしまうんですね
そうなると失敗の持っている正しいエースを抽出できないんです これはねやっぱ結構ね私自身も多く反省しなきゃいけないことがあるかなと思ってて
失敗は知識化しなければ伝わらないということです 失敗っていうのはねその事象の発生から総括までストーリーを示した上で記載して
知識化しなければならないんですよ そうしないとその失敗のエッセンスというのは正しく伝わらないんです
将来赤の他人がその失敗のレポート読んだ時に使えるように知識をまとめておかないと 失敗を伝達することはできないんですね
他の人に伝達できるように綺麗にまとめるっていうのが まある種これが失敗の種を植えて水を与えるという行為だと思います
じゃあ失敗どうやって知識化すればいいんですかということは今日はお話ししません 失敗学の本でいっぱい出てるんで気になる人はね勝手読んでください
過去の歴史的な失敗っていうのもねまあ失敗学の中ではいっぱい書いてありますから まあそういうものから学ぶという姿勢も大事だし
自分の失敗を伝えるための方法を学ぶという姿勢もまた大切です 私なんかはねこうが流なんですけど
sns とかブログとかまさにこのポッドキャストの中でも自分が今までどういう失敗を してきたかっていう失敗談とかねいろいろ発信しています
そういうのってね結構人気コンテンツで役に立ちましたとか勉強になりましたとかね コメントいただけること多いんですよ
皆さんもねぜひ自分の失敗だ sns で発信することで
失敗の知識家と伝達っていうのをねしてみてはいかがでしょうか 種を撒いて水を与えましょう
まあそうすれば失敗の種から目が出てあなたの失敗が誰かの役に立つはずですよ なんとなく綺麗にねしまった感じだったんですけどまだちょっとだけ続くんですね
ここからはねちょっと雑談的な感じなんだけど私が大学の頃に受けた授業でも未だに はっきりの音脳に焼き付いている面白かった授業があってさ
まあそれこそね失敗の追求の話だったんですよ 大学にね外部から技術者の講師が来てねいろいろね話してくれたんですけど
おじいちゃんの音先生だったんですけど そのおじいちゃんはねもともと調査機関の技術者をやってたんです
なんか大きな事故が起こった時に調査員としてね技術的な検証をするというね仕事を やってたわけです
ある時とある工場でプレス機に人が挟まれて死んでしまうというね 精算の事故が発生したんです
その調査のためにねそのおじいちゃんも駆けつけたわけなんですけど やっぱり原因がわからんのよね
作業者の操作ミスなのかはたまた機械の設計不具合なのかわからないと そのプレス機のね設計担当者は当然のことながら自信を持ってね
うちのプレス機は絶対に悪くないと言い張ってると まあそこで調査をしていくわけです
いろんなパターンの試験をしてねもうデバッグですね 検証していくんですけど本当にそれこそ徹夜で何日も止まりがけで検証するわけ
そしてねとうとう見つけるんですよ 針の穴を通すが如き条件
とある条件が偶然的に重なった時にだけ プレス機っていうのはね作業者の操作に関わらず
作動してしまうということがわかったんです 当然ねじいちゃん的にはね苦労してその製品の欠陥見つけたわけだから嬉しいわけです
うちの製品には問題がないとふんぞり返ってた技術者を呼び出してですね この不具合を実演して見せつけるんです
ほれ見たことかとやっぱり機械が悪いじゃないかという感じでね まあそのおじいちゃんはねやっぱ苦労して
見つけたことなんでね嬉しくてこう自信まんまにねそういうふうに言うんですけど それを見せられた技術者はみるみると青ざめて
最後にはね膝から崩れ落ちてしまったんですね まあ当たり前の話ですよね別に人を殺そうと思って機械を作ってるわけじゃないですから
それでも自分のミスで人が死んでしまったと その事実を目の前で突きつけられたわけです
そんなに膝から崩れ落ちてしまった技術者を見たおじいちゃんはですね そこでハッと気がつくわけです
俺はなんてことをしてしまったんだと まるでパズルを解くかのように原因調査を楽しんでしまったと
勝ち誇ったようにその結果を突きつけてしまったと 自分は今一体何のために技術を使ったのか
まあそういう罪悪感を抱いてしまったんですね そこからだんだんとね自分の仕事に関しても疑問を抱き始めますと
この仕事は一体何の役に立っているんだと もっと人の役に立つ技術の使い方があるんじゃないかと
いうふうに考え続けてですね 気を止んでしまってもうとうとう仕事も辞めてしまうわけです
一旦ねもう技術の仕事そのものすら辞めちゃうんですけど それでもやっぱり技術が好きなんでそこでいろいろと考えた末にですね
失敗の原因を追求する仕事じゃなくて 失敗しないための技術っていうのを伝える仕事がしたいと
それを俺はするんだというね使命を感じ取ってですね 失敗学とか安全工学を伝えるための技術者に転身したっていうおじいちゃんの授業が
大学の時あったんですよ 一キットコマだけだったんですけどね
この人の話がねめちゃくちゃ熱くて面白かったんですよ 今話したよねまず自分のバックグラウンドの話から入って
そっからね熱量保ったも技術の話ですよ その時私初めて失敗しない仕組みどう作ればいいのかとかね
壊れても安全を確保する仕組みどうやって実現すればいいのかみたいなことをね 学びました
まあこれらはね技術用語だとフールプルーフとかフェールセーフって言うんですけども そういうことをね初めて知った授業だったんですね
でまぁその授業ね本当に良くてねぇ まあさっきね話したように猫そのおじいちゃんので人生史みたいなのも相まってね
すごいね技術がスッと頭に入ってきたんですよ もう私もねもう本当に授業で感動したの初めてだったんですけど
本当に感動しちゃって初めてね講師に俺のメール 送りました授業終わった後
それを覚えてます なんとなくなんですけど多分ねすごい有名な人だと思うんですよ
ちょっと名前全く思い出せないんですけどできればねもう1回話が聞きたいなぁと思います けどね
もしかしたら年齢的にはもうなくなられてしまってるかもしれないんですけど まあとにかくねそういうすごい人がいたんですよ
やっぱねまぁこういう人たちがいるからいたから 今のものづくりの技術っていうのが成り立ってるんだなぁって思いました
本当にね 最後に失敗にまつわる格言で私の好きな言葉をね紹介します
工学は今でこそ知識が体系化されているように見える しかし実際は
事故が生じるたびにエンジンやが応急対応した知識が経験的に蓄積された結果 網羅的な構造が出来上がったに過ぎない
この言葉はねほんと失敗の価値と思いがわかる言葉です 今の科学技術があるのは過去の失敗や先人たちの痛みがあるからということなんですね
そしてもう一つ言えるのは我々は失敗しない限り気がつけないということです ものづくりというのはね未知との戦いであってその先何が起こるかっていうのは誰もわかりません
ただね他の誰かがした失敗を自分が学ぶことで同じ失敗っていうのは防ぐことができるんですよ だからこそ失敗から学ぶっていうのが必要なんですね
ぜひともね失敗学という分野があるということをこの機会に知っていただければなと思います
はいクロージングトークです今日お話した内容の種本は 失敗学のすすめという本です本編の中でもちらっと紹介しましたけど
畑村陽太郎先生の定番の書籍でございます 今日はねほぼこの本の内容に沿ってお話しましたけどこの本非常におすすめですよ
まあ機械工学分野ではね本当に土定版ですけど技術的な猫難しいことあんま書いてないんで 誰が読んでも理解できる本です
概要欄にねリンク貼っておきますのでぜひともチェックしてください それ以外にも失敗に関するおすすめの本ってものがね結構あってさ
私のブログとか x でももう最短紹介はしてるんですけど 一つ目はね橋はなぜ落ちたか設計の失敗学という本です
まあ世界三大失敗の話でタコ回しの話しましたけど まあそれ以外でも橋の失敗っていろいろあるんですよ
本当にいろいろ落ちてるんですね崩落してます そういう歴史的な設計失敗事例を学べる本で私はね結構この本好きなんですけど
この本の評価はね結構低いんです あのねこれね要所なんだけどさもう日本語の翻訳がねー
とにかく酷くてかなり読みづらいんですね もうなんかその時代のエキサイト翻訳で全部やったんかと思うぐらいね
めちゃくちゃな日本語ですそこがかなり難点なんですが 内容はね悪くないです
今だとですねこの本アマゾンで一冊9円で売ってます 9分編ってこれ本当に買えるのかなーって感じなんですけどさっき見たらねまぁ古本で9円
でした ほぼほぼですね
送料で買えます興味のある人はねぜひとも見てください あともう一つおすすめの本あってね
これも何回も紹介してるんですけど最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか という本です
リンク貼っておきますけどねこれもこの本自体はね結構評価もね高いし まあ読んでやっぱ面白いですよ
面白いっていう表現を使うとねちょっと不謹慎になるかもしれないんですけど 世界的に有名な大失敗とか大きな事故っていうのを取り上げていって
その時人は何をしていたのかという視点でね解説されている本です 設計の失敗ももちろんあるんだけど
作業者の人為的なミスとかねまあそういうヒューマンエラー的なのも広く取り扱って ます
大きい事故っていうのがどんだけ偶然というのは積み重なってあらゆる防壁を突破して 起きてしまうのかっていうのがね